2022年春の渓流ドライフライの釣り
今期は「ニンフィング」を学ぶ年、もうちょっと「スペイ&ウェット」を頑張る年と決めてあるのですが、心は裏腹に「ドライフライ」を求めるのが人間の性・・・。
R.L. ウィンストンへの憧憬(別名:言い訳)
私の場合は一番最初にトラウトのフライフィッシングを覚えたのがニューヨーク州キャッツキル地方のブルックトラウトやニジマス相手だったので、その時代に理想としていたのが「ショートロッドの3番タックル」。100年以上試されてきたクラシックドライは反応は最高だけど浮きが良くないので、勢いを殺して丁寧に落とさないと、いくらシャカシャカしてもすぐに沈んでしまいます。しかし、しばらくして気になっていたのは、西海岸からやってくるアングラーたちの右手にキラキラと光るR.L.Winstonのロッドたち・・・。同じアメリカでもちんまりと#18を使う東海岸の釣りではなく、瀬の中にいるトラウトへ#10を使う西海岸の釣りの世界。WFラインでパワフルなキャストで浮きの強いドライフライを打ち込んでいくスポーツ性の高いタックル・・・。
最初はやっかみで「そんな強いキャストで釣れるもんか」と馬鹿にしていたのですが、彼らはパワフルなキャストをしつつ、ティペットを長くすることで、対岸の木の下へリーチキャストでティペットごとドライフライを落として即メンディング、そしてドラグ回避して釣っていきます。さらに、私が受講した故メル・クリーガー先生のスクールに飛び入りでデモンストレーションをしていたジョアン・ウルフさんの美しいキャストも魔法の杖のようにWinstonロッドから繰り出されていました。もちろんニューヨーク地元のOrvisも使ってきて不満はないのですが、いつしか「ウェスタン・ドライフライ」のスタイル=かっこいい=Winstonが脳裏に焼き付いてしまったのでした。
さらにフライ仲間の方からお借りしてボーンフィッシュ初体験した時もWinston。日本へ帰国した後で、ヤマメが釣りたくて通っていたフライショップ「四谷ファンテイル」で薦められたのもWinston・・・。ポロシャツを着こなしたアングラーたちの丁寧な釣りから、南の島のワイルドなフィールドまでカバーする知的体育会ブランド、というイメージにやられてしまって、自分的には「予算が許すならば、絶対にWinston」なのです。
というわけで衝動買い
そんな憧れが潜んでいる状態があって、たまたま衝動買いに駆られていたこともあり、憧れを形にしつつも自分が出撃する渓流の現状を踏まえて選んだのはR.L. Winston Pureの7フィート2番。美しいグリーンのブランクに合わせて、フライリールも同じ会社となったBauer・・・。フライラインもWinstonのTrout Energy WF2Fで揃えてしまいました・・・。贅沢しすぎ・・・でも後悔なし!どこへでも持っていけて、2番ロッドだから稚魚ヤマメや稚魚アマゴも空を飛ぶことはないでしょう!
こんなにドキドキしたのはシイラやカツオを釣るためにWinston Boron II-MXの9フィート10番をTibor Riptideとセットで衝動買いして以来かも・・・。あ、「ワクワク」じゃなくて、「元を取れるかわからん、後悔するかもドキドキ」の方です!
というわけで個人的な「お宝タックル」へ入魂する機会を求めて悶々としつつも、今年は春先のスギ花粉が半端なく辛くて、渓流へは近づけず・・・。ドライフライの釣り初めは5月に入ってしまってました。
伊東松川でアマゴ狙い
GWの家族旅行で伊豆の伊東で過ごすことになったのですが、スケジュール調整で私は一人で前日入りできることに!
伊東へ到着した時は夜明け。ヤシの木がカリフォルニア感を高めてくれます。
しばらく行ってませんでしたが、券売機からアプリ釣り券へ進化した伊東松川漁協!しかし入渓すると・・・。
増水しまくりでドライフライを打つポイントがかなり限定的です。
そんな中で、流れが緩んで水面が鏡のようなピンスポットを狙っていくのですが、PURE2番めちゃくちゃ使いやすく、空中でフライラインをストップすると正確にロングティペットとドライフライを狙った場所にプレゼンできます。ラインスピードもダラダラせずに速く、テキパキすっ飛ばしてくれます。
しかし最初にドライフライに出てくれた1匹目の豆アマゴはフッキングしたと思ったら空を飛んで行ってしまいました・・・。少し進んだ先の難しいスポットにライズが見えたのでそこへドライフライを流し込んで2匹目ヒット!これも空へ飛び行方不明・・・。PURE2番、ティップは2番だけどミドルからバットの戦闘力はかなり高いです。
今年も豆しか入っていないのか・・・と諦めモードでそんな大場所でもない所を打つと、突然大きなアマゴががっぷりとフライを咥えてきました!予期していなかったので主導権を取れず、増水した流れに入られてしまいましたが、PUREのバットパワーで堪えます!空気を吸わせて浮かせてからも強い流れの中に魚体が浮いているので、慎重にこちらに寄せます。自分からランディングへ行かないと体勢が良くない場所なのですが、流れに足を取られたくないので面倒臭くてロッドで水面をずる引きして寄せることにしました。
パッと見た感じ、どうやら「鬼アマゴ」という成魚放流した泣き尺アマゴのようですが、口が鮭っぽくしゃくれていてかっこいい魚です。これなら入魂に相応しい!じゃあランディングして写真と思った瞬間、突然復活して流れの中でローリングされてバレてしまいました・・・。ものぐさするんじゃなかった・・・。
そこから上流では全く反応しなかったので、一旦入渓点より下へ戻ったら小さなディンプルライズ!
