中禅寺湖釣行・前編: レイクトラウト道場

2020/11/25Beaulah,RIO Scandi,スカンジナビアン,スペイ,ツーハンド,フライフィッシング,レイクトラウト,中禅寺湖

2017年シーズンは肩の故障という不本意な状態でスタート。9フィート4番以上のシングルハンドロッドでのオーバーヘッドキャストが肩の痺れのために出来ず、ストリーマーやペンシル、ポッパーやジグタイプのフライを操るのが楽しいソルトフライやウォームウォーターフライから強制退場となってしまいました・・・。普通はここで凹むべきなのでしょうが、私の幼稚な思考回路には「#レイク #ブラウン!」と言うハッシュタグが踊ります。これこそしばらく遠ざかっていた湖の釣りにじっくり取り組むチャンス!行き先は昨年ちょっとだけ釣っていい思いをした中禅寺湖にしました。

中禅寺湖のレイクトラウトについて

日本で唯一レイクトラウトが生息する中禅寺湖。レイクトラウトはサケ科イワナ属の魚で、1960年代に北米から移入された後、その圧倒的な魚食性から一切の追加放流が行われないまま現在まで繁殖し続けています。中禅寺湖の生態系の頂点に君臨し、他の魚よりも冷たい水を好むため、どんなに駆除しようとしても湖の深いところでは手も足も出ず、ほとんどが禁漁となる寒い季節には動きが鈍くなる他のトラウトたちを抑えて、湖の餌場はレイクトラウト一族の独壇場となっています。

2011年に発生した福島第一原発のメルトダウン事故で飛散した放射性物質が中禅寺湖に流れ込み、魚たちへ蓄積されたため、湖全域で魚食性のあるトラウトがキャッチ&リリースとなってから数年たち、その生息の濃さはピークを迎えた近年。私も噂は聞いていましたが、「湖はめんどくさい」「アメリカに居た時に散々釣った魚だし」という先入観が強く、ツーハンド&スカンジを入手した後も中禅寺湖は素通りして温泉のある快適な湯ノ湖や湯川へ直行していました。

(2008年に釣り上げられた103cm 16.5kg、8歳魚の日本記録のレイクトラウト - レイクオカジンにて)

その見方が変わったのが、昨年5月に湯川を釣った際に、宇都宮在住の知人の方に誘われて道具もお借りして飛び入りでボートからレイクトラウトを釣った時。シンキングラインでストリーマーを引っ張ると、グワッとヒットした後、頭を振りながら底へ突っ込むファイトを堪能しました。さらに岸を見ると意外に軽装なアングラー達がエメラルドブルーの浅瀬にウェーディングしながらツーハンドで良い釣りをしているのを横目で見ながら、羨ましく思っていました。

南洋のサンゴ礁にひけを取らない見事な美しさの浅瀬を歩き回り、雄大な山々の尾根をバックにいい魚をガツーンと釣り上げる!そんな甘い妄想で中禅寺湖シーズンに入ってしまった私は、その後2ヶ月に渡る修行の日々が待っていようとは思いもしなかったのです・・・。

山側でレイクトラウトを狙う

まず4月中旬に中禅寺湖にやってきた私。以前ボートから見て「ウヒョー」と思った場所をハンディGPSに入れておいたので、朝一に越後屋で入漁券と「ワカサギが厳しい」という情報をゲットしてからゲート側の駐車場へ車を停めた後は、暗い夜道をクマに怯えながら狙った場所へ入ります。

湖畔では暗い中、岬の方ですでにバシャン、バシャンというレイクの捕食音が聞こえてきます。ちゃんと気づいてもらえるよう、ソルトで使うハゼパターンのジグフライを、スカルピンカラーでアレンジした「スカルピン子(仮)」をツーハンド・スカンジ・タックルへセットしてドキドキしながら視界が開けるのを待ちます。

(スカルピン子)

うっすらと明るみ始めた時にピン子と私が見たものは!

夜の間に湖面に大量に溜まった黒い#18くらいのドリフターをせっせと吸い込む20-30cmサイズのヒメマスらしき魚の群れ・・・。えっ・・・何で・・・。そして「目指せフライで100魚種」というプロジェクトを20年越しで取り組んでいる私の思考回路は混乱をきたし、ヒメマス=新種、釣るべし!と無計画にピン子をキャストします。フォールする間にゴンゴン当たりますが、ヒットには至りません。4−5回無茶な事を繰り返した時、うまく咥えてくれた1匹が!

