シロザケ(アキアジ)、ケタサーモン

2023/11/18サーモン,サケ,サケ有効利用調査,サケ科,フライフィッシング

和名:サケ、シロザケ、アキアジ
英名:Keta Salmon
学名:Oncorhynchus keta (Walbaum, 1792)

日本でサケと呼べばこの魚をさすほど代表的なサケ科の魚ですが、長い歴史の反面、実際の我々の食卓には輸入されてくるアトランティックサーモンやギンザケ(コーホーサーモン)ほど供給されていないので、思ったほど食べられていません。また、通常時の河川では釣ることが許されない魚であることで、あまり身近な魚となっていませんが、近年は「調査目的」の名目で漁協が採卵及び受精のために川へ回帰するシロザケを採捕することへの協力として有料で釣らせる河川が増えてきたこともあり、ゲームフィッシュとして再注目されています。

グチさんのケタサーモン(カナダ、2023)

広大なサーモンカントリーを泳ぐケタサーモン

人間たちが間に国境線を引き、異なる言葉で分かれて暮らす北大西洋ですが、シロザケはロシアやアラスカではケタサーモンと呼ばれ、カナダやアメリカ本土では「ドッグ」や「チャム」(コマセ)サーモンと呼ばれていますが、全く同じ種の魚たちが大回遊しています。

学名にもなっている「ケタ」はロシアのツングース系エヴェンキ族の語源で「小さいサーモン」の意味で元ロシア領のアラスカでも通用していますが、「チャム」はアメリカ北西部チヌーク語の「ツム」(=ブナが入った状態)を、英語圏の人間が聞き間違えてコマセに…。ここではロシアでもアメリカでも同じ名前で認識され、学会でも通っているケタサーモンと呼びます。

サケ釣りの歴史と事情

サケが遡上してくる釧路の街中でレリーフとなっているシロザケ

サケの繁殖プログラムの歴史は中世まで遡り、サケが遡上する時期に指定した河川を禁漁するというシンプルなものでした。北海道のごく一部では今もこの方法が取られていますが、それ以外は全国ほぼ100%人間の手を経て繁殖が行われています。養魚場で卵から育てた稚魚を河口近くへ放流し、4年後の秋にそこへ戻ったところを漁獲します。川へ戻るサケたちは政府の規則によって厳しく守られ、繁殖に関わる漁協のみが漁獲することを許されています。河口規制の無い海岸、漁港、沖合ではこの規則が適用されないため、普通に釣ることができ、北海道ではとてもポピュラーな釣りとなっています。

日本の食卓ではとても人気の魚だったのですが、定置網漁の季節や生産量が限定されるため、年間を通じて供給できるように90年代以降の日本で食されるサケの50%以上は海外から輸入されています。ノルウェー産のアトランティックサーモン、チリのギンザケ、ロシアのベニザケ。さらに国内生産もギンザケとニジマスの海面養殖が大きな割合を占めています。自然漁獲されるサケの数は減るばかり、そこで水産庁を含めて今後のサケ繁殖プログラムを見直すことになりました。

サケ有効利用調査が実施されている河川

新潟県の荒川における調査フィッシングでキャッチされたシロザケ(カルロスさん提供)

北海道の忠類川において日本で初めて地方自治体、漁協、釣り人たちが一緒になって議論した結果、政府や漁協だけでなく、一般の釣り人も「サケ有効利用調査」の名目で漁獲に参加できることになりました。釣り人はあらかじめ抽選に申し込み、指定した日のライセンスを購入します。釣ることができる区間はあらかじめ定められており、釣ったサケの報告義務がある中で、卵を持つメスの魚は漁協が回収して孵化場へ持ち帰ってまた次のサイクルへ戻っていきます。

筆者が昔行った福島県の木戸川など、東日本大震災の影響を受けた河川もあれば、サケの戻り率が不安定で中止している川など様々です。

フライタックル

パシフィックサーモンとしてはコーホーサーモンより少し小さめの中型サーモンとなります。

日本で釣れるサーモンとしては最大種となりますので、パワーに対応できる必要があるとともに、メンディングやスイングなどコントロールしやすい方が釣果が上がりますので、どうバランスを取るかがキーとなります。またじっくりとフライを泳がせて、スレがかりを防ぎながら口を使わせるためには飛距離を稼いでストリッピングする時間を長くする必要があります。

飛距離対策や重たいフライやシンクティップを扱いやすいツーハンドタックルが最も使いやすいタックル選択となります。13フィート8番がライトタックルかつ片手でのメンティングもしやすいです。川幅や飛距離を求める場合は15フィート10番がパワータックルとなります。

小型のサーモンが多い場合かつ重たいフライを使う必要がない場合、水面へのプレッシャー低減のために12フィート6番などがベストチョイスとなります。

川幅が狭い場所の場合、細かくスイングしていくためと、周囲に他のアングラーも入るポイントだと思われますので、取り回しも含めてシングルハンドタックルがベストな選択となります。9フィート8番がライトタックル、10番がパワータックルとなります。フローティングラインで十分に釣れますが、シンクティップを使い分ける方がベストな角度でフライを送り込めるので使いやすいです。

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