スズキ / シーバスのフライフィッシング

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和名:スズキ、マルスズキ
英名:Japanese Seabass/ Japanese Sea Perch
学名:Lateolabrax japonicus (Cuvier and Valenciennes, 1828)

初挑戦でベンさんが仕留めた63cmの「スズキサイズ」

アングラーからは通称「シーバス」と呼ばれるスズキ。国内有数の生息地である東京湾では最大120cmにもなる人気の頂点へ君臨するゲームフィッシュです。「スズキ」と呼ばれるのは成熟した60cm以上のサイズの魚となり、35cm以上60cm未満を「フッコ」、35cm未満を「セイゴ」と呼ぶ出世魚でもあります。ヒラスズキが多い地域では区別するためにマルスズキとも呼ばれます。

一年中狙えるウェット&ストリーマーの好敵手

シーバスは年間を通じて狙うことができる魚で、セイゴサイズはシングルハンド4番タックルで、フッコサイズは6番タックル、60cm以上に育ったスズキサイズは8番タックル、75cm以上のモンスターサイズは10番タックルと、フライタックルで存分に楽しむことができる魚です。川へ遡上するシーバスはツーハンドタックルを使ったスイングの釣りの好敵手でもあります。

トラウトやバスよりも狙える季節も時間帯も幅が広い魚であることと、色々な釣りの世界から入ってきたテクニックを使った様々な狙い方ができることが人気の秘密だと言えると思います。ボートフィッシングであれバンクフィッシング(岸釣り)であれ、リバーフィッシングであれ、身についたスキルは海のフライフィッシングに限らずトラウトフィッシングへも幅広く応用できますので、ぜひトライすることをおすすめします。

シーバスの行動・・・ベイトを探す=シーバスを探す

川と海を行き来しながら生活するシーバスは、川ではアユやマルタウグイなど上流から弱った小魚が浮き上がりながら流れてくるのを待ち伏せしながら捕食することで成長し、海ではカタクチイワシやボラの稚魚など遊泳力の弱い魚やエビなどの甲殻類・イカなどの軟体類を捕食して大きくなっていきます。

流れが渦を巻く場所や異なる流れの境目、海水と真水の層の境目など、小魚が泳ぎのバランスを崩す場所や、障害物に隠れた待ち伏せを好んで狩りをするシーバスたちは、水面や障害物の際など小魚にとって逃げ場のない場所を常に意識しています。

また、海や汽水域では小魚だけではなくアミエビの大量発生や「バチ抜け」と呼ばれるゴカイやジャリメの集団浮上の際は、それらを捕食するためにガードが甘くなった魚を下から狙い、必要とならば自らもそれら小動物を吸い込んで栄養を取ろうとします。これらは夜間光に惹き寄せられる習性がありますので、その場所のシーバスも夜行性が強くなります。

シーバスの捕食スタイルとフックセット

シーバスは同じスズキ科の他の魚と比べても口が大きく、袋のように柔らかい口全体が膨らんで周りの水ごとベイトを吸い込んで捕食します。餌でないと判断したものは速やかに吐き出そうと再び口全体を大きく広げて振り飛ばします。このためフックが小さかったり、フックのゲイプ(ふところ)が狭い場合、口の中でいつまでも刺さらないまま吐き出されて終わってしまいます。

このためアタリは明確に分かりますが、吸い込んでいる間は口を閉じていないだけでなく、トラウトのように「捕食&即反転」をする個体は多くありません。したがって口の中のフライの針先がどこかへ引っかかるまでフックセットしないのでロッドで合わせるとフライが口からすっぽ抜けてしまいます。フックポイントが魚の口の中にひっかかるとラインに重みが乗りますので、プレゼンテーションを続けながらラインハンドでラインを引っ張ってフックセットさせます。

シェード&ストリーマーゲーム

横浜・名古屋・大阪・神戸を舞台にガイドボートのキャプテンたちやオカッパリのフライマンたちがバスフィッシングをヒントに始めたゲームで別名「シェード撃ち」。

影になっている場所へ身を潜めながら、自分の目の前を通りすぎる小魚やイカ、エビなどの獲物を注意しているシーバスたち。特に夜の港湾部では強い街灯や探照灯が水面を照らしつけており、そこへ引寄せられるベイトフィッシュなど小動物を狙うのに最適なシチュエーションとなっています。これを利用してシーバスが隠れる影=シェードへストリーマーを入れて波動で気づかせてから、明るい方へとストリッピングしてシルエットをアピールすることでシーバスの攻撃性にスイッチを入れてアタックさせます。

