幅広く楽しめるのが魅力のフライフィッシング

2023/12/19

一言に「フライフィッシング」と言っても、フィールドや対象魚、使うタックルやシステムによって内容が幅広く異なることが多く、「虫パターン」を中心に「水生昆虫を捕食するトラウトを狙い、シングルハンドタックルを使ったドライフライをドリフトさせて釣るリバーフィッシング」もフライフィッシングであれば、マイクロルアーやフェザー的な「コノシロを捕食するシーバスを狙い、スイッチハンドタックルを使ったビッグストリーマーをストリッピングして釣るボートフィッシング」もフライフィッシングです。

TFFCCのメンバーの直近のフライフィッシングを例に並べてみると:

グチが「カタクチイワシを待ち伏せするシーバス」を「ガイドボートでアプローチ」しながら「シングルハンド8番フローティングタックル」へセットした「イワイミノー」を「停泊しているタンカーの側面」へ「ピッタリ平行にオーバーヘッドキャスト」して「リアクションバイトを誘うように長く丁寧にストリッピング」する、東京湾のボートフィッシング

フライフィッシング シーバス 横浜 東京湾

デイヴィッドが「ベイトフィッシュを狙うGT」を「岸からウェーディング」しながら「シングルハンド10番ストリーマータックル」にセットした「クラフトファーストリーマー」を「リーフエッジへ直角にオーバーヘッドキャスト」して「気づかせるように全力ストリッピング」する、モルジブのリーフにおけるバンクフィッシング(岸釣り)

エドが「エリアのレインボートラウト」を「オカッパリ」しながら「シングルハンド6番ニンフィングタックル」にセットした「ビーズヘッドニンフ」を「フリップキャスト」して「フォール」させて釣る、エリアフィッシング

切り株の上に乗るのは真似しないでください

トシキが「渓流のブルックトラウト」を「ウェーディング」しながら「シングルハンド3番ドライフライタックル」にセットした「オドリバエ」を「オーバーヘッドキャスト」して「水面をナチュラルドリフト」させて釣る、湯川のリバーフィッシング

これらは3つともフライフィッシングかつ同じようにシングルハンドタックルを使っているのに、対象魚も全く違うゲーム内容となっています。みんなが個性的に異なるスタイルのフライフィッシングを楽しむメンバーが集まるTFFCCでは、「ドライフライをやらないんなんて・・・」なんていう均一化は御法度!とはいえお互いが自由気ままに楽しむフライフィッシングの世界を語り合う際の「コミュニケーション座標」を合わせるために、「対象魚とシチュエーション」「アプローチ」「タックル&システム」「フライ」「キャスト」「プレゼンテーション」の6つの軸を使って紹介するように心がけています。

6つの軸合わせの重要性

6つの軸なんて意識しなくてもテキトーに共感できればいいだろう?と思われるかもしれませんが、ここがずれてしまうと相互理解など一切進まなくなってしまうものです。よくあるのは「俺は絶対にエリアフィッシングなんかやらない」というメンバーと「エリアフィッシングも野池も大好き」というメンバーが分かりあうことは不可能に思えますが、「ラージマウスバスをプレゼンテーションを駆使して釣りあげる」という共通点で話の軸を揃えることでタックル&システムやフライに関するコミュニケーションが取れます。同じく「トラウトしか興味ない」というメンバーも「トラウトに興味ない」というメンバーも「フィッシュイーターのストリーマーゲーム」という共通軸でつながることで「じゃあ一緒にシーバス行ってみよう」となるわけです。

フライフィッシングの発展と多様性とコミュニケーション

フライフィッシングが発展した背景にはアメリカやイギリス、南アフリカやオセアニアといった国々のアングラーたちの存在が大きいですが、彼らに共通しているのは「英語コミュニケーション」と「多様性に対する相互理解」さらには「自由取引」の感覚。常に新しいことへ興味を持ちつつ、幅広い分野から情報を集めるためにはお互いの違いにこだわるのではなく、お互いの個性に興味を持って理解を深めることが、フライフィッシング文化の発展に大いに役立ってきたと言うことです。

