フライリールのバッキングライン容量を増やす
一般的にフライリールを購入する際にライン容量を気にする場合、指定番手のフライラインを巻き取った後にどれだけのバッキングラインの容量があるか、フライリールの仕様表に示される「20lbダクロン x 50m」などの情報を使うこととなります。
フライリールのバッキングラインの素材としてダクロンの8本網糸は締め込むことで体積を減らすこともできるだけでなく、摩擦にも強いので便利ですが、これをあえてストレッチ性の無いPEラインの8本網糸に置き換えることでバッキング容量を調節することで、バッキング全長を長くしたり、より太いフライラインを巻き取ったりすることができます。
- 5/1・・・ ヘッド換算の補正、PEラインの種別を更新
- 1. ケース1: WF3 + 20lbダクロンx 20mのフライリールの場合
- 2. ケース2: WF5 + 20lbダクロンx 50mのフライリールの場合
- 3. ケース3: WF5 + 20lbダクロンx 100mのフライリールの場合
- 4. ケース4: WF8 + 20lbダクロン x 100mのフライリールの場合
- 5. バッキング向けライン一覧表
- 6. ダクロンとPEラインのバッキングラインとしての性能の違い
- 7. ツール
- 8. WFフライライン平均直径およびヘッド部グレイン数一覧(目安)
- 9. WFフライライン平均直径およびヘッド部グレイン数一覧(目安)
- 10. この記事のディスカッションに参加する | Join the Discussion
ケース1: WF3 + 20lbダクロンx 20mのフライリールの場合
20lbダクロンをシマノピットブル8本編み1号(20lb)に巻き替える場合:
項目 | 数値 |
---|---|
ダクロン20lb 直径 | 0.46mm |
20mの容量係数 | 0.46 x 20 x 100 = 920 |
「シマノ ピットブル 8本編み」 1号(20lb)直径 | 0.17mm |
巻き量 | 920/0.17/100 = 54m |
バッキング全長を「20m」のままでフライラインの番手を上げる場合:
項目 | 数値 |
---|---|
フライライン体積係数 | 30m x 100 x π (0.65mm/2)^2 = 995 |
バッキングライン体積係数 | 20m x 100 x π (0.46mm/2)^2 = 332 |
スプール体積係数 | 1,328 |
変更後のバッキング容量係数 | 20m x 100 x π (0.17mm/2)^2 = 45 |
変更後のフライライン容量係数 | 1,328-45=1,282 |
最大許容フライライン平均直径 | √(1,282/30/100/π)*2=0.74mm |
許容フライライン | WF4 (30m) |
ケース2: WF5 + 20lbダクロンx 50mのフライリールの場合
20lbダクロンをシマノピットブル8本編み1.5号(30lb)に巻き替える場合:
項目 | 数値 |
---|---|
ダクロン20lb 直径 | 0.46mm |
50mの容量係数 | 0.46 x 50 x 100 = 2,300 |
「シマノ ピットブル 8本編み」 1.5号(30lb)直径 | 0.203mm |
何m巻けるか? | 2,300/0.203/100 = 113m |
バッキング全長「50m」を変更せずにフライラインの番手を上げる場合:
項目 | 数値 |
---|---|
フライライン容量係数 | 30m x 100 x π (0.85mm/2)^2 = 1,702 |
バッキングライン容量係数 | 50m x 100 x π (0.46mm/2)^2 = 831 |
スプール全体容量係数 | 2,533mm^3 |
変更後のバッキング体積係数 | 50m x 100 x π (0.20mm/2)^2 = 150 |
変更後のフライライン容量係数 | 2,533-150=2,033 |
最大許容フライライン平均直径 | √(2,033/30/100/π)*2=0.93mm |
許容フライライン | WF6 (30m) |
同じリールにシューティングライン + スカジットヘッドを収容する場合(フライラインのヘッド部分は全体平均の25%増しとして計算)
項目 | 数値 |
---|---|
フライライン容量係数 | 2,033 |
シューティングライン種類 | モニック GSPシューティングライン 0.26'' (0.66mm) x 30.1m |
シューティングライン体積係数 | 30.1m x 100 x π (0.66mm/2)^2 = 1,030 |
変更後のフライライン容量係数 | 2,033-1,030=1,003 |
最大許容フライライン平均直径(ティップ込みヘッド全長10mで換算) | √(1,003/10/100/π)*2=1.13mm |
許容シューティングヘッド | スカジット150GR、スカンジ180GR |
ケース3: WF5 + 20lbダクロンx 100mのフライリールの場合
20lbダクロンをシマノピットブル8本編み1.5号(30lb)に巻き替える場合:
項目 | 数値 |
---|---|
フライライン容量係数 | 30m x 100 x π (0.85mm/2)^2 = 1,702 |
バッキングライン容量係数 | 100m x 100 x π (0.46mm/2)^2 = 1,662 |
スプール全体容量係数 | 3,364 |
変更後のバッキング体積係数 | 100m x 100 x π (0.20mm/2)^2 = 314 |
変更後のフライライン容量係数 | 3,364-314=3,060 |
最大許容フライライン平均直径 | √(3,060/30/100/π)*2=1.14mm |
許容フライライン | WF8 (30m) |
同じリールにシューティングライン + スカンジまたはスカジットヘッドを収容する場合
項目 |
---|
フライライン容量係数 |
シューティングライン種類 |
シューティングライン体積係数 |
変更後のフライライン容量係数 |
最大許容フライライン平均直径(ティップ込みヘッド全長10mで換算) |
許容スカジットヘッド |