その日の流れの速さや潮位、餌となる小魚の泳層によってシーバスの着く深さと位置も変わりますが、夜間明るい場所の周辺ではシーバスも水面から1-3mと浅い水深へ定位するので、スポットを絞ることが簡単になります。オカッパリでは他のアングラーも狙う場所なので、ポイントへ入るタイミングが重要になります。大都市の港湾部では岸からのアクセスも限定されてしまうため、ボートから数あるポイントを狙う方がはるかに効率的です。バスと同じですが大型の魚ほど警戒心が強く、よりシェードの奥の方へサスペンドしていますので、プレゼンテーションは「奥から始める」のが基本となります。

水面でボイルしている時はウェイトの入っていないパターン、真下から食い上げる形になる時は、ウェイトの入ったフライパターンの方がレンジを維持しやすくアピールやフッキングもよくなるので向いています。デイゲームで行う場合は日陰となる「穴」を狙うため「穴撃ち」とも呼ばれます。

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サーフェースゲーム

岩井渓一郎さんが開発されたイワイミノーに代表される、トップウォーターパターンへシーバスが水面で炸裂する最も視覚的にエキサイティングなゲーム。「水面」と言う意味と岸壁や船の外壁などの「壁面」と両方の意味の「サーフェース」ゲーム。ボートでポイントを回り、タイトなスポット、ストラクチャーが交差するコーナー、岸壁の際など10cm以内に正確にフライを打ち込み、潮上の方向から下流側へゆっくりとリトリーブして、シルエットと曳き波の波動で隠れたシーバスを誘い出してアタックさせます。魚が浮かない時は水面下やカウントダウンすることもあります。

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待ち伏せ型の魚たちの中から大胆な捕食を行う個体を誘い出して釣ることができるので、コンディションの良い魚や日中でも大型の魚が狙えるゲームです。

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風のある場所で近・中距離をキャストして正確にフライをターンオーバーさせる必要があり、港湾の障害物はエッジが尖った貝やフジツボなどが付着していてティペットが傷みやすい状況にあります。また障害物へ引っ掛けた際はティペットを切ってライン回収しないとタックルどころかボートトラブルの原因になりますので、下記を参考にしてください。

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カウントダウン&ストリップ・ストリーマー

コノシロにボイルするポイントで、水面下を回遊する78cmシーバスが大型ストリーマーにヒット!

はじめの2つの釣りは水面または水面直下を意識した「タイミング」を待つ釣りであるのに対し、積極的に「橋脚」や「船の下」といった特定の場所や、ベイトフィッシュを捕食しやすいレンジに定位・回遊するシーバスをサーチする釣りです。できる限りフライをアピールする時間を長くするためにロングキャストが求められ、水深1-2m程度から場合によっては3m以上の深場かつ根掛かりする可能性がある場所をフォーリングさせながら狙うケースもあるので、いざという時はリーダーを切れるようラインシステムに気をつけてください。また水面・水面直下と違い、シーバスが優位なシチュエーションですので、じっくりとフライを見られることを想定したフライ選びやノット&ティペット調整が必要です。

スイング・ウェット&ストリーマー

トラウトフィッシングやサーモンフィッシングと全く同じタクティクスで行う釣りです。川の下流や河口などの汽水域、潮流のある海岸で狙ったポイントに居ついたシーバスを流れの上流や潮上からフライをスイングさせながら狙っていくゲーム。釣り下りのサーチフィッシングを行いながら、有望なポイントでは粘ったり、ナイトゲームでもデイゲームでも基本となります。何を捕食しているのか、マッチザベイトが求められるためフライパターンの種類をあらかじめ多く用意していく必要があります。

河口域にて、ツーハンドタックルを使い橋脚のシェードに隠れるシーバスへスイング中

汽水域のシーバス、特にデイゲームはベイトフィッシュの動きが良く見えることもあってレンジへ敏感なので、スカジットを使いティップとポリリーダーを使い分けて流すレンジを調整します。

カウントダウン&スイング・ストリーマー

タイプ4のカウントダウン30でストラクチャーへの根掛かりギリギリをスイングさせて釣れた75cmのシーバス

上記3つの要素を全て組み合わせた大型魚だけに特化したボートならではのタクティクス。強い流れの当たる橋脚や岩やテトラなどの特定のレンジへ定位する魚をスレさせないように、流れの上流からラインをテンションを緩く張りながら沈めて狙った場所をスイングさせつつフライ先行で魚の鼻先をかすめながら誘い出してじっくりとアタックさせます。ストラクチャーが絡むので、一つ間違えば良くて根がかり&ポイント荒れ、悪くてフライラインを丸ごとロストというリスクもあるゲームです

