プレデター・フライフィッシング:基本とタックル選び
プレデターとは、主に小魚や甲殻類を中心に捕食する肉食魚のこと。身近なところでは野池や本流のバスや沿岸のクロダイ。湖や本流の魚食性の強い大型トラウトから、海と淡水域を行き来できるイトウやスズキなどの遡上魚、さらに怪魚と呼ばれるアカメや沖合のシイラやバショウカジキまで、さまざまなターゲットが日本列島には存在します。

これらプレデターたちを相手にフライフィッシングにしてできないタクティクスを駆使して、チョイ釣りからトロフィーフィッシングまで、多彩なプレゼンテーションと頭脳を駆使して楽しみながら釣り上げる、フライに対する捕食行動をデザインする、それがプレデター・フライフィッシングです。

- 2015.11.30・・・ボトムイーターとボトムフィーダーの差、イートパターン更新、システム・タックル選びの要件を追記
- 2025.8.3・・・初回アップ
- 1. 捕食行動パターン
- 2. イート・パターン
- 3. フライパターン
- 4. キャスト・プレゼンテーション・アクション要件
- 5. ラインシステムの選択肢
- 6. フライロッドの選択肢
- 7. フライリールの選択肢
- 8. バーチカルゲームにおけるシステムとタックルの選択肢
- 9. フィールド・対象魚とタックル番手・システム
- 10. エリア・対象魚とタックル番手・システム
- 11. プレデターフライフィッシングの背景
- 12. まとめと続き
- 13. この記事のメンバー
- 14. TFFCC 公式YouTube | Our YouTube Channel
- 15. この記事のディスカッションに参加する | Join the Discussion
捕食行動パターン
捕食行動=プレデーション。プレデターをプレデターたらしめん部分ですが、イトウやシーバスはもちろん、トラウトも魚食性が強いレイクトラウトやブラウントラウトはプレデターとなり得る中で、大きく異なるのは捕食行動に関わる3つの要素。特定の餌が出現することを「ハッチ」と呼びますが、プレデターの場合はこれを「ベイト」と呼びます。
機会的捕食
最もプレデターらしい性質が発揮される捕食パターンです。プレデターは自分が食物連鎖の頂点にいる場合、獲物を探して回遊したり、一定のテリトリーを持つ場合、遭遇したものをとりあえず追って襲いかかることがあります。

獲物だと認識してナチュラルバイトで捕食する場合と、相手の行動を妨害してじっくり捕食するためのリアクションバイトに分かれますが、ストライクするタイミングは魚次第。フライフィッシングの場合は、十分な時間と距離をフライが動き続けている必要があります。

そのためには十分な距離をキャストしつつ手返し良くバイト効率の良いプレゼンテーションを繰り返したり、潮や川の流れを利用してフライに生命感を与え続けるかが鍵となります。

外洋ともなると遊泳規模が大きく変わるため、この性質は顕著に現れるようになり、魚の捕食スピードも段違いになるため、フィジカルだけでなく、スピードや魚のファイトに費やされる距離感も大きく要求されるゲームになります。

選択的捕食
プレデターたちもトラウトと同様、楽に捕食し続けられるベイト=ハッチに執着することがあります。獲物がそれ以上逃げることのない「水面」で流れの上流から流されてくる(ドリフト)餌や、「底」に住むベントスを選択的に食べ続けます。水面の虫を食べるプレデターにはトラウトと同様の虫パターンが通用する時もあります。

この状態にあるプレデターは即コンタクト状態にあるためストライクを予測しやすく、小さな甲殻類から小魚までのイミテーションを自然にプレゼンテーションして狙う、フライフィッシングらしい場面になります。

栄養エネルギー最適化捕食
時間的・時期的にどうしてもエネルギーを得たいモンスター級の大型プレデターたちが狙うのは栄養価の高い獲物。同じドリフトしてくる餌でも栄養価の高い大きめのベイトフィッシュや甲殻類・軟体類がいる場合はそちらを優先してきます。また、それらを待ち伏せしたり、つけ回して隙を見つけて襲いかかったり、スピードを活かして追い込んで捕食します。

