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フライフィッシング四方山話#8: 幅広く楽しめるフライフィッシング

2024/10/03

一言に「フライフィッシング」と言っても、フィールドや対象魚に合わせて、使うフライとプレゼンテーションが異なり、それらを快適に扱うためのラインシステムやタックルによって内容が大きく異なります。

「虫パターン」を中心に「水生昆虫を捕食するトラウトを狙い、シングルハンドタックルを使ったドライフライをドリフトさせて釣るリバーフィッシング」もフライフィッシングであれば、マイクロルアーやフェザー的な「コノシロを捕食するシーバスを狙い、スイッチハンドタックルを使ったビッグストリーマーをストリッピングして釣るボートフィッシング」もフライフィッシングです。昔誰かが言っていましたが、フライフィッシングは「総合デパートやショッピングモールのようなもの」。色々と楽しめる中で自分は何をしたいのか?目的意識をはっきり持たないと本当にやりたいことが発展せず、特定のジャンルに行き止まりになってしまいます。

TFFCCメンバーたちはバラエティに富んだフライフィッシングを楽しんでいますが、それらを下記の7つの軸を使って説明してみます。

  1. 「対象魚とシチュエーション」
  2. 「アプローチ手法」
  3. 「どんなフライを使うか」
  4. 「どんなプレゼンテーションをするのか」
  5. 「そのために必要となるラインシステム」
  6. 「そのためにどんなタックルがベストか」
  7. 「どんなキャストが必要か」

トシキが「渓流のブルックトラウト」を「ウェーディング」しながら、「オドリバエのイミテーションドライフライ」を使い「水面をナチュラルドリフト」させるために、「コントロール性能の良いテーパーリーダーにティペットを追加したもの」を「シングルハンド3番ドライフライタックル」で「オーバーヘッドキャスト」して釣る、湯川のリバーフィッシング

エドが「エリアに放流されているレインボートラウト」を「お立ち台の上に立って」、「ビーズヘッドニンフ」を「フォールさせて誘う」ために、「ユーロニンフのリーダーシステム」を「シングルハンド6番ニンフィングタックル」を使って「フリップキャスト」させて釣る、エリアフィッシング

切り株の上に乗るのは真似しないでください

グチが「停泊タンカーや岸壁などの障害物に隠れてカタクチイワシを待ち伏せするシーバス」を「ガイドボートでアプローチ」しながら、「イワイミノー」を「障害物の側面へピッタリとリアクションバイトを誘うように長く丁寧にストリッピング」するために、「ターンオーバー性能が良いテーパーリーダーにショックティペット」を「シングルハンド8番フローティングタックル」へセットして「15-20m先へオーバーヘッドキャスト」する、東京湾のボートフィッシング

デイヴィッドが「リーフエッジに隠れてベイトフィッシュを狙うGT」を「岸からウェーディング」しながら、「クラフトファーストリーマー」を「気づかせるように全力ストリッピングする」ために、「ターンオーバー性能が良いポリリーダーにティペット直結」して「シングルハンド10番ストリーマータックル」を使って「リーフエッジへ直角にオーバーヘッドキャスト」する、モルジブのリーフにおけるバンクフィッシング(岸釣り)

これらは全てシングルハンドタックルを使っているのに、対象魚も内容も全く違うゲーム内容となっています。

メンバーのフライフィッシング 対象魚とシチュエーション アプローチ フライ プレゼンテーション システム タックル キャスト
トシキの渓流ブルックトラウト 湯川で育って水面を流れる虫を食べるブルックトラウト ウェーディング オドリバエ・ドライフライ ドリフト ティペットを結んだテーパーリーダー シングルハンド3番フローティング オーバーヘッドキャスト
エドのエリアトラウト エリアに放流されて何か食べたいトラウト スタンディング ビーズヘッドもっふぃー カーブフォール ティペットを結んだインジケーターリーダー シングルハンド6番フローティング フリップキャスト
グチのボートシーバス 障害物に隠れて水面で小魚を捕食するシーバス ガイドボート イワイミノー 低速ストリッピング ショックティペットを結んだテーパーリーダー シングルハンド8番フローティング オーバーヘッドキャスト
デイヴィッドのリーフGT 障害物に隠れて小魚を捕食するGT ウェーディング クラフトファーストリーマー 高速ストリッピング ショックリーダーを接合したポリリーダー シングルハンド10番ホバー オーバーヘッドキャスト

みんなが個性的に異なるスタイルのフライフィッシングを楽しむメンバーが集まるTFFCCでは、「ドライフライをやらないんなんて・・・」なんていう均一化は御法度!とはいえお互いが自由気ままに楽しむフライフィッシングの世界を語り合う際の「コミュニケーション座標」を合わせるために、「対象魚とシチュエーション」「アプローチ」「フライ」「プレゼンテーション」「システム」「タックル」「キャスト」の7つの軸を使って紹介するように心がけています。

コミュニケーションのための7つの軸合わせの重要性

  1. 「対象魚とシチュエーション」
  2. 「アプローチ手法」
  3. 「どんなフライを使うか」
  4. 「どんなプレゼンテーションをするのか」
  5. 「そのために必要となるラインシステム」
  6. 「そのためにどんなタックルがベストか」
  7. 「どんなキャストが必要か」

