フライフィッシング四方山話#7 クマとどう向き合うか – 活動域・生息域へ入る時の危機管理と安全対策

2024年10月の北海道ツアーおよび最新の情報に基づいて補足・追記しました >独特な匂いの原因・熊スプレーを送る方法・爆竹を買える場所など

パート1は日本の都道府県の70%以上にクマ生息域・活動域である「ベアカントリー」が存在し、いかにクマという野生動物の活動域が人間の活動域と重複しうるか、ということをカバーさせていただきました。

続くパート2ではクマの習性や行動パターンを理解して、活動域・生息域においてどんなルート取りが遭遇しやすいのか。数々のサインを理解して、いかにお互いが出会い頭にならないようプランするかについてカバーしました。

北海道を例にとると、すでにクマたちの方から活動域を押し込んできている最中、わざわざこちらからクマたちの生息域に出向いていくべきなのか、とも思います。しかし、そこへ入っていかなければ釣りなどのアウトドア活動は成立しません。最強のリバーキーパーであるクマと折り合わなければパラダイスへ辿り着けません。しかし、本当に天国に送られてしまっては困るので、出会うとしてもどれだけ相手との距離を保った状態でいられるか、接近しすぎた時の対策を準備しておくか、どうやって生還するか、という点にフォーカスさせていただきます。一部はパート2と重複しますが、クマとの距離が接近してしまった=テリトリーに入った状態が分からないと対策に繋がらない、ということでよろしくお願いします。

クマの気配:テリトリーのサイン

警戒しながら茂みの中や障害物の影でじっとしている時のクマは、全く音を出さず、気配も殺すので気づくことは至難の技です。しかし、匂いや痕跡を隠すことはできないので、これらを手掛かりにすることができます。

ちなみにクマの匂いは表現に個人差があるので一概に言えませんが、私の場合は、アメリカ・クロクマ、ツキノワグマ、ヒグマ全て「牛のようなムッとした臭さの中に甘い香りまたは海藻のような生臭さが混ざる」です。その時食べているものがベリー類やナッツ類の場合は「甘い香り」、海から遡上してきたサケマスの場合は「磯臭さ」となります。夏場に食料にありつけず牧場を彷徨いて家畜と同じものや堆肥を空腹しのぎに食べる個体は家畜と似た匂いになるようです。

こればかりは実際に体験して学習しないとなりませんが、鹿やイノシシの獣臭さとは完全に違う匂いです。その匂いが強ければ強いほど、クマが近くにいるか、それだけ長い時間その場所にステイしていたことになりますので、警戒レベルを上げる必要があります。

クマの糞がフレッシュな場合は、通り過ぎてからあまり日時が経っていません。

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とはいえ一定期間全く餌にありつけず糞の臭いがしないクマもいると聞きます。臭いや糞が無くても、クマが近くにいる場合、「オゥ〜・・・」と言う喉を鳴らす唸り声が聞こえたり、「ホフホフ・・・」と言う息遣いが聞こえることもあります。時によっては高い音と低い声が混ざって、中年男性の話声のように聞こえることもあります。

クマは気配を消すために声のボリュームをコントロールするのが上手いのですが、唸り声はコントロールできないのでどれだけ先にいるか見当をつけることができます。息遣いの方は、小さく聞こえていても驚くほど近くにいることがあるので絶対に近づいて行かないでください。

また子熊の鳴き声は人間の赤ちゃんのような鳴き声なので、ついつい助けてあげようと声の方へ近寄って行ってしまいますが、母グマへコールしている声ですので、慌てずに声がする方から離れてください。

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クマの排除行動:警戒と威嚇

クマは自分が執着しているテリトリーへ人間が入ってきたり、子熊の安全を守るための安全圏が侵されたりすると、排除行動といって邪魔な相手を追い払おうとします。

この時に警戒音と呼ばれる音を出してきます。唸り声から吠え声に変わる準備をしているためだからだと言われていますが、「ホフホフ」に喉の声が混ざって「カフカフ」さらには「ガフガフ」と言う警戒音を出し始めます。

