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セミオート・フライリールという選択肢

2025/04/24

元々フランスの山岳渓流の釣りのために発明されたセミオート・フライリールですが、イタリア系フランス人ムリネ・ヴィヴァレッリが立ち上げたブランド「ヴィヴァレッリ」が、フランス、イタリア、スイス、スペインなど、山岳渓流をフィールドとするフライアングラーたちに愛用されてきました。その後、人口比で最もセミオートリールを使うフランスがWFFCなどのフライフィッシング競技に投入したことで、フランスの「JMC」のスタードラグ&ハイギア搭載のセミオートリールを使いこなすフランスチームが筆頭レースで一歩先んじることになっています。

編集ノート
  • 4/22・・・ドラグ機能について追記
源流から中本流まで活躍するJMCのセミオート・フライリール - 左:YOTO XPR 50、中央:YOTO XPR 30、右: YOTO Nymph
WF6番まで対応し、大きな本流や湖でも使えるバッキング巻き量の「JMC Ozone Racing 36」

ロッドを持つ腕でまとめてリール操作ができる

セミオート最大の利点は、フライロッドを親指・人差し指・中指で握りつつ、薬指と小指を使ってレバー操作でフライリールを巻くことができること。一度慣れてしまえば、ドラグ調整以外では、ほぼ全ての動作を利き腕にまとめることができます。

ファイトは右手に集中、左手は体のバランスやランディングネットに集中の完全分業

ハイギア(2.5〜3.0:1)で高速リトリーブできる

細いフライラインを使うニンフィングはもちろん、一般的なDTやWFラインを使うドライフライやルースニングにおいて、最大の頭痛の種は足元に垂らしておくフライライン。最先端のセミオート・フライリールは2.5〜3.0:1ギア比のハイギアが搭載されており、レバー操作一回で2-3mを瞬時に巻き取ることができるので、常に足回りをクリアーして、スピーディーにポジション取りや移動を行うことができます。

スラック&リトリーブファイト(ロッドファイトとラインファイトの組合せ)で主導権を握れる

セミオート独自のファイティングスタイルとなりますが、競技用に設計されたパワーのフライロッドと組み合わせることで、積極的にロッドファイトで魚を疲れさせつつ、スラックを巻き取ることで、ドラグを使わずとも効率的にファイトを進めてランディングできます。

スラック&リトリーブで積極的に疲れさせれば、年季を経た60サイズのニジマスも有利にファイト

ドラグを効かせて魚を疲れさせることができる

これはダイレクト・ドライブやアンチリバースと変わりませんが、ドラグ付きのセミオートであれば、ドラグを活用して有利なファイト行うことができます。スラック&リトリーブと合わせてドラグを積極的に使うことで最短時間のランディングを可能とします。

セミオート・フライリールの所作比較

動作ステップセミオート・フライリール従来型フライリール(ダイレクトドライブ)
アプローチロッド操作とリール操作を同じ利き腕で行いつつ、ハイスピードギア(2.5〜3.0:1)で巻き取れるため、不要なラインを素早く回収して、常にベストなポジションに迅速に移動できるロッド操作とリール操作が別々の腕で行うため、またギア比1:1のため、不要なラインを巻き取るのに時間がかかるため、ベストじゃないポジションに妥協せざるを得ないことも
キャスト動作中足元の余分なラインをいつでも即時回収できるため、キャスト・トラブルの発生を低減できる足元の余分なラインはキャストが終わるまで操作しづらいため、ラインを踏むことによるキャスト・トラブルが発生しやすい
シュート中シュート中も余分なラインを即時回収できる何もできない
ターンオーバー必要であれば高速巻き取りを使って利き腕だけで強制ターンオーバー可能両手を使ってラインをコントロールすることで強制ターンオーバー可能
プレゼンテーション中ラインの出し入れが瞬時にできる多少はラインの出し入れができる
ファイト中設定したドラグを効かせながら(必要に応じて調整)、ロッドファイトやラインファイトで作ったスラックを瞬時に回収できる設定したドラグを効かせながら(必要に応じて調整)、ロッドファイトとラインファイトを行う
再アプローチアプローチを変えたい場合、素早くラインを巻き取ってポジション変更できる、余裕があるので落ち着いて状況を確認できるラインの出し入れに時間がかかるため、ポジションを変更するのに手間がかかる
移動場所を移動する場合、素早くラインを巻き取って移動できる、常に片手が空けておけるので身体を支えたり、ウェーディングスタッフを持っておいたり安全確保できる場所を移動する場合、ラインの巻き取りに時間がかかるため、出しっぱなしのトラブルに遭い易い、注意が散漫になり易い

同じ300m区間を釣り上がる場合に、利き腕にロッド&リール操作を集中させられて、足回りをスッキリさせられるセミオート・フライリールを使うと、3倍〜7倍の速度で段取りを進めることができます。釣り上がり・釣り下り・釣り歩きを優先するアングラーには非常に力強い戦力となります。

ファイトのバランス配分

フライタックルを使った魚とのファイトは、「ロッド」「ライン」「リール(ドラグ)」の3つの要素を使って行います。使うフライリールの機能によって、このバランスが変わります。セミオート・フライリールの場合、ハイギアによるライン巻き取り性能を積極的に活かすことができるので、渓流ー中本流のニジマスの場合、バランスがこれだけ違います。

リール種類ロッドファイトラインファイトリール(ドラグ)ファイト
セミオート&ハイギア30%45% (レバー操作とラインハンド操作)25%
ダイレクトドライブ20%40% (ラインハンド操作のみ)40%

セミオートを使い慣れれば慣れるほど、レバー操作でもできるラインファイトの比率が高くなっていきます。ベテランの方の場合、ドラグが付いていないセミオートリールで30lbサイズのストライプドバスをキャッチする方も・・・。

セミオート・フライリールを使いこなす

フライラインとリーダーはネイルレス・ネイルノットまたはネイルノットで結束する

高速巻き取りを活用した素早いラインの出し入れを快適に使うために最も重要なのは、いかにガイドをスムースに通過させるか。フライラインの先端とリーダーはガイドへの引っ掛かりが少ないネイルレス・ネイルノット、もしくはネイルノットで結束します。

ラインクリップ

片付ける際に困るのはリーダーをリールに巻き込んでしまうこと。ラインクリップをリールに接着しておくことで、手際良く片付け・セットアップできます。

超軽量・アルミフレームネットを使う

利き腕にロッド&リール操作をまとめた反対側のフリーハンドの方へ、60サイズでも200グラム台という驚異的な軽さのアルミフレームのランディングネットを用意しておけば、非常に効率的かつ安定したランディングを行うことができます。

まとめと続き

セミオートが活用されているのは主に小規模河川におけるニンフィングとドライフライの釣りですが、実際に使ってみると臨機応変にキャストする止水や本流でも非常に便利です。新たな発見を得たら、都度更新します。

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参考資料

セミオート・フライリール歴10年のビル・ヘンリーさんのまとめたセミフライリールの本。
ヴィヴァレッリからJMCまで詳しく紹介されています。

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