正体はニシンのようなヒカリの入ったオイカワさんたちでした・・・。でも豆アマゴの3倍はちゃんと引くので、2匹追加してそこそこ楽しめました。
どうも川底へ砂が溜まっているせいかアマゴよりもオイカワの方が元気がいいので林道の脇を探索してみると、去年の台風であちこち土砂崩れが起きていたようです。アマゴは夏にどこか別の川でリベンジすることにしました。
本谷毛鉤釣り場で佐藤成史さんスクールのお手伝い
それからしばらく経って、フライショップ鱒夢が主催する佐藤成史さんのスクールに参加してお手伝いすることになりました。スタッフ参加ですが、Winstonへ入魂したいので入漁権は普通に買ってスタンバイです。
日本人だけどコロラドやモンタナのウエスタンスタイルのドライフライも嗜みつつ、北海道から九州まで正統派マッチザハッチを行いながら美しい写真を撮られる佐藤さんは私の憧れのフライフィッシャーの一人。昔、シャロムの森ではスクールに参加したことがありましたが、自分がスタッフとして話を聞いてみると、ためになることばかり!
今回はロッドデザインに合わせたテーパードリーダーの選び方と、どこでカットしてティペットのコントロールを最適化するか、というまさにドライフライ愛好家からはよだれが出るようなレクチャーでした。
私の役目は「殿(しんがり)」。最後尾に着いて、生徒さんたちが怪我をしたり、困っていたらフォローに入る役です。簡単なデモンストレーションもしないとならないので、タックル慣れするためにウォーミングアップで少し流してからフォロー活動開始。
一つだけ失敗したのは、私はWFラインをセットしたまま入ってしまったので、佐藤さんが指導するDTラインを使った反復ロール・メンディングが再現できません・・・。仕方ないのでレッスンの順番を待つ生徒さんの中で今回が渓流デビューだった方へ、ヤマメとイワナの着き場所、どこにフライを落として流すのか、サイトフィッシングとショットガンの違い、という基本をデモしながら1匹釣るお手伝いをしたりして待機していました。
そうこうしているうちに生徒さん全員がロールメンディング、イワナ、ヤマメのキャッチできて、さらに佐藤さんから写真の撮り方レクチャータイムへ突入。ノウハウ満載なので、実際にスクールに参加されて学んでいただくことおすすめです!
フリータイムの間に渓流デビューの方にいいサイズのヤマメ(ここすごい魚が入っています!)をサイトフィッシングで狙い通りに釣っていただき、「渓流って面白いですね!」と喜んでいただけました。あれ?いつの間にかガイドやっちゃってましたが、佐藤さんのドライフライの釣りの影響を受けている私なのでいいのかな?
お役目の合間に自分のロッドのための入魂も少し・・・。
怪しいスポットにナーバスウォーターを見つけたので、「でかいなこいつ」と思って慎重に狙って獲れた尺超え36cmの大ヤマメさん。ほとんどサクラマスです!いい魚が入っていますね・・・。前回に伊東松川で鬼アマゴを横着してバラしたので、リールファイトしつつ、自分からランディングネットで受けに行きました。PUREのバットパワーが素晴らしく発揮されました。
最後は生徒さんと一緒になって、「あの大ヤマメ、狙って釣れますか?」というお題にWFライン&西海岸タックルならではの「ティペットごと吹っ飛ばして1回だけメンディング」で34cmくらいの大ヤマメを狙い通りにヒット。スムースにランディングしようと思いましたが、見せ場を作る大ヤマメはなんと岩の下に潜り込んでティペットを巻いてくれます。
パフォーマンスみたいになるのは避けたかったのですが、仕方ない!フットワークで岩をへずって上流側へ回り込んで、PUREのバットパワーでプレッシャーをかけながら、ゆっくりと魚が抜けるのを待っていたら、生徒さんたちも一緒にランディングに参加!チームプレイでランディングしたのでした!
そんな渓流ドライフライも面白いですね!
まとめ
時間差で「トラウト入魂」しましたが、長年ドライフライに慣れてしまったとはいえ、新しいタックル、ターンオーバーのためのシステム、増水の中から狙うポイントを見つける、メンディングのタイミング、ランディングのための足回りなど、とてもいいおさらいになる春でした。
佐藤さんのスクール、本来はある程度渓流に出て「課題と問題」を見つけてから参加するとメリットが大きいのですが、佐藤さんが使うシステムは里川から源流まで幅広く対応できるシステムで、ロッドの番手を使い分けるだけでスキルを効率良く使い回せます。初心者の方はベストな基本から入っていけるし、経験者の方でもためになることがあるので、機会があればお勧めします。
「おひとりさま」でハンターみたいな釣りをするのも大事ですが、たまには異なるスキルレベルのアングラーと交流するのも学びがあったり楽しみが増えるので大事!「ドライフライの釣り」というスタンダードがあるとコミュニケーションも弾むので、今後はちゃんと定番として季節ごとに最低1回はやっていこうと思います。
また、PURE2番の使い勝手。パワフルなキャストでドライフライを打ち込むことができつつも、最終減速でソフトにドライフライを落とすことも得意なので、4番は強すぎるけど0番は風に弱すぎてちょっと、というフィールドが多い日本の渓流ではベストマッチだと思いました。
R.L.WinstonやBauerについては、こちらをご参照ください。
タックルデータ
シングルハンド2番
- フライ:CDCハックルダン24 #14と#18、CDCイマージャー#18
- ティペット:シーガーエース 0.8号を3-5フィート
- リーダー:バリバス プロドライFHT 11フィート5Xのティペットをカット
- フライライン:R.L.Winston Trout Energy WF2F
- リール:Bauer RX 1
- ロッド:R.L.Winston PURE 7'0'' 2番
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