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初夏の中禅寺湖:ボート&陸っぱり

2021/02/21ニジマス,フライフィッシング,ブラウントラウト,ボート,レイクトラウト,中禅寺湖,

浜名湖でいつもお世話になっている横山カルロスさん・ミカさんご夫妻から「中禅寺湖のレイクトラウト釣りたい」とお聞きしていましたが、新型コロナウイルスの影響で遠出がしづらい状況となり、中禅寺湖も一旦閉鎖になってしまって行ける機会がありませんでした。緊急事態宣言が解除されて、中禅寺湖が再解禁になったので、シーズンとしては厳しい状況ですが、やってみるだけでも楽しいから、ということで何年かぶりにボートで釣ってみることになりました。

ボートゲーム

今回は初めての「コタン」からの出艇となります。誰も免許を持っていないので手漕ぎボートを2艘レンタル予約しておきました。ちなみに中禅寺湖は深い場所が多いので普通のアンカーが効きませんので、パラシュートアンカー(ボート屋さんからレンタル可)が必要となります。私も久しぶりのボートゲームなのでグッズを事前に確認したら、魚探は問題なく、パラシュートアンカーも大丈夫。しかしソルトの釣りが多かったフローティングベストはサビが進行していたので、クレ6-66でなんとか使える状態になりました。

当日は午前3時前に越後屋で横山夫妻と合流して当日券を入手してから桟橋へ戻って、出艇時間までのんびりと準備します。

朝一だけの勝負スポットはどこへ?

桟橋で水温を測ったら17.5℃。事前にチェックはしてありましたが、やはり実際に来てみると完全に夏モードに入り始めていて、レイクトラウトにはかなり厳しい水温です。望みは夜の間に回遊していたレイクが居残っているポイントへのスタートダッシュ。昔ワカサギ釣りに行った時に覚えているポイントは2カ所あります。Aポイントは大尻湾の流れが途絶えないポイントですが20m以上の深場から5m以下の浅場へ入る前の緩やかなカケアガリでシーズン初期に大きく群れが入る所、もう一つはフランス大使館の先にある周囲の深場から20mゾーンが切り出されたように盛り上がっている馬の背で季節通してワカサギが着きやすい場所です。

私たちよりも先に出発したアングラーは前者へ向かったので、私は魚探をかけながら後者へ向かうことにして、どちらかでレイクの動きがあったら携帯で連絡してそっちを横山夫妻に釣ってもらうプランで進みます。

一人で漕ぐ私と違って二人組のボートは探れる範囲が限られますので、とりあえず15-20mへ落ち込むポイントで釣ってもらっている間に私は索敵を続けます。

事前ルートプランとサーモクラインのチェック

かなり長いこと自分でボート釣りのルートプランをやってなかったので、カナダ・オンタリオ州在住のフィッシングガイドで奥様が日本人なのでたまに日本へ釣りにくるマーティンさんがレイクトラウトの生態に詳しいのでアドバイスをもらうことにしました。、中禅寺湖の湖底図をGoogle Earthにオーバーレイしたものを用意して一緒に見てもらいました。ちなみに中禅寺湖のレイクトラウトは元々カナダ産で半分がオンタリオ湖からの移入です。

彼の見立ては「その水温だとすでにサーモクラインができている。サーモクラインの上でユスリカなどプランクトンを捕食するタイプは水温が低い場所を探してとっくに禁漁区域の流れ込みや川へ移動してしまっているだろう。サーモクラインの下で小魚を捕食するタイプは狭い場所に巣みたいに群れているからそれを知らないと厳しいね。1カ所で待ち伏せるより魚探見ながらトローリングだろう」との見解です。実は屈斜路湖を釣りに行く知人が深場のアメマス(なぜかイトウも釣れてくる)をボートから狙うときに同様のタクティクスなので、どちらも大イワナだけに所違えど似たような同じ事が有効なのだと思います。

当日に索敵を始めてからサーモクラインが何メートルあたりに出来ているかを確認したらば、湖底の環境にもよりますが、およそ18-20mあたり。ちなみにプランクトンを食べに浮上しているワカサギと思しき小さな群れは5-10mに反応があるので、ユスリカを食べているタイプのレイクトラウトが残っているとしたら10m前後のポイントへ、上から落ちてくるワカサギを狙って食べるタイプがいるとしたらサーモクライン下を探らないとなりません。この想定に基づいてポイントAとBを絞ってあります。