これが相手に聞こえてない場合は、地面を「ボーン」や木を「パーン」と叩いたりして自分がいることをアピールしてきます。

また、わざと自分の糞の臭いが相手にわかるような位置へ移動したりしますが、それが効かないとなると、いよいよ隠れることをやめて自分の姿を相手に見せつけて様子を見たり、睨みつけたり・立ち上がったり警戒行動をとってみたり、吠えて威嚇したり、相手との戦いに備えて有利な地形に回り込むような準備行動を取ったりします。

クマの攻撃行動:ブラフチャージと本チャージ

クマが相手を攻撃する前の段階では、チャージと呼ばれる「これからお前を攻撃するぞ!」という意志を込めた突進をしてきます。相手が強い動物かどうかを試すために途中で止まって反転する威嚇行為を「ブラフチャージ」と言います。

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排除行動から長い時間が経っても相手が立ち去らない場合、すでにブラフチャージしているのに相手が立ち去らない場合、何かしらの原因で人間を襲う決意をしているクマの場合は一気にチャージしてきて攻撃に移ります。

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対策は定番となっているものが世の中にはありますが、一番大事なのは「安全距離」を保つことです。ここで紹介する対策はすべて安全距離を保つことを最優先にしています。

対策1:出没情報やハンティングマップをチェックして、安全な時間&地形をルートに決める

ベアカントリーの現実と直面する自治体や自然観察センターでは、クマの出没情報を集めていて、ホームページに掲載しています。クマは1日で20km以上移動するのは朝飯前なので、必ずチェックするようにしてください。行動半径の中に上の条件が重なる場所がある場合はルート調整・時間調整で避けられる場合は避けるべきです。夕方から早朝にかけては、特にクマが活発に行動する時間です。

また都道府県が発表している可猟区と通常時禁猟区・鳥獣保護区を示した「ハンティングマップ」も参考となります。ハンティングプレッシャーがかかっていない地域に永年保護区がある場合は、高い確率でクマの巣が作られており、そこから生まれてくる経験の浅い若い新世代クマが他の地域に移動できない場合は、周辺に留まってテリトリーが重複する形で生息しています。こういう場所は「生息地」のレベルを超えて「コア生息地=密集地」となっていることもある中で、何等かの原因でストレスを抱えていたり異常な行動を起こす問題クマがいる可能性が高いので特に注意と対策が必要です。

周囲を可猟区に囲まれた禁猟区の場合、春先の生息密度が高くなる

昔は必ず里山といって、クマの活動域と人間の活動域の間に緩衝地帯が作られていました。川も人間の気配が残る里川があります。これを活用して、自分が活動したい場所とクマの活動しやすい間に緩衝スペースを置くというのも対策としてはシンプルです。分かりやすいのは、同じ川原でも斜面や森がある方に入るのではなく、常に開けた方から釣るという段取り。浅い方から深い方を釣るのでフライフィッシングとしても理にかなっていますし、自分の背後に突然クマが出てくるリスクを避けることもできます。

ただし、これもクマから単独でいることがバレるまで長居してしまったり、人の活動が無くなる時間帯には効果が無くなるので、絶対では無いということを理解してください。

全てのクマが危険な状態であるわけではなく、通常の場合は、あくまでも私たちを「恐ろしい生物」や「邪魔だけど避けたい相手」と認識した上で、彼らから遠ざかることができれば向こうから逃げていきます。しかし何かの原因で彼らの退路を絶ってしまったり、餌場や生活テリトリーに踏み込み過ぎてしまったために「排除すべき敵」と認識されると厄介なことになります。安全距離を保つことが最優先です。

対策2:活動域で必須!・・・受動的ノイズメイカーで安全距離を保つ

クマの活動域に入る場合は、受動的なノイズを出し続けることで人間の存在に気づかせクマの方から安全距離を保ってもらいます。必要最低限の装備としてこちらからずっと音を出し続けることができる「クマ鈴」や「ラジオ」などを必ず携帯するようにしてください。

