クロダイ/チヌのフライフィッシング

2024/03/29クロダイ,クロダイ属,サイトフィッシング,ソルトフライ,タイ科,フライフィッシング,フラット

和名:クロダイ/チヌ
英名:Blackhead Seabream
学名:Acanthopagrus schlegelii

フライフィッシング クロダイ
浜名湖のクロダイ

フラットにおけるフライフィッシングの好敵手、クロダイの仲間は北は北海道から南は沖縄まで幅広く生息しています。最も幅広く生息している代表種の「クロダイ」を筆頭に、ヒレが黄色い「キチヌ(キビレ)」、奄美から沖縄へ生息する「ミナミクロダイ」、沖縄から香港に住む「オキナワキチヌ(チンシラー)」、オーストラリアでは”bream”(タイみたいな魚の総称)と呼ばれて愛好家が多い魚なれど日本では西表島だけにひっそり暮らす「ナンヨウチヌ」まで5種もいる全国区で身近な魚だと言えます。

クロダイの特長

クロダイは岩交じりの砂底の生物を好み、カニはおろか二枚貝をも嚙み砕く口のおかげでいつでも餌にありつけるので、わざわざ積極的に何かを追って浮上することが少ない魚です。これらの場所の底生生物は穴を掘ったり石の隙間へ隠れる習性を持つため、クロダイの餌場となっている場所の底はクロダイが掘ったクレーター状の穴が点在したり、クロダイの隠れ場所ともなっている岩の近くにカニや貝の殻が散らばっていたりします。

また非常に発達した四元色覚を持つ目が前方よりについていて、色彩・図形認識や空間認識に優れていて保護色のカニを底や藻の中から判別したり、卓越した動体視力で上空の鳥を察知したり、人間を背景から見分けることなど容易にやってのけます。さらにクロダイを含むタイ科の魚はウキブクロが進化していて、人間では聞き分けられない音波を察知したり、ウキブクロを振動させることで音波を発生させて暗い中でも狭い岩の隙間をすり抜けたり、地形や餌を補足したり、仲間同士でシグナルを伝えあっている様子も観察されています。この魚を警戒させずに釣るためには丁寧なストーキングや待ち伏せが必要となります。

ベントスを食べるボトムフィーダー

クロダイは嗅覚にも優れており、ナマズに匹敵するレベルの嗅覚を活用し、餌が存在するフラットや波で洗われる壁際のカキやイガイに誘わるため、固定の餌場を持っています。

コイやボーンフィッシュ、一部のモンガラカワハギの仲間は、ベントスと総称される底で暮らす甲殻類や貝、ハゼのような小魚を捕食することが多いため「ボトムフィーダー(底から食べる者)」と呼ばれます。クロダイもボトムフィーダーです。多くのベントスは水中での動きが遅いので身を守るために砂底や泥底に穴を掘って潜る習性があります。これを掘り出すために、魚たちは「テイリング」と呼ばれる頭を真下にしながら尾びれで目一杯踏ん張る姿勢を取りながら、エラから吸い込んだ水を思いっきり口から放射して、穴を掘りながら露出したり逃げ出すベントスを攻撃して弱らせながら捕食します。

また、自力で潜ることができないほど弱ったベントスは逃げ切れないので動かず、ジリジリと逃げる程度の動きしかしません。岩からずり落ちて逃げようとしたり、穴や凹みを見つけて少しでも隠れようとしたり、流れに乗って漂流しようとしたり・・・最後の抵抗を試みます。クロダイから見れば、この状態のベントスはあと一息で仕留めたり咥えられるため、魅力的なターゲットに映ります。

ベントスの中でも比較的に俊敏なボケジャコなどはジャンプして魚の視界外へ逃げようとします。これらは警戒心が強いので濁りのある時や暗い時間帯にしか活動しませんが、クロダイにとっては淡水のザリガニに匹敵する栄養価の高い優先的なターゲットとなります。この時ばかりは警戒心が強いクロダイがしつこく後を追って食べようと攻撃的になります。

壁から剥がれたベントスも食べる=落ちもの好き

岩場や橋脚・岸壁を注意深く観察すると、季節に応じて貝や海藻などが付着していますが、その隙間にカニやエビ、ハゼ・ヨシノボリの仲間が隠れていることがあります。何かの弾みでこれらが壁から剥がれて落ちていくことは、クロダイにとって捕食のための最大のチャンス。稚魚だった時代から本能に刷り込まれているので決して無視できないのです。普段は慎重に餌を選んで静かに咥えていくクロダイが反射食いのような積極性を見せます。

