2022年末「競技スポーツとしてのフライフィッシングについて」アンケート結果発表

2023/01/30

北は北海道、南は沖縄からアクセスのある本サイト。「競技スポーツ」という切り口でフライフィッシングを見たときに、みなさんがどんな志向や課題を抱えているのかを浮き彫りにすべくアンケートを実施しました。

集計だけでなく、少しインサイトを交えたレポートです。現段階では集計結果優先とさせていただき、良いインサイトをいただけたら、補足修正します。

  • 集計期間:2022年10月27日〜12月31日
  • アンケートページ訪問ユーザーにおける回答率:23%
Contents

回答者アクセス元プロフィール

今回、回答者のエリア別比率は:北海道11%、本州87%、四国・九州・沖縄2%という配分でした。期間を長く設けたのでバランス良く回答がいただけました。

気をつけないとならないのは、「競技スポーツとして」という内容についての断りがついているので、トピックについて一定の興味が無いとアンケートに参加されません。一般を対象にするよりも「濃い」回答となっている分を差し引いて考える必要があります。

現在フライフィッシングにおいて、釣果記録を記録したり、対戦マッチやエリア大会、選手権大会などへ参加されていますか?

フライフィッシングにおいて「競技」に参加したり、「記録」となるものを残してる人は2割に留まり、8割はそれとは無縁のフライフィッシングを楽しんでいますが、アンケートを通じて競技だけでなくフライフィッシングの嗜好性についても深掘りします。

「いいえ」とお答えいただいた方のみ:理由を教えてください

フライフィッシングをレジャーとして楽しまれている場合、特に制限時間を設けたり、スコア的な作業をするよりも、釣りそのものに没頭したいというニーズが最も高く、競技があること自体が認知されていないという現状があります。

ただし、きっかけがあれば始めてみたいアングラーもいるので、「なぜ競技するのか?」という動機づけが必要だと思われます。

「はい」と答えた方のみ:どのような活動を行なわれていますか?(複数回答)

競技フライフィッシングまたはフライフィッシングで記録をつける習慣がある方の場合、まとまった人数の競技者が集まる国内トーナメントに出場しており、小規模で競技したり、個人的に記録を残すケースは少ないようです。

また、純粋に成長のためのスコアやデータを残すという目的よりも、交流や情報交換もできる競技者同士が集まる場に重要性を感じているといえます。

競技やフィールドで確実な「結果を出す」必要がある時には、どのようなフライタックルを主にお使いになられていますか(複数回答)

競技というシチュエーションではなくとも、「確実な結果を出す」ことは、普段のフライフィッシングでも求められるため、どのようなフライタックルを選んで使っているか統計を取りました。

「シングルハンドタックル」が合計68ポイントで首位となり、続いて「ツーハンドタックル」が合計21ポイントであり、その中間に位置する「スイッチハンド」(11フィート以下のオーバーヘッド・スペイ比率が50:50で使えるタックル)は意外にも16ポイントとなりました。

TFFCCウェブサイトそのものが、これらの使い分けを啓蒙している中で、それらの情報を求めてアクセスしてきているわけですが、その中でも普遍性が高く手返しが良いシングルハンドタックルは信頼性が高く必須であるけれど、状況に応じては楽に飛距離が稼げる・重たいフライがキャストできるツーハンドや、臨機応変に強いスイッチハンドで対応することで釣果を残すことも当たり前に行われているようです。ただし、ロッドの長さを質問しなかった(シングルハンドとツーハンドでは長さの意味合いが違ってくるため)ので、今後の課題にしておきます。

どのようなランディングネットをお使いになられていますか?(複数回答)

ラバーネットを使っているユーザーが70ポイントであり、手編みのランディングネットを使うユーザーは少数であることがわかりました。歯が鋭い魚からフックを外す場合はフォーセップでは無理なため、安全のためにフィッシュグリップはどうしても必要となるのですが、間違えて唇やアゴが弱い魚に使うとダメージが大きいため、使い方に関する正しい知識を伝えていくことも大切だといえます。

リアルバーブレス(初めからバーブレスとして設計された化学研磨バーブレス)フックをどれくらいお使いになられていますか?

リアルバーブレスを普段から使っている(8割以上)ユーザーは過半数を超えますがが、使い分けと考えているユーザーもまだ44%と多い結果でした。しかし全く使わないユーザーは0%であり、ドライフライの主流がバーブレスである中で、ウェット・ニンフフックでもバーブレスが広まることが、更なるバーブレス普及のカギとなるでしょう。

ヨーロッパでは、「バーブフックは魚をキープする時、バーブレスはキャッチ&リリースでは当たり前」となっていますので、キープ必須の管理釣り場が多いイギリスの影響を強く受けた日本ではありますが、湖やソルトウォーターにおけるキャッチ&リリース推進のためにもバーブレスはさらに普及させていきたいところです。

FIPS-Moucheによって開催されている「フライフィッシング世界選手権 | World Fly Fishing Championship」について

現在、世界規模で行われる競技団体としては最大のFIPS-Moucheが開催する世界選手権。「ユーロニンフ」というキーワードを使う人が多く来るウェブサイトかつ、積極的にフライフィッシングの情報を探すユーザー層の中ではありますが、認知度は55%と過半数を超えていました。

練習を積み選手としてプレイしてみたいと思いましたか?

