四国島のフライフィッシング – Part 2 南徳島のヒラスズキと謎の魚

2020/11/25アカメ,シーバス,ソルトフライ,ヒラスズキ,フライフィッシング,四国,徳島県

徳島を海岸沿いに南下

さて、全く土地勘が無いのである程度ヒラスズキが釣れそうな海岸や車中泊スポットをGoogle Mapへ入れておきましたので、南へ南へと海岸が見える時はチラ見しながら車を走らせます。

夕暮れになる前に「道の駅日和佐」へ立ち寄りました。隣接するドラッグストアで食糧を調達してから、車でコーヒータイムにしてGoogle Mapや地元の情報をネットリサーチしながら考えます。ここ日和佐の港ではアカメがルアーで釣れていて、このあたりの汽水域でフライフィッシングをするのも良いかなと思いましたが、「生物多様性の観点から重要度の高い海域」という環境省のページがヒットしたので、「・・・・・・」となり、さらに南を目指すことにしました。このあたりから遥か南愛媛までヒラスズキ王国なので焦ることはありません。

宍喰にステイ決定

さらに南下していくと、今まで見たことがない海岸の地形が見え始め、遠国気分が高まります。もうどこへ車を停めて竿を出してもヒラスズキやアジが潜んでいそうです。しかし次の道の駅の名前は「道の駅 宍喰温泉」。釣り人以前に旅人である以上、温泉と聞いちゃ行くしかありません。ということで良いお風呂に入るために最初のベースはここに決めました。

ここ宍喰は南徳島でも有名なヒラスズキのポイントである海部川からも近く、次の予定が待つ高知との県境でもあります。サーフショップもあるし、磯が続く海岸線の合間にある足場が良い場所の揃った地形なのでフライフィッシングに向いた場所だと睨みました。温泉もあるし!

徳島南端の風光明媚な海岸の一部にある宍喰

夕食を済ませて道の駅に隣接するホテルの温泉を満喫したあとは、コニャックでも飲んで海の音に聞き入ろうかと思いましたが、飲んでしまうと運転できないので、グッと堪えてフライフィッシングのリサーチのために近くの海岸・河口・漁港をチェックすることにしました。タックルはツーハンド6番にスカンジS2/3、シングルハンド6番にスカジットをセットしました。

海岸と河口をチェック

海岸はちょうど上潮の最中で良い波が砕けてサラシが広がっています。しかしベイトっ気が全くなく、海鳥もここへは一羽もいません。3回くらいキャストしてスイングさせても魚っ気がないのですぐそばの河口へ移動しました。砂利浜の河口は工事で底上げされていて、上潮の時だけ海水が上がっているようです。ボラの群れが入っていますが、水位がイマイチで目立った動きもありません。

宍喰港で仕切り直し

続けて漁港へ車を回すとすでに日が暮れてしまって冷気も出てきたのでコーヒーブレイクで様子を見ることに。そうすると満潮いっぱいになった途端に2-4cmくらいと思しきベイトの群れが沸き立ち始め、沖合の方で「パシャ」という音が聞こえてきます。かなり魚影が濃そうなので焦らなくても良さそうですが、いつもプレッシャーの高い釣り場で釣っている故の貧乏性なので、コーヒーをがぶ飲みしてラビットゾンカー#2をセットしてあるシングルハンド6番タックルを掴んでフライフィッシング開始です。

ヒラスズキと謎の魚

漁港の灯りに照らされているところを、ゆっくりと振動を立てないように近づきつつ様子を伺います。明暗の境目の沖側で小さなナブラが散発的に起きていて、たまに白っぽい魚が明るい場所をギラギラとUターンしています。ヒラスズキに間違いありません。ゾンカーをキャストして見切られないように長いストロークでリトリーブすると何回か目にコツンとストライク!でもすぐにフックオフしてしまいました。感触で判断すると魚が小さいようです。

シーバスの場合、船などの障害物の影になっているところに大きい個体が潜むことが多いので、船の下やキワをチェックします。潮の流れの弱いヨレがある外灯の真下で40cmくらいの銀色の魚影がキワに隠れることもなく水深1mくらいにステイしています。濁りも入ってきましたが、プレッシャーが少ないせいか無防備も良いところです。ゾンカーを流し込んでみると少しだけ追いかけますが、あまり追わずに同じ場所へ戻ってステイします。間をおいて2回くらい試しましたがフライを見切られてどこかへ泳ぎ去ってしまいました。ヒラスズキにしてはこんな緩い場所にステイするなんて見たことないし、違う魚なんだろうか・・・。

赤茶色で薄い縞の入った謎の小魚

気がついたら何シーズンか使ってきたスカジットヘッドが捻れているので、直すためにロングキャストして捻れを取ります。他のポイントへ向かうためにラインを巻き取ろうとしたら、ゾンカーの後ろに赤茶色の別の小さい魚が4匹くらい距離をおいてチェイスしてきます。何だろうと思ってフライをピックアップするためにロッドを動かしたらば、レンジが外れた瞬間にUターンしていきました。どうやら船の下に隠れているようです。試しに船の向こう側へリードをおいてフライを入れてからカウントダウンして同じような速度でリトリーブすると、今度は2匹のつがいで距離を空けてチェイスしてきます。何回試してもチェイスするだけなので、試しにフライの動きを停めてチョンチョン動かすとフライまで10cmくらいまで近づいてホバリングしながら興味深そうに観察しています。