写真は伊豆半島の港にいたクロダイ稚魚(通名:チンチン)の群れにいろんなタイプのフライをテストして見た結果。フッキングの良し悪しは別として圧倒的にフォーリングするフライへの反応がベストでした。

エビや小魚の群れも襲う

クロダイの生息地と季節にもよりますが、エビや小魚の群れに着いているクロダイは水面や岸際へ追い詰めて捕食するので、南方のクロダイの仲間のようにシュリンプフライや小型のストリーマーで狙うことができます。

フライフィッシングではどんな狙い方があるのか

東京湾や大阪湾ではボートから岸壁や橋脚で浮いているクロダイを後ろからボートで狙うサイトフィッシングのスタイル、浜名湖ではフラット(干潟)に餌を取るために上がってくるクロダイを静かに狙うウェーディングやオカッパリのサイトフィッシングのスタイルが確立されています。さらにボートで移動しながらポッパーで狙う釣りなど、特別な状況に応じた様々な狙い方があります。

フラットのサイトフィッシング

圧倒的に人気なのはフラットのサイトフィッシング。浅瀬へ餌を取りに近づいてくるクロダイを発見し、驚かさないように正確にキャストし、どうやってフライを咥えさせてフッキングさせるか。ただ投げて釣るのではなく、正確に段取りを進めながら、成功・失敗の分岐点も多くフライフィッシングのセンスが問われる面白いゲームです。

厳密に言うと100%のサイトフィッシングではなく、底に置いたフライへのアタリを取るブラインドフィッシングも含めた独特な釣りです。ウェイトの入ったフライが着水する時のインパクトが大きすぎると驚かせてしまい、下手をすると群れ単位で逃げてしまうことになるので、ワイドループでキャストして丁寧にターンオーバーさせてフライを底へ置きにいく必要があります。

場合によってはシングルハンド4番まで落とすことでシビアな状況へ対応することができますが、人間の生活圏で暮らすクロダイに怪しまれないようにするためには、足運びはもちろん、背景へ少しでも溶け込むための服装にするなど、トータルなストーキングが求められます。

シャローのボトムクローリング(ずるびき)とボトムスイング

水深1.5-2m程度のフィールドでのブラインドの釣りとなります。クロダイに限らずスモールマウスバスなどもボトムを意識している魚は、底で起きている異変に敏感に反応します。サイトフィッシングで使うものよりも重ためでアピールの強いボケジャコ系やハゼ系のフライをボトムへ置いてから、フライラインを流れに乗せて引っ張らせることで派手なクローリングを行って魚を引きつけることが出来ます。警戒心の強い個体ではなく好奇心の強い個体を狙えるため、ストライクがはっきりと伝わる釣り方となります。

浅い場所では根掛かり防止のためにフローティングラインやシンクティップ、水深がある場所ではシンキングラインを使い分けます。フラットの釣りで丁度いい水深になるまで待てない場合や、魚が少ないシーズンには必要な手法となります。

クロダイの密度が高い場所ほど丁寧なボトムクローリングが必要ですが、広範囲に散らばっている場合は気付かせるために、あえてラインテンションでフライを引きずるボトムスイングをやる方がいい場合があります。

ピンスポットのフォーリング(落とし込み)

クロダイのメジャーな釣り方に「ヘチ釣り・落とし込み・前打ち」という障害物のキワをギリギリに落としていくエサ釣りがありますが、フライフィッシングでも同じ状況で釣ることができます。岸壁だけでなく、磯やゴロタでもクロダイは驚くほど近い場所に着いていますので、クロダイが「壁」に着いている状況を探して、気づかれないように接近し、魚と障害物の間を落としたり、魚の側線ギリギリを落としたり、奥深い釣り方となっています。

長めのロッドを使って岸側から狙うこともできますが、やる気のある個体は餌のいる岸側を意識していることが多くクロダイをスプークしやすく難易度の高い釣りとなります。ボートやカヤックを使って沖側から障害物のキワを狙う方が違うスポットへ移動しながら群れをスレさせないように釣れますが、東京湾や大阪湾ではこれをやらせてくれるガイドボートがあります。

フライタックルとラインシステム

Sage X 7番であれば、渋い状況では6番ラインに小さいフライ、盛期で重たいフライを使う時や風がある時は8番ラインと使い分けできる。

使うフライの大きさや水深、フィールドの風によってシングルハンド6-8番のフローティングラインもしくはインターミディエイトラインを使い分けます。浅瀬にいるクロダイは非常に臆病な魚でフライラインが見えただけで逃げてしまうことが多いのですが、同時に餌をとることにも貪欲です。魚からフライだけが見えている必要があるので、ロッドと同じ長さのフロロカーボンのテーパーリーダーにティペットを最低でも6フィート継ぎ足します。

