シングルハンド8番タックル

2024/09/16

世界的に見ると一般的なミディアムタックルであるシングルハンド8番タックル。サーモンやトラウトを対象にした本流や湖の釣りだけでなく、バスフィッシングやカープフィッシング、レッドフィッシュやクロダイなど汽水域の釣りから、広いフラットでのボーンフィッシュやパーミット相手の釣り、さらにはボートを使ったトップウォーターからディープレンジまでストリーマーフィッシングに対応できる汎用性、それがシングルハンド8番タックルの魅力です。

スティールヘッドとシングルハンド8番タックル(提供:グチ)

この番手について

ワンクラス下のシングルハンド6番タックルよりもパワフルで、ワンクラス上のシングルハンド10番タックルよりも軽量で長時間快適な釣りができる特長があります。

クロダイと透明フローティングライン

欧米では川でのサーモンフィッシング、ボートからのトラウトフィッシング、バスフィッシング用の番手として使われてきて非常にポピュラーな番手です。ソルトウォーター用のものはボーンフィッシュやレッドフィッシュといったサイトフィッシング向けに使われており、大きい魚にも耐えら得るようにバットセクションが太めに設計されているものもあります。

ワンポイント

一般的にフライロッドの設計は2番手ごとに性格がはっきり分かれていて、その番手を基準に風対策やファイト強度のために1番手を厚めに巻かれたブランクを使うことで高めたり、反対に繊細さのためにブランクを薄くして1番手落とす、という設計がされています。8番で足りないパワーは9番で置き換えてください。

TFFCC対戦シチュエーション

マゴチとフローティングライン

TFFCCメンバー達は、下記のフィールドにおける対戦シチュエーションで使ってきました。かなり幅広いフィールドで使うことができます。

フィールドラインタイプ対戦相手
なしなし
フローティング、スカジット&シンクティップスティールヘッド、コーホーサーモン、ソーカイサーモン、イトウ、サクラマス、マゴイ、ニゴイ、スモールマウスバス、ブラウントラウト、アメマス
フローティング、インタミ、スカジット&シンクティップスティールヘッド、ケタサーモン、サクラマス、アメマス、マゴイ、ロウニンアジ、ゴマフエダイ、ナンヨウチヌ、シーバス
フローティング、インタミラージマウスバス、チャネルキャットフィッシュ、ストライプドバス(MAV)、マーレーコッド(MAV)、コロソマ(HFR)
フローティング、インタミ、ファーストシンキング、スカンジナビアン・ホバーラージマウスバス、ブラウントラウト、レイクトラウト、ニジマス、サクラマス、コーホーサーモン
フローティングボーンフィッシュ、クロダイ、マゴチ、ハマフエフキ、カスミアジ
フローティング、インタミボーンフィッシュ、パーミット、カスミアジ、ロウニンアジ、カンモンハタ、イシガキハタ、カサゴ
インタミイソフエフキ、ダツ、ギンガメアジ、コバンアジ
フローティング、インタミ、ファーストシンキングシーバス、ヒラスズキ、ギンガメアジ、メアジ、カンパチ
フローティング、インタミ、ファーストシンキングシーバス、ヒラスズキ、マサバ、ヒラソウダ、メバル、アイナメ
なしなし

メリット1・・・質量が大きいフライラインを使った直進性の高いキャストができる

フライフィッシング ソルトフライ 沖縄 黒島
サーフの釣りでは平均20mを常にキャストすることが多い

適合させるフライラインをシュートする時のパワーが6番より30%も大きいので、湖やフラット、冬の離島のように強い風が吹く中でも直進させやすくなります。また、ソルト用に組まれたロッドであればバットのパワーも高いので、ファーストシンキングラインのピックアップもしやすく、重ためのジグフライや抵抗の大きいバスバグ、水を吸ったストリーマーも快適にキャスト・リキャストすることができます。

メリット2・・・フライラインやラインシステムの豊富な選択肢

シーバスとファーストシンキングライン

世界的に需要が高い番手なのでフルライン・システムもフローティングから湖のディープレンジを狙うS7まであるだけでなく、直進性が担保されているおかげでテーパーデザインのバラエティが豊富であり、フラット向けの例を挙げると「ボーンフィッシュ・テーパー」「パーミット・テーパー」、ボートの場合も「36ftショートベリー」「46ftロングベリー」などのように、実戦での使い勝手に最適化された様々なフライラインを選ぶことができます。

湖のボートフィッシングでドロッパーを組む際(レギュレーションに問題がない場合)も、ロッドパワーを当てにして自由にセッティングすることができます。

さらにスペイキャストのためのシューティングヘッド・システムもスカジナビアン、スカジットどちらもショート版が揃っていますので、バックスペースの無い水辺での釣りや、フローターやカヤックなど水面から低いポジションの釣りもやりやすく、ヘッドのパワーが十分にあるので、RIO T-11で自作シンクティップを使うこともできます。

