北海道ツアー16日目:十勝 – ちょっぴりワイルドな利別川

2020/11/25キャンピングカー,クマ,ニジマス,ヒグマ,フライフィッシング,ユーロバン,北海道,十勝,本流

朝は4時過ぎに目覚めて、歯磨きがてら利別川の様子を見にいきます。シカたちはこちら側の川原で休んでいます。エゾジカってお行儀いいなーなんて感心しながら、川辺の様子を見ると素晴らしい流れ!対岸からは心地良い風が吹いてきます。知床と正反対に広々とした十勝の風を感じながら新鮮な朝の空気を胸いっぱいに吸い込むと・・・ん?鼻いっぱいに吸うと・・・あれ・・・?

なんかベオルクのうんち臭くないかな?クンクン・・・うーん、香ばしい・・・。対岸の森の方から薫ってくるね・・・。 念のためGoogle Mapチェック!対岸の崖の上に放牧地なんてないね・・・。なるほど今日も出勤されているようです。

そういうTシャツ着ているし、好かれている?

シカたちがお行儀良く振る舞って川原を荒らさない理由は、そもそも対岸に渡るつもりがないってこと。さすがにここまで来ると、これは偶然や運命なんかじゃなくて、自分の行動パターン選択やルート作りがクマと似ているだけなのかもしれません。アメリカ時代も確かにたまにアメリカクロクマと釣りで遭遇していましたが、似た者同士ってことか・・・。

ワイルドレインボー:セッションその1

一旦車内へ戻って朝のコーヒーを飲みながら考えますが、こんな見晴らしが良いところであれば絶対に人からのプレッシャーがあるので滅多な事で川へ出てくることはないでしょう。わざわざここで50cmオーバーのワイルドレインボーを狙うために何時間もかけて知床から戻ってきたんだし、いざとなったらスプレーあるし!知人曰く「釣る人は50匹釣る川」との事なのでクマスプレーをベルトへ装着して、ツーハンド6番タックルを掴んで川へ出陣。もしサクラマスがいたら人とクマの掟に基づき撤収、そうでなければ今までニジマスを探して出会えなかった分を取り戻すつもりです。

釣りキチっていい加減なもので、釣竿持って川辺に立ったら他のことをすっかり忘れられるんです。朝一で活性がイマイチなのか、橋から200mくらいの釣り下りは無反応。50匹なんて本当なのかな?

ここでさっき頭をよぎった「行動パターン」の考えとTFCCメンバーのヒロミキ氏の「夏のニジマスはやる気がある魚は瀬に入ってきます」というアドバイスが交差します。今まで本州的な「ヤマメ=速い」「ニジマス=鈍い」という固定観念があったのですが、ここは北の大地。アメリカのワイルドレインボーだって瀬で釣れるんだから今までのパターンを変えて、対岸へフライをターンオーバーさせてから速いところをスイングさせてみたら・・・。

記念すべき十勝ワイルドレインボー!サイズは20cm前半と小さいですが、貴重な1匹です。その後も同じサイズが連発。しかし元気にファイトするのでツーハンド6番で釣っていても楽しさは満点です。

対岸が土壁になっている流れが太いところまでやってきて、対岸ギリギリへフライをターンオーバーさせて底が岩盤になっているところを大きくスイングさせると、今までと違う強さのアタリ!ツーハンド6番ロッドがゴンゴン曲がるいい魚です。

1度だけジャンプされて対岸へ走られた後はロッドを寝かせて岸際へ誘導してランディングしたのは、意外にも35cmジャストのワイルドレインボーでした。これ以降もサイズは伸びず土壁が終わって流れが単調になる場所に着く前にぴったり20匹カウントだったので朝ごはんのハムとチーズを食べに車へ戻ります。シカたちは相変わらず川原にいますが、クマ臭は無くなっていました。

