体験してきました!エリアでのフライフィッシング・トーナメント
フライフィッシングはそれ自体がスポーツであり、アウトドア活動でもあり、さらにはハンドクラフト学習や自然環境カルチャースクールでもあるという、完成されたレジャーになっています。
それだけをやっているだけでも、行く場所や釣る魚、常に変化する自然環境の中で発見や成長があって十分に楽しいのですが、具体的に心技がどれだけ上達したかを求めるために、個人的に行うトレーニングや大会を通じた競技スポーツも行われています。
この中でフライフィッシング総合力を発揮して、実際に魚を釣りながら競う「コンペティション(競技)・フライフィッシング」が川・湖水・海で行われています。
さらにこの中で人造の湖水である「エリア」と呼ばれるポンド型の管理釣り場で楽しまれているのが「エリア・フライフィッシング大会」で、選手たちが会場に集まってトーナメントを戦いながら交流を深めています。
今回はエリア・フライフィッシング大会の一つである「第20回ATFC鹿留大会」へ、TFFCCのエド吉田が参加してきたレポートです。
第20回ATFC鹿留大会・・・Berry Park Fish On! 鹿留
今回の大会の会場は、山梨県都留市にある管理釣り場「Berry Park Fish On! 鹿留」。昔は「ホリデイロッジ鹿留」というレジャーパークになっていて、鹿留川を区画に整備して釣らせる「常設釣り場」というフィールドになっていました。その後、東京電力などへ経営者が移り、現在ではリユース釣具店大手「タックルベリー」が所有する、湖水型釣り場も常設釣り場も楽しめる関東甲信越では随一のフィールドになっています。
大会はこの人造湖「鹿留湖」で行われます。最新部が3m以上ある湖の中には、大小様々なサイズのニジマス、ブラウントラウト、イワナ、ヤマメなどが放流されています。通常は20匹までキープして良くなっていますが、キャッチ&リリースが盛んに行われていて、数を競うこの大会ではキャッチ&リリースONLYとなっており、人間と魚の両方に優しいバーブレスフックを使うことがルールとなっています。
大会に参加する選手は地元の山梨はもちろん、東京や神奈川、さらには愛知からも!
トーナメント形式で行われる大会・・・非情かつ温情あるノックアウトの世界
選手は最大4セットまでフライタックルを準備して良くなっており、ローカルルール及び大会ルールで、11フィート以内のフライロッドであれば、シングルハンドとスイッチハンドのどちらも1セットのみ使うことができます。ラインシステムはフルラインもシューティングヘッドも自由に選んで使えて、フライもバーブレスのシングルフックに巻かれていれば、ワーム素材以外は全て使うことができます。
大会は制限時間内での匹数を競うトーナメント形式。選手はA組とB組に分かれて、隣の番号の選手と1on1形式で、1回戦を戦います
1回戦勝ち組のAとB、負け組のAとBの4つのグループの中で2回戦を戦い、グループ首位突破の4名が準決勝へ進みます。
準決勝の上位2名は決勝戦で激突します。
1回戦敗退者のグループと2回戦敗退者のグループの中でそれぞれ敗者復活戦(プレイオフ)そが行われて、それぞれの首位2名が3位決定戦に進出します。準決勝戦で3位の選手と敗者復活戦から勝ち抜いてきた選手2名が3位決定戦を戦います。
トップ2位の選手たちは対戦相手をノックアウトしていく実力やメンタルの強さもさることながら、幸運も味方につけた「エリート」な訳ですが、プレイオフから勝ち上がって3位入賞を狙う選手のド根性にも着目です。
審判はプレイしていない選手が交代で行い、ネットインしたトラウトの口にフックがかかっているかどうかを確認して「OKです」となれば匹数を「正」方式でスコアカードに記入していきます。
ルーキー・エド吉田の1回戦
エド吉田はフライフィッシング27シーズン目ですが、エリアでのコンペティションは初☆体験!さらにまともにニンフィングをやって来ておらず、今年やっと重い腰を上げて先輩たちから学習している新人=ルーキーです。アメリカ時代から慣れているドライフライの釣りならいざ知らず、ウェットフライでは中禅寺湖や利根川、東京湾や浜名湖では知る人ぞ知る「バラシの帝王」・・・。そもそも海外育ちのマイペース野郎なので「合わせる」と言うことを理解していません!と言うことで、「香港やアメリカにいる日系イギリス人」が参加していると思ってお読みください。
そんなエド。ラッキーなことにドローでは同じくルーキーの選手と対戦!プレッシャーが多少なくなり、外資系らしいタックルとシステム「タックル1:タイトライン・ニンフィング」でなんとか5匹キャッチして予選突破しました。
ルーキーの2回戦
1回戦は突破したものの、続く2回戦では常連の選手と対戦することに!しかも特定の知り合いが被ることもあって、プレッシャーをビリビリ感じてしまいます。なーんてのは関係なくて、1回戦と同じ要領でガンガン釣ってやろうと思ったらば、魚のレンジも違うし、アタリの出方も繊細になっています・・・。
さらにロクに使っていないシステム(タックル1)を理解しておらず、後ろから見守るトーナメンターたちからは「さっきから5回くらい当たってるんだけど・・・」「あえて合わせないのかと思った」とのコメント連発!