一瞬ホンマスかな?とも思いましたが、ローリングも無ければヘッドシェイクも無い、ただ真っ直ぐ泳いでいくだけの独特な手応え。ロッドで止めるかリールで止めるか悩む暇もなく、そのまま口切れして逃げてしまいました・・・。二兎追うものは一兎も得ず。岬の先へゆっくりと進みながら、レイクがボイルしたガレ場を叩きますが無反応。岬の先端でタイプ2で引っ張りましたが、一度アタリがあったのを合わせられずに時合いが終了。

再び山側へ入ったら何かが起きた・・・

その後、再び中禅寺湖へ戻ったのは5月中旬でした。天候が不安定な後に雨が収まる日。ソルトでも低気圧が過ぎる後のこういう日は魚が浮いてくる事が多いので、何かが起きる虫の報らせを感じながら小雨の中、前と同じワンドへ向かいました。今度は岬の突端へ直行して、明るむ前からピン子をセットしてあります。

雨も止み、シーンと物音ひとつしない岬。じっと耳を澄ますと薄っすらとライズのような音がワンドの中心で起こっています。まだ暗い中、気配を感じる場所へそっとピン子をロールキャストして探りを入れていると、いきなりググッと引いてラインが沖へ向かって走りました。恐らくこれもヒメマス?慎重にリールファイトの準備を整えていたら、15mくらいで突然方向転換。沖ではなくワンドの中央の方へジグザグ変な動きをしながらスピードを猛然とあげていきます。最後はロッドで止めようとしらそのまま口切れ。

ピン子を確認すると唇の切れ端がくっついています。昔、阿寒湖でルアーでバラした時にもスプーンの針にくっついていたものとそっくりなので、きっとヒメマスでしょう。でも何で変な逃げ方を・・・?薄っすらと明るみ始めて湖面をみると、ドリフターらしきものは見当たらず、海でいうところの潮目のようなものができていて、そこからワンドの内側で20-30cmくらいのサイズの魚の群れが何かに追い込まれています。シーバスに追われるコノシロのような光景に唖然としていたら、大きな頭が水面を割って出てくるところを見てしまいました。その後に太い斑点模様の巨体が飛び出しました。えっ!?羽田の河口で見た80cmオーバーのシーバス???いや、パイクみたいに口から魚の尾びれが出ていたぞ・・・?

モンスター現る!

その1匹の向こう側に同じくらいのサイズの魚が「ゴボン!」と水柱をあげて何かを捕食しました。今度はしっかり見ました。グレーがかったボディーにヒョウのような白い斑点。ここにアメマスやパイクはいません。レイクトラウトの大物です!80cmは確実にあります。ワンドの中はパニック状態。20cmサイズの魚たちがイワシのように逃げる後ろを悠々と追いかけて、狙った数匹を浅瀬に追い込んで岩にぶつかる勢いで捕食しています。ハッと気を取り直し、フライボックスの中を慌てて探しましたが、河口のヒラスズキ狙いで巻いてあった、トレーラーフックのストリーマーを何とか結んで投げ始めた時には全てが終わっていました。間に合ったとしても、せいぜい15cmの落ち鮎パターンがあのベイトには到底マッチしなかったでしょう。

完全に日が登った後も、まだ残っていた潮目の周りは濁っており、剥がれたウロコがキラキラしているのが見えました。今度は30-40cmくらいのブラウントラウトが、おこぼれ目当てなのか水中や水面を騒がし始めたので、呆然としたままストリーマーを漂わせていたら、ワカサギと勘違いして食いついてきました。トレーラーフックの位置ではアワセが効かずにすっぽ抜けしてしまいましたが、あの光景を見た後は何も惜しくありません・・・。

(公家さんが釣った94cmのレイクトラウト)

そのあと、午前いっぱい釣りをしてから駐車場へ戻ってきたら、公家さんという方が彼が釣った94cmのモンスターレイクの写真をスマホで見せてくれました。何というサイズでしょうか!間違いなく明け方に遭遇した連中の仲間です。とてもナイスな方で、魚の記録よりも早くリリースすることを心配されていて、騎士道精神溢れるアングラーでした。

何という湖・・・。今回の出来事には度肝を抜かれました。小笠原の浅瀬でメアジの群れへ突っ込むカンパチ。いや相模湾でシイラを食い千切るヨシキリザメに負けずとも劣らない迫力だったのです。改めてこの場所に対する見方が変わりました。

パイクルースター投入!

