ボーンフィッシュ | ソトイワシのフライフィッシング

2023/11/06クリスマス,ソトイワシ,ソルトフライ,ハワイ,フライフィッシング,ボーンフィッシュ,小笠原,日本,沖縄

和名:ソトイワシ
英名:Pacific Bonefish または Long-jaw Bonefish
学名:Albula Fosteri または Albula Argentea

東京都小笠原諸島・父島の二見港で釣られたソトイワシ=パシフィック・ボーンフィッシュ(2014年、ゲンちゃん提供)

ソルトウォーター・フライフィッシングを嗜むアングラーが通らずにはいられない魚、ボーンフィッシュ。世界中に11種が生息しており、正確には大西洋に住む魚をボーンフィッシュと呼び、環太平洋に住む魚は別種のボーンフィッシュとなりますが、ソトイワシとも呼ばれる本種は日本に生息する3種類の中で代表的なボーンフィッシュとなります。

ボーンフィッシュの特長

日本では水揚げ量が少なく水産学的に無価値なため、あまり研究されていませんが、アメリカや南太平洋諸国、中南米諸国ではスポーツフィッシングの対象魚として非常に人気があって研究が進んでいます。ハワイで確認されていますが、満月の大潮の夜、浅瀬へ集まって交尾を行い、ウナギのように浮遊性の卵から幼生が育ち、海流で運ばれて島々へとたどり着いて繁殖を行います。

幼生時代から餌が少ない環境で生き抜いてくる魚であるため、非常に臆病な反面、大量の餌を必要とするため、栄養豊富な川が流れ込む内湾の10m以下の浅い海の砂底に生息していますが、暗い時間帯に活発に活動するシャコなどの餌を求めて夕方から明け方までの暗い時間は浅瀬や汽水域の干潟へ回遊してきます。この性質のため日中に魚が目視できる干潟でフライフィッシングで釣ろうとする場合、条件を満たした釣り場で無いと成立しません。

フライフィッシングではボーンフィッシュが捕食している甲殻類やハゼなどの底生の小魚へ似せたフライを使い、風が常に吹いているオープンなフィールドの中で警戒させないように自然にプレゼンテーションして咥えさせ、フッキングした後の猛スピードとトルクあるファイトとのやり取りを通じた総合的なスキルが求められます。様々なボトムフィーダーの魚を狙ったフライフィッシングの中でも、ゲーム性、フィールドとの一体感、パワー、スピード、どれをとっても最高な条件を備えたのがボーンフィッシュであると言えます。

本場バハマのボーンフィッシュ

筆者が初めて「生ボーンフィッシュ」を見たのは、フロリダキーズの浅瀬でしたが、アメリカ国内の本場フロリダでDIYでボーンフィッシュを狙う人たちもスキッフからクライアントを釣らせるキャプテンも口を揃えて言うのは、フロリダから800km南へ「バハマのボーンフィッシュが最高峰だ」。

バハマには手付かずの広大なフラットやリーフがいくつも広がっており、首都のナッソーを経由して他の島へ移動してロッジに連泊しながらガイドフィッシングで楽しむのが王道です。

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「クレイジーチャーリー」という有名なフライも、バハマの伝説的なボーンフィッシュクラブ「バンバンクラブ」を再生したガイド、チャーリー・スミスが奥様に怒られることを承知で、お風呂の栓についているボールチェーンを使うと「丁度いいジグフライが作れるじゃん!」と気づいて作り始めたものが世界中へ広まった起源だったりします。(現在も息子のプレスコット・スミスがガイドをしています)

アメリカ人にとってのボーンフィッシュ

「古き良きフロリダ」を始めとしたカリブ海の楽園での釣りというイメージになっているアメリカ人にとってのボーンフィッシュ。フライフィッシング愛好家の著名人たちにも人気の魚です。

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ハワイのボーンフィッシュ

日本から最も手軽にボーンフィッシュを狙えるのは、ハワイのオアフ島だと思います。旅のしやすさ、ガイドやフライショップの存在、生息密度どれをとってもA級のフィールドですが、ボーンフィッシュの餌場近くでの人間の活動が多いことや、人気ポイントへはアングラーも集中するため、ナーバスなボーンフィッシュを狙うセンシティブな釣りとなります。

鹿内キャプテンが釣ったボーンフィッシュ(オアフ島、2009年)

反面、釣れるボーンフィッシュのサイズが他では4lbが平均なのに対して、オアフ島では6lb。10lbサイズの大型魚も決して珍しく無いので、世界中から「修行」しにフライフィッシャーたちがやってきます。

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他のハワイの島々にも生息していますがフライフィッシングで狙える条件を満たす場所は限られていて、マウイ島やハワイ島の一部となりますが、オアフ島ほどの良いフィールドではありません。

島唯一のフライショップ「Nervous Water」の店長のショーンの所には、ガイドとDIYアングラーのどちらも毎日集まり情報を落としていきますが、サーフィンやダイビングの世界と似ていますが、とっても狭い島社会のリスペクトすべき「ローカル掟」がありますのでご留意ください。

  • 立ち寄った時はショップで何か買っていくこと
  • 穴場の釣り場を公開しないこと(大場所はネットで検索すればすぐ分かりますが、間違えて私有地進入したり、軍用地へ侵入したり、駐車禁止で住民や警察とトラブルが起こるので・・・)

日本のボーンフィッシュ

国内でフライフィッシングで釣られる第一号が発生!状況が変わったことを受けて、こちらの記事へまとめ直しました。
ハワイの友人からの新しい情報なども追加してありますので、ボーンフィッシュ・フリーク必読です!