「きっと、こういうことかな・・・?」なんて大会の最中にプラクティスを始めてしまう始末。そんなことで3匹しかキャッチ出来ずに敗退してしまいました・・・。
ルーキーの敗者復活戦
ルーキーも2回線敗退者グループによる敗者復活戦に参加しますが、これまで審判をやりながらトップ選手たちを見てきて「美味しいとこどり」しようと思ってタックルを「タックル2:超高感度インジケーター・ニンフィング」にチェンジ!
無謀にも大会に投入するどころか、使うのさえ初めてのシステムで1匹キャッチした後が大変!ライントラブルは発生するわ、リールにバッキングラインが食い込むわ、しまいには構造を理解していないフライリールのスプール・シャフトが外れてしまい「壊れた!」と勘違いする始末・・・。
タックル1に戻して続行しますが、途切れてしまった集中力の弱さ、1匹だけで終わってしまいました・・・。
トータル9匹で終了。フライスコアリングに換算して(当時は25cmアベレージがレート)、225ptをゲットです。
テクニシャンの戦い
この日のATFC鹿留トーナメント一位
独自のインジケーターライン・メソッドで、その完成度は雲の上!
- 1回戦:14(ルーキー5)
- 2回戦:13 (ルーキー3)
- 準決勝:7
- 決勝:13
- トータル:47 (ルーキー9)
実にルーキーの5.2倍!!
鉄人の戦い
ATFC鹿留トーナメント、根性の第3位はトーナメントマスターでもある山本パパ!独自のインジケーター・メソッドを開発して広めたり、「れがーれ」というエリアフライ用のマテリアルを送り出す、タックル・デベロッパーでもあります。
開始早々にインジケーターを弄ぶヘンテコバイトの応酬に見舞われつつ敗者復活戦へ転落するも、ペースを掴みなおすと着実に勝ち上がってビクトリーロードへ!
その背中に人生も同じことだよ、と無言の教えを見るのは読みが深すぎでしょうか?
トーナメント選手としては、超高感度インジケーターと右腕の筋肉のセンサーがBluetooth でペアリングされているのかと思うレベルの瞬発フックセット!
- 1回戦:8(ルーキー5)
- 2回戦:4(ルーキー3)
- 敗者復活戦:4 (ルーキー1)
- 3位決定戦:6
- トータル:22(ルーキー9)
根性パワーはルーキーの2.4倍!!
フライスコアリングに換算してみる
今回はフライスコアリングに興味のある方たちのスコアを「毎月、1大会(または提携大会)、1マッチ、1ソロスコアリングから登録できる」に従って、「25cmアベレージ・レート」(当時、現在は20cmレート)にて換算しました。
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別途、ATFCのトーナメント詳細スコア情報が出ましたので(こちらは20cmレートで換算)、全体の中で自分の「偏差値」を出してみたところ、エドのトーナメント偏差値は「43」!!70以上のSクラスや60以上のAクラスには比べようもありません!