ボートの位置と潮流を利用してスイングさせるため、通常よりも大きなフライを使うことができること、プレゼンテーションがうまく行けばシーバスがフライと平行に泳ぎながらゆっくりとアタックするので、そのポイントの最大サイズの魚が狙えるメリットがあります。大型のシーバスは唇が太く硬く、重みが乗らないとフッキングが成功しません。この方法ではシーバスがフライを違和感なく咥える時間も長めに取れるので確率高く大型をフッキングさせられて、サイズアップには必須のゲームです。スイング速度の調整のためにストリッピングも加えます。

アカメやリバーGT、北米のボートゲームで狙うサーモンフィッシングも同じタクティクスを使います。

デイ&ナイト サイトフィッシング

船の下に潜んでいたシーバスを目視して、サーフキャンディで食わせたシーバス

浅場に定位する魚を目で見つけられる時にしか成立しない、日中でも夜でもほぼ大潮がベストタイムという特殊なゲーム。条件を揃えるのが手間ですがプレゼンテーションの一部始終を目で見ながら魚とやりとりできるので、サイトフィッシング派には興奮度MAXのオススメです。

やり方は非常に単純。サイトフィッシング用のタックルでリアルに巻いたイミテーションを魚の視界へ丁寧に入れてプレゼンテーションするだけ。そこから先は各自のイマジネーションを楽しむ釣りです。

ボイル打ち

運が良い時は、ポイントからポイントへの移動中にシーバスが激しくボイルしている場所へ遭遇することがあります。渓流でいえばスーパーハッチの様なもの。焦らずにベイトの大きさを確かめたらマッチしたフライを手返しよく打つべし。躊躇せずに打つべし。爆釣するべし!でもシラスサイズを食べている時は意外に苦戦しますので、ご注意を!

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川のチョイ釣り

狙うポイントを細かく刻む必要がある場合はシングルハンドとフルシンキングのインターミディエイトラインが便利!

シーバスの生息密度が高い地域では、必ずセイゴが汽水域となっている下流部にいます。トラウト用の4番や6番タックルで手軽に釣れます。

多摩川下流のシーバス

全く同じパターンがスモールマウスバスにも通用するので、生息している河川であれば下流でシーバスを釣った後、全く同じタックル&フライで中流でスモールマウスを釣ることができます。

多摩川中流のスモールマウスバス

スズキ科の仲間

同じ科にはマルスズキと合わせて全てで3種のスズキの仲間がいます。

ヒラスズキ / Blackfin Seabass / Lateolabrax latus (Katayama, 1957)

フライフィッシング ヒラスズキ fly fishing blackfin seabass hirasuzuki

スズキよりも黒潮の影響を受ける地域を生息地とする仲間。岩礁帯や障害物の多い湾内を主な生息地とし、その近くの河川や漁港を利用して繁殖しています。スズキと違って体が偏平で目の後ろくらいから背中へかけてが盛り上がった体型をしています。

タイリクスズキ/Chinese Seabass/ Lateolabrax maculatus (McClelland, 1844)

80年代の終わりごろから国内で養殖されていたものが逃げ出して野生化したもの。主に九州北部や四国で見られます。スズキよりも鼻先が短く、全身に斑点があるので見分けがつきます。

タックル情報

ボートフィッシングの場合、ナイトゲームではスローシンキングとファーストシンキング、デイゲームではフローティングとファーストシンキングのコンボが必須となります。

バンクフィッシングの場合はスローシンキングがメインとなり、水深があったり流れが強いポイントではファーストシンキングを使うこともあります。

リバーフィッシングの場合もスローシンキングがメインとなりますが、メンディングなどのラインコントロールを加える必要があるポイントではフローティングタックルを使います。足場が高い場合やウェーディングが危険な場所もあるので、バックスペースや水面を最小限しか使わないスカジットでシステムを組むのがおすすめです。

