ウェットフライのプレゼンテーション: スパイダーとオリバー・エドワーズ
フライフィッシングで広い範囲を探りながら釣ることに適したウェットフライの釣り。その中でもカゲロウが多い川で有効かつ原始的といってもいいスパイダー(ソフトハックル)を使うプレゼンテーションです。故オリー・エドワーズの教則ビデオシリーズを参照しつつ補足します。
時間があれば、「基本編」で全体的なことを理解してから読むことをお勧めします。
スクエア・アクロス
ロッド2本分以内の近距離のレーンにおいてBパートを繰り返しながら釣り下る、ヨーロッパにおける伝統的なプレゼンテーションです。一回のプレゼンテーション・スポットを「スクエア=正方形」として捉え、自分の正面を頂点としてコントロール・ドリフトさせていきます。
同じルーツを持つユーロ・ニンフと同じく、ロッドだけでなく、目でフライの周辺も見てストライクに備えます。スイングはさせません。
アクロス&ダウン
同じくBパーツのみの釣り下りですが、北米スタイルを取り入れて、リーチキャストで着水させることで、より長い距離をコントロール・ドリフトさせます。
アップストリーム
水面を意識している魚に下流側からストーキングしつつ、Aパーツだけを繰り返す釣り上がりのプレゼンテーション。ノースカントリー・スタイルとも呼ばれますが、スパイダー(ソフトハックル)またはシンプルなフェザーウイング・ウェットを使います。
タックル&システム
このプレゼンテーション・スタイルは小本流や渓流で行うため、川幅が20m未満の川で使いやすい10フィートクラスのシングルハンドフライロッドを使います。アップストリームを行う場合は、ユーロニンフ用の競技ロッドも設計が近くておすすめです。
コントロールリーダーはドライフライと兼用する場合はテーパーリーダー、ユーロニンフと兼用する場合はニンフリーダーでも構いませんが、水中での動きに影響するのでウェットフライ専門でやる場合は2段階ステップのノッテドリーダーをコントロールリーダーとして使ったり、正確にレンジを捉えられるポリリーダーが使いやすいです。
また慣れないうちは色のついたインジケーターリーダーを間に2〜3フィート程度入れると流れ方や沈み方が分かりやすいのでおすすめです。
マイクロスペイ/マイクロスカジット
広めの中本流から支流である小本流、さらにその支流である渓流へ入っていくような場合は、マイクロスペイ/マイクロスカジットに取り入れるのがおすすめです。
まとめと続き
故オリー(オリバー)・エドワーズ(1938-2023)はイギリスだけでなく英語圏のフライフィッシングに多大な影響を与えたアングラーで、ノースカントリー・スパイダーやフランク・ソーヤのサンクン・ニンフなど、イギリスの伝統的なフライフィッシングやフライタイングを啓蒙しつつも、国際的にもさまざまなアングラーと交流。90年代にはWFFCにも出場し、環境保護も含めた総合的なフライフィッシング活動を通じて、ウェットフライとサイトニンフ、ユーロニンフの繋がりを今に伝えています。
彼の著書で最も有名な「フライタイヤーズ・マスタークラス」は一読の価値あり。
このプレゼンテーションのスタイルは、広く探るにはスローすぎることもありますが、筆者もカゲロウが多い川での「鉄板」として行っています。流れが早い川だけでなく、スローな流れでも何かしらハッチがある時は非常に有効ですので、ぜひお試しください。