フライフィッシング四方山話#4 – 夢と現実の狭間を泳ぐ「江戸マス」 – 利根川水系サクラマスの生態

2020/11/25サクラマス,フライフィッシング,東京都

日本のフライフィッシャーの目標の一つとして「サクラマスをウェットフライで釣る」というのがありますが、日本海側の解禁河川に立ち込んでサーモンランを我慢強く待って釣るというストイックなイメージがあると思います。実際はサクラマスという魚は北は北海道、南は日本海は山陰、太平洋は利根川水系まで幅広く遡上してきます。

サクラマス

私たちが暮らす東京都でも実は「多摩川には昔サケが遡上していた」というストーリーが子供時代には良く語られていましたが、この「サケ」は実はサクラマスのことでした。今でも多摩川上流域では毎年ヤマメを放流していますから、ここから生き残った個体の一部は東京湾まで降っていくことがあり、たまに定置網で捕獲されています。でもこれはあくまでもレアケース。実際は利根川水系のサクラマスが入ってくることが多いようです。

マーティンによる江戸マス

2009年5月2日にマーティンが釣った「江戸マス」のサクラマス。尾びれの真ん中が切れ込む

カナダ人メンバーのマーティンは奥様が日本人なのでたまに来日して釣りに行きますが、2009年に葛西サイドから遠投してシーバスを狙っていたらば「サーモンのような魚」を見つけたのでルアーで釣ってみたらまさにサーモンの一種であるサクラマスでした。

江戸マスはどこで釣れた?

現実の国「江戸川区葛西」と夢の国「東京ディズニーランド」と狭間を流れる旧江戸川(江戸川分流)で釣れた江戸マスだったのです!キャストしたのも江戸側だったので正真正銘の江戸マス。東京湾で過ごしてから旧江戸川・江戸川を遡上している具体的な証拠です。

利根川水系のサクラマスたち

利根川には房総沿岸で過ごしてから海から遡上するサクラマス、利根大堰(埼玉県行田市と群馬県千代田町)まで降って支流の吾妻川までを活動域とする戻りヤマメ=「利根マス」など、サクラマスと呼ばれる形態と大きさになった魚たちがいます。利根川の分岐河川である江戸川・旧江戸川の江戸マスは、江戸川が利根川から分岐する関戸堰堤から東京湾まで降って成長して、再び遡上しています。江戸マスも利根川水系のサクラマスの一つの分派なのです。

関戸堰堤(茨城県猿島郡五霞町)

利根川にはサクラマスだけでなく、一般的にサケと呼ばれるシロザケも遡上しています。サケが遡上する南限と言われていて、分流へ迷い込んだサケの中には千葉県柏市を流れる大堀川まで遡上するものもいます。

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さけますに関する注意点

水産資源保護法に基づき、日本の内水面におけるサケの採捕は禁止されており、特別許可された漁業者のみに認められています。故意に採捕した場合は犯罪となりますので、釣ってしまった場合はキープはもちろんストリンガーやフィッシュグリップによる確保と認められる行為も禁止されています。手荒な扱いはせず、必ず元気な状態のまま速やかにリリースしてください。サケやサクラマスが遡上する河川ではリリースネットを持参してください。

サクラマスおよびヤマメに関しては東京都、埼玉県、千葉県では漁業調整規則で採捕制限されていませんが禁漁期間がありますので必ず確認してください。

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