セミオート・フライリールという選択肢
元々フランスの山岳渓流の釣りのために発明されたセミオート・フライリールですが、イタリア系フランス人ムリネ・ヴィヴァレッリが立ち上げたブランド「ヴィヴァレッリ」が、フランス、イタリア、スイス、スペインなど、山岳渓流をフィールドとするフライアングラーたちに愛用されてきました。その後、人口比で最もセミオートリールを使うフランスがWFFCなどのフライフィッシング競技に投入したことで、フランスの「JMC」のセミオートリールを使いこなすフランスチームが筆頭レースで一歩先んじることになっています。
ロッドを持つ腕でまとめてリール操作ができる
セミオート最大の利点は、フライロッドを親指・人差し指・中指で握りつつ、薬指と小指を使ってレバー操作でフライリールを巻くことができること。一度慣れてしまえば、ドラグ調整以外では、ほぼ全ての動作を利き腕にまとめることができます。
ハイギア(2.5〜3.0:1)で高速リトリーブできる
細いフライラインを使うニンフィングはもちろん、一般的なDTやWFラインを使うドライフライやルースニングにおいて、最大の頭痛の種は足元に垂らしておくフライライン。最先端のセミオート・フライリールは2.5〜3.0:1ギア比のハイギアが搭載されており、レバー操作一回で2-3mを瞬時に巻き取ることができるので、常に足回りをクリアーして、スピーディーにポジション取りや移動を行うことができます。
スラック&リトリーブファイトで主導権を握れる
競技用に設計されたパワーのフライロッドと組み合わせることで、積極的にロッドファイトで魚を疲れさせつつ、スラックを巻き取りリール・ドラグを使わせることで、効率的にファイトを進めて最短時間でランディングできます。
セミオート・フライリールの所作比較
動作ステップ | セミオート・フライリール | 従来型フライリール |
---|---|---|
アプローチ | ロッド操作とリール操作を同じ利き腕で行いつつ、ハイスピードギア(2.5〜3.0:1)で巻き取れるため、不要なラインを素早く回収して、常にベストなポジションに迅速に移動できる | ロッド操作とリール操作が別々の腕で行うため、またギア比1:1のため、不要なラインを巻き取るのに時間がかかるため、ベストじゃないポジションに妥協せざるを得ないことも |
キャスト動作中 | 足元の余分なラインをいつでも即時回収できるため、キャスト・トラブルの発生を低減できる | 足元の余分なラインはキャストが終わるまで操作しづらいため、ラインを踏むことによるキャスト・トラブルが発生しやすい |
シュート中 | シュート中も余分なラインを即時回収できる | 何もできない |
ターンオーバー | 必要であれば高速巻き取りを使って利き腕だけで強制ターンオーバー可能 | 両手を使ってラインをコントロールすることで強制ターンオーバー可能 |
プレゼンテーション中 | ラインの出し入れが瞬時にできる | 多少はラインの出し入れができる |
再アプローチ | アプローチを変えたい場合、素早くラインを巻き取ってポジション変更できる、余裕があるので落ち着いて状況を確認できる | ラインの出し入れに時間がかかるため、ポジションを変更するのに手間がかかる |
移動 | 場所を移動する場合、素早くラインを巻き取って移動できる、常に片手が空けておけるので身体を支えたり、ウェーディングスタッフを持っておいたり安全確保できる | 場所を移動する場合、ラインの巻き取りに時間がかかるため、出しっぱなしのトラブルに遭い易い、注意が散漫になり易い |
同じ300m区間を釣り上がる場合に、利き腕にロッド&リール操作を集中させられて、足回りをスッキリさせられるセミオート・フライリールを使うと、3倍〜7倍の速度で段取りを進めることができます。釣り上がり・釣り下り・釣り歩きを優先するアングラーには非常に力強い戦力となります。
セミオート・フライリールを使いこなす
フライラインとリーダーはネイルレス・ネイルノットまたはネイルノットで結束する
高速巻き取りを活用した素早いラインの出し入れを快適に使うために最も重要なのは、いかにガイドをスムースに通過させるか。フライラインの先端とリーダーはガイドへの引っ掛かりが少ないネイルレス・ネイルノット、もしくはネイルノットで結束します。
ラインクリップ
片付ける際に困るのはリーダーをリールに巻き込んでしまうこと。ラインクリップをリールに接着しておくことで、手際良く片付け・セットアップできます。
超軽量・アルミフレームネットを使う
利き腕にロッド&リール操作をまとめた反対側のフリーハンドの方へ、60サイズでも200グラム台という驚異的な軽さのアルミフレームのランディングネットを用意しておけば、非常に効率的かつ安定したランディングを行うことができます。
まとめと続き
セミオートが活用されているのは主に小規模河川におけるニンフィングとドライフライの釣りですが、実際に使ってみると臨機応変にキャストする止水や本流でも非常に便利です。新たな発見を得たら、都度更新します。
この記事のメンバー
この記事のディスカッションに参加する | Join the Discussion
東京フライフィッシング&カントリークラブのFacebook グループ「Friends Lobby」ではメンバー以外の方とのディスカッションも行っています。気になる情報や質問などはこちらまで!
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません