「超感度」ウェットフライという選択肢: リバーフィッシング編
※テストを重ねた内容で都度更新します
解禁期間の本流で大型のニジマスや遡上魚を狙ったり、冬季本流C&R区間のニジマスやブラウントラウトで楽しみながら経験を積みやすいウェットフライの釣りですが、限られたフィールドに対してのアングラーの数が多い場合はプレッシャーがかかりやすくなるため、口を使う魚を探してレンジやフライを使い分けることも意識したサーチフィッシングとなり、一回一回のアタリの重要性が大きくなります。
また、それらと比較してもはるかにたくさんの川や魚を探ることができる北海道の本流まで泊まりがけでランガンして経験値を積む・本領を発揮することもできます。この場合も魚の居場所・濃い場所を見つけてアタリの数を増やすことができれば、同じ場所からアベレージ以上や最大サイズの魚を引き出すことができます。
反面、大量の魚がストックされている川エリアの場合、サーチフィッシングの手間はかかりませんが、数またはサイズを釣りたい場合はいかに微弱なアタリを拾って「掛ける・乗せる」かが重要となります。
さらに本州の大都会に住んでいても、下流区域で小型のシーバスやマルタウグイを甲殻類系ウェットフライや小型のストリーマー、中流区域でスモールマウスバスをウェットフライやストリーマーで狙うことで経験値を増やすことができます。ただし改修や構築で要塞のようになってしまった川の性格は単調かつ狙えるポイントも多く無い中で、通行人や生活者の安全まで考慮して釣りを行う中で、魚影も薄い中ではサーチフィッシングの精度が非常に重要になります。
あらゆる条件下でサーチフィッシングの手法としてのウェットフライを使ったフライフィッシングのメリットを最大化しつつ、弱点を補うことで限られた時間でアタリを最大化して、アクセスしやすいフィールドで経験値を積みつつ、本格的なフィールドでは全てを出し切って目一杯楽しもう、というのが「超感度」ウェットです。
サーチフィッシングにおけるウェットフライの優位性
伝統的な釣法から発展してきたウェットフライですが、効率良く広い範囲を一気に探ることや選んだレーンにフライ先行で流すことに長けているため、サーチフィッシングに最適なフライフィッシング手法といえます。
- 歴史が長い釣り方なので、フライパターンには川にたくさんいる「餌」のイミテーションもリアクションバイトを誘うアトラクターも出揃っている
- フライを乾かす手間が無い
- ほぼオーバーヘッドで投げないで良いためバックスペースを気にせず打ち返せる
- 余計なライントラブルが少ない(ねじれ処理は必要)
- 対岸から手前まで、トップからボトムまで3Dサーチして着実に手返しよく先へ先へと進んでいける
- 特定のレーンをフライ先行で流せるので魚が反応しやすい
- テンションを維持しているのでストライク即フックセットしやすい
- フッキングさせなければ、同じ魚にもうワンチャンスある
- ツーハンドロッドを使えば飛距離を出したり、ロングロッドならではの操作性の向上やファイト時間の短縮ができる
さらに同じフライタックルを使ってある程度はドライフライやニンフを使うこともできるので、下流方向へ探っていける環境でサーチフィッシングを行う時、プラスアルファもある効率的なタクティクスです。
タックル&システム要件
サーチフィッシング優先で使うタックル&システムとして、行き先のフィールドの川幅に臨機応変に対応するために、スイッチロッドまたはツーハンドロッドを使い分けます。システムはフィールドの状態や流し方で手前から対岸まで探れるようにシューティングヘッドのシステム:スカンジナビアンとスカジットを使い分けます。この中で感度を高めるタックル&システムを組みます。
どのパートを「超感度」にするべきか=ルアーと同じ要件
ほとんどのシチュエーションで立体的に探るサーチフィッシングであるルアーの場合、プレゼンテーション中にロッドティップに最も近いメインラインをノンストレッチのPEラインにすることでダイレクト感を高め、魚に最も近いフックにもこだわることで魚からの微細なアタリやルアーの動き・果ては底の感触を出やすくします。
そうしてアタリ感知を最適化しておきながら、拾ったアタリに対して、どう「乗せるか・掛けるか」まで考慮してロッドの硬さやホールドする時の角度、ラインシステムの内容や水中への角度までベストな状態にしています。これが最適化できれば微細なアタリをフッキングさせられるようになります。
これをフライフィッシングでも近いことを実現しようというのが超感度です。
GSP(PE)コアのシューティングライン
