TFFCCフライスコアリング検証: リバーフィッシング編:シングルラウンドをユーロニンフィングで

2022/10/27トラウト,リバーフィッシング,養沢

ただいまTFFCCでは、FIPS-Mouche 世界選手権に出場されている小松澤さんと国見さんからご指導いただきながら、FIPS-Mouche形式のルールにできる限り準拠しつつ、日本のフィールド事情でも成立できる「フライスコアリング」と言うスポーツフィッシングの開発を進めています。実際の世界選手権大会は「リバーフィッシング」「バンク(岸)フィッシング」「ボートフィッシング」の3つのフィールドで5日間かけて競われますが、世界各国の国内大会はどれか一つのカテゴリーになっていることも多く、日本国内ではバンクフィッシングの中でも管理釣り場=エリアに特化された「エリアフィッシング」が行われています。

また、TFFCCの場合、メンバーの楽しむフライフィッシングは様々な魚種で行われているので、トラウトおよびトラウトに合わせたサイズ規定に限定せず、バスやコイ科の魚、ボートシーバスやソルトフラットでもスコアリングできるように検証をしています。

色とりどりの百日紅の花が美しい、五日市の街中を抜けて行きます

今回は「シングル」のフライフィッシャーが自身で検測を行う「セルフ・コントロール」でリバーフィッシングを養沢で検証してきました。制限時間の中でチェックした魚でスコアが決まるタイムトライアルになります。

ラウンド方式:ミニラウンド

FIPS-Mouche公式戦ではリバー&バンクでは3時間セッションを1ラウンド(ボートは4時間)として、1ビートをリバー200-300m区間またはバンク150-200m区間で戦ったら、次のビートへ移動しますが、日本の管理釣り場やC&R区間において、これだけの距離を占有することは大会でない限り難しいことです。

そこで、1ラウンドを1時間セッションx3に分けて1ビート50-100mで行います。3セッション行ってトータルスコアを申告します。
自然渓流のように3時間まとめてセッションできる場合は、魚影が濃い場合はビートを設定しても良いですし、それでは魚影が少な過ぎてセッションが成立しない場合が出てしまうので、その場合はコントローラーの判断で釣り上がりでセッションを行います。

セッション方式:シングルセッション(セルフコントロール)

ラウンドを1人だけで行うシングルでは、自分自身がセルフ・コントローラーを努めます。登録するスコアはあくまでも「シングル、セルフ」となります。コントローラーと組まないので公式スコアにはなりませんが、あくまでも自己研鑽が目的かつフィールドの状況調査を優先します。

スコア方式:時短メジャー

トラウトが対象魚の場合、FIPS-Moucheと同じく20cm以上サイズの検測対象の魚のみがスコアチェックできます。大会ではチェックする魚は全てメジャーを当てて検測しますが、検測用具や周辺環境のためにそれができない場合、時短メジャーを行います。時短メジャーではフィールドまたはコントローラー(シングルの場合は自分自身)が「アベレージ」をはじめにコールします。

アベレージはフィールドが放流している標準サイズでも良いですし、ファーストチェックされた魚のサイズを使っても大丈夫です。トラウト以外の場合、都道府県の漁業調整規則が定める最小サイズ以上を検測対象とします。

フィールド:養沢毛鉤専用釣り場

この日は土曜日で午後から予定が入っている日だったので、まとめて全体がこなせる場所を選び、あきる野市の養沢毛鉤専用釣り場を選びました。全長4kmなのでビートを組むこともできるし、最悪釣り上がりすることも選択肢が多いのでなんとかなりそうです。

とはいえ朝6:00に到着して入場しましたが、すでに6番目!これから生まれて初めてのタイムトライアル形式のフライフィッシングを行うのですが、邪魔にならないように出来るものなのかさらにドキドキしてきました。

見慣れた風景が全く違って見える新鮮感覚!