7つの軸なんて意識しなくてもテキトーに共感できればいいだろう?と思われるかもしれませんが、ここがずれてしまうと相互理解など一切進まなくなってしまうものです。よくあるのは「俺は絶対にエリアフィッシングなんかやらない」というメンバーと「エリアフィッシングも野池も大好き」というメンバーが分かりあうことは不可能に思えますが、「ラージマウスバスをプレゼンテーションを駆使して釣りあげる」という共通点で話の軸を揃えることでタックル&システムやフライに関するコミュニケーションが取れます。同じく「トラウトしか興味ない」というメンバーも「トラウトに興味ない」というメンバーも「フィッシュイーターのストリーマーゲーム」という共通軸でつながることで「じゃあ一緒にシーバス行ってみよう」となるわけです。

フライフィッシングの発展と多様性とコミュニケーション

フライフィッシングが発展した背景にはアメリカやイギリス、南アフリカやオセアニアといった国々のアングラーたちの存在が大きいですが、彼らに共通しているのは「英語コミュニケーション」と「多様性に対する相互理解」さらには「自由取引」の感覚。常に新しいことへ興味を持ちつつ、幅広い分野から情報を集めるためにはお互いの違いにこだわるのではなく、お互いの個性に興味を持って理解を深めることが、フライフィッシング文化の発展に大いに役立ってきたと言うことです。

ルアーと比較しても幅広い国内フライフィッシングの世界

日本国内のフライフィッシングに話を戻しますが、「フィッシング」の中身を考えると、ルアーの使い方からボート操船まで組み合わせがあるバスフィッシングの構成の複雑さと比較すれば、フライフィッシングはもっとシンプルです。日本では「対象魚別の専門性」と言う伝統が非常に強いのですが、フライフィッシングにおいては人口が少ない割には、決してルアーに負けないほど広範囲なゲームがカバーされています。

◎・・・確立されたメソッドやパターンが充実している
○・・・確立されたメソッドやパターンがある
△・・・確立されたメソッドやパターンができる過程にある
×・・・確立されたメソッドやパターンがない

ゲーム種別ルアーフライ
トラウトフィッシング
バスフィッシング
カープフィッシング
オイカワなどハヤゲーム×
怪魚ゲーム:管理釣り場(コロソマやストライパーなど)
怪魚ゲーム:リアルフィールド(アカメなど)
チヌゲーム
アジング・メバルゲーム
シーバス
ハゼゲーム
シイラ
マグロ・カツオ
GT
マングローブフィッシング
リーフフィッシング
フラットフィッシング×

あらゆるものが充実していることが「当然」となっているトラウトフィッシングは言うまでもなく、100%野生魚相手のシーバスフィッシングの発展の凄さを支えているのは「プロガイド」と「大会」の存在。真剣に釣ることを考え、楽しみを開拓して、それをビジネスやイベントに繋げていくことで大きく発展できるといえます。

クロダイの仲間を相手にする「チヌゲー」がフライフィッシングでも確立されてきているのも、プロガイドの存在抜きには語れません。

DIYと実践のサイクル:フライを巻きながら、もっと広く、さらに深くなっていくフィッシング

フライフィッシングが特別なのは、ただ「フィッシング」なのではなく「フライ」、すなわち餌やルアーに相当するものをDIYする文化が発展してること。例えば同じ「ゾンカー」を使えば、トラウトもバスもトレバリーも釣ることができますが、それぞれの対象魚のシチュエーションに特化したフライパターンを作れば、もっと釣果が上がったり、独自の面白さが増えていきます。餌的・ワーム的な「食わせ」要素を表現したりハードルアー的な「誘い」要素をタイングすることで、魚に対するプレゼンテーションが広がり、より効果的になっていきます。

それらを100%使いこなすのはもちろん、アレンジを加えて新しいことに挑戦したり、もっと効果的なプレゼンテーションを追求する中で、フライタックルやシステムも改良されていきます。一つのことを上手にこなして極めることも非常に大事ですが、没個性だけしては楽しみを逃しますので本末転倒!釣りに行く時間が無くても、仲間と一緒にフライを巻くだけでも新しい発見もたくさん見つかります。

まとめと続き

たまに日本のフライフィッシングで驚かされるのは恵まれた環境であるにも関わらず、「虫パターン」が目立ち過ぎていて、ルアー的なアトラクターが知られていない状態だったり、初めてフライフィッシングをやってみようと思う初心者の方がフライショップへ入ると、見慣れない「ナチュラルマテリアル」が放つ怪しい臭いに圧倒されたり、コミュニティへ接近すると難しい話をたくさんされたり・・・。魅力的なスポーツフィッシングとしてのエントリーポイントで引き返す人たちが多く、初めて自分専用タックルを買った初級者の方も大半が脱落してしまうか、休眠状態に入ってしまいます。

ご覧の通りフライフィッシングもスポーツ文化の一つなので、やればやっただけ、コミュニケーションが繋がれば繋がっただけ発展していく可能性を秘めています。やりたいことを絞り込んで深く極めていくのも面白いですが、フライフィッシングをやったこと無い人が新たに入ってきたり、まだ初級者のフライフィッシャーが情熱を失わないようにするために大事なのは、果てしない遊び心と楽しみを分かち合う仲間たちとのコミュニケーション。
そんな楽しさを求める貴方のためにTFFCCは活動しています。

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