2021年 ゲームフィッシュ人気ランキング BEST 16

2022/02/13fish in japan,Fly fishing,GT,top 10 most wanted fish,クロダイ,ゲームフィッシュ,コイ,トラウト,バス,フライフィッシング,ランキング,人気の魚,対象魚,日本

いよいよ今年も残りわずか、恒例のランキング発表の時期がやってまいりました!

本ランキングでは日本からジンバブエまで世界146ヵ国(2021年度)からアクセスのあった本サイトをGoogle アナリティクスのアクセス集計データに基づいて、どの魚の情報が一番長く多くの人たちから閲覧されていたかを「興味指数」としてランク付けに使っています。

今年も引き続き新型コロナウイルスによるステイホームの影響が大きいためか、日本からのアクセスが過去最高の伸びを更新(昨対比+68%!)、アメリカとイギリスも2桁成長の中でカナダが+44%と大きく伸びました。

アジア大洋州勢力では、日本とのビジネスが戻っているシンガポールなどは昨対を戻しましたが、オーストラリアからは引き続き減少していますので関心が薄れているようです・・・。「新しい日常」はフライフィッシャーの行動にも大きな変化を与え、ランクにも想定外の影響が起こっていますので今年も必見です!

あなたの愛する魚は大丈夫?それではランキングを見てみましょう!
(それぞれの魚について名前をクリックすると詳細情報を見れます)

BEST 16 - 安定と大物の回帰!

BEST 8 未満はスコアが近いため勝敗が大きく入れ替わるのですが、今年はフィッシュたちは安定しつつも、大物フィッシュがカムバックする好況となりました。

#16. シイラ / Dolphinfish (14->16)

真夏のオフショアの代表的スポーツフィッシュ、シイラは昨年ついにTOP16へランクインして踏みとどまりました。TFFCCマーティンのお気に入りフィッシュ。その宇宙的な外観から魚界のC-3POとも呼ばれています。

黄金とコバルトブルーに輝く美麗なシイラたち。最近では北海道の知床沖まで回遊するようになった、文字通り縦横無尽に日本列島を泳ぎ渡るブルーランナーです。フライフィッシングでは沖縄から東京近郊では相模湾で楽しまれています。ストリーマーを追いかけて深いブルーの海中に煌く黄金のイナズマ。ヒットしたらひたすら走る強烈なファイトをぜひ体験してください。

#15: スモールマウスバス/Smallmouth Bass (9->15)

アメリカからやってきたブラックバスの「口が小さい」弟分、スモールマウスバス。一昨年はベスト4入りの大健闘となるも去年はベスト8落ち。しかし、なんとかベスト16に踏みとどまりました。

誰が移入してどこへ広めたのかは、決して聞いてはいけない暗黙のルールに守られ、今や「川バス」や「虎バス」と呼ばれる身近なスモーリーくん。シーバスが遡上しなくなった川の生態系のニッチを担当しています。低番手ツーハンドでも楽しめるゲームフィッシュです。

#14: ヒラスズキ /Blackfin Seabass (27->14)

ランク圏外へ消えてしまうのかと思いきや、荒磯から再びカムバックしたヒーロー、ヒラスズキ 。今や東京湾まで回遊してくるようになり生息地を大きく広げています。そのボヘミアンな行動に親近感を持つTFFCCエドが大好きなフィッシュ。

瞬時にフライを見破る眼力、スピード、引きの強さ、どれをとっても最高のターゲットです。シーバスが東の横綱ならばヒラスズキは西の横綱!