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大抵の場合はクマの方が林道や登山道から脇へ逸れて茂みへ隠れながらヒトをやり過ごしくてくれますが、何かに夢中になっているクマの場合、気づいてくれずに出会い頭で相手を驚かせてしまうことがあります。必ずしも100%では無いので、クマの気配を確かめながら慎重に進むか、できればルートを変更する方が無難です。

対策3:生息域で必須!・・・能動的なノイズメイカー

どうしても生息域へ入っていく場合、活動域であるがクマがいる可能性が高いエリアに長時間入る場合、両手を叩いて大きな音を出す「柏手」や、クマが聞き取りやすい「オイ!」や「ウォーイ!」のような大きく出す「声出し」を連続的に行って、能動的に「複数の人数で人間が来ているぞ!」ということをクマに伝えて安全距離を保つようにしてください。

長時間の場合は疲れてしまいますので、ホイッスルを吹いたりや手軽に大きな音が出せる電子ホイッスルを必ず持って行ってください。単発で鳴らすのではなく、パーティーで行動しているように声出しなどと組み合わせると効果が増します。

これらはエントリーする時だけ音出しをすればいいのではなく、移動中に見通しが悪い場所や地形変化がある場所へ差し掛かった時は必ず行ってください。フィッシングのように一か所に留まった活動や、トイレや休憩する場所に長居する場合も必ず1回音出しを行い、15分間隔で音を出して今もそこに人間がいることを明示します。もしソロ行動されている場合は単独であることを悟らせないために、連続して音を出します。

対策4:生息域で必須!・・・火薬臭マーキングが出来るノイズメーカー

能動的に大きな音が出せるだけでなく、火薬臭を拡散・残留させることができるスターターピストルや爆竹は、人里近くでこそ使えませんが、人里離れた場所では臭いでマーキングするために必ず使います。使うタイミングとしては、車から離れてエントリー地点を確保する時、クマのサインが残っているエリアに入った時、ルート上に大きな地形変化がある場所、長時間留まることを決めたエリアに入る場合になります。

運動会で使うスターターピストルは片手でも使うことができて、ウェーディング中やカヌーやカヤックなどの水上からも使いやすく、非常に効果的で遠くまで音がよく響きます。

ミニ雷管は音があまり大きくないので、「競技用紙雷管」を使ってください。

コスパを優先する場合は、昔ながらの爆竹もありですが、スターターピストルと違い、音を出すだけでなく火薬の匂いを地面に残すことで一定時間のクマ避け効果があります。

火をつけたものを置くことになるので、火気厳禁のエリアでは使えないこと。また使える場所でも山火事に気を付けて使ってください。

地面に置いた爆竹は意外に音が拡散しないので見通しが悪いところでは効果は限定的です。
そのため「クマおどし」と呼ばれるやり方で狙った方向に高い位置から単発で響きやすく音を出すこともできます。

これらは濡れてしまうと使えなくなるため、100円ショップなどで売っている防水ケースに収納しておいてください。爆竹はホームセンターで買うことができますが、事前に現地のストアの在庫を確認しておきましょう。

ただし、クマ猟やクマ駆除が行われている最中の地域では、ハンターと間違われて襲撃されるリスクが高まるので火薬を使ったノイズ行動は絶対に使用しないでください。

とはいえ、音慣れしているクマの場合、無視して遠ざからないこともあるので、やはりどれだけクマのテリトリーに接近・踏み込んでいるかをサインから判断し、必要であればクマにそのエリアを譲って引き返す英断が必要です。

対策5:生息域で必須!・・・クマスプレーを持つ

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確実に安全距離を保つために役立つスプレーですが、使い方を学習して持っているだけで「保険」となります。これがあることで冷静を保つことができますので、生息域へ出向く時は必ず持っていくことをお薦めします。スプレーの効果はクマの体重と反比例するので、身長2mを軽く超えるヒグマがいる北海道の場合、容量が多いスプレーが必須です。

