ロウニンアジ(GT)のフライフィッシング

2023/09/07GT,アジ科,サーフ,ソルトフライ,トレバリー,ヒラアジ,フライフィッシング,マングローブ,リーフ,リーフエッジ,ロウニンアジ,対象魚,汽水,河口,釣魚

和名:ロウニンアジ
英名:Giant Trevally
学名:Caranx ignobilis

日本に生息する何種類かのヒラアジの仲間の中で、最も人気が高いのが「GT」とも呼ばれるロウニンアジです。同じアジでもシマアジと対極の位置にいると言っていい魚であり、食味ではなくヒットした時の激しいファイトや潜って逃げるパワーが魅力となっています。

同じ水域に住むギンガメアジやオニヒラアジと比べて時間を選ばず積極的に捕食するために成長が早く、幼魚といえど捕食する時には単体行動をとるようになります。大きくなるにつれて餌を求めて外洋に面した沿岸に移動していきますが、外洋が荒れると弱った魚を狙って川へ戻ってきます。

仲間川のリバーGT

まさに浪人のようなハグレ魚

この強い単体捕食行動をマングローブ河川を生息域にする魚もサンゴ礁を生息域にする魚も、サーフに住む魚も強くもっており、群れでぐるぐると泳いでいると思いきや、群れから外れた魚が自分よりも弱い魚の群れの近くに潜んだり混泳していたり、必要とあらば体を横に倒して浅瀬に入っていく大きな個体もいたり、見た目の荒っぽさとは反面、クレバーな要素も兼ね備えています。他の魚を狙っている時に突然出てきて小さいフライをひったくったり、神出鬼没に見えるのもこの習性のためです。

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浦内川のブラインドフィッシングで出た43cm、このサイズでも8番リールからバッキングまで出していきます

そして捕食集団の先陣を務める浪人

しかし全く正反対の行動も取ります。水深が充分にあるリーフエッジの近くを群れでぐるぐると回遊しているロウニンアジの場合は、たまに個体よりも小さい他のヒラアジやイケカツオなどを群れとして引き連れてくることがあります。逆におとなしめのサメやエイの後ろに中型のロウニンアジが群れでついていることもあります。なぜ捕食の時には積極的に混泳するのかは良くわかっていませんが、弱い魚が見つけた餌を横取りするためだとも、大きい魚が食い荒らした残りものを奪うためだとも言われています。ハグレたがるのに群れたがる・・・群れたがるのにハグレたがる・・・。ここは非常に謎です。

東京で釣れる?

小笠原諸島で釣ることができます。

フライタックル&プレゼンテーション:スイング編

リーフの潮が出入りする水路のようになっている場所や汽水域の川のような流れのある場所では、岩陰や橋げたなどに隠れながら上流から流れてくる餌を待ち伏せするロウニンアジや他のトレバリー類が定位して待ち伏せ型の捕食を行っています。最低でもシングルハンド8番タックル(最大ドラグ2kg以上のフライリール) 、ロウニンを狙うと初めから決めてある場合は最低でも10番タックル(最大ドラグ3kg以上)のフライリール を用意した方がシンキングラインの手返しも良ければ、いざという時に先手を打てるのでオススメです。写真の魚はギンガメアジやフエフキダイを釣るのと同じやり方で、流れのヨレがある岩場に気配を感じたので、シンキングラインで岩そば深度2mくらいをスイングしてガツンと当たったものになります。

河口ではツーハンドタックルを使ったこともありますが、飛距離重視でスイングの動きが大雑把にしかできないフライラインを使っていたので、橋桁から出てきたロウニン(もしくはオニヒラ)が最後までついてこないでUターンしてしまいました。小分けにターンをさせて、ポイントを一つ一つ丁寧にフライを見せながら攻めることができるスカジットが良いと思われます(自分も次回はそれでやるつもりです)。

このプレゼンテーションの利点は、魚を見つけていない状態(または濁っていて見えない)でもブラインドフィッシングで誘い出して食わせることができることです。障害物の側を狙うので、バイトティペットは最低でも30lbを3フィート、大物を狙う場合は60lbが必要です。