競争が無い魚の場合は時間をかけて相手の動きを封じる攻撃を繰り返してから、最終的に飲み込みにやってきますが、このシチュエーションはフライラインを通じた操作ではカバーし切れないことが多いため、いかに一発で咥えさせるか、複数回キャストする必要がある場合は、いかに魚を脅かさずにフライだけに意識を集中させられるかが鍵となります。
このため初見ではベストなタイミングが分からないために、フライ選択やプレゼンテーション選択が見つけづらく、その季節・その場所の最も魅力的なベイトと動きを演出する難易度が高くなります。経験と情報を持つフィッシングガイドのサポートが大きく助かる場面となります。
イート・パターン
異なる捕食パターンに加えて、どこでフライをイートまたはバイトするかはフライのデザインやラインシステムの選択における重要なファクターとなります。
ヘッドイーター
遊泳力が高い食物連鎖の頂点のプレデターが、捕食する小魚などの進行方向を遮って頭から噛みついたり飲み込む行動で、飲み込み効率が良いため、大多数のフィッシュイーターはヘッドイーターとなっています。また、弱った小魚が沈んでいく時には頭から先に沈んでいくため、これをコチやハタなどが下から丸呑みする時もヘッドイーターとなります。

テールイーター
狙っている獲物と自身の遊泳力に大きな差がある場合や、警戒心が強いプレデターの場合は、泳ぐ方向に吸い込み捕食し続けることもできれば、一撃離脱のために、テール側から吸い込んだり噛みついたりするテールイーターとなります。一般的には小型のベイトがたくさんいる状況でテールイーターが現れますが、競争が激しい群れの中の個体も結果としてテールイーターとなります。

トップイーター
トップイーターは水面という行き止まりにベイトフィッシュや甲殻類を追い詰めて捕食します。

水面に落ちてきたり水面直下で羽化途中の昆虫を捕食する「虫パターン」と共に、フライフィッシングが得意な場面となります。

ボトムイーター
ボトムフィーダーと混同されやすいですが、シャローに回遊してくるプレデターが低層の小魚や甲殻類をボトムへ追い詰めて捕食するケースとなります。湖のレイクトラウトやリーフのカスミアジなど、様々なボトムイーターが居ます。

ボトムフィーダー
ボトムには甲殻類などの餌が豊富にあるため、積極的にボトムを突いたり、周囲の砂や泥と一緒に吸い込んで捕食する魚はボトムフィーダーと呼ばれます。フラットのボーンフィッシュやクロダイの仲間は典型的なボトムフィーダーとなります。

フライパターン
様々な捕食行動パターンやイートパターンがある中で、プレデターの獲物に合わせて様々なフライを使い分けます。
ベイトフィッシュ
プレデターにおける「動」の花形でストリーマーとして表現して主に表層から中層で使います。オイカワやカタクチイワシ、キビナゴのような小型のベイトフィッシュから、コノシロのような中型サイズのベイトフィッシュのイミテーション。さらにはトビウオやボラを真似た大型のイミテーションまでフライがあります。
甲殻類
プレデター・フライフィッシングにおける「静」のスター。ザリガニやシャコ、カニやヤドカリのイミテーションを中心に、ウェットフライまたはストリーマーとして表現してボトムからトップまで使い分けます。
ワーム・多毛類
「バチ抜け」と呼ばれる多毛類が大量ハッチする時や、小型の魚が安全に捕食したい時に偏食が起きます。
両生類など
淡水の池ではカエルの仲間が主要な獲物となっています。トップイーターの中でも獰猛なライギョの仲間に効果的です。
虫パターン
トラウトと同じく水生昆虫や陸上昆虫を捕食するプレデターに使います。
キャスト・プレゼンテーション・アクション要件
ただ「キャストする」だけ、「プレゼンテーションする」だけでなく、プレデター相手のフライフィッシングではフライの「アクション」も、対象魚に対する戦術=タクティクスを実行するための大事な要素となります。タクティクスに応じて異なるロッドに求められる、シュート性能・ループコントロール・テンション保持&感度・パワー・空気抵抗への耐性が重要なファクターとなります。
プレゼンテーションとアクションが連続するストリーマーフィッシングと、コントロール性が重要でアピールのための間を多用するサイトフィッシングやトップウォーターフィッシングは、トラウトにおけるウェットフライとドライフライの使い分け同様に大きく異なる要件となるため、ラインシステムやロッド選びでは気をつける点となります。
ストリーマーフィッシング向けのタックル
シンキングラインとストリーマーを使うストリーマーフィッシングの場合、繰り返しシュートして水中のフライの感度を頼りにストリッピングやスイングを行うために、水を吸って重たくなるストリーマーのピックアップのしやすさや空気抵抗のあるストリーマーを遠投する性能が重要になります。また水中のフライの感度を頼りにフックセットを行うため、ティップまでのラインシステムのタイトさだけでなく、フライリールからフライロッドの間のタイトさも重要となります。

