グランピングって何?

2020/11/25キャンピングカー,キャンプ,グランピング,テント

遡ること2013年に我が家では「グランピング元年」と決定しました。その目的は、野性味溢れる土臭いキャンプのイメージを改め、「家にいるような快適さ」、「外へ出なくても充分に楽しい」、「キャンプ慣れしていないメンバーをおもてなし」の3つを達成することです。・・・といきなり書き出していく前に、「グランピングって何?」という疑問にまずは答える必要があロッジ 思いますので少し書いてみました。

そもそも私が「グランピング」という言葉を初めて聞いたのは、2012年の春、イギリスへ出張していた時に南アフリカ出身のフィリップと一緒にフライフィッシングをしていた時です。

グランピングの原点・・・サファリキャンプ

フィリップの家族はイギリスへ移住*する前は農場を所有しており、毎シーズン休みにはキャンプを楽しんでいたそうで、その装備は「サファリテント」とよばれるロッジテントを中心に、キッチン用品やらテーブルセットなどをランドローバーに山のように積み込んで、アフリカの雄大な自然の中へ出かける、というもの。また道具へのこだわりも大きく、テントの素材はコットン至上主義、食事に使うツーバナーはマルチ燃料、バッテリーランタンは一つだけ、残りはすべて石油系ランタンで複数持ち込んで明るさを確保、朝には冷え込みが厳しい時のために小型の薪ストーブも積んであるという念の入れよう。食材などは現地の村から調達してくるそうで、夜には野生動物が間近で観察できるとあれば、確かにサファリです。

このスタイルのキャンプでは、季節中はベースキャンプを同じ場所に設営したままになるだけでなく、滞在するキャンパー側も1週間くらい滞在することも多いそうで、フィリップの友人などは、失業期間をエンジョイするために、2ヶ月間同じ場所に設営して、ノートパソコンやスーツを持ち込んで、フリーランスの仕事をテントの中で行っていたとか・・・。ひとつ間違えると微妙な気がしないでもないですが、いやはやキャンプ先進国はすごいと思いました。

グランピングの正反対・・・マウンテンキャンプ

反面、私が日本やアメリカの暮らしで昔から知るキャンピングは、小型軽量テントもしくはタープかビビィサックなど、最低限の装備をバックパックやダッフルに詰めて、コンパクトに移動しながらキャンプしていく、「マウンテンスタイル」と呼ばれるもので、山行の時も、森林旅行した時も、フライフィッシングで田舎や離島をツーリングした時も基本これでやってきました。装備や行動にムダが許さない中、よく言えば狩人、下手をすると兵隊です。

ファミリーキャンプにおけるジレンマ

こんなスタイルが基本だったので、家族やキャンプ慣れしてない友人とのオートキャンプを始めてからは、自分自身を棚に上げて、「何も出来ない都会人」の彼らにイライラすることが多く、キャンプへ行くたびにストレス満タンになりヘトヘトになっている自分にうんざり増しました。これじゃいかん!と思い、どうやったら自分も素人も楽しいキャンプになるのだろう、と悩んでいたところに、フィリップのサファリの話に非常にインスピレーションを受けて、「これってオートキャンプでもできるものかな?」とフィリップに聞いたところ、「我が家じゃ毎夏やってきているんだ、日本なんて国土がイギリスより広いんだからできて当たり前だろう」と背中を押され、イギリスやアメリカのウェブサイトを片っ端から検索していたら、突き当たったのが「グランピング/glamping」という言葉でした。

グランピングとは

グラム/Glam (glamourousの略、豪華な) + キャンピング/Camping =グランピング/ Glamping。Luxury Camping とも呼ばれ、そのまま訳すと「豪華なキャンプ」という意味になりますが、それなりに定義があるようです。

定義1:テントには、中で立って歩いても窮屈さを感じないスペースがあること

  • サファリテント、ロッジテント、ユルト(モンゴル遊牧民のテント)、ティピ(アメリカ原住民のテント)
  • キャンピングカー、ツリーハウス、バンガロー、コテージ

窮屈さを感じたくないのならば、究極はホテルに泊まればいいわけですが、敢えてそれをテントやそれに準じた空間で行うことで、景色や野生を身近に感じられる利点があります。

定義2:家やホテルにいるような快適さがあること

  • リビングでは、日光やランタンなどで充分な明るさを確保
  • 床にはカーペットを敷き、家からお気にいりのクッションを持ってくる
  • ダイニングにはテーブルとイスを人数分配置し、テーブルクロスを被せ、キャンドルスタンドやランチョンマット、カトラリーセットを用意
  • キッチンには食材やお酒、スナックやデザートも完備、ケータリングを頼んでもいい
  • 出入り口にはドアマット
  • エアーベッドやスリーピングパッドにはシーツをかけたり、枕をもってきて快適さを高める
  • 充分な着替えを持っていき、施設もしくは自設のシャワーやお風呂があること

これもホテルに行けば、と思ってはいけません。自分たちでやったり、自然の中だからいいのです。しかし、ここまで徹底すると、1週間以上滞在するのも分かる気がします。

定義3:各自が没頭できるアクティビティーや文化的な空間があること

  • 雨の日に楽しめるカードゲームや読書の用意
  • バードウォッチのための双眼鏡や天体望遠鏡やら
  • ミニゴルフやフリスビー、釣り道具

凄腕の人は、モバイルプロジェクターを持ち込んで映画鑑賞まですることも・・・。フィリップの友人のように、パソコンを持ち込んで仕事するのはいかがかと思いますが、「みんなで一緒の世界」も用意されつつ、「ひとりの世界」もちゃんと尊重するということで、このへんはやはり欧米的だと思います。

手軽にやるならグランピング宿泊

初めて体験するならば、プロが提供するグランピング・サービスを利用するのが最も手軽です。ホテルに付属するコテージ感覚で泊まれるので、キャンプ好きじゃない家族や仲間ともお出かけできるのが最大の利点。キャンプ慣れした人間にも視点を大きく変える刺激的な体験となります。自然環境は比べるまでもありませんが、アフリカのサファリキャンプと同等の宿泊体験ができます。

自分でやるならロッジテント

ベースキャンプがあってこその自分のニーズや世界観に合わせたグランピングをするならば、ベッドルームとリビングルーム、キッチンが分かれている大型のロッジテントが必要になります。どれだけの家具を持ち込むのか、個人の嗜好やサービス精神が発揮されます。

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移動もしたければキャンピングカー

キャンプ場で過ごすだけでなく、旅行も楽しみたいならば、設営の手間が最小限であるキャンピングカーを活用するのが最適です。

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まとめ

これを最高級で揃えていたら、いくら財産や運搬手段があっても足りなくなりますので、こだわりはほどほどに、始めてみることが大事です。パンデミックが暗い影を落とす今、リモートワークをグランピング環境でやる「ワーケーション」なんていうのも気分転換に良いのではないでしょうか?

我が家のチビたちにいわせると、ステーションワゴンの荷台をお座敷にして家から持ってきた布団やクッションを敷いて寝るだけで「充分に楽しいキャンプ」なのだそうです。自分たちのおもちゃを満載にしたミニ・トランクを持ち込んで、それをテーブル代わりに使っておやつを食べたりして、どこへ行っても子供部屋をそのまま持ち込んでいました。楽しいことが一番大事!それぞれのキャンプを楽しみましょう。

関連リンク

*アパルトヘイト終了後の南アの政治体制変化の中で、農場主のほとんどは政府に土地を接収されて祖国へ亡命していった。

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