フライフィッシングで釣ったロウニンアジ(GT) fly fishing GT
小物狙いに混じったGT幼魚、障害物へ突っ込むので6番でもドラグはしっかり(1.5kg以上)した物が必要

フライタックル&プレゼンテーション:アクション編

狙い方として最もエキサイティングなのはサイトフィッシング。GTの通過コースに待ち伏せしたり、岸沿いに歩いたりしながらやる気のある魚を探してフライをプレゼンテーションします。

リーフで通常の小~中型を狙って釣る場合はシングルハンド8-10番タックルにインターミディエイトラインが手返しよく突然上がってくる魚へも素早い対応ができるのでベストです。捕食モードがオンになっていない状態ではフライを全くアタックしてこないので、誘うために強めのキャストでフライをしっかりと着水させてアピールしてからファーストリトリーブして食わせます。近接してしまった場合はフライを無駄に見せて見切られるのを防ぐために我慢して魚の行動を見てください。浅場の方の餌を探している素振りがある時は魚の進行方向斜めにむかって視界内にフライだけ落としてやるとアタックしてきます。浅場のチェックが終わり頭が完全に沖へ向いてしまった魚はスプークしやすいので次の魚やロウニンアジについてリーフ内へ入ってきた他の魚の群れを警戒させないために見逃してください。

リーフに入ってくる魚は常にサメを警戒しているため、一度ヒットすると強く暴れて沖へ逃げようとします。フライフィッシングの場合、抵抗の少ない小さなものから突然ラインテンションを感じるのが強いショックを与えるらしく、パニック状態になると予測のつかない動きをしてから沖に向かって逃げる魚もいますので、フライリールは滑り出しの良さとともにドラグの性能がいいものを選んでつかってください。

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撮影時のエピソード

この釣り方をしている時の撮影時(GoProの熱暴走でラストの15秒以外はカメラが回っていないで惜しいですが)に遭遇した65cmくらいのフライとしては大型のGTは、待ちくたびれて他の釣りをしようかと思ってティペットとフライを変えた直後にリーフエッジからコバンアジの小さな群れと一緒にリーフ内へ上がってきました。変なシルエットの魚がいるのでよく見たら、なんと体を横倒しにしたGT。私の存在など気にかけず目の前5mくらいを素通りして膝上くらいの深さで捕食を始めたので、斜めにフライを通したらあっさり食いつきました。針がかりしたことを気にせずそのまま捕食をやめずに浅瀬に止まっているので、間合いを詰めてしまえと少し近づいた瞬間に猛烈にダッシュ。ファーストランをエッジに行かれる前に耐えて、頭をひき戻し横へ逃げるのも耐えて、あと1mまで寄せた時に再び反転した直後、すでに伸びていたフックからするっと抜けて行ってしまいました。遭遇・ファイト時間はおそらく10分も無かったと思いますが、この釣り方をする場合、いかに臨機応変かつタックルからフライまでが万全でやらないとならないかを痛感しました。

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フライパターン

ボートGTのルアー釣りのイメージが強いので、派手なアクションに反応すると思われがちですが、あれは沖側からGTが潜むと見込んだリーフへ遠距離からアピールの強い大型ルアーを打ち込んで十分に誘いだしてから食わせています。

ウェーディングの釣りでは、リーフエッジでポッパーやペンシルフライを強く叩きつけてアピールしたこともありますが、GTやイソマグロは近寄ってきてもほとんど相手にしません。リーフエッジでナブラを狙って釣るので無ければ、単体もしくは他の魚の群れと一緒にリーフに入ってくるGTにベイトに合わせたナチュラルなサイズやシルエットのパターンを使う方が効率が良いと思います。

捕食モードに入った状態の魚はあまり選り好みをしていないようですので、4番のクレイジーチャーリーやタードフライ、2番のクラウザーディープミノーなどウェイトで着水音を立てて瞬時にアピールすることができるパターンの方が反応が良いです。

TFFCCメンバー

TFFCCで最もGTを釣っているメンバー、デイヴィッド・カー。元々バスフィッシングからフライフィッシングへ入ってきていることもあり、プレデター相手にストリーマーを使うフライフィッシングが得意な彼に相談しながらこの記事をアップデートしています。

デイヴィッドがモルジブで釣ってきた時の映像です。

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