サイトフィッシング&トップウォーター向けのタックル
フローティングラインを使ったサイトフィッシングや浅いレンジを釣るトップゲームタックルの場合、フライラインが水面やシャローなレンジの魚へ与えるインパクトが非常に大きく、必要な距離はキャストしつつもスムースにフライをターンオーバーさせて静かにピックアップできる性能が重要となります。必要に応じてワイドループを出してラインを狙った形に水面へ置きにいくこともあるため、ロッドのミッドセクションの操作性がより高く求められます。


ラインシステムの選択肢
フライをアクションさせるために、小回りが効く操作性とロングキャストにおける手返しが重要なので、9フィートのシングルハンドロッドが標準となります。また、対象魚と使うフライ&プレゼンテーションの種類に応じて、異なるラインシステムを使い分けます。一般的には、手前が浅くなる岸釣りでは「フローティングとスローシンキング」、手前まで水深が保てるボート釣りでは「スローシンキングとファーストシンキング」など、2セットの異なるシステムでタックルを組んで持っていくと、さまざまな場面に対応しやすくなります。
フローティング
必須度合い・・・★★★★☆
水面のフライへ魚を誘い出したり、水面直下のフライをスローに泳がせたり、ボトムに置いたフライで誘う場合、フローティングラインでタックルを組む必要があります。リーダーには強いターンオーバー性能が求められるため、テーパーリーダーにバイトティペットを結んで使います。
使うラインの質量が軽く、メンディングもしやすいので、ショートロッドや低番手タックルでも組むことができます。
使うフライの重量が大きかったり、空気抵抗が大きい場合は、反対にタックル番手を上げていきます。
スローシンキング
必須度合い・・・★★★★★
シンクレート・・・インターミディエイト、S2
小魚や甲殻類のフライパターンを水面直下に潜らせたり、カウントダウンして水深1.5m前後をリトリーブする場合、水流が使える場所でフォールさせたりスイングさせたい場合など汎用性が高く、プレデター・フライフィッシングでは必須かつ最も多用するシステムとなります。
沈めたラインをピックアップする操作をやりやすくするため、ストリーマーの釣りのために設計されたバットが強いシングルハンド6番以上で組むのが一般的で、使うフライの質量や空気抵抗、ファイトする魚の強さに応じてタックルの番手を上げていきます。
ミディアムシンキング
必須度合い・・・★★☆☆☆
シンクレート・・・S3、S4
汽水や海では主に岸釣りでインターミディエイトでは間に合わないようなスポットで水深1.5m前後を素早くサーチする場合や、水深2m未満をリトリーブする場合に使います。淡水のフィールドではボートや3m未満のシャローで多用しますが、塩分の影響を受けずシンクレートが十分に速くなるため、S3はファーストシンキングとして使えます。
ファーストシンキング
必須度合い・・・★★★☆☆
シンクレート・・・S5、S6
ボートや岩壁など、足元が深い場所で使うことができるシステム。小魚のフライパターンを水深2m以上へカウントダウンしてリトリーブしたり、波が大きい時に素早くフライを潜らせる場合、ヘッドイーター相手の素早いストリッピングを行う時にフライが浮き上がることを防止する時に必須となります。
ライン重量が重たく、ピックアップにもパワーが必要なため、最低でもシングルハンド8番以上を使います。
エキストラファーストシンキング
必須度合い・・・★☆☆☆☆
シンクレート・・・DI7、S8、T-14など
オフショアなど塩分濃度が高い場所でのボートフィッシングで素早くフライを鎮めるために使います。また、ボートからある程度ラインをロングキャストで出しておいてから、移動しながらラインを最大限引き出して沈め6m近くのディープレンジを狙う場合などに使います。
ボトムの条件が合っていないとトラブルの原因になるため、十分な水深がない場所や魚探を使わない釣りでは使いません。
シューティングヘッド(オプション)
必須度合い・・・★★☆☆☆
手返しよくロングキャストを繰り返したい時に使います。また、足元が浅く根掛かりしやすい場所でファーストシンキングを組みたい場合も、先端だけを深く沈めて手前は浅く保つためにフローティングタイプのシューティングヘッドでシステムを組みます。
河口や狙い目が定まりづらい大場所では、細かいアクションよりもスイングなど大まかなプレゼンテーションを繰り返して反応する魚を探していくため、スイッチロッドやツーハンドロッドを使ってスカジットヘッドに異なるシンクレートのシンクティップを接続して使います。
ただしアクションが最重要のストリッピングの釣りでは浮き上がりやすく同じレンジを長くキープしづらいため、フルラインより釣果が出づらくなります。