15cmあるかないか位の大きさですが、メバルにしては体が赤茶色だし縦縞も入っています。カサゴかとも思ったのですが、カサゴが水面までゆっくりとフライやルアーをみにきてホバリングするなんて見たことも聞いたこともありません。体の形も全然違うし、頭の割りに小さめの口よりも大きいゾンカーを食べようとしているのか、遊ぼうとしているのか、口先ギリギリまで近づいてはホバリングしています。たまに目が反射光で光ります。何の魚かわからないまま、ヒラスズキ狙いに戻ることにしました。

本命のヒラスズキ・タイム

海よりの潮回りが良いところへ移動してからもフライを吸い込みきれないショートバイトが連発で、フックセットしてもすぐに外れてしまう状態が連発・・・。フックが大きすぎるのではないかということで、#6サイズのゾンカーが一個だけ残っていたので結び変えてキャストして見たら一発でストライクが決まりました。突っ込むファイトはヒラスズキの感触です。キャッチしてみたら、30cmあるかないかのヒラセイゴ。旅行動画のためにiPhoneのストレージが一杯になっていて写真が撮れませんでしたが、フライが壊れてしまうまで6匹追加しましたが、どれも同じサイズです・・・。これじゃあ伊豆でヒラスズキやるのと変わらんじゃないか・・・焦ってきました。

そうこうしているうちに地元のアングラーたちがやってきてルアータックルをセットしながらスタート。彼らもショートバイトに苦労しているようで、少し離れたところで一緒に釣っている私から「魚が小さいみたいですよ、フライでも4cmくらいです」とお声がけしたらば、一人の方が40cmオーバーを3インチワームのフルキャストで釣り上げました。良かった、良いサイズの魚もいるようで安心です。

謎の魚の正体はなんとアカメ!

フライでは楽しめるサイズのヒラスズキ ですが、慣れている彼らはポイント大移動のための潮回りなどのプランニングに入りました。ボウズ回避されたさっきの方がフライフィッシングに興味があってお話ししていたらば、先ほど私が遭遇した「謎の魚」の事と状況を詳しく伝えたらば、「それ、アカメですよ。茶色いのが幼魚で、若魚になるとヒラスズキみたいな銀色になってきます」とのこと!この時はまさか徳島が普通に生息地だと知らなかったのですが、「紀伊水道から南側にメバルっていないんですよ。夜ルアーやっているとたまに見かけますよ」と教えてくれました。

アカメを理解していない私は、てっきりアカメの幼魚っていうのは川に住んでいると思っていましたが、むしろ関東でいうところの漁港シーバスやロックフィッシュのポジションにいるようです。高知でアカメフィッシングの予約を入れている私ですが高知入りする前に早くも遭遇してしまいました。

慌ててシングルハンド4番にゾンカーチャーリー#10をセットしたウルトラライトタックルで先ほどの現場に戻りましたが、濁りがキツくなっていて魚が反応することはありませんでした。

再びヒラスズキタイム

そろそろ潮も弱くなってきて、最後のチャンスタイムが近づいています。慌てて先ほどルアーの方が釣っていたポイントへ戻りますが、手前でボイルしていたヒラスズキはいなくなり、さらに大きな散発的なボイルを25m位先のところでやっています。慣れない場所で距離感が掴めないので、シングルタックル6番でやっていても追いきれていない様子。一回ストライクしましたが、やはりサイズアップした群れに入れ替わっていて、突っ込みが激しく12lbティペットを切られてしまいました。あぁ・・・マッチサイズのゾンカーもこれで売り切れです!

肩も辛くなってきたし、思い切ってツーハンド6番へチェンジするために車へ戻りましたが、一緒に使う伸縮式のランディングネットを東京に忘れてきたことが判明!潮位が下がっているし、これじゃ抜き上げる時に100%バラします・・・。待てよ漁港だから・・・冷凍倉庫の横に空積みされた生簀の脇に作業用のタモ網があったことを思い出して、漁船で作業されていた方にお断りして、少しだけお借りすることにしました・・・。

次はサイズのあったゾンカーがあるかどうかです。フライボックスを見ても小さすぎるチャーリーか、フック大きすぎのゾンカーしかないので、悩んでいたら沖縄用のフライボックスにトレバリーのショートバイト対策で作ったトレーラーフックのゾンカーがあったのを思い出してこれを16lbティペットへ結んで容量が残っているGoProをデジカメ代わりにポケットへ突っ込んで戻りました。

