西表島どうでしょう!2022:嵐のマングローブリバー前編:テッポウウオを探せ

2024/08/10

今回の西表島の目標の一つは、長年取り組んできてここ数年停滞していた「目指せフライで100魚種!」をいい加減に達成すること。その中に入って欲しいと願っている魚はいくつもありますが、西表島で達成したい一つに「テッポウウオ」がいます。

日本ではここにしか居ない魚で、岩陰やマングローブの根に隠れながら、小魚や甲殻類、シーズンには落ちてくる虫を狙って口からジェット水流で撃ち落とすために浮いてきたりします。

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できればドライフライで・・・ダメでもウェットでライズを狙いたい・・・。うちの亡き父も釣ってみたかった魚であり、同じく「マリンボックス」の故・宮城さんから「面白いよ!!」と熱烈にすすめられたフライ対象魚でもあります。

どちらも最期に一緒に釣りをすることになってしまった、2014年:亡き父と故・宮城さんと当時のカナディアンカヌー

そこで、宮城さんのカナディアンカヌーの直系後継者である「タウルス」のサトシさんのマングローブ・フィッシングガイドを予約して、狙えるようならやってみることになっていました。

嵐の前の静けさ

明け方4時くらい、喉が渇いて目が覚めて外を見たら、昨夜と同じ暖かいそよ風ですが、なんか湿気がムッと増えています。それに明け方だというのに、地元の人たちは妙に急いで車で移動している様子?この日のプランは丸ごとお願いしているので、目覚ましは朝6:30にセットしてあるし、二度寝してしまいます。

突然、天候が入れ替わる

そして6時過ぎくらい。早めに目覚めたので何でか不思議に思っていたら、窓がガタガタすごい音たてて揺れてます。カーテンを開けてみたら・・・。

ビュ〜〜〜ザ〜〜〜
雨嵐の風速15m!

え???ナニコレ。わずか1時間半の間に嘘みたいに冬の嵐へ突入。二日目にして冬が訪れてしまいました・・・。

この日の予定がどうなってしまうのか、頭が回らないので食堂のコーヒーを飲みながらサトシさんを待ちます。

さすがにテッポウウオが浮く天候ではないので、この日はサトシさんの先導についていきながら、強風の風裏になる場所へ移動します。カナディアンカヌーの強みでもありますが、条件の良い場所まで探索して、即出船できます。

某マングローブリバーで無事スタート

さすがプロガイド、嘘みたいに風の無いマングローブリバーを的確に把握していて、問題なく出船となりました。

西表島のフィッシングガイド「タウルス」の目玉は、サイドフロートのついたカナディアンカヌーから楽しめるマングローブリバーのルアー&フライフィッシングです。サトシさん自身がスポーツアングラーとしての熱いハートと同じ視線をお持ちなので、チャレンジタイムも考えてくれます。

どうでしょうタックル選択

面倒くさがりの私は、カヌーから座ったままで済ませるために、北海道のお試しカヤックフィッシングでも使い、前日の「コトヒキ地獄」で味を締めたシングルハンド6番スカジットを使いたかったのですが、怒涛の強風の中ではシュートの直進力が足りないので使い物になりません・・・。またマングローブの魚は意外にも臆病でストラクチャーの奥に隠れていることも多く、コントロール命のフィールドです。

シングルハンド8番フローティング

と言うわけでアグレシッブテーパーだけど透明で無用な影を落とさないWF8フローティングライン「アドバンスドクリアープラス」をソルトへ初投入!同じフライラインの6番はトーナメントで試して手前の魚がスレないので重宝していますので、ここでもご利益に預かりに行きます。

ラインシステムは強度と正確さの兼ね合いで12lbテスト設定。ターンオーバー性能重視でバリバスのFHTのソルト用を使いますが、これらを手返し良く扱えて、かつ繰り返しキャストしても右肩が疲れないシングルハンド8番もすでに用意していたので初投入!

写真のラインはプレデタースカジット用の別のシステム

フライロッド「Echo Prime (エコー プライム)」は、周囲を遮るものが無く常に風が吹き渡るフラットやボート上での使いやすさを目標に9フィートではなく8フィート11インチと絶妙な長さにデザインされたソルト&バス向けフライロッドで、軸が強く風の中でもフライラインの芯をとらえてループが直進していきます。

合わせるフライリールは右肩の負担を減らしたくてすでにスイッチロッドやツーハンド8/9と一緒に使ってきた「Hardy MTX-S」。ものすごく軽量なのにドラグ性能は十分あるので不意の強い魚にも対応可能です。

  • ティペット:シーガーエース3号3フィート
  • リーダー: バリバス テーパードリーダー レコードマスター SW IGFA Class FHT 12lb
  • フライライン:モニック アドバンスド クリアプラス WF8F透明フライライン
  • フライリール: Hardy MTX-S 7000
  • フライロッド: Echo Prime 8810-4

