モッフィーテール・ニンフ
LTL横田さんと共同で開発したフライ「モップテール・ワビット」は、エリアだけでなく湖のフライフィッシングでも「ほっとけメソッド」でいっぱい楽しんだのですが、ボリュームが太くなるために、消去法で大きいサイズのトラウトしかフッキングが決まりづらくなってました。
それはそれでサイズ狙いなら問題ないのですが、同じアトラクター機能をよりフッキングさせやすいボリュームにできないか。カラーバリエーションも欲しい、と考えていたところに新マテリアル「もっふぃー」が登場したので、リニューアルしたフライとなります。
特長と構成
フォーリング中や水流の中で「ポコポコ」と変則的に動くモップテールの要素、水押しをしつつ動きが止まっても生命感溢れるクラフトゾンカー(またはラビットゾンカー)のファー部分のアピールが合体したシンプルなフライです。同じ構成のフェザージグも有効ですのでお試しください。
ステップ解説
とてもシンプルなフライですが、耐久性が求められるのとGSPスレッドの回転止めのために、ビーズをセットしたフックをバイスにセットしたらハケ付き瞬間接着剤をシャンクに塗ります。
モッフィーの先端をライターで炙って溶かして固めたら、テーパー状になるように炙って整形します。
シャンクの2〜2.5倍くらいの長さで巻き留めます。回転止めと耐久性UPのために瞬間接着剤をスレッドに塗って被せ巻きをしておきます。
スロートハックルのためのスペースとしてビーズ後ろに3-4mmほど空けておきます。
ヘアークリップにクラフトゾンカーのストリップを挟みます(無い場合はラビットゾンカーでも良いです)。
テープ部分を刃先の長いシザーズでカットしてファイバーだけが残るようにします。
スレッドを割いてスレッドループを用意しておきます。
クリップからファイバーをスレッドループへ移します。
ボビンホルダーを時計回りにスピンさせて、ファイバーをハックル化させます。合成ハックルなので「コンポジットハックル」と呼びます。毛足の長さはフックポイントへ触る(隠せる)くらいの長さを目安にしてください。
コンポジットハックルを一巻きごとに後方へ指で撫でつけて隙間なくぴっちりとビーズ後ろまで巻き切ります。
ダビングブラシを使って後方から前方へしごきながら、余分なファイバーを取り除きます。
後方に撫でつけ直したら、ウィップフィニッシュしておしまい。ここでも瞬間接着剤をスレッドに塗っておくと耐久性UPします。
マテリアル
ファーストシンキング・トラウト用
フック:ドヒーク HDJ #12
ビーズ:タングステン・スロットビーズ2.8mmまたはタングステン・オフセットビーズ2.8mm ブラックまたはガンメタル
スレッド:テックストリーム GSPパワースレッド 16/0 (50D)
テール&ボディ:フライキャンパーズ もっふぃー
スロート: フライキャンパーズ クラフトゾンカーまたはラビットゾンカー
スローシンキング・トラウト用
ボトムまで着底させないので、下方向からのフッキング効率のためにスタンダードのウェットフック、沈降速度を落とすためにブラスビーズを使います。
フック:ドヒークHDN 302 #10
ビーズ: ブラスビーズ 2.8mm ブラックまたはガンメタル
ホバー:トラウト用
ビーズを使いません。
フック:ドヒークHDN 302 #10
ファーストシンキング:バス用
バスのように口が大きい魚では小さいサイズのフックではフックポイントが刺さらない間に吐き出されてしまうので、サイズアップします。
フック:ドヒーク HDJ #8
ビーズ:タングステン・オフセットビーズ3.3mm ブラックまたはガンメタル
ファーストシンキング:ソルト用
バス用と同じサイズですが、浮力が増す分をビーズを重たくして対応します。
フック:ドヒーク HDJ #8
ビーズ:タングステン・オフセットビーズ 3.8mm ブラックまたはガンメタル
カラー選択
全ての組み合わせを試したわけではないので、あくまでも目安として参考にしてください。
ニュートラルカラー
まずはその日の特性を確かめるためにニュートラルカラーを使って色のトーンへの反応を見ます。一般的には活性が低いほど淡い色、高いほど濃い色が良くなります。
カラー系統 | 基準 | 淡色- | 濃色+ |
ニュートラル | アイボリー | ホワイト | ブラック |
ナチュラルカラー
食べ慣れているもの(=ハッチ)がある場合、そのカラーにマッチさせます。季節の水棲昆虫や陸生昆虫、ペレットなど様々なナチュラルがあります。
しかしナチュラルカラーはそのフィールドにおけるカモフラージュ・カラーとなっている場合も多く、フライとの距離が離れてしまうと気付きづらくなりますので、魚のレンジに正確に入れてあげるか、濃淡を調整して反応を良くします。またハッチのサイズに極力近づける必要もあります。
