北海道ツアー9日目:釧路 – 飽別川/阿寒川「ビッグ・レインボー」
フィッシングだけでなく様々なレジャースポットとして有名な阿寒国立公園。阿寒湖およびC&R区間が設置されている阿寒川上流域では、現地の漁協によって何年にも渡りニジマス成魚がたくさん放流されてきています。阿寒湖から流れ出して釧路の町の西で太平洋へ注ぐ阿寒川の流域は温泉が豊富で、森林帯に沿って流れるため栄養にも恵まれているので、野生化したニジマスも本流と支流で繁殖しています。しかし良く言われるのは、アベレージ20-30cmで、40cmクラスが大きい魚で、稀に50cmオーバーもいますが、キープする人に抜かれるので滅多に見かけないというのが通説です。
この日の狙いはOPST-FMLの仲野さんのアドバイスで、飽別川と呼ばれる阿寒川中流をツーハンド・タックルのスイングの釣りで大型のワイルドレインボーに出会えるか運試し。ダメだったら挽回戦は上流C&R区間をシングルハンド・タックルに同じフライで大型のニジマスだけ狙って釣り、午後2時半タイムリミットで妻と合流する釧路市内へ向けて出発するプランです。
ワイルドレインボー大物縛りの運試し
朝もやの中、道の駅「阿寒丹頂の里」を出発してチェックしておいた場所へ向かいます。岩まじりの砂利底の区間を1-2kmやってみて、厳しければ入り直して岩盤の区間を1kmやってみるルートプランです。
最初の区間へ到着してから速やかに橋の上から川の具合を確認したらば良さそうな場所なので、続いてドローンでルート確認および人間&野生動物の先行者を事前チェックします。水量がたっぷりとあって途中アプローチに難がある所はありますが、同じ左岸を釣り下ることで、2kmは攻められます。
ツーハンド6番をスカジット&フロートティップでセットし終わって川へ出てみたら、いつの間に入っていたのか対岸に先行者の方が・・・。ドローンの上空偵察といっても木陰の車や藪を歩く人の姿は見えませんので、車や生物の熱源を撮影できるサーマルカメラでも搭載していないと先行者チェックにはあまり役に立たないかもしれません。
対岸の方の釣り支度を見ていたところ、延べ竿の餌釣りなので安心しました。餌釣りの場合、一箇所を重点的に釣っていくので、ルアーやフライのようにウェーディングしながら釣り下らないので、軽く挨拶してから50mくらい下流からスタートします。
なかなか太い流れなのでシンクティップを使おうと思ってベストのポケットを探しますが・・・・無い・・・。なんと先日の尺別川河口で転んだ時にそのワレットも無くしていたのでしょう・・・。こうなってはフライの自重が頼りですし、どのみち今日は大物縛りで釣るのでイントルーダーを結んでスイングしていきます。
2時間ほど下っていくと浅く流れが緩い場所になってしまいましたが、アタリもチェイスも全くなし・・・。魚がいるのは確実ですがアグレッシブなフライには出ないのかもしれません。
少し移動して岩盤混じりの区間もやってみましたが、えぐれて深い1番ポイントを丁寧にセットアップして深い場所をスイングさせたら「ガツン」とニジマスのアタリ!ドキドキしましたが、ランディング前にバラしてしまったのは30cmあるかないかのレインボー。2番手以降のポイントを流していきますが、さっきよりも小さめのアタリは取れますが、メンディングしてからスイングさせても「ココン」という軽い感触だけでうまくフッキングしません。
食い気ではなく、好奇心や闘争心を誘うイントルーダーなので、ナワバリ意識が強い個体やカジカを積極的に襲うような大きい個体だけが反応しますが、ちょっとアグレッシブ過ぎたようです。でもそれが狙いなのであきらめて上がります。
阿寒川C&R区間
次に何年も前にルアーで釣りに行った阿寒川C&R区間へ大きく移動します。白糠の道の駅で一緒にとうもろこしを食べたおじさんが、「ホテルの下からスタートすると大きいのばっかいるよ!」と教えてくれたので、「ラビスタ阿寒」という温泉ホテルに併設された釣り人専用駐車場へ車を停めてから、どこで釣り券を買えば良いのか、駐車場へ戻ってくるアングラーに聞きましたが、みなさん阿寒湖で入漁券を買って朝釣ってからこちらへ来ているので、そこまでわざわざ行かないとならないのか・・・と思って困っていたら、川の様子だけ見て屈斜路湖へ行くという若い方が「少し待っていれば巡回している監視員の方が回ってくるから、その方から買えば大丈夫ですよ」と教えてくれたのでそうすることにしました。
シングルハンド6番タックルをいつものスカジット&フロートティップへセットして、早朝使っていたイントルーダーをそのまま結びます。規模的には渓流なので、距離感や流し方の練習をしながら待っていると、大きなベアスプレーを腰にさしてノルディックウォーキングで川を降りてくる監視員の方が来てくださいました。現場売りだから手数料込みで2倍くらいかなーと思っていたら、普通に日券1,500円で大感謝です!