ワイルドレインボー:セッションその2

ヒロミキ氏から教えていただいた、大物を狙うならココ、という少し足寄の方へ戻った深い流れ込みがある区間へ向かいます。橋の側の駐車できるスペースへ先行者の車が止まっていますが、恐らく大場所を釣っている最中でしょう。橋からエントリーして先行者の方が釣り終わるまで待ちつつ釣り下っていくと、ここの魚の方は活性が高くて橋から200mも釣っていないのにあっという間に10匹キャッチ&リリースしてしまいました。1スイング1匹のペースです・・・。

面白いので止まらなくなっていたところ、橋の上からさっき駐車していた車の方が手をふっていて、「空きましたよー!ほとんど針触っていないから、釣って行って大丈夫ですよー!」と親切に教えてくれました。もう、北海道のアングラーたちのコミュニケーション能力は素敵すぎます!有り難くそこまで降りて行ってポジション取りすると、いかにもいいサイズが潜んでいそうな太い流れが連続します!

しかしすでに叩かれた後だからか、いいサイズの魚は全然反応せず、20cm前半サイズだけがちらほらと釣れてきます。

一番の大場所は流れ込みがえぐれて深くなっているのでS4のティップへ交換してフライを深く沈めてスイングさせますが、流心と脇からは無反応。S2/3へティップを交換してメインのランを釣っていきます。そこまでスイングは速くないはずですが、ここでは小さいショートバイトが続きます。日が高くなってきたので魚の付き場所が深くなってきたようです。岩盤がえぐれたところへ縦へ送り込んで再び20cm前半のレインボーが釣れてきます。どうやらこれがアベレージサイズのようです。

ここでのベストな魚は、土壁のセクションの岩盤の下から激しくヒットしてきた25cmのこのレインボー。プリプリして筋肉が詰まったボディの元気な魚で太い流れの反対側へ走っていくのを2回繰り返して、慎重にランディングしたほどです。

徐々に日差しが強くなっているので頭がくらくらしてきました。朝からのカウントが38匹なので頑張って後2匹釣ろうと思いましたが限界・・・。頭ごと川の冷たい水にザブリと突っ込んで冷やしてから休憩して時計を見たらすでに1時過ぎになっていました。

いきなり電撃!

このまま日射病になるといけないので、橋まで戻りましたが、行きと同じ左岸から戻ると遠回りでめんどくさいので少し上流へ行ってから右岸の茂みが薄くなっている場所からショートカット。岸へ上がってみると予想よりも藪が深くて、茂みをかき分けつつ土手を真っ直ぐ登って行ったら目の前に綺麗なお花畑が広がります!おお、ここは天国かと思った瞬間、右ひじが何かに触れて電撃ショック!突然の痛みに後ろに飛び退いたら、3本線が張り巡らされています。何だこれは!?たまに針治療を受けている私ですが、そこで使う電気針を最強で当てられたような痛さです。袖をまくっても後はついていないので、ショックだけを与える電気柵?まさかこれって・・・。

配線を辿って行ったら、小型のソーラーパネルと充電池ユニット、変圧ユニットがセットで置かれています。そう・・クマ避けフェンス・・・。本当、行動パターンが一緒って事ですね・・・。危険ではない微電流ですが変圧してあるので少しひじが当たっただけでこの痛さ!私が全国のクマ対策者に保証します。一回試してみてください、これめちゃくちゃ効きます!クマだったら絶対に近づかないでしょう。

これが本当の「道の駅」

何か冷たいものを食べたく成り、メールチェックと連絡業務もあるので「道の駅 あしょろ銀河ホール21」へ向かいます。道の駅の駐車場も日差しが強く、車の窓を全開にしておいてさっと着替えて日陰を目指します。すると驚くべきことに道の駅の敷地に本物の駅が・・・。「歩く鉄道辞典」の長男にLINEで連絡すると、廃線となった「ふるさと銀河線」の「足寄駅」を保存した場所だそうで、去年のGWに長男の撮影に付き合って行った三陸の「リアス線」までは日本最長路線だったそうです。