例)モス、チョコレート、コルク、ベージュなど
カラー系統 | 基準 | 淡色- | 濃色+ |
アース | コルク | ベージュ | チョコレート |
緑 | もえぎ | ミント | モス |
アピールカラー
ナチュラルカラーでは警戒されることが少ない反面、魚からの気づきも遅くなりますし、マッチまでの手間がかなり必要となり効率が良いカラー戦略とは言えない場合が多いと思います。手返し良く釣果を伸ばすためには積極的にアピールカラーを使います。
カラー系統 | 基準 | 淡色- | 濃色+ |
赤 | ピンク | ビスク | レッド |
黄 | レモン | クリーム | アンバー |
緑 | もえぎ | ミント | モス |
基本となるクリアウォーターのアピールカラー
クリアウォーターのアピールカラーは、魚からフライを見た時の「背景」となる「空」「岸」「底」の色を意識して基本カラーを選択し、「濃く」目立たせるか「淡く」馴染ませるかを選びます。
自分よりも浅いレンジを意識している魚を狙う場合、背景は「空」となります。朝や夕方は空の色が赤系になりますので、反対色である緑系のカラーを使います。反対に昼間は空の色が青系になりますので、黄系または赤系を使います。魚のレンジが浅い場合は空の明るさよりもわずかに明るい淡色を使い馴染ませることで警戒心を下げることも有効ですが、魚のレンジが深い時にさっさと反応を出したい場合はあえて空よりはっきりと明るい淡色または反対にくっきりと影が出る暗い濃色を使って目立たせます。
自分よりも深いレンジを意識している魚を狙う場合、背景は「底」となります。基本的には底と同じカラーの濃いめを使いますが、これも空の色が影響するのでトーン調整をしてください。
応用となるステインドウォーターのアピールカラー
ステイド(濁り)ウォーターのアピールカラーは、クリアウォーターの基本に濁った水の層を通して「濃く」際立たせるか「淡く」溶け込ませるかという調整が加わります。濁りカラーの基準色を意識して、緑色系の濁りの場合は赤系や黄系がアピールカラーとなり、反対に赤茶色の濁りの場合は緑系や黄系がアピールできます。
魚とフライとの距離に応じて、散らばっている・レンジが深い場合は濃くしますが、反対に魚の密度が高くレンジが合っている場合はスレの原因となりますので淡くします。
アピールカラーの補正カラー
基本的なアピールカラーを使うだけでも釣果は変わりますが、人気エリアの場合はルアーカラーを見慣れてスレている魚が多く、それだけでは足りない場合にはカラーのトーン調整も行います。例えば「レッド」の反応も「アンバー」の反応もイマイチの場合は、その2つのカラーの中間トーンである「キャロット」や「コーラル」(イエローの配分が高い)を使うと反応が良くなることがあります。「レモン」の反応が弱い場合は、トーンが異なる「たんぽぽ」(レッドの配分が高い)を使うという具合です。
基準色 | トーン補正色 |
レッド | キャロット、コーラル(イエロー配分) |
ピンク | ライラック(ブルー配分) |
レモン | たんぽぽ(レッド配分) |
アンナチュラルカラー
そのフィールドに絶対存在しないカラーを使ったり、虫を意識している魚にベイトフィッシュの鱗の光沢カラーを使うと警戒心を誘発していしまいますが、あえて適度な刺激をアクセントとして強く興味を惹きつけることに使うができます。魚がとても離れている・深いレンジにいる時にフライへ寄せたい時や、光量が少ない時なども有効です。
UV反射率が高い蛍光色の「ホワイト」を選択したり、「パープル」を使ってみたり大きくアクセントを強調することで、それだけに反応する個体へアピールすることができます。
アクセントカラー
アンナチュラルカラーの一種ですが、僅かに使うことで刺激を増やすために行います。「タグ」や「ホットスポット」という使われ方をします。
蛍光カラーのスレッドを使い、タグを目立たせたり、ブリルUVなどのUVパーティクルの入っているマイクロシェニールを使ってアクセントを追加するのも効果的です。メタリックな輝きのワイヤーやティンセルをリブとして使うことも、本来はアクセントカラーの一種となります。
使い方
止水の場合:
浅瀬をフォール&ボトムで釣る場合はフローティングラインにファーストシンキング版を使います。
カウントダウンさせる場合は、インタミの場合はスローシンキングまたはホバー、S3やS5の場合はファーストシンキングを使います。
湖流を利用してドリフトさせる場合は、フローティングラインにスローシンキングまたはホバーを使います。
本流の場合:
強い流れの中をスイングさせる場合はファーストシンキング版を使います。スイングでアピールさせた最後に止めておいて水流の中を踊らせて誘いをかけます。
実績
- ニジマス
- ブラウントラウト
- ラージマウスバス
- ブルーギル