スタートで時間がかかってしまったので、後から来られたアングラーの方に先へ入られてしまいましたが、フライタックルなので一安心。フライフィッシングのアングラーであれば、99%はドライフライの釣り上がりなので、私は間を空けて、彼が流さない深場の大物縛りで釣り上がります。
何箇所か流しますが、小さいニジマスはドライフライで退けてもらっているので、チェイスしてくるのは50cmオーバーばかり!ワイルドレインボーの大物こそ狙えませんでしたが、ここでは狙いぴったりです。ただ、コンパクトなスペースでスイングさせて誘わないとならないので、うまくフッキングせず2匹バラしてしまいました。
ワイルドじゃないけど・・・
ちょうど大きな岩が入っていて木陰になっている太い流れがありましたが、先行者の方はそこは飛ばして先を釣っているのでしつこく流すと大きな影が底から浮いてきますが、今までの50cmクラスとは比べ物にならない魚影・・・。一旦手を止めて慎重にイントルーダーを通すコースを決めて流れへ入れていくと・・・「ドスン!」という根掛かりのような手応えと共に、強烈なエラ洗い!60cmは軽く超える大きいニジマスです。
最初は身構えましたが、湖や本流の大場所みたいに縦横無尽に走られるわけではないし、このシングルハンド6番はシーバスや野鯉はもちろん、トレバリーやコロソマを釣ってきたタフ仕様。2回突っ込まれましたが、手早く岸に寄せられました。ネットにはとても収まらないので流れの緩い浅場へランディング。何度もリリースされているし養殖池から養殖池をネットで掬われてきたので完全に人に慣れています。
成魚放流なので頭は丸いニジマスですが、立派な体格です!ドナルドソンでしょうか?なるはやでリリースしてあげたかったので、ロッドをメジャー代わりにしてロッドのバットと魚の尾びれを合わせておいて、魚の大きさのところで粘土インジケーターをロッドへ練りつけてサイズ取りして即リリース。メジャーへ寸法を移し替えたらジャスト70cm!でかい!
しかし残念ながら以前イギリスの管理釣り場で釣ったメタボでスローなニジマスとタイ記録でした。でも、こちらは天然の景観の川を泳ぐ元気なニジマスです。嬉しさは10倍以上!
この後も同じ要領で60cmサイズと50cmサイズを1匹ずつ追加しましたが、3匹のうちで一番ファイトしたのは50cmクラスのこの魚。危うく一つ下のポケットへ逃げられそうでハラハラしました。なのでワイルドレインボーも50cmを目標にすることにしました。こんな簡単に出会えないだろうけど・・・。
川でランチタイム足湯
阿寒川には天然温泉が所々湧き出していて、ニジマスもうじゃうじゃいるし、さながら釣り人のパラダイス。午前いっぱいの釣りでウェーディング疲れしたので、ウェーダーを脱いで裸足になって、チーズとクラッカーのランチを頬張りながら足湯タイム。そのまま寝てしまいそうな最高のリフレッシュでした。ちょうど午後2時だったので、少し早めに上がって釧路市内へ向かいます。
あの聖地に到着
早く釧路市内に到着したかった理由はこれ。道東、北海道随一、いや日本有数のタックルショップ「釧路ランカーズ」でのお買い物です。アメリカのタックルショップ級に大きい看板で店内へ入る前から本気が伝わるというものです。
海サクラ中にロストしてしまったシンクティップやポリリーダー、気がついたらフロータントも流されていたので(環境破壊だ・・・)、車をできるだけ近くへ停めて、装備を確認しながら買い物かごへ入れていきます。入り口から怒涛の品揃えに思わず声が出てしまい、ニコニコ見ているお店の方に断って少し写真も撮らせていただきました。
ドアに入ってすぐから、いきなり中根さんの「Salty Flies」がカウンターパンチ!驚くのはまだ早く、海外のソルトフライパターンブック、レディントンや天龍のロッドが無造作に置かれてお出迎えです!「な、なんですか!この店は博物館???」と思わず声に出してしまったら、店員さんが嬉しそうな笑みで、こんな挙動不審な中年男を暖かく迎えてくれます。
ストックが少なくなったフライフックを探そうとすると・・・「Sawada」「Partridge」「Ahrex」が並んでいるだけではなく、イントルーダーに使う「Owner」や滅多に見ないがまかつの4Lフックとか・・・嘘でしょ???あまりの品揃えに頭はパニック。
フロータントのコーナーへ行くと、これも腰を抜かすほどのラインナップ!!メジャーどこはもちろん、杉坂さんのフロータント、最近見なくなったソフトシンカーなんて当たり前で、Twistonsの板オモリまで!!!ちょっと、ちょっと、日本どころかイギリスやアメリカのショップだってここまで揃っているとこみたことないっすよ???
