西表島どうでしょう!2022:インナーリーフのハッピータイム
20代でフライフィッシングを始めてこれまで、やってて良かったと思える瞬間はいくつもありますが、透き通った水がどこまでも広がるインナーリーフに立つ時はその中でも最たるもの。地球という星に生まれてきたことを感謝してさえしまいます。
反面、フィールドとしてはジンクリアーな水をたたえたシャローの中のサンゴや岩というったストラクチャーに魚が隠れていたり、その隙間の水路のようなところを警戒心強い魚が回遊してくる、というシチュエーションに対応しないと釣果が伸びない、なかなかに手強い場所でもあります。フライラインの影やミスキャストがとても影響しやすく、魚達がスレていない西表島とはいえテンポ良く釣り続けるためには工夫やスキルが必要・・・。
透明フライラインで条件改善
物質変換の超能力でも持っていない限り、スキルではフライラインの影を消すことはできないので、素直に工夫に頼るのが正解。これまでにハワイのボーンフィッシュの釣りや湖のシビアな釣りで使ってきた透明フライラインのブランド「モニック」から出ている透明フライラインも今や第三世代の時代!これを使い倒す絶好のチャンスです。
どうでしょうタックル選択
完全にフラットな水面のフィールドではコントロールが全て!透明フライラインでプレッシャーを抑えた分は、風に強くコントロール性が高い番手に活かすということで、シングルハンド8番です。また、リーフの魚はヒット直後にハードファイトしながらストラクチャーへ突っ込む習性を持っているので、初動で止めないと面倒なことになります。どんなにタックルを弱めても7番までが無難です。
シングルハンド8番タックル
- ティペット:シーガーエース3号3フィート
- リーダー: バリバス テーパードリーダー レコードマスター SW IGFA Class FHT 12lb
- フライライン:モニック アドバンスド クリアプラス WF8F透明フライライン
- フライリール: Hardy MTX-S 7000
- フライロッド: Echo Prime 8810-4
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パイロットフライとゲームプラン
離島にはフライショップもフライフィッシャーからの情報も無いのが当たり前。完全なアウェーゲームとなりますが、反面魚たちがスレていないというアドバンテージもあります。しかし、浅ければ浅いほど魚のスイッチが入るポジションとフライとの距離が短く、透明度が高ければ高いほど誤魔化しが効きません。浅い=よりナチュラル、深い=気づかせるためのアトラクター要素というのがセオリーです。今回は数日間を通じて予習できているので、悩まずバカの一つ覚えの餌フライ。
インナーリーフのルートプランとしての課題は「水深」と「足場」。手前は浅くてもある程度中央へ進むと背が立たないような深いスポットもあります。できれば入潟する前に高い場所から地形を観察しておいて、スタート地点から飛び石ルートを目論んで置いて、プランAだけでなく、入り直すためのプランB、Cくらい見立てておきます。
水中にあるテーブルサンゴがストラクチャーを形成していますが、これらのエッジには必ず 根魚が隠れていて、サンゴの上や死んだサンゴの下に隠れる甲殻類を狙ったりします。また外側からインナーリーフへ回遊してきて餌を探すタイプの魚の場合はサンゴとサンゴの合間の深い場所へ回ってきてから、小魚や甲殻類を追い込んだりします。水位がちょうどいい時間は限られていますので、どちらのゲームを優先するかでアプローチが変わってきます。
今回は「魚種を増やしたい!」という目的を達成するために、根魚優先プラン。魚の捕食が活発になる上に流れの向きでストラクチャーのどちら側を意識しているかが分かりやすい、下げ潮のタイミングでスタートします。
リーフのベンチマーク
まずはどれだけ魚の活性が高いか、パイロットフライは機能するかどうかを念の為チェックするので、いきなりルートに入る前にサンゴではなく岩の周囲の砂底を狙います。魚たちはうまく隠れているか、体色を使ったステルス性能を発揮していますので、ここだろうという「X地点」を想定しておいて、流れの上側にフライを着水させて着底させます。