ビートは50mに設定することにして、養沢ルールに従ってシングルフライをセットしてアベレージサイズの検測から始めます。この日はファーストチェックのニジマス「25cm」でした。

さぁ、ドキドキしながら腕時計のタイマーを60分にセット、スマホのカウンターアプリを「ニジマス、ヤマメ」にセットして自分自身が競技者であるスコアラーと審判であるコントローラーに分かれて、「スタート、フィッシング!」と声を出して始めました。

セッション1:シングル・制限時間60分・50mビート

まずスタート時に完全に頭の中が真っ白になります。これまで練習してきた「ユーロニンフ」とは全く違う次元の緊張感とアドレナリン・・・。記事を書くための記憶モードよりもさっさとスコアを取りに行く事と、キャスト&プレゼンテーションへの魚の反応が出る・出ないへの焦りで頭がいっぱいになります。

普段はできる限り、内容を詳しく覚えておくのですが、これは競技でもあるので「書きたくない」気持ちが無いといえば嘘になります。

タイムリミットを意識するたびに、ロスを減らすためにティップに絡むリーダー、周囲の草木、足運びのペース、フライ交換・・・ありとあらゆることが「初めまして」なので、緊張感MAXに包まれます。

難しい・・・辛い・・・胃液が上がってくる・・・。こんな事を始めるんじゃなかった・・・。自宅でアイスティーを飲みながら快適空間でゆっくりすれば良いのに、フライフィッシングのせいで・・・。あぁ・・・時間が・・・。

そんなことが脳内を巡る間に、あっという間に60分は過ぎてタイムリミット。「ストップ、フィッシング!」と叫んで、セッション終了。

セッション結果:200pt

  • アベレージ: 8チェック (ヤマメ3、ニジマス5)
  • メジャーイン:なし
  • スコア: 25 x 8 = 200pt

これが良いのか悪いのかの判断もつかず、ショートバイトが取れなかった2匹を悔やみます。

このセッションだけでプレッシャーの中で釣る事がどれだけキツいか体感したとともに、完全にスポーツの汗が流れていることに気づきました。

セッション2:シングル・60分・50mビート

続けて50mビートを一つ上流へ移して第二セッションです。さっきのセッションがウォームアップになったこともあり、集中力が高まったのは良いですが、詳細まで記憶が残っていない中で覚えているのは、「ニンフのプレゼンテーション」と「ウェットフライのプレゼンテーション」と「テンカラのプレゼンテーション」の間をフライ交換しながらぐるぐるしていたこと。

10チェックして、さああと少し!と思ったところで木にフライを引っ掛けてタイムロス、タックル破損を避けるために、そのまま「ストップ、フィッシング」して終了でした。

セッション結果:262pt

アベレージ: 9チェック (ヤマメ2、ニジマス7)
メジャーイン:ニジマス37cm x 1チェック
スコア: 25 x 9 + 37 x 1 = 262pt

頭の中が空っぽになり、数を釣る中から出てきた37cmサイズのニジマスがキャッチできたのはものすごく嬉しかったのですが、この1チェックのために手間をかけるよりもアベレージサイズを2チェックできた方がスコアが伸びたこともあり、集中力が途切れてロッド操作が荒くなってフライを木に引っ掛けたこともあり、あと3チェック取れてたら300ptなのに悔やみました。

どれだけ集中とテンポとミスの無さが大事かを痛感するセッションでした。

セッション3:シングル・60分・50mビート未満

いよいよ最終となる第三セッションです。「さあ、行くぞ!」と戦隊モノの赤い服を着た人のような掛け声でフィールドへ戻ると、そこにはショッカーが!!

いや、他のフライフィッシャーたちも展開していたのでした。前後を挟まれ50mビートが取れませんが、この条件でやるしかありません。前半は効いていたドリフトへの動きの反応がどんどん悪くなっていくので、ポケット間を移動したいところですが、他のみんなもそれぞれのポケットでフライフィッシング集中モードの中で自分に与えられたスペースに全力投球です。

ほぼウェットフライとテンカラの釣り方だけで引き出しを出し尽くす死闘の結果は・・・。

セッション結果:225pt

アベレージ: 9チェック (ヤマメ4、ニジマス5)
メジャーイン:なし
スコア: 25 x 9 = 225pt

意外にもそこそこのスコアでしたが、ニンフの釣りが成立しないハンデがなければ、あと3チェックは確実に取れたことを思うと、スペースの狭さが響く結果でした。

ちなみにウェットの釣りの比重が高まるほどヤマメ率が高まるということでしょうか?今回はニジマスもヤマメも同じアベレージを当てているのでラッキーですが、全数検測の場合はヤマメの方が小さいので不利になります。

ラウンド結果:687pt

結果

チームRoundSession OneSession TwoSession ThreeBest CheckCatch勝敗
Ed Yoshida6872002622253727

