浜名湖クロダイ2023 夏の陣と新たな発見

2024/03/13クロダイ,フラット,浜名湖

TFFCCメンバーが今季に行ってきた浜名湖のレポートです。
浜松在住のカルロスからの概況とグチ、マーティン、エドが遠征や出張の道草してきた概況になります。

フィールド状況

今シーズンはフラットの当たり外れが大きくなり、成期になるにつれプレッシャーの高いフラットとそうでないフラットでクロダイの反応が全く違う状況でした。

また今年は濁りが入りやすく魚を発見しづらい反面、経験者は警戒されずに良い魚に近づけるので、スキルで成否が大きく分かれるシーズンとなっていました。

カルロス番長とカヤックと透明フライライン

シーズンピーク8月の番長のクロダイ

以前はタフなフラットでも手間暇かけて釣り歩いていた番長ですが、カヤックの腕前がパワーアップしたこと、仕事が忙しくなったこともあり、狙い目を決めて重点的に釣るスタイルへ変更。フライはすでに完成されたローカルパターンがあるので、今期は「良い物件選び」がメインテーマでした。

また、南国以上の猛暑だったことで、トロピカル仕様になっていないフライラインはコアが柔らかくて使い物にならず、改めて投入したのがこの透明フライラインの新作!ストレッチも少なく昨シーズンでは悩んでいたフッキング問題も改善。

場数慣れ+常人の1000倍の色覚+ブラジリアン柔術で鍛えられた動体視力の番長にアドバンスドクリアープラスは文字通り「鬼に金棒」・・・。ちょっとチートな気もしますが、なんと半日セッションだけで最高記録15匹/日を達成!!何匹かバラしていてボラはカウントしていないので、恐るべしシーズンでした。

マーティンとデイヴィッドとガイドフィッシング

がっつりチヌゲームをものにしたマーティン(右)とナイスサイズのアピール強めなデイヴィッド(左)

「フラットのサイトフィッシングを鍛える!」と宣言した今年のマーティン。釣りの部分に集中するために、今回はデイヴィッドが常連の「ワタツミ」ガイドサービスで出撃。

ガイドの喜多さんの眼力とコミュニケーション能力の高さにサポートされて、なんと9匹/日!!
長年フラットのフライフィッシングに対する想いを暖めてきたマーティン、今年は飛躍の年となりました。

グチのカヤック&DIY

フラット探索中のグチ

昨シーズンはスランプに悩んだグチ。クロダイが嫌いになってしまわないか心配でしたが、そんなモヤモヤを吹っ切って東名高速をかっ飛ばして参上!

カヤックのルート取りやフラットに入る段取りも完璧にマスターしていて、かなり渋い状況の中で2キャッチ/日
美しき獲物との一期一会を楽しみました。

エドのシャローフラット実験セッション

さて中部横断営業ツアーの帰りに浜名湖へ立ち寄ったエドですが、現状のクロダイ・フライフィッシングが「魚選び」に重きを置きすぎていて再現性にムラが大きいことに疑問があること。昨年末の西表島のシャローフラットで安定して有効だったトリックや直近のタックルなど実験してみたい事が多かったので、今回はあえてカヤックを置いてくるだけでなく、テリトリー意識が強く劇的にスレてはいるけれど、個々のクロダイをじっくりと観察しながら相手できる某陸続きのフラットへ。

まずはカルロス番長と同じクリアーフライラインをシングルハンド6番ソルトタックルにセット、実は今年の春にエリアトーナメントの入賞でも助かったチートアイテムでもあります。フライラインの影でスプークという最もムダなコストを省くことで、純粋にフライとラインシステムのクロダイに対する使い方でどれだけ「食い」が変わるかの実験です。

全てが見える、究極のサイトフィッシング環境で実験

今回のフライは西表島で過去最高のパフォーマンスをもたらした「HDJジグシュリンプ」。同じフライをあらゆるシチュエーションで使い通すことで、わずかな差を見逃さないようにします。

クロダイの反応を確かめるために水位が高い時間帯に足場が高く全てが見えているポイントへ。一切のウェーディングを行わないのでフラットの釣りというよりもシャローの釣りの要素が多いシチュエーションです。当然相手からも私が見えるのでこれまでのサイトフィッシングやストーキングで学んだスキルをフル稼働させて背景へ溶け込みながら待ち伏せ。

まずは透明フライラインを試しますが、水面へ置いておいても影を落とさないので、動かして波動を出さない状態ではクロダイたちは一切気にせず、ロッドティップとフライラインの間が水面に僅かな波紋を起こすのをわざわざ見にくる個体まで!