ラインテーパー
ミドルキャスト以上を多用するのでWFが必須となります。6番サイズ程度までのウェットフライを使う場合、伝統的なシンプルなWFでも支障はありませんが、4番サイズ以上のストリーマーにはテーパーが二段階つけてあるダブルWF、空気抵抗が大きいモンスター向けの大型ストリーマーを使う場合は砲弾型の複合WFを使う必要があります。
フライロッドの選択肢
フライラインをキャストして狙ったカタチにセットして、プレゼンテーションを行いつつ必要に応じてアクションを加える中からアタリを感知してフックセットする。ストリーマーフィッシングの基本形が行えることが要件でありつつも、必要なロッド操作やライン操作、タクティクスに応じたラインシステムを扱える性能、ファイト性能、さらには空気抵抗への耐性全てを実現するロッドはなかなかデザインが難しく、高価なものは20万円近くに達するものも珍しくありません。
しかし値段が高い=現場で必要な性能を備えている、とは限らないため、下記のポイントに注意してロッドを選びます。
シングルハンドロッド
ストリッピング・・・★★★★★
スイング・・・★★★☆☆
着水してからのフライのダイレクトな操作がもっともやりやすいのがシングルハンドロッドとなります。9フィートが基本の長さとなりますが、8フィートにカットすることでロッドの反発が速くなり風へも強くなります。さらにジャングルリバーなど狭い空間で使いやすい7フィート(バス向けに作られている)も選択肢に入ります。
シンクティップを使うラインシステムやワイドループを頻繁に使う場合は、9フィート以上の長さのロッドが用意されていますが、持ち重りを軽減するために9.5フィート程度までから選んでください。
スイッチロッド
ストリッピング・・・★★★☆☆
スイング・・・★★★★☆
10〜11フィートのロッド。ツーハンドでシュートしつつ着水後すぐにシングルハンドで操作できるスイッチロッド(スイッチハンドロッド)も、手軽に飛距離が欲しい場合やロッドパワーを上げる必要がある時には選択肢に入りますが、フライの操作性はシングルハンドロッドよりも落ちるため、一回のプレゼンテーションと次のプレゼンテーションの間のサイクルがスローなシチュエーションに適しています。
ある程度の距離が空いている時のボイル撃ちなどにも使いやすくなっていますが、シングルハンドよりもフライラインの質量が上がるため、ラインの影や着水のインパクトは増えてしまいます。
ツーハンドロッド
ストリッピング・・・★★☆☆☆
スイング・・・★★★★★
河口や下流、湖岸からのシャローの釣りにおいて、キャストし続ける時でも疲労が少なく便利な12フィート以上の長さのツーハンドロッド。ロッドが長いのでシンクティップの取り扱いやピックアップしてからの打ち直しも楽に行えますが、フライラインが太くなり水面への干渉が増えること、ストリッピングにおける操作性は低くなるため、フライ自体のアクションが最小限のタクティクスにのみ使います。
スペイキャストが主となり、必要に応じてオーバーヘッドでシュートが打てるよう、ギリギリのバランスでシステムを組んだり、シューティングヘッドやシンクティップを交換しながら使います。
トップガイド
シュートの邪魔をせず、ストリッピング中に感度を保ち続け、濡れたフライラインが絡みづらいトップガイドが理想です。ガイド経が大きいほどシュート性能は上がりますが、必要以上に大きいガイド径はストリッピング中に最重要であるライン感度を下げるためバランスを取った設計が必要になります。
ティップセクション
風の中でもトップガイドの負荷を感じやすいことでキャストの最後における方向コントロールだけでなく、フライラインから伝達された情報をキャッチする重要なセクションです。
ミッドセクション
ループを打ち出す時の弾性を与えるパートかつティップが感知したアタリを聴きながら「掛け」に行く時もここの性能がものを言います。このためキャスティングゲーム・サイトフィッシング共に、ティップセクションとミッドセクションがシームレスに曲がってくれるミディアムファーストアクションがベストの選択となりますが、スピーディーなフッキングを好むアングラーはあえてファーストアクションを選びミッドセクションの「乗せ」に特化したロッドを選ぶケースもあります。
また、ミッドセクションが細く、弾性が強い方が風の中での振り抜きもよくなります。
バットセクション
ループ全体の質量を支えながらトルクを与える縁の下のセクションでロッドグリップの中まで続いています。
重たいシンクティップを支えたり、ハードファイターとのファイト性能を受け持つ重要パーツですが、強度を優先すると直径や厚みが太く重たくなり、対象魚に対して弱すぎるとフッキングが決まりづらくなります。