プレイしたいと思わないが45%に対して、プレイしてみたいと思うが44%とほぼ拮抗しました。海外で行われる競技会としては悪くない結果だと思います。

ギャラリーとして現地で観てみたいと思いましたか?

ギャラリーとして現地で観戦したいと思う人は55%で過半数超え。34%は魅力に感じておらず、これを補足するであろう内容が次の設問となっています。

LIVE配信や録画プログラムがあったら観たいと思いましたか?

66ポイントがLIVE配信や録画で観戦してみたいとの回答となり、海外で行われる大会でもあるので、ここが競技会への興味を高めるきっかけになると思われます。

「フライスコアリング」をやってみたいと思いますか?

昨年10月から試験的にスタートしたスコア形式の競技フライフィッシング「フライスコアリング」。まだまだ時期が早く内容への理解が進んでいない段階ですが、「やってみたい」と思う人は34%に対して「やってみたくない」と答える方は22%。内容によって競技として成立するかどうかが決まるということでしょう。

どのタイプのアクティビティーをやってみたいと思いますか?(複数回答)

フライスコアリングにおいては、「競技会」をやってみたいという回答が37ポイントで最も多く、その中では16人程度の小規模トーナメントという回答が23ポイントでした。

また、公式スコアとしては残らないけれども、2人以上の仲間で「フレンドリーマッチ」をやってみたいという回答は23ポイントと多く、認定コーチやTOPプレイヤーとの「スクール形式のテストマッチ」も14ポイントとあるので、両方を合計すると37ポイントとなりました。

非公式のスコアを確かめつつ、競技フライフィッシングを学んでみたい、まずは小規模の競技会からやってみたい、とうニーズが最優先になると思います。

どのタイプのフィールド(自然・管理・C&R区間含む)でスコアリングをやってみたいですか?(複数回答)

「本流・里川・渓流」を合計した「リバーフィッシング」が39ポイントと最もフィールドとして求められており、続いて「エリア」(17)に「湖や海」(22)に「エリア」を足した「バンクフィッシング(岸釣り)」が合計37ポイントと次点、「ボートフィッシング」は27ポイントとなりました。

ソルトフライのフィールドも合計20ポイントと決してニーズとしては低くないので、異なるフィールド条件を別々にやるべきなのか、何か大きいスケールにまとめて行うべきかは検討の余地があると思います。

「その他」回答の中には:

フィールド規模を大きくした方が、「今日の魚を見つける力」が問われるから楽しそうです。なので「水系」とか「島」とか「県」の単位をフィールドにすると良いのかなと思う。

という提言がありますが、これを実行できるのは「プロガイド」か「DIYマニア」になるので、プロガイドとDIYマニアを混合で対抗戦とかやれたら、サッカーのFAカップみたいで面白いかもしれません。でも使った時間へのリターンが無いとやらないのがプロなので誰か資金お願いします。

トラウト以外にどの魚種のフライスコアリングをやってみたいですか?(複数回答)

トラウト以外の対象魚としては、40cm以上の肉食魚が検測対象となる「プレデター」については合計で73ポイントも集まり、実際にTFFCCメンバーが1対1マッチをやってみたり、ソロスコアをやってみてもかなり面白いと手応えがありました。

この中で淡水に限定すると44ポイントでダントツ、ソルトが29ポイントとなりました。

今回うっかりとクロダイやバスのような、「ライトゲーム」をきちんと考慮していなかったのですが、合計で20ポイントもありましたので、プレデターだけでなくライトゲームも対象として検討したいと思います。

まとめと続き

統計結果から分析する中でも最もはっきりしたのは、「リバーフィッシングで行われる、16名程度の競技会とプラクティス、スクール」に対するニーズが最も大きいということです。トラウトリバーへのアクセスが良い地域では無理なく行えると思います。

トラウトリバーが近くない沿岸部のアングラーの場合は、アクセスや自由時間の制限もあるので、トーナメントよりも幅広く楽しめる仕組みが必要かもしれません。それが「カテゴリー混合」であれば良いのか、トラウトカントリーに恵まれているアングラーたちとの互換性を優先しておくべきなのか、今年はそこも重点的に見ていきたいと思います。

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