キラーバグ(別名:謎肉バグ、ホラーバグ)
マッチザハッチの釣りに使われる超・有名ニンフ「フェザントテールニンフ」を産み出した、イングランド・エイヴォン川の有名リバーキーパーのフランク・ソーヤー。1年365日ほとんどを川で過ごすために河畔のロッジ(ちなみに現在はミュージシャンのスティングが所有)まで建てた筋金入りのマッチザハッチャーの彼ですが、イギリス各地からやってくるフライフィッシャーたちのドライフライを使いたがる要望に答えつつも、タフなコンディションの日や初心者アングラーをサポートしながら「釣って帰って欲しい」という願いから作り出された必釣ニンフが「キラーバグ」です。100年以上たった遠い海を隔てた日本でも困った時に助かる必須フライです。
何故釣れる?キラーバグ
ソーヤーが行っていたニンフィングは余計なマテリアルを使わず狙っている魚のレンジまでスッとニンフを沈める=サンクン・ニンフという方法。これは現代ではタングステン・スロットビーズをジグフックにセットしたジグニンフの釣り(ユーロニンフもその一つ)に受け継がれています。統計的に80%以上の魚がボトム近くで餌を取るので、そのレンジを直撃するフライが釣れるのは当然のことといえます。
巻くのは非常に簡単で、ソーヤーのニンフの特徴である「ワイヤーをスレッド代わり」に巻くだけ。しかしシンプルなフライだけにマテリアルの性能が全てであり、当時世界の繊維業の最先端を行っていたイギリス全土からいろんな素材を取り寄せた結果、試行錯誤を重ねた彼が満足したのがウール製造でリードを取っていたトーマス・チャドウィック&サンズ社(1864年創業)が製造していた「チャドウィック477」でした。
このチャドウィック477を最も忠実に再現したと言われるのが、イギリス・アップエイヴォン社の「チャドウィック 」ですが、肉眼で見た状態でも濡れると非常にリアルであることが分かりますが、UVライトを当ててみると・・・。
そう・・・。紡績業では糸の仕上がりの色を揃えるためにウールやシルクを漂白してから染色工程に進みます。この漂白剤には蛍光効果があり、その効果が残った糸を組み合わせて織られたウールがソーヤーに選ばれた理由は、ずばりUV効果です。イギリス人たちはすでに19世紀には経験則でこれを知っていたのでした。まさに釣りにおける「UV1.0」だったのです。
ワンポイント
本場イギリス、アップエイヴォン社のウールを使い、ワイヤーはボビンにセットしておく
必要なマテリアルは「アップエイヴォン チャドウィックス 477」、他社が真似しているものは見た目だけ真似て効果がイマイチです。0.2mmのラウンドワイヤーは切れづらいセラミックボビンにセットしておきます。スプール送りのスムースさとワイヤーのしなやかさを兼ね備えたワイヤーが便利です。
瞬間接着材をたらしておく
ワイヤーはフックシャンクの上で滑ってしまうので、瞬間接着剤をたらしておきます。
「ワイヤースレッド」でウールを巻き留めながらアンダーボディを作る
まずはワイヤーをフック中央、ソラックスの部分だけに巻きつけたら、ウールをソラックスの長さだけ余して巻き留めます。
ソラックスをワイヤーで形成したら、テールまでウールを巻き留め、折り返してヘッドまで進めます。
ウールを隙間なく巻いてオーバーボディ
アンダーボディができたらば、ウールを隙間なくピッチリとヘッドまで巻いていき、最後はワイヤーで仮止めしたら、ウィップフィニッシュしておしまい。もちろん作りたいテーパーに合わせてテール側でフィニッシュしても大丈夫です。
マテリアル
オリジナルの#16-18サイズに巻く時はウールを解いて細くしてください。
フック:ドヒークHDN302 #8〜12、がまかつR18
スレッド&ワイヤー:ラウンドワイヤー0.2mm
ボディ:アップエイヴォン「チャドウィックス477」またはテックストリーム「バグウール」のラスティピンク
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使い方
魚が沈んでいるシチュエーションで使います。下巻きのワイヤーがウェイトになっていますので、魚が着いている場所を予測して上流へリードしてキャストしたらば、ナチュラルドリフトで送り込んでいきます。ルースニングでもアウトリガーでも使えます。
暗い時間はスタンダードのキラーバグ、明るい時間はホラーバグが効きます。
サービスショット(閲覧注意)
「謎肉バグ」とも呼ばれていますが、この写真をご覧いただくと理解いただけると思います。
バリエーション「ホラーバグ」
がまかつR18の絶妙なデザインとセットになるとホラー映画に出てきそうなルックスになるので、誰が名付けたか「ホラーバグ」と呼ばれています。
戦績
- ニジマス
- ブラウントラウト
- ニッコウイワナ、エゾイワナ、ブルックトラウト