ストリッピングガイド
手元に引き出したフライラインやシューティングラインをロッドへ送り込む重要なパーツ。トップガイドと同じくらいストリッピング中のロッド感度に大きく影響するため、ここがきちんと設計されていることが重要です。大きい直径ほどシュート性能は上がりますが、同時に風の中で絡みやすくなったり、ロッドとのタイトさが減るために感度が落ちることにも繋がります。
グリップとファイティングバット
フライラインが常に水を拾う状態かつ、長時間ラインハンドリングを行うことが多いプレデターフィッシング。滑らないことはもちろん、フックセットの際にはしっかりと握り込めることも重要です。
大きい魚とファイトする際に、グリップの中のバットセクションも含めてロッドのパワーをフル動員するために、ロッドエンドの起点となるファイティングバットは必須となります。
リールシート
キャスティング回数も多くハードな環境が多くなりがちなプレデターフライフィッシングでは、しっかりとリールが固定できるアップロックかつ、ダブルリングで固定できるタイプがおすすめです。
フライリールの選択肢
プレデターフィッシングでは、フライリールはラインを収納しておくだけでなく、積極的なラインマネジメントのツールかつ、ファイトのための武器ともなります。
ウェイトバランス
使用するフライロッドとのバランスが重要になりますが、軽量・小型であればあるほど長時間のキャストでも疲れにくく、ストリッピング中の感度も高くできますが、極端に軽量・小型だとロッドとのバランスが崩れて操作性を下げてしまうので、フライリールに設定されている番手をヒントに選んでください。
スプール容量とアーバーデザイン
使用するフライラインが収容できるスプール容量およびバッキングラインも最低50m、理想的にはバッキングラインに8本編みのPEラインを使うなど工夫することで100m以上巻いておけることが最低条件となります。またラージアーバー設計である方がラインを巻き取る速度も速く、フライラインやリーダーの癖がつきづらくおすすめです。
| 魚の種類 | 必要バッキングライン |
|---|---|
| 小規模河川(バスなど)やフラットやインショアの普通の魚 (クロダイやシーバスなど) | 20lbテストを50m以上 |
| 本流やフラット、インショアの走る魚(ボーンフィッシュなど) | 30lbテストを100-150m |
| オフショアの魚 | 30lbテスト以上を200m+ |
シマノ「タナトル8」はダクロンと同様に摩擦に強い8本編みのPEラインとなっており、1mごとにピッチマーキング、10mごとにカラーが変わるので、正確なバッキング量を巻いておくのに便利です。1.5号で30lbテスト、3号で50lbテストの強度になっています。
ドラグ性能
プレデターといえどもラインスラックが発生すればバラしに直結するため、ラインハンドを使ったタイトなラインファイトを基本としつつ、余分なラインを出されたバックラッシュしないためにもある程度のドラグを搭載したリールは必須となります。さらに走る魚にはラインを持って行かせてフライリールのドラグを使ったリールファイトを行う必要があります。また濡れた手で急いで操作できるように、滑りづらく大きなドラグノブがついたものが必須となります。
| 魚の種類 | 必要ドラグ |
|---|---|
| 小規模河川(バスなど) | クリック式、ディスクドラグ1kg未満 |
| フラットやインショアの普通の魚 (クロダイやシーバスなど) | ディスクドラグ 1kg以上 |
| 本流やフラット、インショアの走る魚(ボーンフィッシュなど) | ディスクドラグ2kg以上 |
| オフショアの魚 | ディスクドラグ3kg以上 |
防錆処理
アルミニウムで作られているフライリールが大半ですが、コーティングがないと塩分と反応して腐食するため、「アノダイズ処理」(アルマイト加工のこと)が最低1層、できれば2層以上行われているボディのフライリールを選んでください。
バーチカルゲームにおけるシステムとタックルの選択肢
プレデターといえども、常に自らアグレッシブに獲物を探してコンタクト状態にあるわけではないので、バスフィッシングやチニングなどと同じく、特定のレンジを狙ったフォールやドリフト、ボトムを狙うリフト&フォール、サスペンドさせて誘うことが非常に有効です。
ユーロニンフ
バスフィッシングにおけるベイトフィネスの釣りに匹敵する、最近注目されているユーロニンフ。野池やテトラ周り、岩の多い源流などで丁寧に釣ることができるのがユーロニンフのシステムとタックルです。プレデターの場合は根掛かりしやすいストラクチャーが絡むため、シングルフライまたはリードフライの代わりにドロップショットを結んでドロッパーを使います。

