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フレンチスタイル・フライフィッシング:PUREサイトフィッシング

「あらゆる近代スポーツを産んだ大国」という地盤を保ち続けながらも、過去には「ペゾン・エ・ミシェル」はじめ、バンブーロッド時代のフライロッドやルアーロッドを完成品・OEM品ともに送り出し、「ミッシェル300」のような革新的なスピニグリールや現在も良く使われているレバー式セミオートフライリールなど、厳しい要求に答えるための強力な釣具開発力をもつエンジニア大国でもあるフランス。

海峡を隔てたイギリスは階級社会ならではの面倒さがある中で、イギリス人のアングラーがフランスに自由な表現の場を求めることもあり、またフランス語圏であるカナダなどを通じて北米から南太平洋までグローバルな知見も集まります。

その延長線上で「趣味としてのレクリエーションフィッシング」も盛んであれば、「競技としてのスポーツフィッシング」も盛んに行われているフランスですが、魚食文化も大きいので、サーモンをはじめ「食べるためのフィッシング」の伝統も強く残っています。そんな背景の中でフランスのフライフィッシングは、数を狙う釣り上がりは「フレンチニンフ」が圧倒的な割合を占めていますが、反面「狙った魚だけを仕留めるサイトフィッシング」も根強く人気になっており、この2つを併用して釣りを進めていきます。

フレンチニンフの方はすでに基本編から中級編までカバーしていますので、ここではサイトフィッシングだけに限定して、新しい知見を得ながら更新していこうと思います。

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更新ノート
  • 2026.7.9: 初回アップロード

狙った魚だけを完全なサイトフィッシングで狙う=PUREサイトフィッシング

プライベートでも11フィートのニンフタックルと9フィートのサイトフィッシングタックルを持ち歩くジュリアンさん

「なんでフランスのエキスパートは競技じゃなくてもロッド2本持ち歩くんだろう?」という疑問。競技のためだけじゃなくて普段のレクリエーションでも2本持ち歩いているわけですが、実際に数日間を一緒に過ごして分かったのは、「釣り上がる時=サーチフィッシングやスポットフィッシング」はフレンチニンフまたはピレネーニンフを行い、その川のコンディションを定量的に把握してデータとして頭にインプットしながら、小さい魚のライズは「一才無用!」と完全に無視して、いい魚を見つけたタイミングでのみ足を止めて、サイトフィッシング専用タックルにチェンジします。

そのサイトフィッシングの完成された精度から生み出される結果は、決して行き慣れた川の経験則だけではなく、アウェーで行く北海道で対象魚に応じてタックルの番手やライン強度・フライの使い分けで対応さ背、現地のプロガイドよりも先にいい魚を見つけて釣ってしまうアングラーがいるほどなので、便宜上フレンチスタイルと呼びます。

サイトフィッシングにおけるプレゼンテーションの目的:トップでコンタクトしたいターゲットに絞り込んで狙う

フレンチスタイルでは、集中力を削ぐだけである「釣り上がりにおけるショットガン」をドライフライでは一切行いません。すでにライズしているストライク予備軍はもちろん、水面のドリフターを観察している状態のコンタクト予備軍の中から、欲しいサイズの魚だけにターゲットを絞り込んでからプレゼンテーションを行います。

釣り上がり中のサーチフィッシングやスポットフィッシングは全てフレンチニンフに任せておいて、どんなに調子が良くても、狙った魚を発見した時点で移動をストップしてPUREサイトフィッシングへ切り替えます。その際に、それまでの釣りの経験で「ここには大物が着くだろう」というケースでも、確認をしないショットガンは厳禁で、必ず時間をかけて先に魚を見つけます。

ターゲットとなる魚は通い慣れたフィールドの「ヌシ」であることもあれば、偶然出会う大きな魚だったり、大抵は障害物に逃げ込みやすい位置に着く警戒心の強い大型の個体となりますが、反対に大胆な捕食を行う個体であっても、大きいサイズであればターゲットとなります。

ある程度の深さになる場合はフレンチニンフのタックルを使ってサイトニンフィングを行います。

素直にフライを咥えさえるためのソフトな着水&ドラグフリー

着水が静かで魚を驚かせづらく、再投入のチャンスが多いドライフライを多用します。その中でもフィールドでハッチしている定番の虫が有利なので、イミテーションドライフライを使うことで、事実上のマッチ・ザ・ハッチの状態でサイトフィッシングを行います。魚の付くレンジによっては小型のイミテーションニンフも使います。

狙った魚が一発でフライを咥えて狙い通りの位置にフックセットすることが目標です。そのためには、狙った魚にプレッシャーがかから無いよう、必要最小限のキャスト・ドリフト距離でドラグフリーを達成しフライを咥えさせてフックセットする必要があります。

フライタックルとラインシステム:本流ドライフライ

ドラグフリーを実現するために繊細なテーパーかつターンオーバーさせられるギリギリの長さのラインシステムを組みます。ドラグフリーが実現できる立ち位置をはじめ、位置を変える相手に追随しながら自分のポジションもどんどん変えて行く必要があるため、また、ヒットさせた相手が簡単にランディングできないケースが多いため、機動性を高めるためにセミオート・フライリールを使います。

  • フライロッド: 9フィート5番
  • フライリール: セミオートフライリール
  • フライライン: ドライフライテーパーのWFフローティングライン
  • リーダー: テーパーリーダー9フィート4X、完成品またはハンドノット
  • コントロールティペット: 5X 3フィート
  • ポイントティペット: 6X 3フィート
  • 延長追加ティペット: 6.5X 3フィート未満・・・7Xを使うことも、あくまでも延長ロングドリフトが必要な時のみ