シングルハンド6-8番:標準フローティング

イワイミノーや江戸クランクベイトなどを使うトップウォーター炸裂ゲームをボートフィッシングや岩壁で楽しむ時に必須です。

  • フライライン :フローティングまたはホバーのフルラインタイプ、アグレッシブなテーパーが使いやすい
  • リーダーシステム:9フィート02Xもしくは03Xのテーパードリーダーのティップを1.5フィートほどカットして、フロロカーボン30lbを3フィートほどをバイトティペットとしてつなぎ直す(引っかかった時はティペット部分で切る必要があるので、必ずメインラインのポンド数よりも低くする場所を作ること)
  • フライパターン:   イワイミノー、江戸クランクベイト

デイゲームでナーバスな魚を相手にする時に有利なクリアーライン。透明なフライラインは影を作らないので警戒させず魚の意識をフライへ集中させられます。

クリアラインのおかげで3回炸裂してもフライに出てくれたシーバス

シングルハンド6-8番:標準スローシンキング

一般的なソルトフライでは最も汎用性が高く、シーバスに限らずメバルやアジといったライトタックルから、小型のリバーGTなどでも使う標準的なストリーマータックルです。

探索しながらシーバスを釣り歩く時に必須であり、速いスピードでストリッピングすればイワイミノーや江戸クランクベイトをアクションさせるこもできます。

  • フライライン :インタミ/ホバー(タイプ1)またはタイプ2のフルラインタイプ
  • シングルハンド・リーダーシステム:9フィート03Xもしくは04Xのテーパードリーダーのティップを1.5フィートほどカットして、フロロカーボン8-16lbを3フィートほどつなぎ直す
  • フライパターン:ラビットゾンカー、キャプテンズミノー、クラウザーディープミノー、マラブーチャーリーボニンミノーなど

デイゲームの場合、フォールの間に見切られることが多いので、同じくクリアーラインで差がつきやすくなります。

シングルハンド8-10番:標準ファーストシンキング

主にボートフィッシングで使います。

  • フライライン :ファーストシンキング(タイプ4以上)のフルライン
  • リーダーシステム:フロロカーボン12-20lb  6 フィートを直結(必ずフライラインのコアもしくはバッキングラインよりも弱い強度にすること)
  • フライパターン:エンリコミノー、ラビットゾンカー、レフティズ・デシーバー、ダウンウイングストリーマー各種

シングルハンド 4-6番:小物用

  • フライライン :フローティングまたはインタミフルライン/シューティングヘッド
  • リーダーシステム:9フィート2Xテーパードリーダーの先端1.5フィートをカットしてフロロカーボン8lbを3-4フィートほど結ぶ
  • フライパターン:アイスマラブーチャーリー、ウーリバガー、マラブーニンフなど

シングルハンド 6-8番:サイトフィッシング用

  • フライライン :クリアインタミフルライン
  • リーダーシステム:9フィート03X/04Xテーパードリーダーの先端1.5フィートをカットしてフロロカーボン16-20lbを3-4フィートほど結ぶ
  • フライパターン:サーフキャンディー、ミクラキャンディーなどリアルで透明感のあるパターン

ツーハンド6−8番:河口でのスイング用

  • フライライン :インタミまたはタイプ2のシューティングヘッドにフライのシンクレートに合わせたシンクティップ/ポリリーダー
  • ツーハンド・リーダーシステム:フライのシンクレートに合わせたポリリーダー、フロロカーボンティペット8-16lbを3-4フィート
  • フライパターン:シングルハンドと同じ物に加えて、イントルーダー、スイングリーチなどの大きなフライが使える

フライパターン

ペンシル

ボートフィッシングや潮が動きが大きいポイントでは安定のイワイミノーをはじめとしたサーフェースミノー。岩井渓一郎さんのタイング方法を時短したバージョンはこちら。円柱形ボディーなので横に着いたシーバスからも真下に着いたシーバスからも見つけやすく、競い食い効果が期待できます。

浅いレンジの魚だけを狙いたい場合(相方がシンキングラインで同時に釣っている場合など)は、扁平ボディのこちらの方がスレづらくなります。

ナイトゲームなどでシーバスがボイルしているけど水面下の捕食がメインの場合はこちら。

クランクベイト

流れが緩い場所やナイトゲームで反応が鈍い時に魚を呼び出すルアー的なゲームを行うときはこちら。

ストリーマー

シンキングゲームで使うストリーマー。
※「EPミノー」や「クラフトファー バルクヘッドストリーマー」「レフティズ・デシーバー」など追加予定。

甲殻類

河口や漁港などのシャローで甲殻類や稚魚ベイトを捕食している時に効きます。

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個々の考えるフライフィッシングのカタチを実現したり、ここ一発の大物に強いシークロ!

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