本州のツキノワグマであれば中型のスプレーで足りるとされていますが、容量が多いものの方がスプレー量が多く、複数回噴射できますので、北東北の場合はできれば大きいものを携行してください。

これらのスプレーはガス缶などと同じく危険物指定となりますので、飛行機には持ち込めません。遠征に行く際は現地の宿泊先や配送業者の荷物受け取りカウンター(空港にもあります)などへあらかじめ送っておく必要があります。

対策6:出会ったとき・・・自分を大きく集団でいるように見せ、後ろを見せて走らず、相手を刺激せず安全距離を保ち焦らずに離脱する

これらの対策を行っていてクマと出会うことは滅多にありませんが、クマの餌場が近い場合や風向きや天気の影響でクマに伝わらなかった場合、「こんな場所では出ないだろう」と油断していてノイズメイカーを使い忘れたりすると効果が無くなり出会ってしまうことがあります。その場合、一番重要なのはパニックに陥らないことと、決して背中を見せて走って逃げてはいけません。また相手を刺激しないことです。

クマは本来とても慎重な動物なので自分から人間を襲いに行くことは滅多にありませんが、パニックになると予想外の行動に出ることが多く、嗅覚モードから「はっ!」と気づいた時に目の前に普段怖いと思っているオバケ・ニンゲンがいると、良くて相手を威嚇するための警告音や威嚇・ブラフチャージ、悪くて反射的に攻撃してくることになります。

絶対に走らない・隙を見せずゆっくり動く

クマに限らず犬など肉食獣は、逃げる相手を追いかける習性を持っています。相手に隙を見せないように、背中を見せずにゆっくりと後退して安全な距離をとることが基本です。

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体を大きく見せたり、仲間がいるようにみせる

クマの判断力はモヤーっとしていると言われていますが、気を付けなければならないのは「弱いやつが独りでいる」ことに気づかれないこと。相手が自分より大きい・数が多く思わせるために、両手を広げたりバックパックを掲げたりして身体を大きくみせたり、足音・物音を立てて「仲間がいるぞ!」というアピールをしてください。

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無用な大声を出したりして相手を挑発しない

できれば無用な刺激は一切行わず、その段階でゆっくりと離れてクマを刺激しないようにしてください。人間を怖がっているクマだけではなく、新世代のクマは好奇心が強いので余計な注意を惹いてしまうことがあります。クマとの安全距離を確保して、立ち去ることが最優先です。

対策7:間合いを詰めさせず、障害物やクマスプレーを活用して自分を守る

運が悪くクマを刺激して怒らせてしまった場合や、出会い頭の興奮が収まらず排除行動がエスカレートしてしまった場合、クマの攻撃から身を守るステージに入ります。

クマは突進して間合いを詰めてから、体重に任せて相手に覆いかぶさり、強力な顎を使った「噛みつき」攻撃や、鋭い爪を使った「鉤爪」攻撃を行なってきます。まずは絶対に間合いを詰めさせないことが非常に重要ですので、そのための行動を優先してください。

体を大きく見せるようにしながらクマと自分の間に障害物があるように動く

間合いを詰めさせないためには、自分が強い動物だと認識させることや相手との間に障害物を置くことが最も効果的です。ジャケットを着ている場合は大きく広げて、両手を広げて体が大きく見えるようにしてください。

障害物が視界を遮る遮蔽物であれば、相手の警戒心も高まります。大きな岩や木の幹、自分の方が高い位置にいられる崖、建物の裏へ回り込むなど、なんでも良いのでクマに間合いを詰めさせないようにしてください。

大きな唸り声を出しながらクマスプレーで間合いを確保する・顔面へ噴射する

それでも興奮が収まらなかったり、「相手の方が弱いのだ」と気づき積極的に攻撃するために執着する問題クマもいます。そんな相手の攻撃する意図を挫いて撃退するために手軽に使うことができるのが「クマスプレー」です。