フライのフォールの動きを見た魚が水中で動くのが見えましたので、フライは動かさずにアタリに備えます。戻ってしまう前にショートストリップしてフライを底から跳ね上げると反転して食いつきました。
1匹目は美しいプロポーションのカンモンハタ。砂地に長くいる個体なので体色がデザートカラーになって適応しています。ストラクチャーから離れた広い砂地をテリトリーにしている個体がいるということは、相当に生息密度が高い場所です。
今度はルートの一番手前のテーブルサンゴの左右を狙います。これも着水からのフォールで飛びついてきました。ここからしばらくワンキャストワンフィッシュ。
ちなみに透明フライラインの効き目を試すために同じテーブルサンゴの反対側へ打ってもヒット。念の為サンゴの上もヒット、ダメ押しでサンゴの奥もヒット・・・。通常は同じスポットを2回打っても出ない魚ですが、タイミング良くリーフに入り、透明フライラインでプレッシャーを減らした状態でフライを入れる角度を変えるだけで、連続ヒット・・・。キリが無いので先に言ってしまうと、知人に頼まれていたスコアアプリのテストも兼ねていたので、この日このリーフからはカンモンハタだけで50チェックやってしまいました・・・。
まるでアート?アミメフエフキ
フィールドも良いし、フライもシステムも非常に良く釣れるので面白くてストラクチャー専門になってしまってましたが、数釣ることで中から新しい魚種が出てくるだろうという打算もあります。ただし何かを変えないと永遠にカンモンハタなので、時々狙うポイントとの間合いやフライを引っ張るルートを変えたりして別の魚を誘います。
狙い通り、カンモンハタよりもハードヒットしてくる鮮やかな色の魚が反応するように!
ところがサイズの割にハードファイターなので油断してネットイン寸前に逃げられて1回は根に入られてしまいました。2回目はネットインにこだわらず主導権を渡さないままハンドランディング。チェックできたのは嬉しい98魚種目となるアミメフエフキ。ファイトも素晴らしいですが、ボディカラーがアート作品です!
フエフキダイの仲間たちはサイズに似合わないハードファイターで楽しいのですが、特にアミメフエフキは8番ロッドをものともせずに突っ込むパワーですっかり魅了されてしまいました。
夫婦セットでガンテンメギス
手数が増えていく中でサンゴに対しての慣れが出てきて、今後のリーフで難易度の高い魚を狙う練習になるので、根がかりを恐れず大胆にぎりぎりを攻めると根魚と言っていい魚が反応するようになってきました。
99魚種目となるガンテンメギス。先に真っ黒な体色のメス。体の真ん中だけほのかに赤い他は漆黒という、サンゴ礁っぽくないカラーですが、英名ではDottyjackと呼ばれ、観賞魚で人気の魚になっています。
そして同じポイントから、今度はまるで闘魚ベタのような派手なオスをチェック。
これも無用なウォブリングをしないジグニンフに巻いてあるからですが、狙い通りにスッと沈んでくれるので水流に負けず正確に根回りを狙えます。
こんな魚たちとも遊んでもらいながら、アプリのスコア獲得と認識テストのためにカンモンハタをぽんぽん釣りながら、アプリが同じ種類の似通った見た目の魚を連続で釣ると判別できずに「不正エラー」を出す痛恨のバグをレポートしたりと時間を使っていたら、あっという間に潮位が下がり切ってしまい、タイムリミットが迫ってきました。
リーフエッジへ行く道すがらに狙っているヤツが・・・
どんどんと冬の潮になりかかっている最中なのでそこまで一気に潮位は下がりませんが、いい魚をサイトフィッシングしにいこうと思い、リーフエッジへ出るための渡る路=ワタンジを探して先を急ぎます。
潮が下がり切る前の急流もできてたりするので慎重にルートを取りながら、ワタンジを歩いて行きますが、所々テーブルサンゴが死んでしまって崩れていたり、フロートベストの利点ですが、胸まで浸かって軽く立ち泳ぎしながらリーフエッジの手前までやってきました。
そこからは波が入ってくる中でも水深が膝下なのですが、テールを水面から出して甲殻類らしきものをチェイスしている大きな黒い影発見!モンガラカワハギの中でも最大級になるゴマモンガラです!