一番感度が落ちやすい場所→ランニングライン→ノンストレッチで浮力が高いライン = GSP(PE)コアのシューティングライン
GSP(PE)コアでできたシューティングラインのメリットとして、ストレッチ性が非常に低いため、パワー伝達や水中感知に優れています。さらに破断強度も非常に高く、対岸のハングオーバー下や倒木・岩といったストラクチャー狙いや深く沈めるディープレンジの釣りでも確実にティペットの部分で切って回収できるめ、臆することなくポイントを攻めることができます。
対岸よりの魚の反応を引き出すために、フライが上流を向いた状態でドリフトするためには着水前後のメンディングが重要ですが、30m先でも素早く快適に行うことができます。
フックポイントが鋭利なリアルバーブレスフックにフライをドレッシングする
一番魚に近い場所→フックポイント→鋭利でアタリが出やすいリアルバーブレスを使う = 競技用バーブレスフック
競技用バーブレスフックはリアルバーブレスフックとも呼ばれ、フライフィッシング競技会における1匹や1cmを巡るシビアな釣果を競うシーンで使われています。設計上バーブを考慮していないので、フックポイントを長く鋭くして化学研磨を行うことで針先の感度が最大化されています。また、フックポイントを長くできるメリットとして、バラしにくいように少し内側へカーブさせる「ネムリ」加工がつけられたり、バーブレスである前提で抜けにくいようなベンド設計が行われているため、ファイト中もベンドを力点に保持しておけば抜けることはありません。
スカンジナビアンで組む超感度
渇水河川やとてもスローに流れる浅いセクション、渓流のような川幅の川、人が多いエリアフィッシングでは水面へのインパクトを減らす必要があります。また、ライズが起きやすい環境でもあるので、水面または水面直下で使うフライも多用するほか、場合によっては補足的にドライフライを上流側へキャストして探ることもあります。この場合は着水が静か(分散されるため)でワイドループを使うことができるスカンジナビアンでシステムを組みます。
ロッド
また微細なアタリを掛ける・乗せる時はロッドブランクの直径が細いほどやりやすいので、シングルハンドまたはスイッチハンドで作られている3−5番ロッドが適しています。また川幅に応じて9フィートから11フィートまでが使いやすいレングスとなります。
リール
ロッドのリフティングパワーが強力ではない番手を使うので、不意な大物に対応できるようドラグの滑り出しがスムースで1.5kg-2.5kg程度のドラグがかけられるディスクドラグのフライリールを使います。
ヘッド
感度を高く保つためにフローティング一択となります。
リーダー
小さいなフライを水面ー水面直下で使う場合はスローに着水させる必要があるので、ノットレスのテーパーリーダーが使いやすくなります。
それほどシビアで無い場合は、狙ったレンジにあったポリリーダーをフローティング・ホバー・インターミディエイトから選んで使い分けます。
ティペット
上流からサイドに流す時はナチュラルドリフトさせる必要があるので、流れに馴染みやすく沈めやすい・アタリが出やすい、しなやかなフロロカーボンのティペットがベストな選択となります。
フライ
微細なアタリをフッキングさせる「掛け」を行いたい場合は、シングルフライ一択となります。また魚の口の中にフライフックがしっかりと入っている必要があるので、極力小さめのマッチ・ザ・ハッチを意識した「食わせパターン」である必要もあります。
「乗せ」で十分な場合は、レンジキーピングのニーズに応じてダブルフライを組むこともできます。その場合は深いレンジにアンカーとして使うリードフライは硬く水流を受けやすいクイルウイングのウェット、朝めの目的のレンジをキープさせるドロッパーにはフェザーウイングやソフトハックルが適しています。
スカジットで組む超感度
水量がある河川や対岸がえぐれて深くなっているセクション、岩や落ち込みなどで急深なポイントが連続する場合は、扇型に探るだけでなく縦にレーンを流しやすく、重量のあるチューブフライやシャンクフライも正確にキャスト&プレゼンテーションできるスカジットでシステムを組みます。また短く太いヘッド部分の浮力が強くコントロールもしやすいので、大きめのウェットフライを使ったダブルフライを組む時も使いやすくなっています。
ロッド
スカンジナビアンよりもヘッド全長が短いためアタリが拾いやすくなっている反面、リーチキャストやメンディングが重要になるのでレングスが長いロッドの方が有利になります。また、レンジが深くなる場合が多いので対象魚も大きくなり、ラインシステムを扱うパワーも必要となります。フィールドや魚のサイズに合わせて、11フィートから13フィートのツーハンドロッド3-8番が適しています。