項目 | 数値 |
---|---|
スプール全体容量係数 | 3,364 |
変更後のバッキング体積係数 | 50m x 100 x π x (0.2mm/2)^2 = 157 |
シューティングライン体積係数 | 1,030 |
変更後のフライライン容量係数 | 3,364-1,030-157=2,177 |
最大許容フライライン平均直径(ティップ込みヘッド全長10mで換算) | √(2,177/10/100/π)*2=1.66mm |
許容シューティングヘッド | スカンジ210GR、スカジット180GR |
ケース4: WF8 + 20lbダクロン x 100mのフライリールの場合
20lbダクロンをシマノタナトル8本編み3号(50lb)に巻き替えて、シューティングライン+スカジットヘッドに変更する場合:
項目 | 数値 |
---|---|
フライライン容量係数 | 30m x 100 x π x (1.15mm/2)^2 = 2,851 |
バッキングライン容量係数 | 100m x 100 x π x (0.46mm/2)^2 = 1,662 |
スプール全体容量係数 | 4,513 |
変更後のバッキング体積係数 | 100m x 100 x π x (0.30mm/2)^2 = 707 |
シューティングライン体積係数 | 30.1m x 100 x π (0.66mm/2)^2 = 1,030 |
フライライン容量係数 | 4,513-707-1,030=2,776 |
最大許容フライライン平均直径(ティップ込みヘッド全長10mで換算) | √(2,776/10/100/π)*2=1.88mm |
許容フライライン | スカンジ240GR、スカジット300GR |
バッキング向けライン一覧表
製品 | 号数 | 直径インチ | 直径mm | 強度ポンド |
---|---|---|---|---|
3M Scientific Anglers フライラインバッキング 30lb | N/A | .024インチ | 0.610mm | 30lb |
〃絞り込んだ場合 | N/A | .012インチ | 0.304mm | 30lb |
3M Scientific Anglers フライラインバッキング 20lb | N/A | .018インチ | 0.457mm | 20lb |
〃絞り込んだ場合 | N/A | .010インチ | 0.254mm | 20lb |
Shimano Pit Bull 8+ (8本組) | 1.0号 | .007インチ | 0.171mm | 20lb |
1.5号 | .008インチ | 0.209mm | 30lb | |
2.0号 | .011インチ | 0.234mm | 40lb | |
Shimano Tanatoru 8 (8本組) | 3.0号 | .012インチ | 0.296mm | 50lb |
4.0号 | .013インチ | 0.342mm | 65lb |
ダクロンとPEラインのバッキングラインとしての性能の違い
ダクロン(ポリエステル)はスプールに対して平行方向に中程度のストレッチ性があり、垂直方向の収縮も大きくショック吸収性に優れています。反面、巻き太りしやすいので、スプールに巻き取る時にはリールのドラグをしっかりと閉めた状態で巻かないと不揃いになったりします。
さらにダクロンは8本編みとなっており、障害物に巻き付いた際には一点に力が集中しないため、擦れに強いのも特徴です。
対してPE(ポリエチレン、GSP)はスプールに対して平行方向に極めて低いストレッチ性しかないためダイレクト感が高く、リールのドラグを適度に閉めた状態でも不揃いになりづらく、また垂直方向への収縮度合いも少なく吸水性が無いため、海水や天候などでも性能が変化しづらく優秀なバッキングラインと言えます。
しかし障害物に巻き付いた際には伸びないために、一点に力が集中しやすく破断強度を超えやすくなったり、熱に弱い素材のため、4本編みでは摩擦熱で強度が落ちて切れてしまうことがあります。またパッケージ上の破断強度は同じでも4本編みよりも8本編み、12本編みの方が密に編まれただけ強度が上がり、摩擦耐性も上がります。
ショック&摩擦吸収性を取るか、ダイレクト感と直径の細さを取るかで判断してください。
ツール
バックライトが付くLED液晶を使っているので、暗い場所でも巻き取り量を計測するのに便利なラインメーター
WFフライライン平均直径およびヘッド部グレイン数一覧(目安)
番手(#) | 平均直径(mm) | ヘッド部グレイン数 |
---|---|---|
WF3 | 0.65 mm | 100 |
WF4 | 0.75 mm | 120 |
WF5 | 0.85 mm | 140 |
WF6 | 0.95 mm | 160 |
WF7 | 1.05 mm | 185 |
WF8 | 1.15 mm | 210 |
WF9 | 1.25 mm | 240 |
WF10 | 1.35 mm | 280 |
WF11 | 1.45 mm | 330 |
WF12 | 1.55 mm | 380 |
WFフライライン平均直径およびヘッド部グレイン数一覧(目安)
ヘッド部グレイン数 | スカジット平均直径(mm) | スカンジ平均直径(mm) |
---|---|---|
150 | 1.58mm | 1.43mm |
180 | 1.67mm | 1.52mm |
210 | 1.81mm | 1.66mm |
240 | 1.90mm | 1.75mm |
270 | 2.01 mm | 1.81mm |
300 | 2.09 mm | 1.89mm |
330 | 2.19 mm | 1.99mm |
360 | 2.22 mm | 2.0mm |
390 | 2.31 mm | 2.06mm |
420 | 2.33 mm | 2.08mm |
450 | 2.41mm | 2.16mm |
480 | 2.42mm | 2.17mm |
510 | 2.43mm | 2.18mm |
540 | 2.5mm | 2.25mm |
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