競技ルールではリーダーの後端から先端のフライがティペットに結ばれている部分までをロッド2本分以内に収めないとならないため、テーパーリーダーはロッドと同じ長さ、ティペットは通常は2段階、長くドリフトを行う時は3段階でロッドと同じ長さまで延長します。

フライタックルとラインシステム:渓流ドライフライ

フライロッドの番手が下がる他はほとんど同じシステムとなります。渓流であってもラインコントロールや魚とのファイトで不利となるショートロッドは使いません。

  • フライロッド: 9フィート3/4番
  • フライリール: セミオートフライリール
  • フライライン: ドライフライテーパーのWFフローティングライン
  • リーダー: テーパーリーダー9フィート4X、完成品またはハンドノット
  • コントロールティペット: 5X 3フィート
  • ポイントティペット: 6X 3フィート・・・魚のサイズに応じて7Xに落とすことも

同じく競技ルールを意識しますが、長いドリフトは行わないため、ティペットは2段階で組むのが普通となります。

フライタックルとラインシステム:競技用

ドライフライ単体を使うだけでなく、ポイントフライをニンフに変更してドライフライをドロッパーに結ぶ「ドライドロッパー」と兼用にするため、ロッド全長が長くなります。またティペット同士の結び目をドロッパーフライを結ぶために活用します。ドライドロッパーの詳細については別途カバーします。

  • フライロッド: 9フィート4〜6インチ3/4番
  • フライリール: セミオートフライリール
  • フライライン: ニンフテーパーのWFフローティングライン
  • リーダー: テーパーリーダー9フィート4X、完成品またはハンドノット
  • コントロールティペット: 5X 3フィート
  • ポイントティペット: 6X 3フィート

先にドライフライ単体で釣りを進めている場合は、ドライフライをポイントティペットごとカットして外してしまい、新たにポイントティペットをコントロールティペットに結びますが、その結び目でわざと長めにタグを余らせておいてそこへ浮力の高いドライフライを結びます。ポイントティペットの先端にはペルディゴンニンフを結びます。

フライタックルとラインシステム:サイトニンフ用

ドライフライ用ではなくフレンチニンフ用に組んだタックルを使い、フライやティペットを調整して使います。フレンチニンフ「上級編」の中でカバーします。

倒木の影に隠れていた60cm近いファリオはフレンチニンフのサイトニンフィングで仕留められた

サイト=ドライフライだけではない、目視で判断するスキル

本流の場合は対岸のキワや、対岸の木の張り出した下にできるシェード。渓流では対岸の大岩のヘリや、2ポケット上流側のフラット部分にいる魚など、PUREサイトフィッシングが要求される場所は必ずしも魚を目視しやすい場所ではありません。また、魚そのものが見えない状況では、魚の背景から違和感のある場所をマイナス処理で「見抜き」ます。

このスキルは対象魚や使うタックルの番手が変わっても応用できるため、フランス人のエキスパートが初めて行く北海道で現地に合わせたドライフライを使って良い型のニジマスやアメマス、ブラウントラウトを仕留めることはもちろん、タックル番手を上げてストリーマーを結ぶことでイトウを仕留めることさえできたりします。

偏光グラス選びは相当に重要で、色合いが変わってしまうものはNG。今後、おすすめのものを紹介します。

ドリフトのセットアップ

基本的にメンディングは行わず、着水から計算した形にフライラインからティペットまでをターンオーバーさせて水面へ置きに行きます。このためベストなドリフトができる角度と位置を計算して自分の足で回り込みます。

ストライク認知とフックセット

フライを飲まれてしまうと細いティペットが歯に当たって切られてしまうため、魚がフライを吸い込んだタイミングで魚の口の端のいい位置を目指して「掛け」フックセットを行います。

この必ず魚の口の中にフライが入っている状態からフッキングさせる方法は競技フライフィッシングと同じであり、サイトフィッシングの間もフッキング練習を密かに重ねていると思うと、フランス選手の勝利への執念が分かります・・・。

まとめと続き

本流ドライフライだけを見ればともてベーシックなセッティングですが、通常は2セクション、最大3セクションのティペットを使い分けることで、システマチックにフライとティペットの両方を交換できる上に、ドロッパーリグに対応させることもできることが大きな特長です。また、サーチフィッシングやスポットフィッシングと完全に切り分けてサイトフィッシングを成立させているため、これで鍛え上げたスキルをベースに、湖ではニンフを使ってサイトニンフィングを行い、フラットではウェットフライを使ってボーンフィッシュやパーミットに対してサイトフィッシングを行えることでスキルの反復学習も大きく得られることになります。

プロガイドと大会トップクラスの選手たちの双方が持つ高いフィッシング能力を支える秘訣であり、私たちは彼らと同じだけ魚を目視する能力を持たないとしても、同様なスキルアップのための重要なファクターであることは間違いないでしょう。

この記事のメンバー

フランスチームのトップ選手やプロガイドとの交流で、最新のタックルやシステムを検証中。
同じ努力で大きい魚が獲れるプレデターのサイトフィッシングだけが好きだったが、ドライフライでも狙って大きいトラウトが釣れることを目の当たりにして心を入れ替えて記事にまとめることを決意。

鬼怒川から北海道まで、TFFCC内でドライフライを使うサイトフィッシングの一人者。国内フィールドとの適性から記事のレビューを担当。

元祖フランスチーム追っかけで元チームジャパンのプロタイヤー。ストーキングとサイトフィッシングの上手さは必見!