シングルハンド・スカジットという選択肢 – パート3 | OPST Commando Head コマンドヘッド
去年の初めに知人からOPST Commando Headの325グレインと450グレインを譲っていただきました。325グレインはツーハンド6番で本流スカジットに使えるだけでなく、いざとなったらシングルハンド8番にも使えます。450グレインは流石に出番が無いと思ってタックルボックスの隅っこに放置していたところ、これもひょんなきっかけでシングルハンド10番に使う機会がありました。
スチールヘッドの釣り向けに作られているCommando Headは「30LBコア」で作られていることも確認が取れたので安心してソルトでも使えます。全て昨年11月に行ってきた四国南岸のヒラスズキやアカメ狙いのソルトフライで使ってきたので、まとめてレポートです。
ツーハンド6番とCommando Head 325 グレイン
これは王道な使い方なので、今更私が書くまでもありませんが、私が使っているBeulah Platinum Speyの12フィート6インチ 6番はエド・ワードやジェリー・フレンチが愛用しているツーハンドロッドなので当然このシステムとの相性はばっちりです。本来の使い道である犀川や利根川のような本流トラウトではまだ使っていませんが、河口のシーバスの釣りには、使わなくなったシングルハンド高番手用のS2とS4のシューティングヘッドのレベル部分を12フィートにカットして自作したシンクティップで#2サイズくらいまでのストリーマーの釣りでは快適に釣れています。
しかし自作の限界もあって、去年11月の四国南岸のヒラスズキの釣りで河口でソルト向けに巻いたスイング・ストリーマーを使って探り釣りしようと思った時にはパワーが伝わらず満足にターンオーバーしませんでした。結果的にはオーバーヘッドで投げて釣れたからいいのですが、狙ったレンジをスイングするために、メンディングを繰り返していると肩への負担もあって辛い釣りになってしまいました。
シングルハンドと兼用のシンクティップ
これではアングラーが入れ替わり叩く犀川みたいなシビアな釣り場には通用しないので、渋谷SANSUIの白川さんへ相談して、新しく「3D」規格でリニューアルされたRIOのInTouch 3D MOWティップを使うことにしました。3DのDはDensity=密度のこと。つまり3つの異なる密度=シンクレートのセクションを組み合わせて(3フィート + 3フィート + 4フィート)作られた10フィートのシンクティップです。T-8、T-11、T-14ベースがそれぞれ「LIGHT」「MEDIUM」「HEAVY」と区分けされており、自分のロッドのスペックに合わせてベースを選びます。同じティップ全長と重量のまま、使いたいシンクレートのティップを選べばいいので、キャスティング調整を気にしないまま、ニーズに合わせた釣りができます。
私の場合はシングルハンドやOPST Micro Skagitロッドでも使いたいので、80グレイン「LIGHT」の「インタミ/S3/S4」を止水と流水、さらに浮力が増すソルトで試すことにします。
[table id=28 /]シングルハンド 8番と Commando Head 325 グレイン
話はシングルハンドに戻ります。
同じコマンドヘッドをシングルハンド8番に合わせたところ、シングルハンド6番の使い勝手と比べても遜色ない使いやすさでした。
ただロッド&リールの重量がロッドハンドに負荷となるので、使い方としては、コントロールが欲しい時はオーバーヘッド、疲れてきたらスカジットキャスト、さらに五十肩がキツくなってきたらファイティングバットを左手で持って擬似ツーハンドです。
これもポリリーダーの10フィートをつけて、6番では投げづらい空気抵抗の大きいフローティングミノーなどシーバスの釣りや大きめのインジケーターにドロッパーを使う釣りで快適でした。さらにS6/S8のシンクティップは6番では無理だったところ、8番でやっと使うことができました。スカジットらしい釣り方をシングルハンドでやるならこの番手だと思います。
またボートの釣りのような開けた場所で使う場合はラインの慣性が強くないと直進性が悪くなるので8番以上がベストです。
この場合、ランニングラインはOPSTのLaser Lineやティムコ エアロシューターのような風切れ・水切れの良いモノフィラ・ラインの方がトラブルが少ないと思います。
シングルハンド10番とCommando Head 450 グレイン > アカメ戦で即興ラインシステム
続けてシングルハンド10番ですが、これは意図して試したわけではなく、行きがかり上ラインシステムを組むことになりました。
高知・浦戸湾のガイドボート「龍馬」におけるアカメのフライフィッシングのセッティングですが、東京を出る前に勘違いをしてしまい、根木キャプテンが言っていた「シングルハンド10番はフローティングも持ってきてください」を、シーズン終盤で魚は浮かないものだと思い込み「メインはシンキングラインだけど予備でフローティング」だと思って、リールにタイプ4がセットしてあったのをそのまま持ってきてしまっていました。10番用のフローティングラインも積んでおいたはずがよく見たら8番用・・・。五十肩には重たいリールをセットした10番ロッドにS4のフルラインはかなり辛く、トップウォーターでドッパン!ドカーン!と水柱をあげてベイトを飽食する巨大アカメたちを目の前にして、初日はとても満足にキャストできず終了だったのでした。