20m ラインを攻めるジギングとボトムクローリング

横山チームはポイントAで釣っているアングラーが見える位置でタイプ4でフィッシング開始。私は手返しよくジギングで20mラインを直撃しながらアタリが出るかどうかでポイントBの周囲を探っていきます。

私の方はジグを湖底まで落としてから、少し漂わせて間を作ってから、ショートピッチジャークでサーモクラインまでアクションさせたら、再び落としてジャーキングの繰り返し。2回ほどフォーリング中のジグが軽くなって引き込まれるアタリが出ましたが、真下から食いあげているようなショートバイトでしかも水深30mのカケアガリ・・・。とてもフライフィッシングでは手も足も出ないので横山チームに連絡すると、ポイントAのアングラーが中くらいのレイクトラウトと小ぶりのニジマスを1匹ずつキャッチ&リリースしたそうです。

すでに日も高くなってきた時だったので、私もポイントAへ移動してショート・ツーハンド10番へオフショアで使ってきたS9相当で沈みの速い「ブルーウォーターエクスプレス」フライラインへ12lbフロロカーボンを直結して、ずるびき用に「ヘッドスタンド・スカルピン子」を結んだものを準備。ボートを流すコースを決めてから、ラインシステムをキャストして時間をかけて底まで沈めてから、パラシュートアンカーを利用してボートをドリフトさせつつ魚探反応を見つつボトムクローリングさせていきます。

スカルピン子は中禅寺湖や西表島でも実績があるフライなので、やる気のある魚がいればアタックすると思うのですが、魚影が見えたポイントに差し掛かっても反応はゼロで1周目は徒労に終わります。少し場所を移動してから、今度はバックフロートニンフに取り替えて、ラインはボトムクローリングさせているけどフライは50cmくらい底から浮いた状態でドリフトしていきますが、魚探には魚は映っているけどこれも全く反応なしで2周目終了。

すでに日が登ってしまったので、3周目をやるまでもなく障害物へ隠れるブラウントラウトを狙いに行きます。横山チームはシンキングで引っ張りたいそうなので、後で合流することにします。

桟橋打ち・・・国道側

遊覧船の営業時間になっているので注意しながら湖を横切って国道側の神社下の桟橋へ。岸沿いに回遊するトラウトが居着くことがあるポイントですが、水温が高い季節には釣ったことはありません。ボイルなどは全く無いので、シングルハンド8番タックルにフローティングラインがセットしてあるものにソフトハックルを結んで探ります。

桟橋のキワはまったく無反応なので、岸沿いに流れが出来ている所に近づけて、やる気のある魚を狙います。岸際にフライを入れて、流れをゆっくりとスイングさせていると流れの中に浮いてくる黒い大きな魚!ブラウンか?ボート自体も流されるのでポジションをキープするのが大変ですが、同じメソッドで流すとフライをスイングさせた下側で浮いてくるけどアタックしてきません。少ないチャンスを活かすためにティペットを延長してメンディングしながら深めに送り込んでいくと・・・「バフッ!」という大きな水音を立てて魚がジャンプ!

フライに反応したのではなく、スプークしてジャンプした魚の正体は・・・大きなコイでした。手漕ぎボートで流れに逆らって国道側のポイントを攻めるのは体力的にきついので、今度は一気に山側まで湖を横断します。

シェード打ち・・・山側

動力があれば八丁出島まで行きたい所ですが、とても無理なので歌ヶ浜駐車場前から本つがへゆっくりと移動しながら、セミフライをセットして岸際のブラウンを狙います。陸っぱりアングラーが入っていない場所を狙って、木の影や大きな岩のそばへフライを落とすと、何回かモコりますがくわえる魚は現れず。でもテレストリアルらしい黒い虫へライズはあるので、フォームビートルへ結び直して流していくとフライを突く魚はいますがくわえる魚はいません。

どうも稚魚サイズのホンマスかブラウンのようですが、これを狙っているのか、見えないテレストリアルを食べているのか、たまに大きな水音を立てている魚がいます。小さい方の魚へ合わせてもしょうがないので、ツーハンド6番タックルをスカンジS1/2へ組んであるものへオリーブ色のスイングリーチを結び、ボートを岸から35mくらいの距離へ付け直して船ごとドリフトさせながら、岸側に入れたストリーマーを大きくスイングさせていきます。

