初ユーロニンフ!- ユーロ初心者が渓流&止水のカンツリで実践してみた
2021年2月にTFFCCメンバーで世界選手権で活躍されている小松澤さんと一緒にオンライン形式でユーロニンフのワークショップをやってから、しばらく時間が経ってしまって、自分自身がタックル選びに悩んだまま全く進んでいませんでした。その間は小松澤さんと同じくTeam Japanのメンバーであり、コンペティション・スタイルのタックルやシステムにお詳しい国見さんから教えていただきながら、「このフックじゃ機能性ゼロだからダメ」といったマテリアル選びや「ニンフに求められる構造」などを聞きかじりながら巻いておきつつも、実際に釣りで使う機会が無いという勿体無い状況が続いていました。
決めにくい理由
まず、日本のフライショップ「あるある」で、誰もタックルからシステムまでを説明できる人がいない!
これはユーロニンフに限ったことじゃ無いので置いておくとして、30年近くフライフィッシングをやってきて国内・海外の仲間がいる私でさえ決められない理由があります。
ヨーロッパやオセアニアが主な舞台でチェコ、イタリア、ニュージーランドなど様々なブランドがあって、それもフライフィッシング競技会を中心にスポンサーが強力にバックアップして発展してきたタックル&システムです。聞く相手の方がその国のナショナルチームと関わる方であるケースが100%!私自身お付き合いがあるフライフィッシャーの中でも、Team USA、Team Japan、Team UK、Team Italy・・・。みんな自分が競技者で相手も競技者であるという前提になっていますので、競技の実際を知らない人間と話が噛み合わなかったり、スキルレベルの差の大きさや「これは自分の場合だけど」と決まり文句が出てきて、コミュニケーションのギャップが大きくなっていく中で決めきれなくなってしまいます・・・。
スキーに例えるならば、初心者が自分に合った板を選ぶ時に、いきなりワールドカップ向けのプロ専用から選ぶ感覚です!
どれが自分に合っているのか、誰か競技者の方と一緒に買い物に行かない限り選べません!
ラッキーな事に、TFFCCにはFIPS-Mouche世界選手権に出場経験豊富な小松澤さんがいらっしゃいます。
なので身銭を切るだけで解明できるのがいいところ!今回はそんな話です。
タックルとシステムの要件を割り出す
そんな状態を見かねたのか、今年に入ってからTFFCC小松澤さんにSAGE ESN 10フィート4番をお譲りいただけることになって一気に急展開しました。ウェットで使い慣れた10フィート4番だし、「3番だと40cm、4番だと50cmの魚を狙う」という通説があるので、ハコスチのいるカンツリや湖、北海道でも使えるであろう4番はバッチリです。
そして自分的にシステム要件でまとめたのは:
- 「さっさと沈めて釣る」ニンフに早く馴れたいので、競技用の最大スペックである4.0mmのタングステンビーズで巻いたジグフライを扱えること
- ドロッパー禁止の釣り場が多いので、この4.0mmジグフライを単独で操作しやすいフロロカーボンのティペットは1号でロッドと同じ長さに固定、これをやり続けて慣れる
- 目印はチヌの落とし込み用に買ってあった、サンヨーナイロン「落とし込みチヌ」2号の2色インジケーターラインを流用
- フライラインは慣れたら専用ラインを買う、それまでシューティングラインの下巻きで十分
このシステムを収納できて、ディスクドラグであって、ロッドとのバランスを考慮したフライリールの要件は:
- ロッドを高く掲げる時間が長いので、その体制が楽なバットヘビーのバランスになる大きめのフライリールにしよう
- ラインシステムの細い部分が長いので巻きぐせがつかないようにラージアーバー
- 自分は右肩が悪いのでできる限り軽量
この条件に合ったフライリールが使わずにしまってあった「Hardy Ultralite DD 6000」(以前ツーハンド6番で使用)でいけるので、これをセットしました。
ロングライン・ニンフィングをやってみた
ロッド2本分くらいの長さまでラインを降り出してフライを流れの中へ自然に流していくニンフィングです。空中部分のラインを弛ませないようにして、カラーラインの目印を頼りに水中を流す本流釣りでいう「斜め糸」のようなプレゼンテーションになります。