釧路ランカーズはこれでもフライフィッシング用品の方が「少ない」のですが、こんな超ハイパーなショップは唯一無二!あえて例えるならば「タックルショップ界のスミソニアン」。百聞は一見にしかず、年末年始以外は年中無休という働き者集団のショップで道東のアングラーというアングラーが集まる作戦本部でもあります。道東を釣る時は、必ずここへ立ち寄ることを強くオススメします。
肝心のお買い物の方は、シニアスタッフの方から「必要な物が分からなくなったら、欲しいもの全部買うのが正解です!」という恐ろしい誘惑を受けつつ、RIOの3D MOWは無かったので、とりあえずがっつり沈めるS4とS6のMOWを調達。TFFCCメンバーのHiromikiさんのアドバイスでは、今後の大場所ではテクニカルなスイングも求められるようなので、より種類が豊富で選べるOPST版の3D、 Commando Tipの12フィート、132グレイン(T14でなくT11がベース)S2/3もゲットします。
大遅刻で嫁さんに怒られると思ったら?
集合場所の「ラビスタ釧路川」には30分以上遅刻・・・。妻から厳しく怒られると思ったら・・・あれ?全然気にしていない様子。聞いてみたら、私が聞き間違えていただけで、飛行機は3時間以上早いスケジュールで到着していて、すでに「勝手盛り丼」やフィッシャーマンズワーフ、有名ドラマや映画のロケ地や博物館を見てきたとのこと。こちらも超ハイパーな行動力でびっくり!
私たち夫婦はお腹が空くと機嫌が悪くなるのでホテルへチェックイン済ませてから、お酒が飲めるようにキャンパーバンと妻のレンタカーは置いてきてタクシーでお目当ての「なごやか亭」へGo!
回転寿司店にも関わらず、リーズナブルな価格設定で北海道の海の幸が満喫できます。食べることに夢中で、ビール一杯ずつ飲んだだけ。これなら飲まずにレンタカーで行けば良かったかも。
釧路の夜・・・
ホテルまでは徒歩で散策しながら戻り、食後のコーヒーを楽しんだ後は、東京じゃ新型コロナでとても無理だから、釧路の夜を久々に妻とデートで飲みに行こうと誘ったら、「朝早いからさっさと寝るのでダメ!いつも一人で冒険行っているんだから、今回は私も朝から一人で自由にレンタカーでドライブする!」と湖畔のバンガローまで予約を入れていて完全にふられちゃいました・・・。
テイクアウトしたコーヒー一杯だけは付き合ってとお願いして、釧路川の河口のライトアップされた幣舞橋そばの公園へ。
明日の予定にソワソワしている妻は心ここにあらず・・・美川憲一の「釧路の夜」がタイミング良く流れます・・・。いいね、演歌って・・・。
タックル情報
ツーハンド6番タックル
- フライ:イントルーダー
- ティペット:Seaguar Ace フロロカーボン2号
- ティップ:自作フロートティップ10フィート(30lbランニングラインからカット)
- スカジットヘッド:OPST Commando Head 300GR
- ランニングライン: 古いエアロシューター(多分20lb)
- リール:Nautilus X L-Max
- ロッド:Beulah Platinum Spey 12’6″ 6番
シングルハンド6番タックル
- フライ:イントルーダー
- ティペット:Seaguar Ace フロロカーボン2号
- ティップ:自作フロートティップ8フィート(30lbランニングラインからカット)
- スカジットヘッド:OPST Commando Head 225GR
- ランニングライン: Ken Cube EXシューティングライン フローティング(半分でカット)
- リール:Tibor Light Backcountry CL
- ロッド:R.L. Winston Boron II-MX 906