しかも40以上のCクラスでも下から2番目ですので、「フライフィッシング補習」「フライフィッシング居残り」やってこようと思います。
まとめと続き
今年、物事の成り行きで、とある大会の企画・運営に携わることになったエド吉田。既存のトーナメントを体験・理解しておこうと思って参加しましたが、初めての人間でも溶け込める、明るくてフレンドリーな空気!エキスパートの方たちも始終お喋りしながらトーナメントを釣り抜くという、一緒に釣っていて・観ていて楽しい大会でした。
また審判を体験できることで、腕っこきのトーナメンターの技を間近で観ることができる役得も!
トーナメントに特化したシステムとはいえ、いろんなフィールドに役立つノウハウが満載です。
そして山本ご夫妻が用意される「まかないランチ」の美味しさにも感激!参加賞としての「お土産」も盛りだくさん!
サービスが良すぎて心配になりましたが、これだけ揃ってなんとお値段「1,000円」のご奉仕価格!!(釣り券別売)
個人的にはランチ込みで「2,500円」でも満足だと思いますので、何か差分を埋められることができないか考えてみようと思います。
いつものフライフィッシングに違和感を感じるあなた。なんかマンネリで刺激が無くなったと思った倦怠期のあなた!
このトーナメントは買いでっせ?
タックル情報
今回のデビュー戦に投入したタックルはこんな感じ。
タックル1: シングルハンド6番 – タイトライン・ニンフィング
- フライロッド: Echo Stillwater 10’6" 6wt
- フライリール: Hardy Ultradisc Cassette 6000
- フライライン: Monic Advanced Clear Plus WF6F
- リーダー:サンライン 磯スペシャル Visible Tomato 2.5号
- ティペット:シーガーエース 0.5号、0.8号
今後コンペティション・フライフィッシングに深く関わることになるエド吉田。アメリカと中国の貿易摩擦やパンデミックでカーボンロッドの製造が大ダメージを食らう中でやっと手にした「Echo Stillwater」。FIPS-Mouche世界選手権 Team USAのピート・エリクソンがデザインしたロッドで、トルクのあるミドルアクションに設計されていて、直進性の高いワイドループが作れるようになっています。コンペティションで使われる長いドロッパー・システムでもトラブルなく、バックキャスト一回のシュートで安定して20m以上出せるだけでなく、ショートライン・ニンフィングで手前を探ることもできるティップを持っています。
これにイギリスでの大会選手たちが愛用している、カセット式スプールで交換が簡単な「Hardy Ultradisc Cassette」をセット。スペアカセットが2つ付いてくるので、メインはWF6Fにしておいて、サブをインタミやS3、ボートで使うS5やS7に交換することができます。楽にワイドループが出せて6番の軽さ。右肩が良くないルーキーでも戦い抜ける安心のタックル!・・・のはずですが、直前に届いたロッドなので一切の予行演習なし!ぶっつけ本番です。
システムはインジケーター・リーダーを使ってフォーリング中のあたりを拾っていく狙いですが、ほとんど始めたばかりでストライクに気づくことができるかが課題。
タックル2:マイクロスイッチ4番 – スカジットな働き者
- ロッド: Pieroway Renegade 9’0" 4wt
- リール: Waterworks-Lamson Remix 5+
- フライライン: AirFlo Skagit Scout 150GR
- リーダー: AirFlo Polyleader Trout 10′ Floating
ガイド業に専念するためにOPSTと離婚したジェリー・フレンチ設計の「Pieroway Renegate 9フィート4番」。ぱっと見は普通のシングルハンドのマイクロスイッチロッドですが、トルクのあるミドルアクションでもロッドが9フィートなことで、「オーバヘッドでビッグ・ドライフライやスカリグ」「スカジットキャストでイマージャーやパワーウェット」というアウェーゲームで便利な使い分けができるコンセプトです。
とても素直なアクションでティップ感度もすごく良いのでブラインド・フィッシングに少しずつ使っていますが、ジェリーに気遣ってスカジットヘッドをAirFlo Compact Skagitへ変更!今回、これも一切の予行演習なしで投入する「超高感度インジケーター・ニンフィング」のリグを、近距離打ち返しと遠方へシュートするために使います。
フライリールは軽量でコスパの良い「Waterworks-Lamson Remix 5+」です。