アベレージ: 25cm x 26チェック (ヤマメ9、ニジマス17)
ベストチェック:ニジマス37cm
スコア: 25 x 26 + 37 = 687pt

こんな感じでしたが、いかがだったでしょうか?自分の反省はニンフィングが未熟な部分がモロに応えたこと。第一セッションは自らの流し方の下手さに衝撃を受け、第二セッションでは手返しが出せないことに苦しみ、第三セッションは裏技に救われましたが、まだまだ実力が備わっていないなぁ、という認識でした。

番外セッション:シングル・60分・釣り上がり

ラウンドが終わり、ジュース休憩してから、ビートが空かない時に行う釣り上がり形式を検証します。車に乗って入れる場所を探しながら、駐車場から入れる「神山橋」から入ったストレートを釣り上がることにしました。

ここで検証したいのは、整備された管理釣り場なので必要はないと思いますが、自然渓流の場合はスコアラーの安全性の担保やセッションが成立しないポイントから成立するポイントへ大きく移動させるために「ストップ・ザ・クロック」と呼ぶ、タイマーを一時停止して移動させるサポートをコントローラーが行うことになっています。それがどんなタイミングで必要になるかやってみました。

養沢の場合、整備された歩きやすい渓流で十分以上にストックされている環境なので一回もストップザクロックする必要なく完了しました。

セッション結果:175pt

アベレージ: 7チェック (ヤマメ3、ニジマス4)
メジャーイン:なし

開始早々に流れの底にいたニジマスをニンフィングでチェックできたのは良いですが、それ以外の場合はいかに魚が溜まるポイントへ移動して数を稼ぐかが重要でした。

ラウンド換算して比較:ビートと釣り上がり

整備されてビートが取れる区間と釣り上がらないと成立しない区間を比較してみました。フィールド条件が変わるとセッション同士の純粋比較ができないので、後ほど従量平均するために使います。

  ビート区間 釣り上がり(3倍換算)
ラウンド・ポイント数 687 525
チェック数 27 21
ニジマス数 17 12
ヤマメ数 9 9
ラウンド距離 150m 900m
CPM(チェック効率) 0.18チェック/m 0.02チェック/m
フィールド特性 整備済み、プールあり 最小限の整備、プールなし

今回ビート区間として使った整備済みセクションのチェック効率はCPM比較で渓流区間の9倍になりました。それにも関わらずスコアの差が1.3倍に留まっているのは、隠れ場所の少ない所のトラウトがフライにスレてしまうことも関係していますが、ニンフィング未熟者の私がちゃんと流せていないことが大きいと思います。

養沢のラウンドPAR: 606pts

平均を取って「606pt」に設定します。

平均サイズ25cmであれば25チェックでクリアーできますので、お試しください。

まとめと続き

ニンフィング経験が浅い私が検証してみた100%スポーツとしてのフライフィッシングであるフライスコアリング。トータルで4時間セッションやってみた後でもお昼をしっかり食べて午後の予定をフルにこなせたので、週末としての充実感もUPした実感がありました。

スポーツとしての実感ですが、自分自身はテニス、バスケ、サッカー、スキー、アメフト、スケボー、サーフィンをやってきていますが、それらはどれにも「自分との闘い」「相手との駆け引き」「自然的要素」がMIXされています。それと比較しても、自然を相手にする感覚は全くもって独自のスポーツ感覚!駆け引きの部分はバスケとテニスを足して2で割ったといえば分かるかな?ラインマネジメントに気を遣う部分やフライ選択・プレゼンテーション切り替えなども非常にゲーム性が高く、通い慣れたフィールドであっても新鮮な体験ができるのは間違いありません。

ただ、私はテニス時代の性格が「マッケンロー系」なので、真剣勝負で熱くなり過ぎないか心配です。

次回は公式戦経験も豊富なTFFCC小松澤さんにお付き合いいただいて、別のフィールドで「ツイン」と「ダブルス」を検証してきます。プレイブックも完成しました!

フライスコアリングについて

タックル情報

シングルハンド11フィート3番(ユーロニンフ)

フライリールだけ新調しました。

  • 総重量:g
  • フライ:今回はコンペティション・スタイルなので秘密
  • ティペット:シーガーエース 1.5号
  • リーダー:サンヨーナイロン落とし込みチヌ2号
  • フライライン:Dohiku Level Racing Line AFTMA L3F
  • リール:Hardy Ultralite UDLA 6000 (195g)
  • ロッド:Echo Shadow X 11’0″ 3番 (g)

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