アレキサンドラ
オリジナルは1860年代のスコットランドの湖水地方を釣っていたアングラーたちが小魚を真似た小型のストリーマーをピーコックとシルバーボディでタイングしたのが始まりで、当初はアーサー王伝説にちなんで「湖の淑女」と呼ばれていました。その後、当時の有名アングラーだったウィリアム・グリア・タール少佐がイングランドの川でも釣りやすいようにウイング・ウェットのサイズにアレンジして、当時の皇太子妃アレキサンドラ(デンマーク王室から皇太子アルバート・エドワードへ嫁いだ)から名前をとりアレキサンドラと名付けました。
広まった当初はあまりに釣れるので、全英の釣り場で禁止されたこともあったそうです。タール少佐はドライフライの先駆者として有名なフレデリック・ハルフォードやジョージ・マリアットからフライタイングを習い、彼らと一緒にテスト川を釣っていた一人ですが、皮肉なことにドライフライ至上主義者だったハルフォードからはウェットフライを馬鹿にされていたようです。
実際に良く釣れるフライで、筆者が帰国してから中禅寺湖で初めてブラウントラウトを釣ったのも、湯川でブルックトラウトを釣ったのも、犀川でニジマスを釣ったのもこのフライでした。赤いグースショルダーやヘンハックルは水中で柔らかくゆらゆらと誘い、ピーコックの生命感とシルバーの反射・・・。虫っぽくも小魚っぽくも見えるためスモールマウスバスにも非常に効果的です。使った事が無ければ試してみてください。
ファインワイヤーをツイストさせて強力なネジネジ・ティンセルにする
予め使いたい太さのワイヤーをループにしてシャンク最後端に用意しておきます。ダビングループの要領でツイスターでクルクルするだけ。私はガサツなのでOPSTのツイスターでやっていますが、繊細なタッチを求める方はC&F Designのツイスターなんてオススメです。オーバル・ティンセルと見た目は似ていて、よりしっかりとボディを締め込めて耐久性の高いボディが仕上がります。
ウイングの取り扱い
ピーコックソードはばらけやすいので、できる限り指先で触らないでいいように、クイルから片側を切り取ったら掌へ乗せておきます。反対側を切り取ったらその上へ重ねてまとめてから、左右の掌を使って摘みやすいような位置へ持って行ったら、人差し指と親指で幅広く持つように摘み上げるのがコツです。(上手い人は指先だけで出来ちゃいますが・・・)
またピーコックは濡れると細くなるので「フワッ」という量を取り付けるのが釣果につながります。
もっと良いやり方を教わりました。
ピーコックソードはステムから切り離さずに、ステムごと切り取ってウイングとしてセットするとばらけずに簡単に扱うことができます。
マテリアル
フック:ドヒーク HDS #6-10
スレッド:テックストリーム GSPパワースレッド 16/0 ブラック
テール:グースショルダー・クイル レッド(レッドアイビスの代用)
ボディ:フラットティンセルM 0.8mm幅 シルバー
リビング:ドヒーク 0.1mm ラウンドワイヤーシルバーをツイスト、#6以上のサイズの場合は0.2mm
スロートハックル:ヘンハックル・サドル(ダークブラウンかブラック)
ウイング:ピーコックソード
チーク:グースショルダー・クイル レッドを左右に一つずつ
ツール
ダビングツイスター
最近見かけなくなってしまいましたが、C&F Designのこの子はどこかへ転がっていってしまう欠点を除けば、小さいフライに使いやすいのでオススメです。
慣れてしまえば、OPSTのこれが転がっていかないし、しっかりと重みをかけてツイストできるので一押しです。
ワイヤー専用ボビン
ワイヤーに使っても切れづらいセラミック加工されたボビンです。
使い方
魚が見える場所で使ってみると良く分かりますが、何もせずに水中を漂わせておくだけで藻の裏に隠れたブルックトラウトや岩の下に隠れたイワナなどが出てくるくらいアピールの強いフライです。
弱って浮き上がる小魚を真似るため基本的にはシンキングラインを使いますが、フローティングラインの場合はショットを使って沈めやすいようにしておきます。
ストリッピングの釣りで使う場合。活性が高い時にはあまりカウントダウンせずに着水して馴染んだらゆっくりと長めにリトリーブします。活性が低い時は魚のタナまでカウントダウンして、ゆっくりと同じレンジをキープするようにリトリーブしていきます。
スイングの釣りで使う場合。活性が高い魚にはあまり沈めずに大きなスイング、岩へ隠れているような魚を狙うときは沈めて送り込んでからターンさせてゆっくりと誘います。ダブルウェットで組む場合は沈みやすいクイルウイングのフライをリードに組み合わせて、ドロッパー側がおすすめです。
戦績
- ブラウントラウト
- ブルックトラウト、ニッコウイワナ、エゾイワナ
- ニジマス
- スモールマウスバス
タイヤー
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