ジグフライを使ったクロダイのサイトニンフィングはとても有効で、警戒心の強いクロダイが一発でパクッと咥えてしまうほどです。
テンカラ
都市部の公園の池など、リール付きのロッドが禁止されている場合、延べ竿しか使えないため必須のタックルとなります。一般的なものは渓流魚のファイトしか対応できないため、パワーの強い魚を相手にする際はコイ向けの延べ竿から選んで使ってください。

フィールド・対象魚とタックル番手・システム
| フィールド | 対象魚 | タックル番手とシステム |
|---|---|---|
| 野池 | ブルーギル、小型ラージマウスバス | シングルハンド3-5番:フローティングとユーロニンフ テンカラ |
| ラージマウスバス、小型ライギョ | シングルハンド5-7番:フローティング | |
| 湖岸 | ラージマウスバス、スモールマウスバス、チャネルキャットフィッシュ、ブラウントラウト、レイクトラウトなど | シングルハンド6-8番:フローティング、スローシンキング、ミディアムシンキング スイッチハンド4-6番:スローシンキング |
| ※ボトムゲーム | ツーハンド6-8番:エキストラファーストシンキング | |
| 湖ボート | ラージマウスバス、スモールマウスバス、ブラウントラウトなど | シングルハンド6-8番:スローシンキング、ミディアムシンキング、ファーストシンキング |
| 岸やストラクチャーを狙うトップウォーターゲームの場合 | シングルハンド6-8番:フローティング | |
| 渓流 | オオクチユゴイなど | シングルハンド2-4番:フローティングとユーロニンフ |
| 本流 | スモールマウスバス、マゴイ、ニゴイ、シーバスなど | シングルハンド6-8番:フローティングとスローシンキング スイッチハンド4-6番:スローシンキングとミディアムシンキング |
| 大型の遡上魚:シーバスやイトウなど | ツーハンド8-10番:スローシンキング、ミディアムシンキング、ファーストシンキング | |
| 河口 | シーバス、トレバリーなど | シングルハンド6-8番:フローティングとスローシンキング |
| 大型シーバスやアカメ・GTなど | シングルハンド10番:スローシンキングとファーストシンキング ツーハンド8-10番:スローシンキング、ミディアムシンキング、ファーストシンキング | |
| マングローブ | チヌやフエダイ、小型トレバリーなど | シングルハンド6-8番:フローティングとスローシンキング |
| サーフ | シーバスやフエフキなど | シングルハンド8番:スローシンキング スイッチハンド6-8番:スローシンキング ツーハンド8-10番:スローシンキング、ミディアムシンキング |
| 青物など回遊魚 | シングルハンド10番:スローシンキング スイッチハンド8-10番:スローシンキング ツーハンド8-10番:スローシンキング、ミディアムシンキング | |
| 岩壁 | アジやメバル、セイゴなど小物全般 | シングルハンド4-6番:フローティング、スローシンキング |
| シーバス・ヒラスズキやトレバリーなど | シングルハンド6-8番:スローシンキング、ミディアムシンキング、ファーストシンキング | |
| 青物など回遊魚 | シングルハンド10番:ミディアムシンキング ファーストシンキング ※大物狙いは12番 | |
| フラット | クロダイやボーンフィッシュなど | シングルハンド6-8番:フローティング |
| インナーリーフ(イノー) | ハタやフエダイ、トレバリーなど | シングルハンド8番:フローティング |
| 大型トリガーフィッシュ、パーミットや中型GTなど | シングルハンド10番:フローティング | |
| アウターリーフ | GT | シングルハンド12番:スローシンキング |
