シルバー マーチブラウン改

2023/11/22イマージャー,ウェットフライ,スイング,センパーフライ,ターン,ナノシルク,フライパターン

世界中の川に棲む、水中ハッチするヒラタカゲロウの仲間が水面へ浮き上がっていく様子を表現するクラシックなウイング・ウェットフライ 、それがマーチブラウンです。ボディ部分がシールズファーのダビングをリビングするとオリジナルの「マーチブラウン」、シルバーだと「シルバーマーチブラウン」、ゴールドだと「ゴールドマーチブラウン」になります。

クイルウイングがしっかりと水流を受けるので、カゲロウらしいプロフィールを保ちつつ日本の渓流のような流れでもしっかりとアクションしてくれて、ボディのきらめきとスロートのハックルの生命感がヤマメやアマゴさえも惹きつけます。ウェットフライのお手本のようなフライです。

何か改良できないか?

と、ここまでは「普通のウェットフライ 」。それならわざわざ書くまでもありません。そこで使っている素材を改善できるものはないか探してみました。

フライフックは実用第一で

スタイリッシュに巻くならば、使うフックは伝統的なスプロートフックが良いのですが、今まで使ってきた中で日本で生まれたニンフ系のフックと比較してしまうと電光石火のヤマメにはどうもフッキングが足りません。そこで関東・東北の渓流ニンフや北海道・中部の本流ウェットでは安定した性能のロングシャンクフック「がまかつ S11-2L」を使ってきたのですが、これをさらなるロングシャンクにした「がまかつ S11-4L」も使っています。どちらも艶消しブラックでヤマメからサクラマスまで安定した釣果のフックです。

この4Lフックは延長されたシャンクの長さのおかげでマテリアルを大きくできる、プロフィールを細長くすることでよりヤマメへ「カゲロウですよー」とアピールできる、ウイングの安定性も高くなることでアクションも良くなることを期待しています。

ティンセルを強化

フック以外のマテリアルで変えられるものを考えたのですが、全てが完成されている中で一つだけ前から気になってきたのが、「フレンチ オーバル ティンセル」の強度。小さいヤマメであれば気にならないのですが、イブニングの大きい魚やニジマス、ブラウンに使うと歯でやられてしまいます。そもそもが現代のように細くて強いワイヤー素材が作れなかった時代に、芯糸にラメ糸を巻きつけて作られている組糸であって、今でいうところのブレイデッドラインの一種です。

であるならば他のブレイデッド・・・と思ってもPEラインなどで金属色なんて作られていないのですが、ふと「細いワイヤーってスレッドの一種だよな」と思い、ツイストさせてみたらブレイデッド・ティンセルとして全然通用する見栄え!

ワンポイント

ファインワイヤーをツイストさせて強力なネジネジ・ティンセルにする

予め使いたい太さのワイヤーをループにしてシャンク最後端に用意しておきます。

ダビングループの要領でツイスターでクルクルするだけ。私はガサツなのでOPSTのツイスターでやっていますが、繊細なタッチを求める方はC&F Designのツイスターなんてオススメです。

ボディをすっきりと巻くコツ

ちなみにボディを変な厚みを出さずにすっきりと巻くコツですが、第一に「細く・薄く」巻けるスレッドを使うこと。これにおいては素材をケチらない方がいいです。テックストリームの「GSPパワースレッド」は細い、薄い、しなやかなだけでなく22/0でも1.1kgまで力をかけても切れない上に、ストレッチ性が無いのでダイレクト感が高いのでスレッドのコントロール性能が段違いになります。これのおかげでマテリアルの取り扱いに意識が集中できるわけです。

次にマテリアルの処理ですが、シャンクの後端に巻きつけた素材はテール材であれフロスであれティンセルであれ、必ずスロート側までわざと長めに巻き留めておけば、「段差」が生まれないのですっきりと仕上がります。

でも今回のマーチブラウンみたいにパートリッジがテールだと、そこまでの長さがありません・・・。段差を無くすためには巻き潰すしか・・・。そう、ここでさっきネジネジと用意したワイヤーティンセルが生きてきます。ガッツリと力をかけてフラットティンセルとテール材の隙間にできた空気を巻き締めて潰して行けばいいだけ。

スロートやクイルウイングの取り扱い

これは別途解説がいくらでもあるので省きますが、私自身が普段そこまでウイング・ウェットを巻かないので、しばらくしたら別途載せてみようかと思います。

マテリアル

フック:がまかつ S11-4L #10
スレッド:テックストリーム GSPパワースレッド 22/0 ブラック
テール:パートリッジ テール
アンダーボディ:テックストリーム ポリフロスホワイト・・・時短する場合は省いてもOKですが、下地を巻いた方がフラットティンセルが綺麗に乗ります
ボディ:フラットティンセルM 0.8mm幅
リビング:ドヒーク ワイヤー0.1mm ブライトシルバーをツイスト
スロートハックル:パートリッジ もしくはヘンハックル・サドル(うずら色)
ウイング:ヘンフェザント・クイル

ツール

ダビングツイスター

最近見かけなくなってしまいましたが、C&F Designのこの子はどこかへ転がっていってしまう欠点を除けば、小さいフライに使いやすいのでオススメです。

慣れてしまえば、OPSTのこれが転がっていかないし、しっかりと重みをかけてツイストできるので一押しです。

ワイヤー専用ボビン

ワイヤーに使っても切れづらいセラミック加工されたボビンです。

使い方

スイングの釣りで使います。活性が高い魚にはあまり沈めずに大きなスイング、岩へ隠れているような魚を狙うときは沈めて送り込んでからターンさせて浮き上がらせます。

どちらもカゲロウのイマージャーを積極的に食べている魚を見つけた場合は、魚の視界に入れた後は警戒させないためにドリフトさせて置いてから、安定速度のスイングでフライを浮かせて誘いをかけます。

戦績

  • ヤマメ・アマゴ・サクラマス
  • ニジマス
  • ブラウントラウト
  • ニッコウイワナ・エゾイワナ

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