シングルハンド8番シンキング

魚の活性によってはシンキングラインも必要になるとのことですが、ものすごく深いところはやらないとのことなのでシーバスに使っているものをフライラインだけクリアーインタミに変更しています。

ティペット:シーガーエース3号3フィート
コントロールリーダー: シーガーエース8号 > 6号 3フィートずつ
フライライン:モニック ヘンレー クリアインターミディエイト WF8I
フライリール: Nautilus X XLA
フライロッド: R.L. Winston Boron II-MX 890-4

チャレンジタイム:爆風の河口ストリーマー

この日の朝一チャレンジは潮が動いている河口の対岸キワのストリーマー撃ち!
さすがに海から爆風が入ってくるので一筋縄では行かない場所ですが、雰囲気はムンムン漂っています。決して深くないポイントなので、シングル・フローティングタックルを信じてキャストしていきます。

バックキャストがぐっちゃぐちゃ

しかし海の方から入ってくる爆風がキョーレツで、ストレートにシュートしたフライラインがまるで魔球のようにスライダーとなって飛んでいきます。なんとかポイントへ届いた時にはギンガメアジっぽいショートバイトが連発しつつ、海から巻いてくる風が強すぎてフライラインが着水した瞬間に

ペロペロペロ〜

水面から剝がされて自分の方へ向かってくるほどなので、ちょっと無理ゲー・・・。

あきらめて風の入ってこないマングローブリバーの上流を目指します。

チャレンジタイム:アダンの園でフォーリング

ゆっくりと上流へ移動していく間、テッポウウオが潜んでいるであろう岩場やマングローブの根元へフライを打ち込んで行きますが、水面でエビが逃げ回るだけで魚からの反応はなし・・・。たまに奥のいい場所にキャストが決まると「モコっ」と反応しますが、そう簡単に食いついてくれない様子です。ただ、ここがフライフィッシングの小狡いところ。魚の反応が無くてもベイトが判別できれば口を使わせることができてしまいます。

とはいえ、魚たちはとてもタイトに岸際や障害物に着いている状態・・・。完全に岸になっている所では一発でフライを引っ掛けてしまうので、サトシさんから教わったメソッド:「アダンの生えている所なら葉っぱだけなので奥にぶちこめます」を信じて、アダンの葉を吹っ飛ばすように強いキャストで隙間の奥へフライを叩き込みます。

岸際にタイトにフライを入れたら、沈んだ倒木や岩などのストラクチャーへタイトにフライを通して、一気に勝負を決めないとOUTの戦場・・・

この要領でジャックことゴマフエフキが水面でアタックするようになったのですが、トラブルのリスクを避けて障害物から離れた場所で食わせるとUターンまたは超ショートバイトで乗りません!ウィードガードをつけたフライじゃ確実にフッキングを弾くので、真剣勝負の時間!

腹を括ってリスクを取り、アダン→倒木ギリギの危険コースをストリッピングしたら・・・

ーン!!

目測でも確実に40cmオーバーのジャックが水面を割って飛び出しましたが・・・秒速で倒木にティペットを巻いてしまい、ジャックは外れてしまいました・・・。残念。

続けて同じようなアダンのポイントで、倒木ほどでは無いですがアダンの奥にフライを入れてから、カーブフォールさせながら沈み岩の方へソローっと大きくストリッピングさせると・・・

ギュイーン!!

先ほどのジャックほどでは無いですが、派手に岩の間へ突っ込んでいきます!これも岩の間に入ってしまいましたが、シーガーのティペットを信じて、テンションを緩めて油断させて出てこさせてから、フライロッドのバットに重みを乗せて一気に抜き上げました。

40cmサイズは惜しくも逃しましたが、自己記録更新の35cm!!

西表島のゴマフエフキは赤みが強いのが特徴的なのですが、見事なまでの赤鬼!嬉しい1匹となりました。

悪魔のせいで失楽園の人類は、エデンの園からフォーリング。赤鬼のせいでマングローブリバーにハマる人類は、アダンの園でフォーリング?

まとめと続き

この時期は天候リスクが高いことは織り込み済みでしたが、テッポウウオは別の日に再度狙うことになります。

この日はこれで終わらず、カヌーで淡水域までアプローチしてマングローブリバー→ジャングルリバーへ進みます。続きは後編にて!

今や「餌フライ」に昇格したこのフライ。マッチザベイトの極みとなりましたが、自分がこれまでのフラットやリーフで使ってきたフライの要素をユーロニンフで使い出したジグニンフに結びつけただけでなく、エリアトーナメントで学んだメソッドとも相性が抜群なのが大きいです。

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