こんな釣りや全くやったことがないので、これを練習するために15分くらい振り込む練習を重ねてから、「ロッド1.5本分以内」で流れの向こう側のバブルレーンを意識してやってみました。
と言うわけで記念すべきユーロニンフで釣った1匹目はこのニジマス。15分くらい振り込む練習してなんとか上手く流れには入るようになりましたが、底波の感覚が分からないまま釣れてしまいました・・・。
でも逆にレーンじゃない所に入れても全く食べてくれません。正誤がわかりやすいので、同じ事を繰り返してニジマスを3匹連発で追加しながら、なんとなく底波にフライが入って引っ張られる感覚が分かってきました。
そうなったら突然釣れてくれた、初ユーロ・ヤマメ!小ぶりのヤマメなので、流しが甘い私の底波ニンフでも食べてくれました。
ショートライン・ニンフィングをやってみた
先にロングラインをやってしまいましたが、本来はショートラインが基本形。ロッド全体を高くホールドして、ロッドティップの先の下にラインを張った状態で流速に合わせて流していくニンフィングです。流れのあるところでもコントロールしやすく、フッキングも即できます。渓流釣りの「立て糸」の釣り方と同じ流し方をしていきます。
似たようなことはこれまでもドライフライ・タックルやウェットフライ・タックルでやったことがありますが、きちんとバランスを考えてセットしたユーロニンフ専用タックルはものすごく操作しやすいです。
落ち込み直下へニンフを沈めてから、ロッド操作で流れの手前側のバブルレーンへ回し込んで底波を流したら釣れてくれた1匹目はなんとヤマメ!
ショートライン・ニンフィングの方が操作性が高く、底波へフライが入る感覚が明瞭なので釣りやすかったです。
ちなみにこの日は3時間弱のセッションをユーロニンフの部分だけで覚えている範囲だけで、ニジマス12のヤマメが4!
同じ時間内でマイクロスペイのウェットフライもやっていたのですが、ウェット:ユーロニンフの釣れる速度を比較すると、1:10は確実にあると思います。
ちなみに使ったのはこんなフライ。
止水でショートライン・ニンフィングをやってみた
それから日が経って、止水の管理釣り場でユーロニンフを試す機会がありました。そこは渓流と違って濁りが入っているのですが、岸そばに稚エビがたくさんいることもあり、魚が溜まりやすい場所の目処をつけてショートライン・ニンフィングを決行。
ジグニンフを落としてから、一発目の魚がこのイワナ!初ユーロイワナです。
フォーリングだけで食ってきたイワナは最初のこの個体も含めて6匹、稚エビを意識して落としておいてからイマージングするように誘ったり、バス釣りのようにシェイクで釣れたイワナは6匹、少し緩めて(S字と呼ぶらしい)流し込んで釣れたニジマスが6匹。この日もマイクロスイッチのドライとウェットもやっていたのですが、釣果比較すると・・・ドライ:ウェット:ユーロニンフ=1:3:18!
まとめと続き
恐るべしユーロニンフ!
まじやばいっす!
26年間フライフィッシングをやってきた人間なので、本当の初心者ではない訳ですが、それでもこの圧倒的な釣果には心底驚きました。何カ国もの人間たちが大会を通じて「釣ること」と「流すこと」を競う中で進化してきたシステムなのですから当然なのかもしれませんが、メソッドとして最強だと思います。
その原因はフライとプレゼンテーションにある訳ですが、一つだけ私が間違えたのは、ロッドに対して大きすぎるフライリールをセットしたことで、ロングライン・ニンフィングの時のティップから伝わる繊細な感触がわかりづらかったことです。本来は5番ライン用のフライリールをセットするので、これは今後の課題となります。
これまでやってきたフライフィッシングやルアーフィシングと照らし合わせて得られるものが非常に多いので、今後もユーロニンフの競技ルールに合致したシステムで釣ってみることでしか得られないスキルや仲間からの情報はもちろん、応用(悪用じゃないの?)させてみたことなどアップデートしますので、お楽しみに!
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