「関東道」連合vsシーバスナイト – 横浜港
今年からTFFCCが取り掛かったプロジェクトである「フライフィッシング補完計画」。いつもは国内外の各方面へ散らばって思い思いの釣りを楽しむTFFCCメンバーズですが、ここ数年ものすごく懸念していることがあります。
懸念した事態が現実になったこの10年間
世界全体を見てみれば、フライフィッシングのための優れた新製品が作られたり、素晴らしいフライフィッシングのターゲットやフィールドが新大陸や発展途上国とされてきた国々のフィールドから続々と誕生しているのにもかかわらず、日本では業界都合でコントロールできる限られた範囲にしか関心やモノが集まらず、業界任せにせずユーザーをリードすべきベテランも居心地の良い世界の中での深みに没頭する中、日本のフライフィッシング世界が広がっていっていない現状になっています。
そんな状態の中で、マイナーだった「テンカラ釣り」に追いつかれ、抜かれかかっている体たらく・・・。なんとかこれまでに開発されたゲーム性の高さが維持されていることと、対象魚が比較的幅広いことで踏ん張っている状態。フライフィッシングの雑誌も閉刊あり、フライショップも閉店が続きました。
これに憂慮する有志はTFFCCに限らず数少なくありませんが、自分の世界が完成されればそれでよしと開き直る個人主義の塊のような方や(私でーす)、ゲームとしての完成度の高い対象魚が少し広がればハッピーな正統派メンバー(グチ)、閉塞感に嫌気がさしてフライフィッシング以外の「横展開」へ救いを求める脱藩系メンバー、キッパリと日本国内の伝統的なフライフィッシングには背を向けてフライカーピングやGTを追いかける半グレメンバー(マーティン、デイブ)・・・。
でも待てよ、日本国内だって北海道から沖縄まであるんだ。C&Rや管理釣り場もあるぞ?手持ちのフライタックルから逸脱しなくても対象魚なんていくらでもいるじゃんか。釣りしている時間だけじゃなくてスポーツ・キャスティングやフライタイングのようなハンドクラフトだって十分に面白いぞ?それでも不満ならば、飛行機で飛べば極東ロシアだって北米だって、南米やアフリカだって射程圏内だ。まだまだ伸びしろがたっぷりあるのにユーザーは置き去りじゃいかん!ということで、大きく視野を広すぎても現実逃避になってしまいますので、まずはこの国の首都があり最大人口密集地である「東京」を中心としたユーザーたちを置き去りにしないためには手身近に視野を補正する必要あり、ということで「関東道」という北海道スケールでフィールドを北は日本海、南は太平洋まで捉え直すことを始めた次第です。
関東道をオールシーズン楽しむためにシーバス!
関東道で最大の面積を誇る水面、それは「海水面」!利根川水系や信濃川水系、中禅寺湖や霞ヶ浦、牛久ダムが束になろうが圧倒的な広さを誇る「塩水湖」です。そこで最もポピュラーなのが王者シーバス!フライフィッシング7つの力全てをフル動員させて挑むに足るキングです。
というわけで、関東道のほぼ中央にお店を構える「鱒夢」店長の飯島さんの心を焚き付けて、そのトーナメントキャスターの腕前を元バストーナメンターのキャプテンにぶつけてみたい・・・そんな趣でパラスFGSの一夜をご一緒してきました。
関東道の中央と南端のペアなので、これは「関東道」連合?