最近はロッド性能が進化して指定番手から+-1は当たり前に投げられる物が増えてきました。シングルハンド7番ロッドへ6番/8番のフライラインを使い分けるスタイルも人気になっています。また、透明フライラインは影を落とさないので、あまりロングリーダーにして快適さを落とすよりも、最もプレッシャーを与えるここに気を遣う方が釣果に影響します。(TFFCCカルロスとエドは愛用中)

裏技ですが、フライラインとリーダーシステムの間に3フィートほどのナイロン製インジケーターリーダー4号を入れておくとフォール中のアタリやボトムステイのアタリも取りやすく、魚が咥えた時のショック吸収にもなるので、聴きアタリに慣れるまではおすすめです。4号ナイロン→3号フロロ→2号フロロの3段階テーパーをロッドと同じ長さに組んだ先端に1.5号ティペットが使いやすいです。

フライを入れてから底をとることが重要なので、ドライフライの釣りのようにリーダーシステムをセットしてフライを結んだら、実釣を始める前に狙った場所へフライを正確に落とせるように練習しておきます。

ロッドコントロールが良ければ良いほど、ティップ感度が高ければ高いほど釣りやすいので、できる限り軽量のロッド&リールがオススメです。決して長く走る魚ではありませんが、ラインスラックが出るとフックオフしやすく、障害物が多いところでは主導権を握らないとラインブレイクしやすいので、無用にラインが滑り出さない程度のドラグパワー1kg-1.5kg程度のフライリールは必須となります。

フライセレクション

その場のクロダイの食性に応じて合わせる必要があるので、浅瀬でテイリングしているクロダイには餌となっているカニや二枚貝、ボケジャコのイミテーション、岸壁でイガイを食べているクロダイには二枚貝のイミテーション、活発にエビやアミを捕食している魚にはクレイジーチャーリーなどケースバイケースでマッチザベイトする必要があります。ボラと一緒に砂底の餌を吸い込んでいる個体には砂と同じ色のヘアーズイアニンフが効くことも・・・。

フライが流されなくするためと、聴きアタリをする際の感度を担保するため、釣る場所や時合いに応じたウェイトのフライを使い分けます。水深があったり水流がある場所では重ため、浅く水量が弱い場所では軽めとなります。使うカラーは底の色に合わせます。

また、ウェイトはダンベルアイ、ボールチェーンアイ、タングステンオフセットビーズから選択することになりますが、少しウォブリングさせて誘いたいのか、警戒させないために素早くボトムへ着底させたいのか、複数のパターンを持っておくことが釣果につながります。

クロダイの口は非常に硬くできているので、針先は「刺す」と言うよりも、「滑り止め」や「唇へひっかけておく」だと思って、フックシャープナーを携帯して常にシャープな状態に保っておきます。

フックセット&ファイト時の抜けにくさを重視してフックを選びますが、針にかけた時の魚との位置関係で、フラットのように竿先とクロダイの高さの差が少ない場合はできればストレートフック。足場が高い場合はヒネリが入った普通の「管付チヌ」を使います。

フラットの場合、横方向へフックセットを決めるために、すっぽ抜け回避を何よりも優先してワイドゲイプかつフックポイントがオープンのものを選びます。フックでホールドするのではなく、タイトラインでホールドすることになります。

カニフライ

「コメコメクラブ2世」Sサイズは膝下の深さ、Lサイズは深場で使う
近距離でライトタックルでクロダイを釣るために開発されたファジーなカニフライ「コメコメクラブ」。実際に釣ったフライでブラインド仕様に極太フック仕様になっている。

通常は4号サイズを基準にして、盛期には積極的にアピールするために6号サイズ、警戒心が強い場合や個体が小さい時は2号サイズを使い分けます。ブラインドで使うパターンは知らない間に何度も咥えられてフックが潰されてしまうことがあるので、極太を使うことが有効です。

エビ・シャコフライ

ここ1年ほどのシャローフラットの釣りで非常に成果の良い、小さいエビや稚シャコを模したオリジナル・フライですが、ジグニンフ用のフックにタングステンオフセットビーズを使い、着水が静かでスッとボトムに入るフライも投入しています。同じ群れに対してチャンスが増えます。ぜひお試しください。

どのフライも海藻が多いポイントや海苔が浮遊するシーズンはウィードガードをつけてください。20-30lbモノをV字型にセットし、曲げた時にその先端がフックポイントよりも長めに届くくらいが目安です。形状記憶ワイヤーの0.2-0.3mmのウィードガードも使いやすいです。