| インショア(湾内)ボート | アジやメバル、セイゴなど小物全般 | シングルハンド4-6番:スローシンキング、ミディアムシンキング |
| シーバス・ヒラスズキやトレバリーなど | シングルハンド6-8番:スローシンキング、ファーストシンキング | |
| 岸やストラクチャーを狙うトップウォーターゲームの場合 | シングルハンド6-8番:フローティング | |
| オフショアボート | シイラなど回遊魚 | シングルハンド10番: ファーストシンキング、エキストラファーストシンキング |
| 小型のマグロやバショウカジキ | シングルハンド12番: ファーストシンキング、エキストラファーストシンキング | |
| パヤオに群がるマグロやカジキなど | シングルハンド14-16番: ファーストシンキング、エキストラファーストシンキング |
エリア・対象魚とタックル番手・システム
エリアの場合は魚体を傷つけないために、バーブレスフックとリリースネットが義務付けられています。
また、イタズラにファイト時間を長くすることはマナー違反となるため、適合タックルを使ってください。
| エリア | 対象魚 | タックル番手とシステム |
|---|---|---|
| バスフィッシングエリア | ラージマウスバス | シングルハンド6番:フローティングとスローシンキング |
| 夏季限定怪魚エリア (宮城アングラーズヴィレッジや浜名湖フィッシングリゾート) | ラージマウスバス、ストライプドバス、チャネルキャットフィッシュ、マーレーコッド、ピーコックバス | シングルハンド8番:フローティングとスローシンキング |
プレデターフライフィッシングの背景
フライフィッシングには、1匹1匹とのセッションを楽しむ「マッチ・ザ・ハッチ」や、ハンターのように狙った大物をしとめるために己をきわめていく「トロフィー・フィッシング」、腕の確かさと手返しの良さでスコアを競う「コンペティション」、サイズや数に拘らず生物学的な探究のためにいろんな魚種を採捕する「コレクション」のようにさまざまなスタイルの楽しみ方があります。
プレデター・フライフィッシングは元々はサーモンフィッシングと同様に、大型魚とのファイトを楽しめるトロフィー・フィッシングの延長で自然にサケ科以外のパワフルなターゲットへ発展していく流れと、トラウトフィッシングおよびバスフィッシングのノウハウの延長が様々な魚種相手のテクニカルなライトゲームとして発展した流れがあります。

今やどちらもフィールドは本流・湖はもちろん海岸や沖合まで幅広いスケールの中で楽しまれています。

まとめと続き
現在の日本でプレデター・フライフィッシングのノウハウが最も詰まっているのが、ライトゲームはブラックバスやクロダイで、これらで学んだ知見やスキルはリーフやマングローブのライトゲームにも応用できます。トロフィーゲームは俎上魚であるシーバスやトレバリー、オフショアの魚たちになります。
個別のプレゼンテーションは「プレゼンテーション編」でカバーします。
この記事のメンバー
トレバリー番長。TFFCCの筆頭ストリーマースリンガー。
シーバストーナメント筆頭チャンピオン。ヒラスズキからアトランティックターポンまで狙うテクニシャン。
プレデターのサイトフィッシング大好きプロタイヤー。
ストライプドバスにインスパイアされてスモールマウスバスでフライを始めた、プレデター・ピューリタン。「フライで100魚種」を通じてサイズに拘らず面白い釣り方を研究中。
サーモンフィッシングからプレデターフィッシングに入ってきた正統派プレデターフィッシャー。シーバスとチヌ集中モード。
日本的プレデターフィッシングを実践。
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