続いてフライのターンオーバーと着水、フォール、着底まで。

今回はトーナメントでも使っているテーパーなしの2段階リーダーをコントロールバットは4号の透明ナイロン、ティペットは2号のフロロカーボンに組んで、これをワイドループで距離を犠牲にしつつもターンオーバー時での突っ込み速度を下げるようにしてオーバーヘッドキャスト・ロールキャストでそれぞれ最低でも10プレゼンテーション完遂するまで同じ15m以内の距離で試してみました。

異なるキャストの突入スピードで着水リアクションが大きく異なり、どんなに距離を空けていても、どんなにワイドループでスローダウンしようともオーバーヘッドキャストの速度で突入するフライへのスプーク率は80%以上。ロールキャストはフライラインへこそ警戒せずとも水面を走る波動で警戒してしまい、そこへターンオーバーするフライが着水するとスプーク100%!! これではまともなプレゼンテーションが成立する以前の問題です。

もちろんこれでも中には気にしない個体がフォールに反応して近づいてきたり、着底してからのクローリングでフライに気づいて咥えようとするのですが、明らかに着水でナーバスになってしまってるのでショートバイトどころかフライまで1cmで逃げる始末。着水の静かさがものすごく大事だということを実感しました。

ピッチングでやってみる

オーバーヘッド・ウォーターボーンどちらもキャスト方法がクロダイに合っていないことは間違いないので、同じ条件でバスフィッシングで野池を釣る時やナーバスな状況に対応する時に多用するピッチングでフライを超低速で着水させると・・・。魚との距離が近くなるので不利ですが、スプーク率はなんとわずか10%!

私が見えてしまっている状況で制限時間もあまり無かったので雑な釣り方をしていたにも関わらず、3回連続ストライク!最後はフライラインをほとんど出さずにショートライン・ニンフィングの要領で隠れていそうな岩のそばに静かにフライを入れると何の警戒心もなく40cmサイズが一発でパクッと丸呑みしてファイトへ移行!

バラし直後1回目

水面から1.6mくらいの場所かつ手前に岩が多い場所なので一気に抜き上げることができず、2回ほど走られた後で足場が高いところから水面へ近いところへ降りていってランディングしようとしている最中にフックが滑ってすっぽ抜けてしまいましたが、一つ完全な正解が見つかりました。

ストラクチャーを利用して気配を消してみる

私個人はテンカラもやればバスフィッシングもやる人間なので、決してキャスティングゲームやウェーディングしなくちゃ楽しくない、という発想は皆無なのですが、それでもこのゲームでしか味わえない魚への肉薄度はスキンダイビングで魚を観察する体験にも通じる面白さがあるので大好きです。そこで高速へ乗る前の時間調整も兼ねて、水位が下がるタイミングまで待ってキャスティングゲームへ。

キャスティングスタイルによるフライ着水の差でこれだけプレッシャーのかかる・かからないが分かった後なので、キャスティングゲームの場合は着水を気にしないフラットへ上がってきたばかりのフレッシュランを相手にするか、すでにフィーディングに夢中になっている状況を探していくか、一旦「藻場」や「杭」のようなストラクチャーに定位して警戒心が全くない状況だけ狙うか、朝早くや夕方といった暗い時間で誤魔化すしかなくなります。事実、現在進行形のシャロー&フラットのフライフィッシングもルアーフィッシングもそのニッチを探すことに終始しています。

今回はクロダイを発見できた12回ほどの間に、濁りのためにシャローへ上がってくるフレッシュランは発見できず、テイリングしている個体の前にフライを置いても泳ぎ去ってしまうだけで、フライを咥える(そのままフッキングしませんが)状態になったのは全てストラクチャー絡みのみ。こちらも聴き合わせが早過ぎてかかりが浅くて2回バラしてしまいましたが、そのうち1回は杭につく個体、フライラインを引き摺り出すまで持ち込めた1匹は藻場を挟んだ向こう側にいた個体でした。

バラし直後2回目

まとめ

結論から言えば、カヤックやボートを使い、警戒心の少ないフレッシュな魚を狙っていけるフラットへ入るのがベストなのですが、条件が悪い中でも狙って釣る方法の入り口は見えてきたシーズンだったと思います。キャストの弱点を克服し、プレゼンテーションを成立させても、食うか・食わないかを決めるのはクロダイなので、魚探しが重要であることは変わりませんが、その精度を高めれば少ない魚影でも結果は出せるはずなので、秘訣は今後も探していきたいと思います。

まだまだ水温が高く、シャローフラットの釣り自体は10月中旬まで楽しめますので、皆さんもぜひチャレンジしてみてください。

タックル情報

シングルハンド6番(カルロス)

フライ:クラブフライ
ティペット:10lbフロロカーボン
リーダー:全長18フィートのノッテド・リーダー
フライライン:Monic Advanced Clear Plus WF6F
リール:Waterworks Lamson フライリール
ロッド:自作 9フィート6番

シングルハンド6番(マーティン)

フライ:クラブフライ
ティペット:10lbフロロカーボン
リーダー:全長18フィートのノッテド・リーダー
フライライン:RIO Outbound WF6F
リール:Abel Super 7
ロッド:Sage Motive

シングルハンド7番(グチ)

フライ:クラブフライ
ティペット: 2X 4フィート
リーダー:2X 12ftテーパードリーダー
フライライン:
リール:
ロッド:

シングルハンド6番(エド)

フライ:クラブフライ
ティペット:2号フロロカーボン
リーダー:4号ナイロン
フライライン:Monic Advanced Clear Plus WF6F
フライリール:Tibor Light Backcountry
フライロッド:R.L. Winston Boron II-MX

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