「野巻き旅巻き」のススメ: コッタレッリ・トラベルバイスの活用

2024/04/17コッタレッリ,タイングツール,タイングバイス,フライタイング

アメリカ時代は休みが取れたら、慌てて格安レンタカーを使ってパッとフライフィッシングへ行ったり、飛行機に乗って知人・友人宅にお世話になりながら、現地ではお借りした車やレンタカーで水辺へ移動、という行動が多かったこともあり、助手席に小さいバイスを乗せて置いて、ツールやマテリアルは小さな工具箱に入れていました。いわゆる「移動式タイングベンチ」でなんとか使うフライを足していました。

帰国してからも同様に、いえそれ以上に日本のトラウトはマッチザハッチがシビアだったこともあり、人からフライパターンを教えてもらう時にも一緒に巻いた方が覚えやすくて便利だし、本流や湖の辛い局面をやり切る時やソルトフライを始めてからは現場で試すフィードバックが無いと釣れるパターンが完成しないので、持ち運べる小さいバイス「ダイナキング バラクーダJrトレッカー」を使っていました。ただ、小型といってもペデスタル式は文鎮のようにしっかりと置ける反面重たい上に形状が意外に嵩張るので、車での旅や宿泊先に持って行ってから置き場所を決めて巻くようなスタイルでした。

コッタレッリのトラベルバイスで一気に進化

そこから進化したきっかけが、TFFCCメンバーでイタリア人のプロタイヤー、エンリコさんから紹介してもらった、イタリア「コッタレッリ」のタイングバイス。カメラの三脚のようにトライポッドでバイスヘッドの重量を支えるように設計されていて、剛性もしっかりとしている上にイタリアンデザインの気品と実用性を兼ねたスグレモノです。

3点で支えるので本当に川辺の岩の上でフライが楽に巻けてしまう!

製作者の職人フランコ・コッタレッリさん自らが「川辺の岩の上でフライが巻けるようなバイスが欲しい」ということで作り上げたバイスだけあって、あちらこちらで隙間時間にタイングする私のような人間にはうってつけ!しかもダイナキングやレンゼッティの超高級モデルよりもリーズナブル。

そこから「お盆の上のタイングベンチ=お盆ベンチ」やら、試行錯誤を重ねた末にピッタリのトラベルタイングポーチと透明ケースを使ったフック収納方法が確立したので、「野巻き旅巻き」と称して、手軽にどこでもタイングベンチが実現できました。ちょうど夏の渓流・源流シーズンに合わせて中身を入れ替えたタイミングで巣ので、「夏のリバーフィッシング」仕様を紹介させていただければと思います。

ポーチ外ポケット:コンパクトなタイングバイスを収納

私の場合は空いている時間、自宅のサイドテーブル、車内のテーブル、倉庫の待合室、宿の部屋・・・挙句の果てには湖畔や川辺、管理釣り場のベンチやレストランのテーブルでも足りないフライを巻くことが多いので、コンパクトに畳める、コッタレッリの「トラベルバイス」を入れてあります。着脱式ヘッドとなっているので、ミッジヘッドで小さいドライフライを巻いている途中でフックを挟んだまま中断して、ウェット&ストリーマーヘッドに交換して大きめのニンフやウェットを巻き始めたり、なんて柔軟なこともできます。

両側のツールパネル

このトラベルポーチは表裏の両側にツール収納用のパネルがついています。

ツールパネル1:細軸のツール類

表側のパネルはシザースやツールの軸の細さに合わせて作られているので、ここへメインで使うツール類を収納してあります。

ツールパネル2:太軸のツールやスプールマテリアルなど

裏側のパネルはスプール直径に合わせて作られているので、ここへ着脱式バイスヘッドやダビングワックス、スプール式マテリアル(シェニールやアントロンヤーン、ウール、フラットワイヤーやフロスなど)や接着剤、二次的に使うボビンホルダーをしまってあります。

クリアポケット:リバーフィッシング編

今回はリバーフィッシングでドライフライやニンフを使うことがメインなので、それに合わせてセッティングしています。

クリアポケット1:空っぽ

え、スペースが勿体無い?いえいえ、ここにはショップや友人から分けてもらえるマテリアルやフィールドで拾うこともある「ご当地マテリアル」を少しだけ持っていくために空けてます。巻いている途中のヘッドをフックごと外して放り込んでいることも・・・。