#13. ブリ / Japanese Amberjack (11->13)

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日本の沿岸を代表するブルーランナー、ブリもTOP16を維持!最近は美味しいものだらけの北海道が気に入ってしまって住み着いてしまっていて、生態系めちゃくちゃの代表みたいに言われています。

幅広い餌を求めて湾内深くまで回遊してくる活動域の広さ、ヒットした後の力強いファイト、意外に小さいものでないと反応しない神経質なところなどフライフィッシャーの好敵手です。フライを着水させると同時にストリッピングを開始しないと見切られることが多いですが、沈んだものが水面へ浮いてくるアクションに非常に良く反応するのでジグアクションをするフライで狙ってください。

#12: ロウニンアジ (GT) (8->12) - Giant Trevally

フライフィッシング GT ロウニンアジ

「小さくてもジャイアント・トレバリー」ことロウニンアジは惜しくもベスト8落ち!TFFCCではデイヴィッドにこよなく愛されているビッグゲームです。

きちんと狙うと神経質なところを見せるくせに、4番ロッドでギンガメアジ、6番ロッドでカスミアジを相手にしていて油断していると、突然現れてフライをひったくってティペットを引きちぎり、アングラーを絶望の淵へ叩き落す荒武者。それがロウニンアジです。我が物顔で泳ぎ獰猛な動作を見せるかと思えば、小魚の群れに見つからないように浅いリーフや岸際ではなんと平たい体を横に寝せて接近する頭脳プレイを見せたり、図体だけではない好ターゲットです。引きの強い肉食魚ばかりフライで狙う「ストリーマーフィッシング」愛好家の中ではトップに君臨する皇帝です。

#11: メバル/Rock Fish (26->11)

ついにベスト16にメバルがランクイン!日本の海の小物界を代表するゲームフィッシュです。

川魚相手のニンフ・フィッシングに慣れた方にも釣りやすい、自分の泳層よりも上の甲殻類を強く意識しているターゲットです。引っ張りでもルースニングでも狙えますので、未経験の方はぜひトライしてみてください。

#10: オイカワ/Pale Chub (31->10)

File:Zacco platypus Marinepia.jpg - Wikimedia Commons

並み居る強豪を押しのけて、なんとオイカワが一気にランキング浮上!今年話題が暑かったフィッシュの一つですが、ついにイワナと僅差に迫る勢いに!

都市河川でフライフィッシングを楽しみたいなら、絶対に無視することはできないコイ科のエース。オスの婚姻色は日本人、いや東アジアの美観の琴線に触れるカラーリングで目を楽しませてくれます。ミッジドライの釣りだけでなく、マイクロサイズのウェットフライへも果敢にアタックしてくる性格で、今や人気が固定されてきました。

#9: イワナ・アメマス (その他亜種含む)/ White-spotted Char (7->9)

フライフィッシング 尺イワナ 源流

ランキング上位の常連だったイワナはたくましく残留!

どんな浅い場所でも生き抜くたくましさと岩の下に隠れていて突然現れる意外性はまさに忍者。あぁ食べたい・・・でも釣られたくない・・・そんなためらいを感じさせながら大きいフライにガバッと出てしまう性格と季節や地域によって見せる多様な体色で釣り人を飽きさせないイワナ属の親分です

BEST 8 - 地殻変動の時来たり!

#8: ニジマス/Rainbow Trout (29->8)

今年のみんなの熱い想いを響かせて、ついにニジマスがベスト8入り!!1887年にアメリカから輸入されてから現在に至るまで、人気外来魚として不動の人気のキング・オブ・トラウトです。TFFCCグチとイマニーがこよなく愛するフィッシュ。

北米で垂涎の的であるスティールヘッドを筆頭に、北海道のワイルドレインボー、そして品種改良されたハコスチ(箱島種xスティールヘッド種)など、それぞれが亜種と呼んでも良いほどバラエティに飛んだゲームフィッシュ。国内養殖トップの静岡県では、湧水河川でアングラーたちを唸らせる好敵手となっています。

#7: ボーンフィッシュ/Bonefish (4->7)

初登場でいきなりトップ4入りを果たしたグレーゴーストことボーンフィッシュ!周囲の色彩を写し込む銀色の魚体は景色へ溶け込み、慣れた目でも探すのに苦労するという、まさにゴーストの名に相応しいゲームフィッシュです。