メリット3・・・軽量で快適なロッド&リールが目的別に選べる

海外では本流や湖、ソルトにおいて需要が多い番手のため、軽量化されたロッド&リールを選べるのも大きな魅力です。ロッドは9フィートが一般的ですが、マングローブやジャングルの中の川が釣りやすい7フィート・ショートロッドもあれば、スペイキャストしやすい10フィート・ロングロッドもあります。ロッドの長さをフィールドに合わせること=操作のしやすさとなるため、ショートロッドならばストラクチャーやオーバーハング下を狙うようなキャストが、ロングロッドならばメンディングやテンションコントロールを行うプレゼンテーションでも使いやすいです。また10番と比較して着水が静かでピックアップも軽いので、ライズ撃ちやテイリング撃ちもしやすいです。

フライリールはディスクドラグがほとんどですが、最先端素材や設計で軽量化されたものが多いだけでなく、さまざまな魚へ対応させるためにドラグ性能も1kg前後-2.5kg前後と幅広く選べるので、いきなり完成形を組まなくても、魚種ごとに組んだり理想のキャスティングタックルを組めるのも大きなメリットです。

メリット4・・・プレゼンテーションにおける操作性

ストラクチャーの際にピッタリとフライを入れないと出てこないデイゲームのシーバス

ロッド&リールの豊富な選択肢と軽量化によって、プレゼンテーション中のロッド操作もリール操作も非常に快適になっています。またロッドの設計によってはティップ感度も繊細にできているものもあるので、ライトゲームにおけるベスト番手と言っても過言ではないでしょう。

メリット5・・・ファイトにおけるロッド&リールのアドバンテージ

GTやカンパチも40クラスくらいなら余裕でファイトできる

ロッドのバット部分の直径も大きくできるため、ファイト性能も向上。湖の大型トラウトやシーバス・クロダイを例にとると、ファイト時間は6番と比較して1-2割ほど短縮できます。適合させるフライリールのバッキングラインの巻量も増やせる上に、2.5kgといった強目のドラグも搭載できるため、サーモンやボーンフィッシュのような走る魚へも対処しやすくなります。

またフライラインの太さや浮力によるライン抵抗ドラグも6番に比べて30%以上UPするため、ロッド・リール・ラインのドラグ性能を総合すると、根に突っ込む魚に確実にブレーキをかけ、テクニックを駆使さえすればボートやサーフからの青物の釣りにも使えます。

デメリット

特に大きなデメリットはありませんが、6番と比較すると着水インパクトが大きくなること、キャスト中の影が出やすくなることでスプークしやすくなります。これらはロングリーダーシステムや透明フライライン・透明ティップフライラインを使うことでカバーできます。

また、10番ほどのパワーやバット強度は無いので、オフショアで必須となるエクストラファーストシンキングのラインは扱えないこと、リーフエッジやボートの真下へ突っ込む場合はロッドパワーを生かしたファイトではなく、ロッドを痛めないために、魚を左右に誘導して浮かせるファイトを行う必要があります。

エントリー向け低予算アウトフィット

とりあえず初めてみたい場合に、おすすめなのが中華製タックル。ただし、最先端デザインやテスター達のフィードバックや生涯保証などは無いため、耐久性や精度などには問題があることもありますが、とにかく低予算エントリー優先ならばこちら。

遠征むけエントリーアウトフィット

先輩にお願いして同行したり、ツアー会社で予約して遠征へ行く場合は、旅先であっさり破損なんて厳禁なので、きちんとテストされたブランドを使うのが無難。エコーはフライキャスティング世界チャンピオンが主導して、世界中のユーザーがテストしてきた信頼のブランドにもかかわらずリーズナブルな価格設定が魅力です。

自分に合ったベストマッチはフライショップで

GTはある朝突然に・・・ ボロン素材で強化されたR.L.Winstonの8番、不意なGT相手でも折られません

とはいえシングルハンド8番タックルも「湖特化」だったり「バス特化」だったり、本来8番で対戦すべきじゃない70cm近いGTに出会っても折られない「強化版」8番だったり、色々な種類が出ているので、タックル選びに失敗したくない時は、やっぱり経験豊富なスタッフがいるフライショップが一番!自分のやりたい釣りや自分のスキルを正確に伝えて、、目的に合ったフライラインやロッド&リールを選びましょう。

まとめと続き

TFFCCメンバーの半数以上がシングルハンド8番タックルが欠かせない番手となっており、いろんなシチュエーションで使ってきていますので、お会いすることがあればお気兼ねなくお尋ねください。

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