しかしベストな場所にはアングラーがウェーディングしているので、岸から50m以上離さないとならないルールに従い、邪魔にならないように移動しながら流すとなるとなかなか手間がかかります。イギリス大使館よりへ近づくと、岬のそばへアングラーたちが入っているので、大きく回避して大使館前の知る人ぞ知る、陸っぱりでは攻め切れない悪名高きポイントへ。ここは必ずブラウンが居着くのですが、シャローを回遊しているスプーキーな魚ばかりで、酷い時などは岸際30cmを背鰭を出して泳いできて、人がいると驚きもせずにそこだけ避けて泳ぎ去っていきます。

今回は岸からではなくボートからツーハンドで狙ってみることで、攻め切れなかった角度が攻めれるはず。浅い場所へストリーマーを入れてから自然に泳がせて誘う必要があるので、ウェイトのついていないキールに巻いたスイングリーチの中から、ワカサギカラーのものを選択してボートを近づけます。

実際に近づいてみると岬で変化した水流が方向を変えて流れているだけでなく、風が吹き始めていたのでボートを付けるのに苦労します。ドリフトコースを確認するために竿を出さずに観察していると、やはり稚魚が木陰に集まってもじっているところの近くで薄茶色の魚がヒラをうっています。大きさは30cmクラスのブラウンですが、貴重な魚なので狙い方を考えます。突き出した木の下の奥へ追い風でフライをターンオーバーさせて入れないとならないので、木に引っかけたらポイント荒れでゲームオーバーのリスクは高いですが、魚に気づかれない距離から十分に深いDループが作れるキャストができるので少し寝かせたDループでシュートしてシューティングラインへブレーキをかけてぴったりの場所へフライをターンオーバさせます。

着水してフライが馴染んだら見切られないようにすぐにリトリーブ開始ですが、ベストな角度でフライを泳がさないと反応さえありません。かろうじて追わせることができたブラウンは木陰から明るい場所へくるとすぐにUターン・・・。2回目も同じことをしますが、フライのすぐ後ろについて泳いできますが、ヒットへ持ち込めません。セミやドライワカサギでもよくあるパターンですが、魚の様子がよく見える場所でやっていると、いかに魚が見切っているかが分かります。ストリーマーでは食い切れないようなので、一旦ポイントを休ませてから、シングルハンドのセミフライも試します。こちらは全く無反応。ツーハンドに持ち替えて再びスイングリーチを引っ張ると同じことの繰り返し・・・。

そんな事を繰り返しているとキリが無いので、横山チームに合流するために連絡を入れて戻ることにします。向こうではカルロスさんがボートまで寄せたブラウントラウトをキャッチし損ねたそうです。深く流し込んでいてから、キャストし直そうとフライが表層までリトリーブしていたらヒットしたそう。午後はオカッパリをやりたいのでボートは返してしまって、お昼休憩したいそうなのでコタンの桟橋まで戻ることになりました。

陸っぱりタイム

桟橋で合流してボートを片付けてからコタンでランチタイム。私は運動のし過ぎなのか、お腹一杯だったので、コーヒーだけ楽しみます。イブニングはどうするのか二人に聞いたら、このまま中禅寺湖の眺めを楽しめるところでウェーディングしながら釣ってみるとのこと。

ミカさんは放流サイズのニジマスをキャッチ。

カルロスさんも20cmサイズを1匹キャッチして二人ともボウズ回避!

イブニング

この日の私は前日遅くまで仕事していて朝も早かったので、イブニング前にお気に入りの場所に移動して少しだけ寝ようと思ったら、かなり爆睡してしまいました。目が覚めたら日没まで1時間少ししか無いので、ウェーダーは履かず、ウェリントンブーツに足を突っ込んでシングルハンド8番タックルとフライベストを両手に掴んでポイントへ急いで降りて行きます。

昼寝前はルアーアングラーたちが入っていて、入れる場所が無かったのですが、足場のイマイチなところはガラガラに空いていたので、滑って転びそうになりつつイマージャーの釣りに備えてとりあえずCDCソラックスダンを結んで様子を見ます。2、3投してドライに出そうな雰囲気ではなく、第六感でユスリカ・ソフトハックル14番へ交換して水面直下狙いへ変更したらば、小さいマスがヒット!

