シングルハンド8番タックルにオススメのフライリール – Nautilus X

2024/02/266番タックル,8番タックル,Nautilus,シングルハンド,ツーハンド,フライタックル,フライフィッシング,フライリール

私が初めてフライフィッシングで使ったのが、1995年頃にアメリカで初めて買ったコートランドのスターターキットの7/8番タックルでした。特別な目的があったわけではなく、「さあやってみよう!」という気持ちで掴んだフライタックルが8番だっただけなので、振り返ってみるとトラウト用の一連のタックルや、はっきりとした目的をもって組んだソルト・ウォーム用の4番、6番、10番・・・といったタックルと違って、その時釣りたい魚へ衝動的に対応させてきたような気がします。

数年前に肩を壊してしまってからは、苦痛に感じながら使ってきたタックルだったので改善しようとも思いませんでしたが、やはりどうしても8番で無ければ釣れないシチュエーションが多くあるので今後も使い続けるために考察して改善することにしました。

なんで8番使うの?

シングルハンド8番タックルもいろいろ使ってきましたが、そもそも何で使い始めたのかの記憶もあやふやなので書き出してみました。一番初めの頃はニューヨークでのバス釣りと湖でのボートを使ったニンフ&スイング・ストリーマーの釣りがメインでしたのでフライラインが太くてもあまり関係ない釣りだったと思います。

  • 風の中でも直進性が良くて60フィートを安定してキャストできる
  • バスバグのような空気抵抗があるフライを快適にターンオーバーできる
  • クレイフィッシュのような重たいフライを安全かつ丁寧にターンオーバーできる
  • 湖で大きめのインジケーターニンフの仕掛けやストリーマーのドロッパー/トレーラー仕掛けを投げられる
  • ラインコントロールしやすくて狙った場所にフライを入れられる

その後、キャッツキルに通っていた時代に仲良くなったフロリダの友人、ボブさんのお声がけで2001年、ハワイで知人のお宅で合流して一緒にフラットを釣ることになりました。ボブさん自身はお仕事の関係で来れなくなってしまい、彼のR.L. Winstonロッド&Tiborリールだけ到着したので、これをお借りして私一人で飛び入りでボーンフィッシュを釣った時、初めてソルトで8番タックルを使いました。その時にガイドのケビンさんやボブさんから教わったのは:

  • ミドルアクション気味のロッドがいい、ワイド気味なループを作りやすくて、ウェイトのついたフライを静かに水中へ落とせる
  • 1番手以上のオーバーラインしてもロッドが強いので安心
  • ロッドにパワーがあるのでフライを水中から一発でピックアップしてバックキャストできる(浅い場所だったので)
  • ドラグ力のあるフライリールがセットできるので、不意の10lbクラスの大物やトレバリーでもリールファイトが安心

恐らくこの時の印象が強かったせいで、私の中には「シングルハンド8番はフライリールの戦闘力が大事だ!」という考えが根強くなってしまいます。

Nautilus CCF

その後、ボブさんが紹介してくれたロッドビルダーの方にお願いして、リーズナブルにブランクからSage Xi-2のロッドを組んでもらいました。これに合わせるリールとして、「Running Down the Man」というルースターフィッシュをサイトフィッシングで狙うソルトフライ映画を見た影響と、ボブさんのパーミット用のリールがOld Florida (Nautilusの前身)だったこともあり、新しいリールはNautilusのCCF#8に決めて、川崎SANSUIでオリジナルカラーを取り扱っていたので、ロイヤルブルーにしました。

しかし・・・ドラグの滑り出しが非常に重たく、初速が遅いクロダイやシーバスのツッコミでティペット切れや口切れしてしまったり、カスミアジやボーンフィッシュの走り出しでうまくドラグが乗らずにフックがすっぽ抜けてしまったり、リール自重も247gとかなりあります。反面、ヒットと同時にスピード全開で逃げるカツオやゴマサバ、トルクが止まらないイナダやコイには楽しく使えました。

でも普通の8番タックルの釣りをやっている限りはとにかく初動が重いので、毎回気にしながらやっているのが鬱陶しくなってきて、あまり好きなリールじゃ無くなってしまいました。リールフットの問題もあってフロリダの工場へ送って修理すること2回・・・。とにかく手がかかるフライリール という印象でした。修理担当の名前が「イエス」さまじゃなかったら(イエス・マーモルさん)、とっくに諦めていたかもしれません。

Tibor Everglades(旧式)へチェンジ

その後ロッドをR.L. WinstonのBoron II-MXに変えていく中で、10番タックルにはTibor Riptide、6番タックルにはTibor Backcountry CLを合わせていました。Boron II-MXはティップが太めでややミドルアクションのロッドですが、バット部分にボロンという粘り強い素材が使ってあるので魚をかけて重量が載った後は余計なことをしないでも魚のパワーに合わせてバットがスムースに曲がっていってくれます。これにTiborの最高峰のコルクディスクは初速からピークまでスムースかつ強力にドラグをかけてくれるので、確実にフックを魚の口へ埋め込んでくれます。個人的には最強のコンビだと思っています。

当然中間の8番タックルもTiborと思っていて、初めてハワイでボーンフィッシュを釣った時にお貸しいただいた、ボブさんのボーンフィッシュの絵まで掘り込んであるEvergladesを10年越しで待ってついに譲っていただけることになり、それからはこちらがメインのリールとなりました。

ボブさんがボーンフィッシュや小型のターポン、スヌークなどの釣りで使い込んできたフライリールであることもあり、コルクディスクのドラグなので滑り出しも非常にスムース。ただし重量はあって、ライン込みで315グラムもあります。最大ドラグは2kg。