何かが起きそうなコンディションでスタート
スタートは10:00pm、潮の動きはゆっくりとした上潮で微風というコンディション。シーバスの食い意地を狙うゲームであればもっと潮の動きが活発で風がある方がいい場合もありますが、フライというアピールの小さい擬似餌をコノシロサイズのベイトでさえ一飲みにするランカー・シーバスに見つけてもらうには、余計な要素が無い方がむしろ好都合。
飯島-吉田ペアは2人とも右利きですが、私の場合は右肩の状態が良くないので、大きなストリーマーをある程度テンポを維持しながら打ち返すことができるスイッチロッドによるシューティングシステムのプレデター・スカジット。無謀にもレーザーラインですがツーハンドなので飛距離が楽に稼げます。
飯島さんはキャスティングトーナメントでシートラウトディスタンス(シングルハンド+シューティングヘッドの飛距離を競う)で、初出場で3位を獲得する実力キャスター。とは言っても最後にボートシーバスへ出たのは20年以上前とのことで、ブランクの間に進化したゲームとのギャップはそのアスリート性能でカバーしていただく戦略です。
ゲーム序盤・・・いきなりランカーサイズを仕留める
私の使うボートシーバスとしては特殊なタックルは、沈めて攻め切るには不利なフローティングボディのスカジットシステム。そのため一発一発を勝負していくしかありません。そのためのタックルも鱒夢に集う方たちのご協力で組み上げていったのですが・・・その甲斐あってランカー狙いのポイントの3投目で気合のランカーサイズ78cmが釣れてくれました。
普通この状態だと「お前、空気読まな過ぎだろ!」となってしまうのですが、飯島さんは知る人ぞ知る、フィールドへ入ると先手必勝をモットーにするスタートダッシュの猛者。相手が中禅寺湖のレイクであれ、源流のイワナであれ、開始1時間以内に勝負をかけますので、素直に喜んでいただけました。
むしろ「こんなサイズが本当にフライで釣れる時代なんだ!」という実証ができたので、関東道の仲間たちへの刺激になると共に、ここからサイズを伸ばしてシーバスハンティングするためのファンファーレとなりました。とはいえ、慣れないロッドでのファイトで右肩がヘロヘロになってしまった私は少し休憩。2008年に75cmを釣ってから実に13年目のサイズアップだったので一気に緊張も解けてしまいました。
トーナメントキャスターは着々と決めていく
シングルハンド3番の源流ゲームからツーハンド10番の利根川本流マスゲームまでこなすだけでなく、フロッグ・ライギョやフラデバも楽しむオールラウンダーの飯島キャスター。取り扱ってきたフライロッドも最先端カーボンファイバーのG.Loomisアスキスから、オールドスクールの極みのハーディー・バンブーサーモンまで幅広い経験と鋭いアングラーセンスで「え!そこ届くの?」というところから確実にアベレージサイズを引きずり出していきます!
確実なディスタンス&アキュラシーで次から次へとフッコサイズのハードファイターのシーバスを仕留めていきます。
ディスタンスキャストで制したのは・・・?
先日のテクニシャンのグチさんとはまた違う豪快なロングキャストでプレッシャーのかからないスポットから確実に魚を出していくエキスパート。数を重ねて姿を表したのは・・・。
ジャジャーン!
見事シーバスサイズ!
20年のブランクや慣れない場面でもスキルでカバーして確実な結果を出しました!
数釣りポイントにて
この後、某「数釣りポイント」へ入り、横浜港での一夜の「非日常」の中で、何かに取り憑かれたように釣り続ける飯島さん。その数はあっという間に1ダースを超えて、この場所のシーバスが全滅するかと思う鬼武者ぶり!
その間もマイペースにスイッチロッドのシューティング・スカジットで「シュート!ピクピクピク」「シュート!引っ張ってー引っ張ってー」と漁師のような一投一投を機械的に繰り返す私。段々とストリーマーから「ボール」のような形へ崩壊していくEPミノーを直しながら使ってきて、ふと怪しい気配を感じた暗がりへシュート・・・。
ゴゴン!
これはいいサイズがきたかー???
まぁ、このポイントとしてはグッドサイズのジャスト50cmフッコサイズ!
もはや右肩にパワーは残されておらず、右肩がおかしな感覚に悲鳴をあげながら撮影に耐えるのでした・・・・。
まとめと続き
フライフィッシング用品の販売業務で日常忙殺されている飯島さんを、「非日常」へお連れしてリフレッシュいただけたのは嬉しいことでした。20年間の間に進化したシーバスゲームを、関東道のど真ん中のインフルエンサーにお伝えできたのは、キャプテン鹿内さん共々手応えが大きく、私のシーバスフライも13年目ですが、まだまだ進化するゲームに、右肩の弱点をカバーするタックル探しの旅もやっと出口が見えたので、今後も取り組んでいこうと思います。
フライ&タックルデータ
スイッチハンド10番
- フライ:エンリコミノー 3/0
- バイトティペット:Seaguar Ace フロロカーボン6号x1フィート
- ティペット:Seaguar Ace フロロカーボン4号x3フィート
- リーダー:Airflo ポリリーダー Salmon Extra Strong 8ft Slow Sinking
- フライライン: RIO Skagit Max 550GR-F + OSPT Laser Line 40lb
- リール: Hardy MTX-S 7000
- ロッド: R.B. Meiser CX 9’9″ 550-750GR