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小笠原諸島へ遠征 – 6日目

2020/12/24カマス,ソルトフライ,フライフィッシング,ボーンフィッシュ,小笠原,東京

天候が回復して気温も上がったので魚の活性が上がるタイミングに釣り場のリサーチを進めることにしました。まずはボーンフィッシュがルアーで釣られたり、GTが回遊してくる島の北部からです。シングルハンド8番タックルにはインタミライン、シングルハンド10番タックルにはタイプ4をセット、GTに対応するためにはスイッチロッド10番にフローティングラインをセットしてレンタルスクーターに乗って島の北へ向かいます。

東港の防波堤

まずは釣り人に人気の母島北東の大きな入江の奥に作られた東港へ到着。長く突き出た防波堤の先端から覗き込むと、海水が透き通っていて、太陽光が5m少しある底までしっかりと照らしています。岩やサンゴが点在しており、沖からの波は弱められつつも入り込む潮流が防波堤そばを流れていて、回遊魚だけでなく小魚を待ち伏せする根魚も狙えるポイントと見受けました。

100mくらい沖ではバラハタらしい魚が潮目についたベイトフィッシュを追い込んで捕食していますが、回遊魚がやってくるほどのベイトフィッシュの群れでは無さそうです。

バラハタの食事が終わった後も観察していると潮目が防波堤に近づいて魚の群れも入ってきたので8番タックルへ御蔵キャンディをセットして最初に釣れたのは20-30cmサイズのヤマトカマス。すぐに釣れたので写真は後回しで2匹くらいキャッチ&リリースして油断していたら、条件が変わったようでフライに反応しなくなりました。アジのように棚のリトリーブがシビアな魚のようです。

これだけの透明度であれば魚たちの様子が逐一分かりますので、次に試してみたかったドロップショットリグにマラブーをソフトハックル状に巻いたフライを沈めて、決してアグレッシブでは無い居着きの魚たちの反応を見てみました。マラブーの動きに対して魚たちの反応は非常に良く、繊維をかじったり、一瞬咥えたりしてきました。使うタイミングをうまくやれば十分に釣ることができそうです。

東港のフラットリーフ

続けて東港の奥にあるフラットリーフをチェックしました。砂地にサンゴと砂利が混ざる底質で、小さなエビとそれを追うカラフルなサンゴ礁の魚が見えました。豊富な餌がある環境では無さそうですが、深い入江の一番奥に形成された唯一の広い浅瀬となっています。上潮で餌を探しにくるボーンフィッシュやフエフキダイの仲間などの魚が回遊するポイントの条件を備えていますので、食事を取りながらじっくり観察してみます。

港の端から入礁して岩場となる反対側まで海岸トレッキングしましたが、小さい魚は散見してもサイトフィッシングが楽しめるサイズの魚は全く見かけません。ここにも太平洋戦争中のトーチカがあって戦跡もありそうな雰囲気ですが、水辺の観察に集中します。

上潮が始まって1時間近く観察しても1匹も見かけません。そうこうしているうちに小さい魚たちも見かけなくなったので、嫌な予感がして様子をさらに見ていると・・・。

ホワイトチップ(ネムリブカ)の団体様の日光浴スポットと化していたのでした。操業中の漁船が着く場所は必ずこのサメたちが池のコイのようにお出迎えしてくれます。危険なサメでは無いのですが、これではこのフラットに魚たちがやってこないはずです・・・。

作戦の練り直し

深い入江は外海に面した離島における停泊地としては最高の場所です。当然漁船のための港があったり、釣り場としても素晴らしい条件を備えているので、漁師や釣り人が捨てていく魚介類のワタや餌の残りは餌の少ないサンゴ礁のような環境ではホワイトチップのようなおとなしいサメにとって営業中の食堂のように魅力的でしょう。

しかし、とってものんびり屋さんのホワイトチップの団体様は、フライフィッシングにとって最高な明るい時間帯の上潮の間は居心地の良い港の浅瀬でお昼寝して、下潮になってもカケアガリすれすれくらいのベストスポットを独占・・・。さらに暗くなると活発に捕食活動を行うので、朝まずめや夕まずめも魚たちは寄ってこないだろうし、間違えて足に食いつかれても大変です。

作戦の練り直しのために村へ戻ります。

この島に来てからお気に入りの場所に戻って、いろんな島々への標識を眺めながら、「ここではボーンフィッシュのフライフィッシングは成立しないけど、広い大海原、島はここだけじゃ無いんだよなぁ・・・」と諦めずに今後もリサーチは続けることを決意。

それにしても海のフライフィッシングは存分に楽しめる環境ですし、水平線へ目をやればクジラも見えるし、食事をしている目の前で大型の肉食魚がメアジの群れへ突っ込んで水柱を立てている環境なんてそうあるものでもありません。とりあえず湾内やリーフで使うフライパターンを巻き足します。

こんなひなびた南国の景色でフライを巻いているゆったりとした時間を満喫しながら、目の隅に映る戦争中のトーチカを見つつ、フライフィッシングが楽しめる時代と国に生まれた幸運を感謝します。

「釣るだけ」ではもったいない世界。そちらの時間も有意義に過ごそうと思いました。