天候が再び荒れたので東京へ戻ったあと、気持ちがそわそわして、カナダのレイクトラウトのビデオを見ていたら居てもたっても居られなくなり地下倉庫の段ボール箱の中にしまっておいたとあるストリーマーを探しました。イングランドでのパイク釣りに試してみたEPファイバーを使い、「ベイトフィッシュ」のニジマスを模した全長25cmを超えるオリジナル・ストリーマー「パイク・ルースター・プロトタイプ」。普通の4/0フックに巻いてしまったため、実践ではパイクが針のついていないテール部分へ噛みつき、たまたま牙にファイバーが絡まったパイクを取り逃がした、苦い思い出の一品です。

今度はFish-Skullのウォディントンシャンクにトレーラーワイヤーを使って#2フックを吸い込みやすく改造しました。G.Loomis Cross Current 425GRビーチロッドへセットしていざというに備えます。

三度目の正直

三たび中禅寺湖へ戻ったのは5月の最終週。明らかに水温が上がり、ウグイの群れが元気に泳いでいます・・・。チャンスはあるかも・・・。そう思い山側へ入ったところ、相変わらず浅瀬で数少ないワカサギを襲うレイクやブラウンはいますが、湖面をついばむ魚がちらほらと平和そのもの・・・。フッ・・・つかの間の夢を見させてもらったよ・・・。そう自分に言い聞かせると、ビーチロッド&オバケ・ストリーマーは諦め、いつものツーハンド&スカンジにオオユスリカ・スイミングニンフをセットして釣りを始めるとレイクトラウトが釣れてくれました。

君だってきっと5年後にはモンスター・・・。
タイプ2でかけあがりから浅瀬に連なる馬の背になっている場所を通してヒットしたので、浅瀬に入り込んでワカサギをバシャバシャ追い込んでいたのはこのサイズだったのかな?

次はフローティングヘッドに取り換えてトップウォーターのワカサギパターンに移りましたが、たった1本しか巻いてこなかったフローティングワカサギ・ペンシルベイトは小さいブラウンのすっぽ抜け2発でおしまい。間違って本物のワカサギを引っ掛けてしまい、回収してたら35cmくらいのブラウンが本物だけ器用に咥えていきました。これも面白い魚です。

駐車場へ戻ったら、懐かしい顔ぶれと再会。一緒に近場で釣ることにしました。

思えばこの幻想的な風景で釣りができたり、綺麗な空気を吸いながら仲間たちと釣り談議で盛り上がれるだけでも幸せなことです。完全にハンティングモードへ入って目が血走り、殺気だっていた自分が収まってきました。モンスターレイクには気持ちをかき乱されましたが、ここ何年かひたすら続けていたソルトで魚を見つけるスキルや野性の勘を湖でも活かせることが分かっただけでも大収穫です。

この場所では沖合のちょうどスカンジタックルで届く射程距離のギリギリにナーバスウォーターを見つけたので、#18のソフトハックルをセットして待っていたら、静かにイマージャーをついばむ魚を発見。すかさずアンダーハンドのフルキャストでフライを入れて、ゆっくりとリトリーブしたら一発で出ました。

サイズダウンなんて言っちゃいけない。狙って釣った魚なんだよ君は。だから、来年はお父さんも連れて遊んでね!

後編へ続く

タックル

ツーハンド&スカンジナビアン

  • フライ: スカルピン子#10、小鮎ストリーマー#6、ワカサギペンシル#6
  • リーダーシステム: Airfloポリリーダー Salmon 10フィート, フロロカーボンティペット1号x4フィート
  • ライン: RIO Scandi 390 grain(フローティング)、Scientific Anglers アトランティックサーモン Type 2、Scientific Anglers UST Type 5
  • リール: Hardy Ultralite 6000
  • ロッド: Beaulah Platinum Spey 12'6'' 6wt

 

ビーチロッド&ビッグストリーマー(出番なし)

  • フライ:パイクルースター#4/0 + #2
  • リーダーシステム:パイクトレース20lb、16lbフロロカーボン3ft、30lbフロロカーボン3ft
  • ライン:RIO Outbound シンクティップ インタミ
  • リール: Ross Momentum 6
  • ロッド:G.Loomis Cross Current Beach Rod #10 (425grain) 11'8''

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