勝負が早いフラットの釣りや、時合にポイントに入る釣り、ガイドがサポートしてくれるボートからの釣りには快適でした。

反面キャスト回数が多い探索型の釣りや長い時間をかける待ち伏せの釣りには途中で疲れてしまうことも多くなかなか難儀。でも不意に現れたGTでも余裕でファイトしてくれる頼もしいリールだったのです。

とにかくこのリールで釣って釣って釣りまくってきました。

重たすぎて肩故障・・・

しかし・・・重たいフライリールを8番タックルへ組んでオーバーヘッドキャストをし続ける行為は2017年の早春、シーバスの釣りの最中に右肩の故障という事件を招いてしまいます。肩の腱を痛めてしまった私はしばらくリハビリを続けてもあまり良くならず、しばらくはシングルハンド6番以上でオーバーヘッドキャストができなくなってしまい、仕方なく本格的なソルトの釣りを諦めてシングルハンド・スカジットやツーハンド・スカンジでトラウトやライトソルトだけに集中することとなりました。

その後の治療やリハビリでも完治しない中、騙し騙しで使い続けて、2019年の四国のアカメ&ヒラスズキの釣りでも今年の横浜シーバス&クロダイでも使いましたが、肩の本格的な治療と同時に8番タックルの使い方の見直しと軽量化を図ることにしました。

8番タックル軽量化の決断とNautilus X

R.L. Winston Boron II-MXとTibor Evergladesで組んである8番タックルの総重量は485g(ロッド170g + リール&ライン315g)もあって、まずは65%の重量を占めるフライリール を軽量化することに決めました。

新しいリールは「Nautilus X」の一番大きいサイズのL-MAX。フロリダやハワイでボーンフィッシュを釣る仲間の間の評価も高いし、TFFCCメンバーも使っている信頼のリールです。

ライン込みの重量はなんと179gで43%軽量化です!トータル重量で見ると、ギリギリ350gに収まりますし、ドラグの締め込みも良質コルクディスクリール並みの3回転以上!!外観はガッチリすぎるCCFとユルユルすぎるFW/FWXの中間程度にしか見えませんが、大きい使いやすいノブをしっかりと締め込んで最大ドラグを計測したら・・・なんと2.5kg! Tibor Evergladesの57%の重量しかないのに最大ドラグは25%も性能UP・・・汗。道具の進化恐るべし・・・。

ラインキャパシティーはWF8で175ydとのことですが、恐らく細い直径のバッキングラインの数値です。とある公式で計算するために寸法を測ると、インスプールの直径が50mm、スプールの深さが20mm、スプールの幅が25mmなので、ぴったり半分までを30lbダクロン(直径0.187mm)で巻き切ったとしても112mが容量となります。これではソルトで走る魚にはキャパ不足。実際に使う時には40lb PEであれば+50%換算でバッキングラインは165mくらいまで巻けます。

軽量化の効果あり!3年ぶりに・・・

タックルの軽量化と並行して、悪い肩の鍼灸治療とリハビリも再開しました。2週間経過して、具合を見るために練習用の古いソルトウォーターライン(全長90フィート)をセットして投げてみましたが・・・。筋肉が落ちてしまったのでバックキャストのロッドストップはまだ危ういですが、ダブルホールでタイミングをとってシュートしたら無事にフルライン出ました!アァ・・・実に3年ぶりです。シングルハンド8番って楽しいなぁ・・・。

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今後のバッキングラインの課題

このリールはスペイでも使う可能性があることと、トラブルを避けるためにインスプールのギリギリまでラインを巻かないので、30lbダクロンをぴったり100m下巻きしました。私が8番タックルを使うシチュエーションでは十分ですが、GTが出没するエリアで釣る場合や、ボーンフィッシュの大物を狙う場合は、アメリカで流行っているブレイデッドラインの8本編みなどPE系のラインでバッキングを増やした方がいいと思います。

ライト・ツーハンドにも使いやすい!しかし・・・

2020年夏の北海道ツアーで、カヤックからの釣りに使おうと思ってシングルハンド8番タックルへNautilus Xをシューティングライン+スカジットで組んでおきましたが、シングルハンド6番で足りてしまい出番が無かったので代わりにツーハンド6番タックルで本流の釣りに使ってみました。

Beulah Platinum Spey 12'6" 6番ロッドは184グラムと軽量でNautilus Xとのバランスもぴったりで、本流でのメンディングやスイング調整やストリッピングなど片手でロッド操作したい時にものすごく楽でした。これまでセットで使ってきたHardy Ultralite 6000 DDが150グラムなので少しだけ重量は増えますが、リールのセンターバランスはむしろ良くなって、定速スイングもとてもやり易いです。

ヤマメやサクラマスといった、サーモン系の魚を相手にする時も精密なラインコントロールやロッド操作がやりやすく、縦への送り込みが非常にやりやすかったです。ドラグのかかり方も非常にスムース。本流を走ろうとする魚へ主導権を渡しません。

※ニジマス・ヤマメ混在河川でヒットしてしまったサクラマスです。魚を弱らせず即刻リリースしたかったので、主導権を握れる強いドラグは非常に助かりました

しかし全ての釣りに対して万能のフライリールとは言えず、「X」フレームにカットされているため、スプールとケージの大きな隙間から細いシューティングラインが簡単に入り込んでしまいます。クイックチェンジでスプールを外せるので、直しながら釣れば良いかとも思いましたが、不意な大物が来た時や視界が限られるイブニングやナイトシーバスなどで痛い目に会うので、シューティングシステムでスイングの釣りに使うことはお勧めしません。

止水のリトリーブの釣りであれば、ライントラブルは大幅に減ると思いますが、リスクは念頭に置いておいた方が無難です。

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