システムが掛け調子は期待できないので、乗せ調子を意識して弾きづらいアクションのロッドを選びます。
リール
ロッドのリフティングパワーが強めの番手を使うので、弾かないようにドラグの滑り出しがスムースかつ大物対策で2kg-3kg程度のドラグがかけられるディスクドラグのフライリールを使います。
ヘッド
感度を高く保つために表層から1.5mくらいの水深はフローティング一択となります。1.5m以上の水深を狙う場合は先端または全体がインターミディエイトのヘッドを使います。
ティップ・リーダー
小さいなフライを水面ー水面直下で使う場合はプレッシャーをかけづらく馴染みやすい、直径が細いポリリーダーをフローティング・ホバーから選択して使います。
チューブフライやシャンクフライを中層以下で使う場合は狙うレンジや流速に応じてターンオーバー性能が高いシンクティップをシンクレートと長さから選びます。
ボトムから少し浮かせた低層を狙う場合は、ファーストシンキングのティップで浮き上がってこないものを使いますが、その場合はラインロストを避けるため、ヘッドはフローティング一択となります。
ティペット
サイドからメンディングしてコントロールドリフトさせる必要があるので、流れに馴染みやすく沈めやすい・アタリが出やすい、しなやかなフロロカーボンのティペットがベストな選択となります。
フライ
微細なアタリをフッキングさせる「掛け」を行いたい場合は、シングルフライ一択となります。また魚の口の中にフライフックがしっかりと入っている必要があるので、極力小さめのマッチ・ザ・ハッチを意識した「食わせパターン」である必要もあります。
「乗せ」で十分な場合は、レンジキーピングのニーズに応じてダブルフライを組むこともできます。その場合は深いレンジにアンカーとして使うリードフライは硬く水流を受けやすいクイルウイングのウェット、朝めの目的のレンジをキープさせるドロッパーにはフェザーウイングやソフトハックルが適しています。
大物を狙う場合はボトムに定位していることが多いので、超感度を活かしてウェットフライで他の魚を釣ってどかしてから誘い出すか、着き場所を推理して最初からチューブフライまたはシャンクフライのスイングリーチなどでレンジを直撃する方が反応が引き出せます。
スイッチハンド操作できるロッド&リールを選ぶ
プロガイドやスティールヘッダーたちのニーズのおかげで進化していくタックルの中でもロッド&リールの軽量化は驚異的で、両手・片手操作の切り替えが瞬時にできる「スイッチハンド」の高い操作性のおかげで、対岸までの遠投はもちろん、倒木や岩といったストラクチャー周辺を丁寧に探れたり、着水からのラインコントロールを続けやすいおかげで速い流れだけでなく緩い流れでもテンションを保ち続けることができます。
本流の場合はシュート直後に片手持ちでのロッド操作がしやすいことで、着水前のリーチキャストも着水直後のメンディングもできます。
湖の場合はシュート途中でラインハンドをフリーにすることで、ラインブレーキをかけて丁寧なターンオーバーを行ったり、活性が高い時にラインハンドの指をリング状にラインにかけておくことで、着水直後からストリッピングをして見切られないようにしたりできます。
超感度のチョイ釣り
低番手タックルで遊べる手軽なアクセスのフィールドならば、魚の溜まり場所を発見したり、よりたくさんの魚と遊ぶことができます。
本流の超感度
中番手以上のツーハンドタックルでは「超感度」の性能が遺憾無く発揮されます。
スローな流れや止水でも超感度
流れが速い所はラインシステムをしっかり組まなくてもテンションを維持しやすいですが、流れが緩い場所でもアタリ感度を発揮するのが超感度のメリットです。
超感度・番外編
2021シーズン、ボートフィッシングのモンスターサイズのシーバス相手にも、潮流の中でスイングさせながらノンストレッチの感度とフッキングパワーが活かされました。
まとめと続き
スカジットを使うシチュエーションで水深があるフィールドをもう少し使ってみてから内容を更新します。
また、止水においても「ライズ撃ち」と「カウントダウン&ストリッピング」で性能をテストしてから、記事を追加します。
この記事のメンバー
この記事のディスカッションに参加する | Join the Discussion
東京フライフィッシング&カントリークラブのFacebook グループ「Friends Lobby」ではメンバー以外の方とのディスカッションも行っています。気になる情報や質問などはこちらまで!