FIPS-Mouche ルール: フライの規定について&ビーズサイズチャート
(2022年8月更新)
FIPS-Moucheルールに準拠するスコアリング・セッションで使うことが許されているフライには、川のリバーフィッシングで使われる「ジグニンフ」から湖のバンクフィッシング(岸釣り)やボートフィッシングでで使われる「ストリーマー」まで、様々なものがあります。一般的に使われているフライパターンであれば、ほとんどは規定をクリアしますが、魚をできる限り傷つけずリリースするためのフックの仕様や、決められた範囲内でのフライの表現で対等に競えるように、フライドレッシングの規定などが定められています。
システムの中で使えるフライの個数上限・・・3個まで
競技者が同じタックルにセットできるフライは3個まで。フライ同士は50cm以上離れて固定されていること(遊動式は禁止)が必要となります。
日本国内の自然釣り場の場合、ドロッパーが禁止されている所はあまりありませんが、管理釣り場や漁協管理河川の場合はドロッパー禁止が多くみられます。このためシングルフライを使うケースが多くなると思いますが、「ドロッパーではなくシングルフライのみを使う場合は競技開催者のルールに従うこと」とありますので、TFFCC独自ルールでは、飛び入り参加でのスコアリングを可能にするため、シングルフライである限りは「バーブレス」のみを規定としています。
フライフック・・・リアル・バーブレス、最長40mm以内、シングルフック
フックの全長(アイからベンドまで)は最大40mm以内でなければならない。取り付けるウェイトの最長サイズも同じ長さに収まること、と決められています。またシングルフックかつ初めからバーブレスとして製造されてあることが必要となります。
コントローラー(審査員)は、バーブチェックにおいて絹のハンカチを使い、少しでも引っかかりがあればスコアリング・セッションへの参加を認めません。これはバーブがついているものをペンチで潰すレベルではクリアできないので、初めからバーブレスとして製造されているフックが必要となります。
また、コンペティション用として販売されているフックは制限時間内でスコアを追求するプレッシャーと戦う世界選手権の選手たちからの要求に見合うように設計されています。粘り、硬さ、貫通力、ホールド力といったフックの基本性能を満たすためには、バーブが無いことがデザインの幅を広げることにもなっています。さらに「太めのティペットでも通しやすい」と言う競技の現場でフライ交換の速度を維持するための切実な性能もクリアーされています。
ボディの太さ制限・・・フック全長に応じて5mm/3mm
使用するフックの全長が20mm以下の場合、ボディの太さは5mm以下、全長20mm以上40mm以内の場合はボディの太さは3mm以下となるように決められています。これは規定のゲージを通して通過できればOKです。
フライ・ドレッシングの規定
ビーズ及びウェイト
1つのビーズを除く全てのウェイト(ビーズ、ワイヤー、板オモリなど)は、フライフックの全長の中に収まっていなければならず(そうでない場合は、フライ以外にウェイトを使ったとしてタックル規定に違反)、これらは完全にマテリアルで覆われていなければなりません。また、上から塗装しただけのものはドレッシングとは見做されません。
ビーズの直径は4mm以下までと決められていて、検定ゲージについている4mmの穴を通らなければ使用できなくなります。このため選手たちは余裕で安全圏でいられる3.8mmまでのサイズでメインで使うビーズヘッド・パターンを用意しています。
抽出成形されたボディの禁止
型や3Dプリンターを使って成形されたボディは禁止(ワーム、エッグ、ベイトフィッシュなど)されています。
ラバーレッグ
ワーム禁止と関連しますが、ラバーのような円柱形のマテリアルを使用する場合、その長さがフック全長からはみ出してはいけませんが、直径0.53mm以内のレッグ用マテリアルにはこの規定は適用されません。一般的にラバーレッグとして売られている物であれば、大方クリアーできます。
集魚材や発光体の禁止
集魚効果のある化学物質(フォーミュラなど)を付着させたり、直接発光する素材を取り付けることは禁止されています。反射素材は使えます。
ビーズとフックの適合チャート
一般的な目安です。
競技用 | クラス | ビーズの直径 | フックサイズ目安 |
○ | Micro | 1.5mm | #22 |
○ | Micro | 2.0mm | #20-22 |
○ | S | 2.3mm | #18-20 |
○ | S | 2.5mm | #16-18 |
○ | M | 2.8mm | #14-16 |
○ | M | 3.0mm | #14-16 |
○ | ML | 3.3mm | #12-16 |
○ | ML | 3.5mm | #10-12 |
○ | L | 3.8mm | #8-10 |
△ | L | 4.0mm | #6-8 |
まとめと続き
規定が無い状態からスタートしているFIPS-Moucheルールですが、「魚に優しい釣り環境」のためにリアル・バーブレスが採用され、「できる限りフィッシングスキルを競うようにする」ためにサイズ規定が導入され、「フライフィッシングらしさ」の一定のコンセンサスを維持するために、ドレッシング規定があります。
一つのシステムにフライを3つまで使える点などは、むしろ釣りやすさを拡張してくれることですので、これは別途「タックルとシステム」でカバーします。
この記事はFIPS-Moucheルールの改訂や国内コンペティション、スコアリングの実際に合わせて加筆・修正します。
コンペティション・フライフィッシング,タイングツール&マテリアル,フライとタイング,フライフィッシングについて,フライフック・管付フック,ランディング、キャッチ&リリース,リーダー・ティペット・リグ
Posted by Neversink
関連記事
ドライフライのすすめ: リバーフィッシング編 – ショットガン、ライズ撃ち、マッチ・ザ・ハッチ
魚を釣るだけならば沈めて使うウェットフライやニンフだけで効率良く探り釣りをするこ ...
クイルボディー:ストリップド ピーコックハールの作り方
フライのボディを魚へ強くアピールするよう「虫っぽく」する方法として、羽根の軸を使 ...
東京近辺の渓流ハッチチャート
英語版で提供してきた、東京近辺の渓流のハッチチャートの日本語版です。年によって変 ...
ジャメリカン (マラブー ストリーマー)
1990年代後半から2000年代にかけて、ニューヨークと東京の間を行き来しながら ...
GoToマテリアル!EP1「UVでアレンジ」
久しぶりにウイング・ウェットフライ を巻こうかなーということで、元々そこまで真面 ...