ツーハンドとトレーラーゾンカー

ツーハンドはやはり楽で、足元にアンカー打ってスカジットキャストで一発で30m飛んでいきます。しっかりと明暗部の遥か奥へフライを入れてカウントダウン15で大きな弧を描くコースで長いリトリーブを入れたら一発目で「ガツン」という強い引き込み!下に突っ込むだけと思って油断していたらば潮下の海の方へ魚が走ります。シーバスとは似て非なるファイトに戸惑いつつリールファイトへ移行しましたが、ドラグが強いリールではないのでバッキングラインを15mほどまで出されたところでドラグを締め込んだ途端に軽くなってしまいました。慌てていたせいでノットが甘かったようです。ティペットごと抜けていました・・・。

オルブライトノットでしっかりと結び直して再開。今の魚が暴れてくれたせいでしょうか。少し休ませたのにも関わらずポイントが沈黙してしまいました。何回かキャストしてもカウント15では無反応。そこでカウント30でスイング&リトリーブすると覚えのあるコツンというストライク・・・。あぁ・・・小さい魚に戻ってしまっています。ツーハンドでは簡単に寄ってきて、ネットを使うまでもなくオートリリースさせます。

ヒラスズキ(ヒラフッコ)自己記録更新

でもさっきだって小さい魚の群れの周りに40cmサイズがいたんだから、まだいるに違いない。集中力を途切れさせずにやっていますが、段々と潮が弱くなってきてスイング:リトリーブの比率がどんどんリトリーブ側に寄ってきています。すると海の方で大きめのボイル音が!同じ場所を叩くのはやめて、まだ流れが効いている海側へオーバーヘッドでフルキャスト。距離感が掴めないので大体35m位は飛んでいると思いますが、着水と同時に長めのストロークでトレーラーゾンカーをアピールしていきます・・・すると・・・さっきのようなガツンという強い引き込み!バキバキの右肩で頑張って、漁港ネットのおかげで抜き上げずにランディングできたのは・・・。

自己記録更新の42cmのヒラスズキいやヒラフッコ!いやー、伊豆の河口でヒラスズキやろうという目算で買ったBeulah Platinum Spey 12'6''ですが、やっと満足のサイズで入魂することができました!このサイズでもシーバスと比べるとやっぱり口が小さいので、無理に#2のゾンカーを使わずトレーラーフックゾンカーを使って正解でした。

ヘトヘトで爆睡

到着した夜中に早速目的を達成できたし、アカメとの遭遇もできました。東京の仕事の勢いのまま、遠路やってきて長距離ドライブと夜釣りでヘトヘトになって車内でコーヒータイムにしましたが、このままだと気を失って寝込んでしまいそうなので、漁師さんたちの邪魔にならないよう道の駅へ戻ります。

目が覚めたら真っ青な蒼空の素晴らしい日になっていました。四国島の海の蒼さ!心が洗われます。

夜中に水辺であくせくしていたのが夢のようです。天気が良いのでこの日は日中は何もしないことに決めて車も自分も一日充電タイム。

アーバンアイランダー号の後ろのシャワーでタックルを洗っていたら、洗って干しておいたストリーマーを放置していたことを思い出して並べてみました。一体いつのか思い出せません・・・。

東京湾のスカジット・シーバスや中禅寺湖のワカサギペンシルやら歴戦のストリーマーたち。

ここへこいつが加わることになりました。

この日の夜もゾンカーチャーリーの#6サイズを巻いてから宍喰港へ行ったのですが、濁りはさらに強くなっていてアカメもいないし、20cmサイズのヒラスズキが3匹釣れただけで納竿して高知県入りすることにしました。

Part 3へ続く。

この旅の動画

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タックル情報

シングルハンド4番タックル

  • フライ:ゾンカーチャーリー#10
  • ティペット:Seaguar Ace フロロカーボン2号
  • リーダー:Airflo Trout ポリリーダー 10フィート スローシンキング
  • フライライン :Scientific Angler エリアブースター WF4/5F
  • フライリール: Bauer MXP 3
  • フライロッド:TFO Jim Teeny 9フィート4番

シングルハンド6番タックル

  • フライ:ゾンカー#6
  • ティペット:Seaguar Ace フロロカーボン3号
  • ポリリーダー:Airflo Trout ポリリーダー 10フィート スローシンキング
  • スカジットヘッド:Commando Head 225GR
  • ランニングライン:Ken Cube EXシューティングライン フローティング
  • フライリール: Tibor Light Backcountry CL
  • フライロッド:R.L Winston Boron II-MX 9フィート6番

ツーハンド6番タックル

  • フライ:トレーラー・ゾンカー 5cm
  • ティペット:Seaguar Ace フロロカーボン4号
  • ポリリーダー:Airflo Salmon ポリリーダー 10フィート スローシンキング
  • スカンジナビアン・ヘッド:Scientific Angler Atlantic Salmon S2/3
  • ランニングライン:Ken Cube EXシューティングライン ホバー
  • フライリール: Hardy Ultralite 6000DD
  • フライロッド:Beulah Platinum Spey 12’6″ 6番

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