ルアーと比較しても幅広い国内フライフィッシングの世界

日本国内のフライフィッシングに話を戻しますが、「フィッシング」の中身を考えると、ルアーの使い方からボート操船まで組み合わせがあるバスフィッシングの構成の複雑さと比較すれば、フライフィッシングはもっとシンプルです。日本では「対象魚別の専門性」と言う伝統が非常に強いのですが、フライフィッシングにおいては人口が少ない割には、決してルアーに負けないほど広範囲なゲームがカバーされています。

◎・・・確立されたメソッドやパターンが充実している
○・・・確立されたメソッドやパターンがある
△・・・確立されたメソッドやパターンができる過程にある
×・・・確立されたメソッドやパターンがない

ゲーム種別ルアーフライ
トラウトフィッシング
バスフィッシング
カープフィッシング
オイカワなどハヤゲーム×
怪魚ゲーム:管理釣り場(コロソマやストライパーなど)
怪魚ゲーム:リアルフィールド(アカメなど)
チヌゲーム
アジング・メバルゲーム
シーバス
ハゼゲーム
シイラ
マグロ・カツオ
GT
マングローブフィッシング
リーフフィッシング
フラットフィッシング×

あらゆるものが充実していることが「当然」となっているトラウトフィッシングは言うまでもなく、100%野生魚相手のシーバスフィッシングの発展の凄さを支えているのは「プロガイド」と「大会」の存在。真剣に釣ることを考え、楽しみを開拓して、それをビジネスやイベントに繋げていくことで大きく発展できるといえます。

クロダイの仲間を相手にする「チヌゲー」がフライフィッシングでも確立されてきているのも、プロガイドの存在抜きには語れません。

DIYと実践のサイクル:フライを巻きながら、もっと広く、さらに深くなっていくフィッシング

フライフィッシングが特別なのは、ただ「フィッシング」なのではなく「フライ」、すなわち餌やルアーに相当するものをDIYする文化が発展してること。例えば同じ「ゾンカー」を使えば、トラウトもバスもトレバリーも釣ることができますが、それぞれの対象魚のシチュエーションに特化したフライパターンを作れば、もっと釣果が上がったり、独自の面白さが増えていきます。餌的・ワーム的な「食わせ」要素を表現したりハードルアー的な「誘い」要素をタイングすることで、魚に対するプレゼンテーションが広がり、より効果的になっていきます。

それらを100%使いこなすのはもちろん、アレンジを加えて新しいことに挑戦したり、もっと効果的なプレゼンテーションを追求する中で、フライタックルやシステムも改良されていきます。一つのことを上手にこなして極めることも非常に大事ですが、没個性だけしては楽しみを逃しますので本末転倒!釣りに行く時間が無くても、仲間と一緒にフライを巻くだけでも新しい発見もたくさん見つかります。

まとめと続き

たまに日本のフライフィッシングで驚かされるのは恵まれた環境であるにも関わらず、「虫パターン」が目立ち過ぎていて、ルアー的なアトラクターが知られていない状態だったり、初めてフライフィッシングをやってみようと思う初心者の方がフライショップへ入ると、見慣れない「ナチュラルマテリアル」が放つ怪しい臭いに圧倒されたり、コミュニティへ接近すると難しい話をたくさんされたり・・・。魅力的なスポーツフィッシングとしてのエントリーポイントで引き返す人たちが多く、初めて自分専用タックルを買った初級者の方も大半が脱落してしまうか、休眠状態に入ってしまいます。

ご覧の通りフライフィッシングもスポーツ文化の一つなので、やればやっただけ、コミュニケーションが繋がれば繋がっただけ発展していく可能性を秘めています。やりたいことを絞り込んで深く極めていくのも面白いですが、フライフィッシングをやったこと無い人が新たに入ってきたり、まだ初級者のフライフィッシャーが情熱を失わないようにするために大事なのは、果てしない遊び心と楽しみを分かち合う仲間たちとのコミュニケーション。
そんな楽しさを求める貴方のためにTFFCCは活動しています。

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なんかフライフィッシングがつまんなくなっちゃった貴方、一緒に基本に帰りましょう。

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