西表島どうでしょう!2022:シングルハンド・スカジットでフラット「コトヒキ地獄編」
11月末から12月頭の1週間の予定がポッカリ空く好機が訪れたことがあって、久々に飛行機に乗って遠征へ行くことに決まりました。何度も段取りしているので、マイレージ飛行機チケット・空港までの格安相乗りハイヤー・お得レンタカー・宿・フェリーとポンポンと手配して旅路につきます。
今回は年内に覚えたユーロニンフやエリアトーナメントでのノウハウやテクニックをソルトフライへ応用することで、効率MAXでテキパキと目的を達成したら、おまけチャレンジもいくつかやっていくことになっています。フットワークが大事なので、旅の後半にしか使わないインフレータブルカヤックのようなかさばる荷物は宿へ発送!到着後すぐにレンタカーの中に置いておいて、臨機応変に使うものだけバズーカロッドケースとスーツケースにいれ、それ以外は身軽な装備でテンポよく動き回るのが狙いです。
この季節はいつ天候が崩れるか予断を許さないので、釣りができない時間は、ワールドカップTV観戦や西表島に増加中というグルメスポット、自分の興味あるビジネスと関わる物事をチェックするプランです。何度目か忘れた石垣空港→石垣港ー>西表島の移動。移動途中の石垣島はいつものエンダーで昼飯済ませて、スポーツフィッシングのための体力温存のため、思いっきり瞑想!
船足が思ったよりも早く、意識が飛んでいたのは30分足らず。すでに西表島の大原港が見えてきて、その向こう側にお目当てのフラット①があります。大原港に到着したら、レンタカーの迎車に乗って手続き済ませて、速攻移動!
とても安易なフラット①
私が離島やランガンを行う際は必ずスマホやハンディGPSにマップ作りをしますが、行きたいポイントに番号をふり、かならずバラエティを増やして方角も散らすようにしています。こうすれば暴風や大雨に逢っても、風裏へ入ったり、雨雲と反対の方向へ行けば早く天気が回復するからです。①がダメなら⑫へ行き、状況が変わったら⑤へ行って様子をみる、ような感じです。
ただ、次の目的地への移動がある場合は、無用にうろうろすると時間やガソリンがもったいないので、その方向の途中にあるポイントしか行きません。無駄撃ち厳禁なのです。
このフラット①は大原港に一番近い場所なので超・安易なのですが、何年か前に来た時に、「漁港そばの河口に〇〇がうじゃうじゃいるぞ」と聞いて、小物の数釣りを楽しもうとフラグを立てておいたフィールドなのです。ただしかなり古い情報ですし、しかも次の目的地から反対方向へ離れる方向・・・。目的地途中には遥かにゴージャスな「映え」フラット④があったのですが、第六感でしょうか?なんか珍しくポリシーに反して①からスタートです。
レンタカーを浜に出る側道に駐車しておいて、ウェットウェーディングの装備に着替えて、スリングバッグを背負って、しばしどのタックルでやろうか悩みます・・・。
ウェット・ウェーディングの装備
水温が高い南国ですが、大事な足を怪我から保護しつつ保温しておくことで、疲れにくくコントロールして楽しい時間が過ごせます。西表島の場合はフラットだけでなく、珊瑚礁や渓流もありますので、ウェットウェーディング装備が安全で快適です。
まず必要になるのがネオプレーンソックス。ダイビング用やウェーディング用など色々ありますが、「歩く」ことを想定して作られているウェーディング用の方が破けにくくできています。
シマノの「ジオロック カットラバー」シリーズはフェルトスパイク底で消耗した場合は張り替えることができます。岩や珊瑚、歯の鋭い魚などから大切な足を守る大事な装備ですし、草むらからエントリーしたり、濁っている場所へエントリーしたりする時にはサンダルでは足を守り切れないので必須です。ネオプレーンソックスの厚みの分があるので、自分の足サイズの1.0上を選択します。フェルトの部分は岩肌や護岸でも滑りづらく、スパイクピンの効果でぬめった地面や底でもしっかりとグリップします。