リーディングのポイント

クロダイは釣るまでの段取りが多いので、サイトフィッシングの場合、できる限り早く魚を見つけることが釣りの成否を大きく分けます。できれば15m以遠で魚を発見しておくことでプレゼンテーションの自由度や打つ手も増えるので重要です。

「サイト」の意味が誤解されることがありますが、魚の姿がはっきりと見える近さではすでに魚から発見されてしまっているので、2つの方法があります。

一つは予め魚が入ってくるであろう浅瀬の見え方を目にしっかりと残像として焼き付けておいて、そこから異なる要素を「見抜く」方法。このため偏光グラスは必需品となります。個人の色覚とその日の水色(底の色と空の色に影響される)によって一概に言えませんが、暗い時間に使うイエローかイエローグリーン、明るい時間に使うアンバーかブラウンが標準です。「目を慣らす、見抜く、目を慣らす、見抜く」を繰り返していると見えるようになってきます。

もう一つの方法は魚が水面に作り出す変化を捉えてコースを読み取る方法。同じく偏光グラスは重要ですが、テイリングしている魚の「尾びれ」を見つけたり、移動中の魚が立てる水面の乱れ「ナーバスウォーター」を見つける必要があります。トラウトで言うところの「ライズ」、餌釣りでいうところの「もじり」を見つける方法と同じです。

アプローチのポイント

いつでもキャストできるようにロッドティップからフライラインの先端が出ている状態でラインハンドへフライとリーダーを束ねて持っておくか、ラインバスケットを使って体勢を整えておいてから、格闘技で行うような摺り足で一定の姿勢を保ったままゆっくりとアプローチします。上手な摺り足は魚を驚かさないだけでなく、仲間のボトムフィーダーと勘違いさせて魚を寄せる効果もあります。

どのタイミングでポイントへ入るかは、その場所のクロダイの習慣と潮の具合に大きく左右されますが、サイトフィッシングを有利に進めるためには重要なポイントです。

餌が広範囲に豊富な干潟の場合、上潮で入ってくる魚を40-50cm程度の水深のタイミングで狙うのが魚の警戒心が薄れつつ、これから餌を取るつもりの魚たちのナーバスウォーター(魚が泳ぐ時に起こす曳き波)やテイリングを発見しやすいのでアングラー有利の段取りとなります。

逆に障害物が混じる餌場ではクロダイはカケアガリや魚道に沿って隠れながら障害物の影から影へクルージングするので、魚たちが餌を取るタイムリミットが迫る下潮が有利となりますが、深くても腰くらいの水深で早めの発見もしくは待ち伏せのポジション取りが全てとなります。群れではなく個体ごとに餌をとることが多いので、一匹をミスったら次を待ちます。

ヘチで狙う場合、一切の振動音は禁物で、渓流と同じ「木化け岩化け」でにじり寄るストーキングが必要です。ポジションに着いたらじっと動かず待ち伏せに入ります。

プレゼンテーションのポイント

クロダイへのアプローチが成功したら、続けてやる気のある捕食モードのクロダイを選ぶ「コール」という段取りが重要になります。群れで浅瀬へ入ってくるクロダイの先頭の一匹は特に警戒心が強く、この一匹をスプーク(驚かせる)させるとアングラーが見えていない後続の魚も警戒モードに入ってしまいます。スローに入ってくるリーダーは捕食モードに入る可能性が高いですが、速度を変えずに入ってくるリーダーは狙わずに、その後ろの魚が捕食モードに入るか観察しておきます。

捕食モードの魚の視界の水底へフライを「セット=置く」ために、その魚の進行方向へ十分なリードを計算してフライを入れておきます。この際速く沈めるためとフォール中のストライクを狙うために、ロッドティップを水面ギリギリへ下げてラインへはテンションをかけずにナチュラルフォールさせます。

その場の水深やベイトに合わせて、着水させてそのままフォーリングだけ、またはスローなボトムクローリングを1回だけ入れたプレゼンテーションで興味を引きつけたあとは、クロダイを警戒させずにフライをしっかりと咥えさせるまで待ちます。何度も突いてからでないとくわえない個体もいれば、底へ落ちる途中で加速してくわえていく個体もいたり様々です。反応が無い時はボトムクローリングを行って魚へフライを気づかせます。それでも無視されたらスレさせないように、丁寧にピックアップしてキャスト&プレゼンテーションのやり直しです。