しかしシングルハンド8番なのでマスは空を飛び後ろの茂みへ・・・。慌てて拾いにいったら、ネットの目よりも細いボディーの稚魚ニジマスなのですり抜けては手ですくい、なんとか水辺へ釣れて行って元気にリリース。

これが刺激となったのか、時合に入ったのか湖面では小さな黒い虫が出始めてディンプル・ライズが始まりました。このままソフトハックルで対応できそうなので、スギサカシェイクでシャカシャカしてドライフライにして水面を狙います。パシャ!と小さな魚が出ましたが、先ほどの稚魚マスと同じサイズでネットインする前にオートリリース。

イブニング・ハプニング

すると小さな魚のライズの周囲で大きな吸い込みライズが散発的に起きるようになりました。これまでよりも少し沖合にキャストしてゆっくりと水面下をリトリーブすると先ほどよりは上のサイズの小さいニジマスがヒット!と同時に50cm半ばくらいのブラウントラウトが突然その魚を丸呑みアタック!!

いきなりシングルハンド8番ロッドが弓なりとなって、私も驚いて次のアクションが頭に浮かびません。重みはロッドに乗って、激しく頭をふるブラウンのファイトが伝わってくるのですが、フッキングしているのはニジマスの方なので、ブラウンへフッキングが決められる状況じゃありません。そうこうしているとフッと軽くなり、ティペットが切れたかと思って諦めようとしたら、なんと根性のあるニジマスはピクピクくっついています!

餌になりそうになったというのにフライを口から離さない天晴れなニジマスをランディングしてみたら、稚魚放流のスチールヘッドの16cmくらいの魚でした。さすがスチールヘッド、ブラウンに飲み込まれていたというのにネットの中で元気いっぱい。リリースして食われたらかわいそうなので、少し離れたところでリリースしてあげました。

ベイトフィッシュとなりかけたレインボー、「ベイトボー」と命名

リリースした場所では大中カゲロウのイブニングハッチが始まっていたので、「ウキウキモンカゲニンフ」をアレンジしたパターンへ結び替えて様子をみると、稚魚ニジマスやブラウンとは違ったライズが出ています。「ガポン!」と力強くヒットしたのは意外にも小ぶりな20cm少しのニジマス。同じサイズをもう1匹釣ったところで日没でゲーム終了。

まとめ

久々に自分でセッティングするボートゲームだったのですが、読みが外れただけでなく旧式の魚探では湖底がイマイチわからないので、ラインをどう沈め込んでいくかがシビアなフライフィッシングの場合、湖底のマッピング機能がついている魚探が必要だと思いました。またブラウントラウトに対してですが、イブニングで16cmサイズのニジマス稚魚を狙ってくるのだから、思いきって大きいニジマスカラーのスイングリーチを使っても良いかもしれません。

キャッチできた魚は小さなニジマスだけでしたが、ハイシーズンにウェーディングしてやる釣りとは別の攻め方のヒントがもらえたので今後の釣りに活用しようと思います。

タックル情報

ツーハンド10番タックル

  • フライ:スカルピン子6番
  • ティペット:Seaguar Ace フロロカーボン3号
  • フライライン :Scientific Angler Bluewater Express 550GR
  • フライリール: Ross Momentum 4
  • フライロッド:G.Loomis Cross Current 11’3″ 10番

シングルハンド8番タックル

  • フライ:セミフライ6番、フォームビートル10番、ユスリカ・ソフトハックル14番
  • ティペット:Seaguar Ace フロロカーボン2号、1号
  • フライライン : RIO Bonefish WF8F
  • フライリール: Nautius X Lmax
  • フライロッド:R.L. Winston Boron II-MX 9’0" 8番

ツーハンド6番タックル

  • フライ:スイングリーチ5cm
  • ティペット:Seaguar Ace フロロカーボン2号
  • ポリリーダー:Airflo Trout ポリリーダー インタミ
  • スカンジヘッド:Scientific Anglers Atlantic Salmon S1/2
  • ランニングライン:Ken Cube EXシューティングライン ホバー
  • フライリール: Hardy Ultralite 6000DD
  • フライロッド:Beulah Platinum Spey 12’6″ 6番