日本でも東京都から沖縄まで珊瑚礁に生息していますが、いまだにフラットでのフライフィッシングが成立していません。今もハワイやインドネシア、モルジブやセイシェルなど海外旅行で狙うのが通例となりますが、きっといつか条件が揃って誰かが釣り上げることでしょう。

#6:ヤマメ・サクラマス(サツキマスその他亜種含む)/Cherry Salmon (5->6)

2011年から始まったランキングで首位を8年間守り通した女王陛下がランキング山の頂上から滑落した2019年、昨年はベスト4落ち、しかし海外勢からのアクセスが根強く今年もBest 8に踏みとどまりました。どうした日本人???

本州のアングラーと北海道のアングラーで大きく評価の別れるヤマメ・サクラマス。「桜」「皐月」の名の通り、日本文化を体現する彼女たち。世界のアングラー達も認める見事なプロポーションと宝石のような体の模様。令和の時代も健在な東洋の女王陛下の復権はいつになるのか!?

#5: マルタウグイ/Far Eastern Dace (6->5)

コイ科の銀将ことマルタウグイがついにヤマメ・サクラマスよりも上位に来ました!ウグイの価値を認める時代が到来!

なぜだ?そんな声が聞こえてくるかもしれませんが、東京&神奈川という巨大フライフィッシャー人口圏では春になると産卵のために婚姻色を身にまとって遡上してくるので、春の風物詩として愛されているマルタウグイ。実際は通年汽水域で狙える魚で、上の写真の多摩川のマルタも上げ潮の時間にウェットフライのスイングで釣れています。

BEST 4 - 驚くべき結果!

今回のベスト4はフライフィッシングの既成概念の変化の成熟を感じさせる結果になりました。

#4: マゴイ/Common Carp (3->4)

安定した人気のコイ、川の王者がTOP4を更新!

もしあなたが家の近所でフライリールが悲鳴を上げて逆回転する恐怖を味わいたかったら、この魚を無視することはできないでしょう!ボーンフィッシュなどのボトムフィーダーの練習にも最適なコイ。パンなんか撒かずにコイの食性を理解してサイトフィシングで仕留めてみてください!

#3: シーバス・スズキ/Japanese Seabass (2->3)

間違いなくニッポンを代表するゲームフィッシュであるジャパニーズ・シーバスことスズキ。我らが東京湾のキングはなんと3位にランクダウン・・・。

ストライプドバスやヨーロピアンシーバスを釣ってきたアングラーたちも納得する見事な魚体。陸っぱり、ウェーディング、ボートなど狙い方も豊富でタックル選択肢も多くゲーム性の高さが認められてきた中で、いつか1位の座を手にするのは間違い無いでしょう。

#2: マアジ/Japanese Jack Mackerel (13->2)

日本の食卓には欠かせないマアジがついに一気に2位へ急浮上!数釣るゲーム性が管理釣り場のトラウトと似ていることもあり、サイズではなく形の美しさを楽しむところは渓流魚へ通ずるフィッシュです。

フライ・アジングは西日本を中心に安定した人気ですが、ナイトゲームで外灯下を狙うと言うわかりやすいゲーム展開と手持ちのトラウト用タックルで始められるだけでなく、フライフックもトラウトサイズで大丈夫。狙える時期も通年、タナやポイントを外すと食ってこない明確さでソルトフライの練習魚として最適な魚です。

そして今年の優勝は・・・?