100魚種目を飾るのにピッタリな好敵手なので、波に打たれつつも慎重に間合いを詰めていきます。
ところが、崩れたテーブルサンゴらしき場所が散在するために、おそらくそこに隠れるシャコの仲間を探しているのですが、リーフエッジの浅瀬と崩れたサンゴのある胸くらいの水深のある場所を行ったり来たり・・・。私が立つ場所へ近づいたり遠ざかったり・・・。なかなか狙いを絞らせてくれません。
コースを読んでリーフエッジ側の浅場にキャストしてフライを置いておきますが、影が見えたタイミングで気づかせるためにショートストリップしても、サッと寄ってくるだけでスローダウンそしてUターン。大きい図体の割にかなり俊敏で驚きました。それに一気にフライに食いつくこともせず、様子を見にくるだけ・・・。
どうなるリーフエッジ
2回ほど同じ流れが続いて、自分の中でも「このシチュエーションで狙って釣れるのか?」と疑いが生まれてきた最中、よそ見していた私のオフショルダー側へエッジから入ってきたうねりの波の直撃弾!
思いっきり吹っ飛ばされて右肘を下に転んでしまいましたが、フライロッドは破損しないように離したので浮いているだけで無事です。右肘をちょっとサンゴで切ってしまいましたが、そんなのは後回しで起き上がってみたら、黒い影が10m先のシャローの中にゆっくりと泳いでいます。もうこれがラストチャンスでダメなら終わりにしようと決めて、丁寧にキャストしたら水柱を立ててヒット!
やったーーーーー!!!モンガラタイムだ!!!
と喜んだのは束の間。あまりファイトしないので「?」と思いつつも根に突っ込んだりされないように最大限警戒してシャローから深場へ入らないようにリーフエッジ側に走り込んでロッドを倒して備えますが、なんか違う魚がくっついている・・・。
ネットインしてみたら、なんかかわいいニシキゴイみたいな魚。100魚種目はオジサンでした・・・。意外にもオジサンを釣っていなかった私ですが、色も綺麗で水槽で飼ってあげたら楽しそう・・・。元々が観賞魚好きで釣りを始めたのでこれはこれで西表島の豊かな自然に感謝して、記念写真を撮って優しくリリースしました。
モンガラカワハギが居なくなったタイミングで入れ替わりにシャローに入ってきたので間違えましたが、フライパターンは場所的に合っているけど、モンガラが狙っているベイトではないということなのでしょう。
ウェット・ウェーディングの装備
ここまでのウェット・ウェーディングの装備に加えて、この回は足回り強化のためにウェーディングスタッフを使いました。
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今回のルート
今回のルートは衛星写真が鮮明でないので段取りリストだけ。
- Aルートの入口の横の岩場をチェック
- Aルートのテーブルサンゴ一つ目
- Aルートのテーブルサンゴ二つ目・・・以降繰り返し
- Bルートで同じルーチン
- Cルートで同じルーチン
- 少し岸そばを歩いてワタンジがある場所へ移動
- ワタンジを前進しながら両脇のテーブルサンゴで同じルーチン
- リーフエッジ直前でサイトフィッシング
シャコパターンをどうする?
この日は直後に業務連絡とリモートワークがあったので上がりましたが、別の場所で岩そばに隠れて休んでいた、ゴマモンガラが夢中になってほじくり返して狙っていたものをネットで捕獲して観察。
なんと10cmサイズのシャコ!名前は分かりませんが、こいつを狙って死んだサンゴをほじくり返していたとすると、フライがマッチしていません・・・。ちなみにこの写真の後でウェーディングシューズをシャコパンチされたら、結構衝撃ありました。
宿に戻って夕方までリモートワークをやってから、昼間にあったシャコをイメージしたプロトタイプを巻いて、アイスクリーム食べながら上原港へGO!
ボトムまで沈めてから、ピュッピュッ、という動きを再現するとショートバイトが取れつつも、岩壁沿いに潜んでいたゴマフエダイが水面まで追ってはくるけど食い付かず。動きは良いけど、ポーズしている時に食い付かせるための要素が合っていないようです。
その後完全に日が落ちてから、ボトムに落としてアクションしたらコツコツと連続バイト。ちっともフッキングしないので餌フライに戻したら正体はギンガメアジでした。
まとめと続き
とりあえずこの旅の目的の一つである「100魚種」は達成できました!
とはいえ狙うチャンスが持てたゴマモンガラには手も足も出ない状態・・・。対策として取り掛かり始めたシャコ・プロトも動きは良いけど、決め手が無い状態となり、新しい宿題を抱えてしまいました。
すでに冬の海になり始めていて、リーフのサイトフィッシングには不利になっていますが、この後ももう一回だけゴマモンガラと手合わせするチャンスがありました。また次の回にて!