江戸クランクベイト(イワイミノー魔改造)

2023/11/07フライパターン

MLフォームで作る4番サイズ(1.3g相当)と、Lフォームで作る2番サイズ(1.8g相当)

岩井渓一郎さんの生み出した伝説のフライ「イワイミノー」を使ったフィッシングは楽しいけれど、ルアー的な観点では基本的なペンシルベイトのアクションのみとなっています。これを改良してクランクベイトのようなアクションをしてもらいたい・・・。

そんな事を考えつつも、ルアーのように物理的な原理を踏まえた構造設計を行わず、フィーリング優先の見た目だけ作るやり方を重ねるだけでは実現できませんでした。そして新登場したストンフォ「ミニルアーリップ」。流体力学を学んだイタリア人エンジニアがちゃんとシミュレーションからモデル化、そしてフライのサイズでも使えるように製品化してくれています。

浮力の高さとバランスの取りやすさで完成形と言える「イワイミノー」をベースに、ストンフォ「ミニルアーリップ」を活用し、クランクベイトの理論を実践しつつも好みのアクションに調整しやすくするためのカウンターウェイトまで試行錯誤した結果できたのが江戸クランクベイトです。

ラージマウスバスやストライプドバスなど、小魚を狙うプレデターたちがレンジから急浮上して水面でバイト炸裂する興奮をぜひお楽しみください。

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特長と構成

スモールマウスでも咥えやすいMLサイズ(左)とラージマウスの興味へアピールするLサイズ(右)

イワイミノーに採用されている円柱型のフォーム材は浮力計算がしやすいだけでなく、比重が低く優れた浮力体となっています。さらにオーバーボディとしてマイラーチューブで包むことで柔軟性を無くすことなく強度も保たれており、完成品フライとしての量産体制も経てきたことでタイングしやすさが徹底して追求されています。

ストンフォ社のイタリア人エンジニアが設計した「ミニルアーリップ」はフライフックにセットする前提で、重心と抵抗の中心が同軸にくることでキャスティング時の無用なロールを減らし、着水後はしっかりと水流を受けて、ウォブリングのために必要なカルマン渦を作り出しやすくなっています。

しかし、ルアーとフライでは動き続ける継続時間が異なるので、これだけでは安定して渦を作り出し続けてテールをウォブリングさせることはできません。そこでエド吉田が考えたのは、クランクベイトと同じくボディ後部へカウンターウェイトをタングステンビーズでセットするという単純な方法。これにより渦の発生する周期が短くなり、より確実にウォブリングさせることができます。

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ベイトフィッシュのパターンに十分以上に表現されてきた「シルエット」へ、ルアーで生まれた「生命感」を表現。レンジ調整機能としては、リップのバラストとカウンターウェイトの質量比率はバラストを超えないようにしつつ、両方を同時に変更することで沈み具合を調整します。

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浮力計算の例

ここではポーズした時に浮いた状態を保てるセッティングでタイングしています。サスペンドやシンキングをタイングする場合はキャスト可能な範囲でバラスト/カウンターウェイトを重たくしますので、参考にしてください。

サイズ構成内容円柱:直径円柱:半径円柱:高さ円柱:体積フライ:浮力残フォームボディ:基礎浮力フォームボディ:カットフライフックリップ:本体リップ:バラストウェイト:ピンウェイト:ビーズ
XL フロートHDS#2 Lリップ、タングステン3.8mm105705497.82.5955.51.3750.40.150.460.070.45
L フロートHDS#2 Lリップ、タングステン3.8mm84703518.61.0953.50.8750.40.150.460.070.45
ML フロートHDS#4、Mリップ、タングステン3.3mm63501413.70.011.40.350.280.070.340.070.28
MLサスペンド63501413.7-0.011.40.350.280.070.320.070.32

ステップ解説

基本的なシャーシはイワイミノーと同じものを使いますので、参考にしてください。

MLサイズの場合、HDS#4とのバランスを取るために50mm長にフォームをカットして整形します。

Lサイズの場合、HDS#2と合わせて70mmにフォームをカットして整形します。

マイラーチューブのオーバーボディーの中央部分へフックアイを突っ込み、フォームのヘッドの先端で抜き出したらば、オーバーボディーをフック後端へ押し込んでシャンクの作業をしやすくします。この時、マグネット付きクリップでマイラーチューブを挟んで折り返しておくととても楽です。

フックシャンクに瞬間接着剤を塗ってからGSPスレッドでリップの軸部分より少し長めに下巻きします。

下巻き部分へ瞬間接着剤をさらに塗り、ミニルアーリップをセットしたら、スレッドでしっかりと固定していきます。

リップの取り付けが終わったら、オーバーボディを元通り前進させて先端をしっかりと結びます。アイの後ろに空きスペースが無いように詰めて、瞬間接着剤を塗ってからスレッドで締め込んでウィップフニッシュします。

余分なマイラーチューブを切り取ったら、フックシャンクに当たる部分へ瞬間接着剤を塗り、チューブ部分を両手で持ってシャンクへしっかりと押し付けて固定します。

ヘッドの両端に3Dアイをセットしたら、UVレジンを使って固定しながらヘッドを成形。

フェルノメル専用ピンに適切な重さのタングステンビーズを通したら、

ボディ後部に突き刺して瞬間接着剤で固定します。

最後はコピックペンで好みにカラーリングして完成です。

マテリアル

フック:ドヒーク HDS #4、HDS #2
スレッド:テックストリーム GSPパワースレッド16/0 ホワイト
アンダーボディ:イワイフォームML/L
オーバーボディ:イワイチューブML/L
テール:テックストリーム アントロンヤーン
リップ&バラスト:ストンフォ ミニルアーリップ M/L
アイ:3Dアイ
カウンターウェイト:フェルメノン専用ピンとタングステンビーズ3.3mm/3.8mm

ツール

戦績

  • ラージマウスバス、スモールマウスバス
  • ストライプドバス
  • シーバス
  • ブラウントラウト
  • レインボートラウト(チェイスする個体がいる場合)

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