#1: クロダイ/Blackhead Seabream (1->1)

古代から現代へ続く日本人の釣り物代表選手の一つである「クロダイ」、ついに三冠王を達成!今年も見事首位に輝きました。

西日本では盛り上がっていた「チニング」は中日本へ伝播して浜名湖界隈を熱くさせてきましたが、ついに首都・東京を含む全国区の人気フィッシュとなりました。

キャスティングのスキルやフライ選択だけでなく、読み、アプローチ、キャスト、コール、プレゼンテーション、聞きアタリ、フッキングと続く天国と地獄を分ける分岐点の多さと要求される段取りの面倒くささにあなたの神経は耐えられるか!?フライフィッシングに求められる要素を駆使するクロダイの釣りをマスターすることで、広い世界が待っています。

1次予選敗退

今回は僅差でBEST 16入りを逃した魚たちの顔ぶれも一新。

#17: ライギョ / Northern Snakehead (16->17)
#18: レイクトラウト /Lake Trout (18->18)
#19: ナンヨウチヌ / Pacific Seabream (15->19)
#20: ギンガメアジ/Big-eye Trevally (New)
#21: ウグイ/Japanese Dace(22->21)
#22: イトウ/Sakhalin Taimen (New)
#23: ブラウントラウト / Brown Trout (10->23)
#24: バショウカジキ/Sailfish (New)
#25: カンパチ/Great Amberjack(New)
#26: カサゴ/Marbled Rockfish (21->26)
#27: ゴマサバ/Blue Mackerel (23->27)
#28: シロザケ/Chum Salmon (New)
#29: シマアジ/White Trevally (19->29)
#30: ギンガメアジ/Big-eye Trevally (9->30)
#31: ブルックトラウト/Brook Trout (24->31)
#32: ヒラメ/Bastard Halibut (New)

まとめ・・・「新しい時代の幕開け」

新型コロナウイルスによる「既存社会」への揺さぶりが刺激となっているかは分かりませんが、世代交代も大きく影響しているため、クロダイやコイ、ボーンフィッシュといった「ボトムフィーダー」のポジションが確実となった今年。ドライフライでもウェットフライでもなく、ストリーマーとも違う新しいフライフィッシングが楽しめることもあって、日本でもフライフィッシングの新しい柱として成立してきたと言えるでしょう。

今年はソルトランナーとコイ科(オイカワ・ウグイ・カワムツなど)フィッシュが大躍進したことも、「流線型のかっこよさ」と並んで「日本古来の毛鉤釣り」の対象魚に対するリスペクトも高まった結果だと思います。

これらを支えているのは、志高い全国のフィッシングガイドやキャプテン、フライショップ店主といったプロの方達はもちろん、YouTuberをはじめとしたパーソナリティの方達の昔年の活動と風通し良さを求める自由な心であることはとても大事なことです。

ようやく幅広い価値観と奥深い価値観の両方が立ち上がってきた日本のフライフィッシング。まだまだ対象魚はいくらでも日本にいますので、対象魚や狙い方の豊富さで1年を通じて飽きずに釣り物や楽しむゲームがあることはフライフィッシング振興のためには欠かせない着目ポイントだと思います。そして、フライ=毛鉤を自由に作り出せるフライフィッシングには広い世界が待っています。

引き続き2020年代がフライフィッシングにとって成熟のための10年になることを願って、TFFCCはこれからもいろいろな情報を発信していきます。

グラフデータ

2011-2020年の結果

2019
https://tokyoflyfishing.com/ja/reports-ja/report-2019-ja/best-16-most-wanted-fish-in-japan-2019-ja

2018
https://tokyoflyfishing.com/ja/reports-ja/report-2019-ja/top-10-most-wanted-fish-in-japan-2018-ja/

2017
https://tokyoflyfishing.com/ja/reports-ja/report-2017-ja/top-10-most-wanted-fish-in-japan-2017-ja/

2016
http://tokyoflyfishing.com/…/top-10-most-wanted-fish-in-ja…/

2015
http://tokyoflyfishing.com/…/top-10-most-wanted-fish-in-ja…/

2014
http://tokyoflyfishing.com/…/top-10-most-wanted-fish-in-ja…/

2013
http://tokyoflyfishing.com/…/top-10-most-wanted-fish-in-ja…/

2012
http://tokyoflyfishing.com/…/top-10-most-wanted-fish-in-ja…/

2011
http://tokyoflyfishing.com/…/top-10-most-wanted-fish-in-ja…/

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