2日目になって、タックルをどうするか悩みましたがフライショップなんて無いし、ガイドのタックルをお借りしようにも前の晩でいじめて調子がさらに悪くなった五十肩では投げられない・・・。そもそも浦戸湾のボート・アカメは特殊で、流れに潜む巨大なアカメに対して大きなフライをスイングし続けて、焦らして焦らしてフライに惹きつけて惹きつけて・・・なんとかストライクするまで、ひたすらキャスト&プレゼンテーションの釣りです。タックルボックスをじーっと睨んでいたら、コンパクトケースの脇に挟まっていたComando Head のパッケージに気付き、「あ!450グレインがあったじゃんか!!」ということで、根木キャプテンからのアドバイスもいただき地元の釣具店でリーダーやら買ってきて組んだのがこれ。
ラインシステム
- 磯ライン・・・シューティングラインに代用、滑りは最高
- スカジットヘッド・・・Commando Head 450GR、30lbコア、18フィート
ビッグゲーム・リーダー
- コントロールバット・・・直径が太いフロロカーボンでヘッドからのパワー伝達をスムースにする、3フィート
- クラスティペット・・・アカメが根に巻いた時はここで切る必要があるので、弱い部分を作る、3フィート
- バイトティペット・・・アカメはフライを咥えると口を閉じてティペットが擦れるので3フィート
岸壁で恐る恐るオーバーヘッドで3/0に巻いたビッグ・ストリーマーを投げてみたら、ダブルホール無しのバックキャスト一発で70フィート以上飛んで行きましたのでテストは良好。シングルハンド3番でも恩恵を受けましたが、高番手においてもオーバーヘッド用のショートヘッドとしても実に優秀です!
実釣においては五十肩にも関わらず、3時間ひたすらキャスト&スイング・プレゼンテーションを繰り返しできました。モノフィラのシューティングラインだと夜にもかかわらずヘッドとの境目が明確に分かります。PVCコーティングがあるラインと比べると滑りますが、スイングとストリッピングの比率が9:1の釣りなので特に問題ありませんでした。
水面キャストはどうかって? ・・・・・・・そもそもただでさえロッド&リールが重たい上にフライもでかいのでアンカーが重すぎです。かなり鍛えた強肩な方じゃないとお勧めしません。初めから諦めていたのでリーダーも短いのでした。
肝心のアカメは!?
100回キャストして50回満足にスイングできて1回だけフライの下でモジっただけ・・・。さすが歴戦の猛者を泣かせてきた魚だけあります。
キャプテンには申し訳なく、シーズン終盤に結果を出せませんでしたが、私的にはフライフィッシングは「野生のアクアリウム」なので、サイドメニューでいろんな魚も釣れたし最高にハッピーだったのでした。
OPST Commando Headライン適合表
[table id=20 /]まとめ&続き
ロッドハンドの肩を壊してから、当初は仕方なく使い始めたCommando Headでしたが、シングルハンド3番、シングルハンド6番、シングルハンド8番、挙げ句の果てにはシングルハンド10番でも使い勝手のいいスカジットヘッドでした。肩に問題がある人にはお勧めですし、女性や初心者の方が楽に釣りを楽しむのにも向いていると思います。
慣れた方へは、最小限のバックスペースでオーバーヘッドキャストできるので、湖岸やボート上、人が多い管理釣り場といったフィールドも楽に釣れますし、スナップTやサークルCを使えばウェーディング無し&バックスペース無しでも釣れますので、崖や護岸の前とか、足場が高い所など工夫次第で狙えるポイントも広がると思います。
今後は西表島などの南国ソルトや本流、子供に使わせてみたりしてみようと思いますので、また新しい発見があればアップデートいたします。
ロッド | OPST Commando Head | ティップ | オーバーヘッドキャストの釣り | ウォーターボーンキャストの釣り |
シングルハンド3番 | 150GR | ポリリーダー10′ トラウト用(12lb) | モンカゲ、フローティングワカサギ などの大型ドライフライ
エルクヘアカディスやCDCソラックスダンなどのドライフライ(ティペットを延長してターンオーバーをソフトにする必要あり) | ミッジ、ソフトハックル、インジケーター・ニンフ、ウェットフライ全般 |
シングルハンド6番 | 225GR | ポリリーダー10′ トラウト用(12lb)
ポリリーダー10′ サーモン用(24lb) | モンカゲ、フローティングワカサギ 、セミなどの大型ドライフライ | ウェットフライ全般、サスペンドワカサギ 、NZリグ
チャーリーやゾンカーなどの小型ストリーマー |
シングルハンド8番 | 325GR | ポリリーダー10′ サーモン用(24lb) | イワイミノー、バスバグなどの大型ドライフライ
ゾンカーやサスペンドミノーなどの中型ストリーマー | ゾンカーやサスペンドミノーなどの中型ストリーマー |
シングルハンド10番 | 450GR | ビッグゲームのリーダーシステム | EPバルクヘッドなどの超・大型ストリーマー | N/A |