プレゼンテーション

基本的にはコイやクロダイと同じボトムフィーダーの釣りとなりますが、ドラグをかけない状態でフライを置いておかないと咥えないこと、風が強いオープンスペースであること(キャストしづらく、竿先で聴きあたりが取りづらい)、目が慣れるまでは非常に見つけづらい魚であること、さらに動いている魚の進行方向へフライを丁寧に入れていく必要があることから、この段取りに慣れておく必要があります。

浅瀬へクルージングしてくる魚を見つけたらば、どの個体が底を意識しているかの目処を素早くつけて目標としてコールします(ガイドがいる場合はここまでやってくれます)。速やかにフライを魚の進行方向へ静かにワイドループでキャストして入れていきますが、「適当なキャスト、ドボン、放置」ではなく「十分な飛距離と丁寧なターンオーバー&置きにいく」要領です。フライが着底したらドラグがかからない程度にフライラインのスラックをとって待機。

フライがある位置に魚がテイリングの動きをしたり、それと思われるNervous Water = 「もじり」が見えたらば、焦る気持ちを殺してそっとラインへテンションをかけて咥えているか確認します。フライをひったくるような激しいアタリの場合はすぐに魚が走りますので向こうアワセでファイト準備。微妙な場合はチャンスを活かすために魚を驚かさないようにゆっくりとフライで底を引っ掻いてストップ。抵抗や重みを感じたらば引き出しを開けるような感覚でロッドを平行に30cmほど引き絞ってフックセットします。

フックセットが成功すれば、走るボーンフィッシュとのファイトとなります。リールファイトとなるので、フライラインを障害物に巻かれたりしないように注意して魚を制してください。

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フライタックルとシステム

膝下の水深の場所ではクロダイと同じシングルハンド7/8番タックルにフローティングラインがオススメです。深場で使うものと違って軽く小さめのフライをロングリーダーで使うので、風の中でも直進性が強く長いリーダーシステムごとフライをワイドループで丁寧に落とせる必要がありますが、フライラインの存在が警戒心を顕著に上げてしまう環境なので、パワフルなテーパーのフルラインで、DIYクロダイの経験がある人は透明なものがオススメです。

全くボーンフィッシュをやったことが無い方で南国へガイド釣行で行かれる場合は、フライラインの位置がガイドとのコミュニケーション上とても重要なので、透明ものはおすすめしません。Monicのファントムティップは先端15フィートは透明で残りは鮮やかなグリーンでガイドからも好評。浅瀬のボーンフィッシュに使いやすいボーンフィッシュテーパー。これは着水とピックアップが静かで、近距離もロングキャストも投げ分けやすいようにテーパー設計されています。

RIOから出ているフライラインはハワイのショーンのオススメです。また風が強い環境では1番手上にオーバーラインしたり、9番タックルがおすすめです。

ウェーディングできない場所で狙う場合は風が強いオープンスペースなので、シングルハンド8番以上。特殊な場所で大物狙いをする場合はシングルハンド10番でも強すぎないと思います。かなり重たいジグフライまで使うことがあるので、テーパーの強いフライラインがオススメです。水深がある場所ではインターミディエイト・ラインを使うのも選択肢としてありですが、サンゴ礁やマングローブがからむポイントの場合は根がかり必須なのでシンキングラインはやめた方が賢明です。

タックルのセットアップやプレゼンテーションの段取りはクロダイと非常に似ているので、こちらを参考にしてください。

フライ

手軽に巻けてよく釣れるフライはいくつかありますが、激戦区ではシーズンごとに変わるので必ず現地ガイドに確認した方がいいです。水深がある場所では大胆になるので目立つ色、膝下の浅瀬ではナチュラルカラーが基本となります。

ボーンフィッシュの仲間たち

ソトイワシ科の魚は世界に11種が確認されていますが、外見は非常に似ていて口の形状や鱗の大きさ以外で見分けるのは非常に難しく日本に生息するのはハワイと同じ3種となります。

  • ソトイワシ | Pacific Bonefish | Albula fosteri-argentea
  • マルクチソトイワシ | Round-Jaw Bonefish | Albula glossodonta
  • スモール・スケール・ボーンフィッシュ | Small-scale Bonefish | Albula oligolepis

太平洋・インド洋にはさらに下記の4種類が生息しています。

  • コリアン・ボーンフィッシュ | Korean Bonefish | Albula koreana ・・・朝鮮半島南部と台湾、東南アジアに生息
  • パシフィック・シャフテッド・ボーンフィッシュ | Pacific Shafted Bonefish | Albula pacifica
  • コルテス・ボーンフィッシュ | Cortez Bonefish | Albula gilberti・・・メキシコ・コルテス海特有種
  • イースタン・パシフィック・ボーンフィッシュ | Eastern Pacific Bonefish | Albula esuncula・・・メキシコ南部

大西洋側にはボーンフィッシュの代表であるvulpesを含む4種類となります。

  • ボーンフィッシュ | Bonefish | Albula vulpes
  • スレッドフィン・ボーンフィッシュ | Threadfin Bonefish | Albula nemoptera
  • チャネル・ボーンフィッシュ | Channel Bonefish
  • ラグーン・ボーンフィッシュ| Lagoon Bonefish

参考資料

  • ソトイワシ科魚類マルクチソトイワシ (新称) Albula glossodontaの日本からの記録(2004)、日高浩一、岸本浩和、岩槻幸雄
  • Fishbase

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