涼しい館内で冷たくて濃厚なソフトクリームを食べてやっと一息。隣接するお店で豚丼のお昼を食べながらヒグマ談義に盛り上がり、館内で連絡業務を終えてから、書類などの作成は涼しい川そばへ移動してやることにしました。

ワイルドレインボー:セッション3

川そばに農道があったのでそこを川と並行に入って行ったら、ちょうど良い位置で行き止まり。サクサク仕事をこなしてあっという間に午後5時。日が落ちるまでは時間があるので、ワイルドレインボーの続きです。とりあえずツーハンド6番とスイッチハンド4番を車から引っ張り出しますが、先に6番でやって1匹目のサイズをみて「50cm」へこだわるのか4番へサイズダウンして確実に「50匹」を達成するかを決めることにします。

まずはドローンを飛ばして先行者がいないか確認。ここで初めてGoogle Mapの衛星写真よりも現場の方が遥かに森と一体化していることに気づきます。それも山から繋がっているのでヒグマにしてみれば活動域の先に美味しいものがたくさんあるわけで、当然気づかれずに近づいて作物泥棒する個体がいるので、先ほどの電気ショックが待っているわけです。

川へ入るとなかなかにいい川面。先にツーハンド6番で6番サイズの無名ウェットフライをスイングしますが20cmサイズのレインボーが食いついてきてはすっぽ抜けることを繰り返し、狙い目である流木のキワと土壁の岩盤底のえぐれも通しますが、反応は得られませんでした。一通り流してすでに時計は6:30。日が落ちると怖いので急いでスタート地点へ戻ってスイッチハンド4番に持ち替えます。

ちょうどカゲロウのハッチが始まり、安定の結果で20cmサイズがバレずにキャッチできますが、きちんと流すイマージャーの釣りどころか、ドライフライのような反応になったので、ついそのやり方のまま太い流れ込みに入ってライズしていた35cmサイズのレインボーへ食わせたら、一回走られただけですっぽ抜けてしまいました・・・。目の前がどうであろうと同じパターンを徹することの大切さを噛み締めつつ、この日のサイズ更新ならず。

後はひたむきに小まめなマイクロ・スイングでライズしているレインボーを狙いキャッチ&リリースを繰り返して、この魚でジャスト50匹達成!車へ戻る途中も我慢できずついつい手を出して最終的には52匹で利別川を上がりました。

ロッドを車内へ差し戻して、明日釣る予定の音更川のルートを確認してふと思いました。一つの釣り場で35cmサイズの魚でさえもせいぜい狙い目は1つか2つ。数釣るエネルギーを手返しよくランガンに置き換えないと50cmはおろか40cmとも出会えないかもしれない・・。

ハンドルを握りつつ土地勘が無い中でどう絞り込んでいくべきか考えていると、「道の駅 おとふけ」へ到着しました。

タックル情報

ツーハンド6番タックル

  • フライ:フェザントテール・パートリッジ10番、無名ウェット6番
  • ティペット:Seaguar Ace フロロカーボン1号
  • ティップ:自作フロートティップ10フィート、RIO MOW Tip S4、OPST Commando Tip 12' 132GR S2/3
  • スカジットヘッド:OPST Commando Head 325GR
  • ランニングライン: 古いエアロシューター(多分20lb)
  • リール:Nautilus X L-Max
  • ロッド:Beulah Platinum Spey 12’6″ 6番

スイッチハンド4番タックル

  • フライ:フェザントテール・パートリッジ10番
  • ティペット:Seaguar Ace フロロカーボン1号
  • リーダー:Tiemco O&D 10フィート 3X
  • スカンジナビアンヘッド: Scientific Anglers アトランティックサーモン ショート SH4/5 フローティング
  • ランニングライン: Ken Cube EXシューティンライン フローティング
  • リール: Nautilus FW5
  • ロッド: OPST MicroSkagit 10’0″ 4番

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