ダツやモンガラカワハギといった攻撃的で歯の鋭い魚や水中にある尖ったもの、足場が崩れた時などにケガから保護してくれるだけでなく、ふくらはぎを冷やさないことで疲れを防ぐ大事な装備がゲーターです。西表島の場合は冷たい水が流れる渓流もあるのであると非常に便利です。
ちなみに今回の遠征の最後でモンガラカワハギにアタックされましたが、ゲーターをかじられただけで済みました。
どうでしょうタックル選択
良い天気で微風だし、かなり水が落ちている時間帯に入る泥岩のフラットなので、モンスターフィッシュも居なければ、えぐい根掛かりを外す必要もないのでシングルハンド6番を使うことをセレクト。
フライリールはモニックの透明フライラインをセットしてあるTibor Lightを装着しようとしたのですが、数日前に本流トラウトをショートスペイでやった時のフライリールに225GRのスカジットがセットしてあるのを思いだし、こっちの方がキャスト疲れしないし、浜名湖みたいにナーバスな魚が相手じゃないのでポリリーダーから先だけトラウト用からサーモン用へ交換して装着してしまいました。
いつもTFFCCの重鎮メンバーたちから「スカジットでサイトフィッシングなんてできないよ」と、頭ごなしに言われることもあって、いつもマイクロスカジット&ドライフライで中禅寺湖を静かにサイトフィッシングする私としては聞き捨てならないのですが、でも確かに浜名湖のようなフラットの場合は自分の周囲360°どこからターゲットがやってくるか分からないので、そのまんまやると無用なスナップTとか置きラインが増えるとフィールドを荒らすだけです。
しかし明確なルートを決めてサイトフィッシングする場合は、基本前進しかせず、自分の進む方向だけ攻めて後方はすでに踏み抜いているので、後方を少々Dループで叩いても影響はありません。というわけでシングルハンドスカジットを選択しました。
シングルハンド6番スカジットタックル
- フライ:HDJジグシュリンプ#8のプロトタイプ
- ティペット:シーガーエース3号5フィート
- リーダー: AirFlo ポリリーダー サーモン 10フィート インタミ
- スカジットヘッド:OPST Commando Head 225GR
- シューティングライン:Ken Cube EXシューティングライン フローティング
- フライリール: Ross Evolution LTX 7/8
- フライロッド: R.L. Winston Boron II-MX 906-4
お久しぶりのシングルハンド・スカジットですが、勝算はあって、ユーロニンフで学んだ「着水静かだけどレンジまでスッと入る」ジグフライをシュリンプにアレンジしたこのパターンのプロトタイプを使うことにしました。このタックルをひっつかんで、林を抜けて浜へ!
ちなみにリールは違うけど、以前はこれが定番となっていました。
魚を優しくリリースするのに便利なランディングネット。こちらがおすすめです。
いざ入潟!
肝心のフラット①の写真を取り忘れましたが、沿岸に沿って泥岩のフラットがずーっと続いているあまり変化が多くない地形。ただし、全体はのっぺりと広くても狙い目は狭くなっている河口干潟周囲に集中している立地なので、魚影さえ濃ければ時間をかけずに良い思いができるだろうという見立てがあります。
さて、いつもならば、セッション開始前の風景や空気を感じる大事なひと時なのですが、今回は見立てたまま、あっけなくナーバスウォーターを発見したので、さんぴん茶を一口だけ飲んで、さっさと移動中の何かの魚群のコースの先回りをしてサイトフィッシング準備に入ります。
チヌかなと思ったのですが、チヌにしては騒々しいので、スプークしないように群れの先頭よりも2mくらい先にフライを落としてスタンバイ。最初の一群がフライの上を通過していきますが、停まっているフライを軽く突くけど無反応で通り過ぎ去ります。「ん?まさか」と思って、群れが完全に行ってしまう前に大きくストリッピングすると早速ヒット!
久しぶりのソルトフィッシュであることもあり、サイズに対して6番ロッドをギュンギュン曲げるファイトに染み入ります。
ファーストフィッシュはクワガナー=コトヒキ。見ようによってはマイクロ・ルースターフィッシュ!