ストライク&フックセットのポイント

フライを置いた位置で魚がストップする、頭を下にしたテイリング状態に入った場合は、魚を驚かせないように緩やかにテンションを保ちながらティップとラインハンドを通して「聴きアタリ」できるようにします。クロダイは口先が器用なので、ほとんどの個体はまず口先でつまんでいることが多く、しっかりと咥えていません。咥え直してからでないとフッキングできないので、絶対にロッドを動かしたりせず、聴きアタリしながら重みを感じる=口のどこかに針先が引っかかるまで待ちます。

この「咥え直し」がクロダイの曲がり角となっており、他のクロダイ属の魚と比較してもフックセットが難しい理由です。キビレやナンヨウチヌは泥底の捕食が多いため吸い込む力が強く、待ち過ぎると飲まれてしまったり逆に見破られるので、「重みが乗る」を判断基準にしてください

重みを感じた後はロッドティップを動かさず、ゆっくりと大きくラインハンドでフックセットします。これで重みが乗っていればフックセットできていますが、これでもしっかりと刺さることは無いので、最後までロッドティップを低い位置に保ちながらラインからロッドへテンションを載せ変えてファイト開始です。

ファイト中はその個体の個性とアングラーと真剣勝負!クロダイの動ぎに対応しつつ絶対にテンションを抜かないように気をつけながらランディングします。

岩やテトラのような障害物が入るような場所では、反対に根に巻かれないように魚が上を向くようにロッドを高い位置へ持ち上げて主導権を握ります。

ランディングとリリースのポイント

ランディングする時は、暴れさせないようにロッドのバットに魚の重みが乗るように誘導して仲間の魚から離しておいて抜き上げることで、ポイントを荒らすことを防げます。リリースする際も、ポイントの反対側へ逃すなどリリースするクロダイに仲間を警戒させないようにします。

ロングティペット・リーダーシステムは有効か?

従来、扱い易いセッティングはロッドと同じ長さ(9フィート)にテーパーリーダーを組んでおいて、ティペットだけ必要な長さ(3−6フィート)を繋ぎ、全長を12-15フィートに収める方法です。しかし、クロダイの捕食ゾーンにフライを入れて置いてから複数の魚にアピールするためには、ティペットが長い方が有利なのは間違いありません。複数の魚がいるスポットで異変を感じさせない目的もありますが、フライを咥え直しさせる時にはスラックがある方がクロダイが長くフライを口に咥えておいてくれます。

アングラーによってはティペットをロッドの長さ分とって全長18フィート、フライ交換を頻繁にする場合は長めに21フィートと言った、渓流でのロングティペット・リーダーシステムと同じコンセプト(元々は渓流や磯での脈釣りから始まったものです)でアングラー有利にセットすることもあります。デメリットはフライを飲まれてしまうこと。大抵はランディングした後で外れてくれますから、これもフッキング率が上がるのでアングラー有利と言えるかもしれません。

反面、ロッドティップを通じて感じるダイレクトな躍動感や駆け引きが減ってしまうので、スリルは少なくなります。ここは個人の好みだと思いますが、普通のシステムで試してみて、釣れない時はティペットを長くとる手もあるよ、と思ってください。

ガイドサービスについて

クロダイのフライフィッシングのメッカといえば、静岡県西端の浜名湖が有名です。初めての一匹を確実に手にできるかはアングラーのスキルやセンス、その日のコンディションによりますが、全部を自分でセッティングするのは大変!
初めての方や、ハッピーエンドが好きな方はガイドサービスを利用することをおすすめします。

喜多賢治さんのガイドサービス「ワタツミ」でハッピーエンドのデイヴィッド
杉浦雄三さんのガイドサービス「ティール」でクロダイGETのエドウィン

フィールドレポート

クロダイ属の他の魚

もし、ここでクロダイにハートを破られてしまったら・・・。大丈夫!この子たちが遊んでくれます!
一押しは「ナンヨウチヌ」!日本では先島諸島にしか居ませんが、オーストラリアにまで幅広く生息するグローバルなターゲットです。基本的な段取りはクロダイと全く同じですが、もっとのんびりと遊んでくれます。

a) キビレ/Yellowfin Seabream / Acanthopagrus latus (Houttuyn, 1782)
b) ミナミクロダイ/Okinawa Seabream /Acanthopagrus sivicolus (Akazaki, 1962)
c) オキナワキチヌ/Okinawa Yellofin Seabream /Acanthopagrus chinshira (Kume & Yoshino, 2008)
d) ナンヨウチヌ/Pacific Seabream / Acanthopagrus pacificus (Iwatsuki, Kume & Yoshino, 2010)

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