クリアポケット2:テール材

一番最初にフックに巻き止めることが多い、フェザントテールやグースバイオット、コックデレオンなどはここに入れておきます。

クリアポケット3:ダビング材

ダビングディスペンサー(10種類収納できます)に入れてある、カポックやヘアズイアー、スクイレルといった使う頻度の高いダビングはここ。

クリアポケット4:ハックルたち

とても貴重なコックハックルたち。サドルやネックのよく使う色のものは抜いた状態でここへ入れてあります。
スカスカにしておくと、「足りないから足してあげるよ!」という親切な友人のケープからいただけることも・・・。

クリアポケット5:フェザー(羽毛)

見栄を張ってプレミアムセレクトのCDCなんて入れてありますが、通常はバルク1gの風で飛んでも惜しくない(飛んでいく羽毛は自然に還る運命)CDCを入れています。

クリアポケット6:ファー(獣毛)

ディアヘッドやウイング、ボディハックルにも化けるディアヘアはここ。今回はドライフライ用なのでコンパラダン・サイズ。

クリアポケット7:レッグやボディストレッチなどラバー系

テレストリアルのレッグやカディスニンフのボディで使うラバー系マテリアルはこちら。

クリアポケット8:フォームやシンセティック

不沈系で使うフォームや手軽にボディが作れる「もっふぃー」はここ。テレストリアルやカディス用のカラーにしています。

クリアポケット9:フライフック

フックのデモをやった直後だったのでラウンドケースに入ったフックを入れてありますが、これは嵩張るので通常はフライフックのパック袋のまま入れています。また装備に余裕があるときは別途フックケース(MEIHOラウンドケース24)を持って行きます。

クリアポケット10:フェザー&ヘアツール類

そして最後のポケット。私の場合はCDCやディアヘアをハックルとして使うことが多いので、フェザーやヘアからファイバーを切り出すためのツールを入れてあります。ツールパネルだと落っことす心配があるものはここが安心。

フックケース:ドライフライ&イマージャーフック

小さなラウンドケースSSが24個ぴったり入っている「MEIHO ラウンドケースS」はフック収納に最適!ポーチに入れられない量を持っていく場合は、フックケースのまま持っていきます。元々はチューブフライやルアーフックをこれで入れてランガンボックスに突っ込んであったのをそのまま流用しています。

ドライフライフック「HDD301」や「HDG645」や、ミッジフック「C12-BM」などなど

暗い時間や車内巻きで便利なアクセサリー

トラベルバイスに使えて便利なのが、小型のLEDライトやUVライトをホールドできるこのツール。

それ以外の「野巻き旅巻き」

今回は夏のタイミングでツールやマテリアルをセットしてある「野巻き旅巻き」バッグですが、エドの場合はランチタイムに足りないパターンを巻き足したり・・・。

木の枝ロスト連発で慌てて巻き足すエド

トシキの場合はハッチ量の多い「オドリバエ」を巻いて、湯川デビュー戦にも関わらずチャレンジ要件をクリアーしたり・・・。

「オドリバエ改」を巻くトシキ

5月は中禅寺湖へ通っていた最中で湖畔のタイングベンチになっていました。

ケンケンがボトムストリーマー用のキールマドラーを補充タイング中

外でタイングする時のコツとしては、風が吹いても使用中のマテリアルが飛ばされないように、使うマテリアルを別々のハックルプライヤーで挟んでおいたり、ツールで重しをしておくと安心です。すぐに使えて便利でもあります。

車内であればその心配は全くなし!コンパクトにまとめておくことで失くしたりもしません。

道の駅で急いで管釣りフライを用意

遠征先の部屋のちゃぶ台やダイニングの端っこでは、プロトタイプのフライが餌フライとなったり・・・。

西表島の宿で巻き足す「エビフライ」工場

まとめと続き

「野巻き旅巻き」いかがだったでしょうか。「フライ」と「フィッシング」でできているフライフィッシングなので、フライタイングするきっかけと時間を増やすことで、よく使う毛鉤を改良したり、現場生まれの「理想の一本の毛鉤」が生まれるきっかけにもなります。せっかく覚えるフライタイング、即興性もあれば創造性も発揮できて、友達とのパターン比べもできる「野巻き旅巻き」はいかがでしょうか?

また別のセッティングの時に中身をご紹介します。

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