スプレーの中身はクマの目と鼻へ大きなショックを与える濃縮されたトウガラシ成分で、これを高圧ガスで勢いよく噴き出して、自分とクマの間に強烈なバリアーを作り出します。容量が大きいものは2回以上噴射できますので、1回目はクマとの間合いを取るために使います。

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安全ロックを引き抜いて噴射できる状態にしたら、両手でスプレーをしっかりと保持して自分の体からできる限り前へ突き出し、クマの顔の高さへ構えます。片手持ちですとスプレー噴射の勢いで向きが変わってしまうので両手で使うようにしてください。

1回目はクマとの距離が10m程度でチャージしてくるクマを止めるために「オイ!」など大声を出しながら噴射します。霧のバリアーの中へ入ったクマはショックで呼吸もままならなくなって攻撃の意志を捨てるか、学習している場合は匂いを嗅いだ時点で立ち去っていきます。

それでもチャージをやめないクマの場合は、3m程度まで引きつけてから顔面を目掛けて2回目を噴射します。直撃を食らったクマはさらに強烈なショックを受けるだけでなく、目と鼻が効かなくなるため追跡を交わす効果があります。

容量が大きなスプレーの場合、3回目の噴射も可能なので、密度の高いベアカントリーに行かれる際は必ずそちらを携行してください。

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クマスプレーを持っていない場合・・・身近な太い木の枝やトレッキングポールなどで良いので相手との間に間合いを作るように大きな唸り声を出しながら地面や周囲の木の幹を叩いて大きな音を出して威嚇します。しかしスプレーと違って直接クマへショックを与えることができないので、スプレーがおすすめです。

対策8: 地面へ伏せて急所をガードして耐える

ここから先は、アメリカ時代の森林レンジャーとハンティングをする知人たちから聞いた最終的な防御方法ですが、スプレーの使用が圧倒的な実績と効果がありますので、あくまでも予備知識としてください。

まずは映画「レブナント」より、本気で襲ってくるクマをリアルに描いているシーンです。

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ここでは主人公が排除行動として攻撃してくる母グマをおとなしくやり過ごしてから安全距離を保つ前に、射撃で逆上させてしまったために、よりエスカレートした攻撃を受けてしまっています。

クマスプレーを十分な距離から噴射する余裕が無い場合や、効き目が遅い場合はクマの攻撃レンジに入ってしまうことがあります。鋭い爪のついた強力な前足による引っ掻き打撃は刃物による攻撃と一緒ですので、致命傷をもらわないように地面へ伏せて防御姿勢を取ってください。

うつ伏せになって顔面と腹部を守り、急所である首の後ろへ噛みつかれないように両手でかばいながら、クマの攻撃に耐えることになります。手足をいくら噛まれたり引き裂かれても致命傷は避けられますので、急所を守ることに集中してください。しつこいクマの場合は急所を狙うために体をひっくり返しにかかることがあります。ひっくり返されたらすぐに防御姿勢に戻ってください。

隙があれば残っているスプレーをクマの顔面へ噴射したり、唯一空いている足でクマの顔面、特に繊細な鼻先を蹴ることで相手の攻撃の意志を挫きます。たとえ刃物などの武器を持っていたとしても、太い筋肉や硬い骨で作られたクマの体へ至近距離から致命傷を与えるのは慣れたハンターでも至難の技です。戦う道も残されていますが、とにかく生存のためにダメージを最小限に抑えて相手に諦めさせて安全距離を保つステップへ戻り生還することを最優先にしてください。

まとめ

現時点での最新情報や経験談、各地のガイドなどのプロからの意見を聞いてこの記事をまとめるのに2年近くかかってしまいました。いい加減なことは書けないということ、またさらに進化した方法が見つかり次第アップデートします。

「回避する」ことこそ、クマにとっても釣り人にとってもお互いに利益がありますので、可能な限り遭遇を避けて安全にベアーカントリーで過ごすようにしましょう。

参考資料

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四方山話

Posted by Neversink