グワグワ
と警戒音を出したりします。そのまんまリリースするとグワグワと仲間に警告しながら合流して、すぐスレるのがお約束なので、群れとは反対の方向へリリースしながら先を進めます。
コトヒキ天国のひと時
さすがユーロニンフで使うジグフライを応用したシュリンプ。着水が丁寧で余計な間を置かずにボトムへ馴染んでくれるので、これまで使ってきたダンベルアイやボールチェーンアイと比較してもほとんどスプークしません!同じ群れが離れない前にキャスト、即ヒット!これを繰り返している間に「天国のひと時」があっという間に訪れます。同じ群れのコトヒキがワンキャスト・ワンフィッシュ状態!!あっという間にいつものリミットの12匹達成してしまいました。
そしてコトヒキ地獄がはじまる
さすがに同じ群れはかわいそうかと思い、少し移動しますと別のナーバスウォーター・・・。まあ、コトヒキだろうと思って丁寧にキャストしてストリッピングするとまたもやワンキャスト・ワンフィッシュ状態!最近トーナメントでも十分な数を釣ってないし、脳裏に「50匹はチェックしないと良いフィールドって言えないっしょ」と数釣りの悪魔が囁きます・・・。
えー、記憶は飛びますが、ひたすら歩いて、投げて、釣って、歩いて、投げて釣って・・・。右腕が痺れてきて、日にあたる顔がヒリヒリしてきたころ、カウンターはすでに44! 右手の指のロッドグリップがあたるところには豆ができ、ストリッピング中にラインを挟む部分は赤く腫れて塩水がジーンとしみてきます・・・。
それでも細いPVCコーティングされているEXシューティングラインだから火傷してませんが、これが普通のソルト用フライラインだと摩擦で結構痛いです。これもシングルハンドスカジットを好む理由。
そこから合間に別のお魚がちらほら混ざり、こちらのコトヒキがジャスト50チェック目!この日のフラット①はコトヒキ地獄となりました。
入ったタイミングが良く、使うフライの機能性が素晴らしいこともありますが、特筆すべきは初めからキール性能をもったジグフックに巻いてある点。上アゴへフッキングが決まるので、バラシがほとんどありませんでした。
地獄の中の新魚種ゲット
コトヒキ地獄の合間にも、回遊してきた30cmクラスのゴマフエダイ(ジャックと呼ばる人気フィッシュ)をヒットしてファイト負けしてしまったハプニングがありましたが、サイトフィッシングのルートをずりずりと歩いている途中、潮があたっている岩といった好ストラクチャーやコトヒキとは形が違うナーバスウォーターを狙っていて96魚種目となるマトフエフキ(27cm)をキャッチできました。
ストラクチャーを狙うと高い確率で出てくるのがニセクロホシフエダイなどのフエダイ系。
コトヒキ地獄しながら移動中のルートに岩があれば打つべし!珍しく岩ドンピシャで出たマトフエフキ。今までこんだけ沖縄の水辺を釣ってきて、この魚種だけ釣ってなかったということは、他のタマン系の魚と違って、ストラクチャーに付く性格なのかもしれませんね。
今回のルート
今回のルートはこんな感じ。船が着いたのが正午過ぎで、エントリーから上がるまで3時間弱でした。
- 念のために河口をダウンクロスで探りながら、フラット上のテイリングやボイル、ナーバスウォーターに備える
- ナーバスウォーター先回り
- サイズアップを期待してやや深めのナーバスウォーターやボイルを先回り
- 今までと違うボイルを発見、ゴマフエフキをバラす
- 離れた場所のナーバスウォーターを追いかける
- 怪しいナーバスウォーターが護岸沿いに出ていたのでチェック:反応なし、恐らく小さいチヌ
- ナーバスウォーターを打ちながらストラクチャー撃ち
西表島なのにこんな小場所…しかもせいぜい300x300m程度のエリアをこんなに細かく刻んだのは初めて・・・。
ぴったり50チェックで打ち止めしているので、3分半に1チェックというペースでした。エリアフィッシングでも良い方だと思います。
まとめと続き
ニャー!!西表ヤマネコ(のつもり)です!
って、誰やねんこの人。朝は超眠くてテンション低かったのに、島について日頃の慢性魚不足を解消したら目がパッチリ!
というわけで、おだやかな天候の中、初日からわがままメソッドで「フラットで50匹」の達成と「新魚種ゲット」ができてしまいました。数釣るからこその「ご褒美」というやつですが、ユーロニンフやトーナメント、北海道の魚影の濃い河川をマイクロスペイでロッド1本分の半径ずつ刻むようなことをやってて良かった・・・。
今回、フェリーからも見えるフラット、それも大原港でレンタカーしたらすぐ行けるという立地のフィールドをマメに解説していますが、たくさんのポイントがある西表島の中でも安全かつプロガイドは絶対やらない小場所のひとつくらいは「フライフィッシング練習場」としてわかりやすいフィールドがあってもいいと思ってまとめてみました。
そしてお気づきだと思いますが、そんなに特長の無いフラットでも組み立て方次第で楽しいフライフィッシングは成立します。似たような地形は南国に限らずどこにでもあるのでは無いでしょうか。
もちろん特筆すべきは西表島の魚影の圧倒的な凄さ!いかに西表島がフライフィッシング向きかお分かりいただければ幸いです。基本的なことをしっかり学んでからプロガイドと一緒に時間を過ごせば、とっておきポイントとタイミングの中で最高にクオリティの高いフィッシング時間が楽しめるので、まずは観光のついでにやってみるのはいかがでしょうか?
さて、続いて宿にチェックインした後も、上原港でアイス食べながらプレデタースカジットを担いでナイトゲームなんてやっている後、とてもタフな状況が待って居ようとは思いもしなかったのでした・・・。
この成功が油断を招き、宿にチェックインした後も、上原港でアイス食べながらプレデタースカジットを担いでナイトゲームなんてやっている後、とてもタフな状況が待って居ようとは思いもしなかったのでした・・・。
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