東京都のフライフィッシング&ルアーフィッシングに関わる入漁権と規則について
東京都の行政区におけるスポーツフィッシングに関わる法令や規則などの情報をまとめてみました。
フライフィッシングやルアーフィッシングを含む、レクリエーション目的で釣りを行う行為は「遊漁」と定められていて、漁業の一つとして認められています。釣り人は権利を持つと同時に責任を持つことになりますので、意識して行動して子供から老人までみんなが釣りを楽しめるよう心がけましょう。
またみんなが釣った魚をキープしたり、魚たちの繁殖を阻害すると、魚がいなくなってしまいます。東京都に限らず全国にある「漁協」は、都道府県から認可されると同時に資源としての魚を育成する義務を負っています。その運営には費用ならず多大な努力が必要となりますので、漁協の運営が持続できるように「遊漁料」が設定されている場合は必ず意識して支払うように心がけてください。
リールによる釣りと手竿による釣り
フライフィッシングやルアーフィッシングにおける仕掛けを投げ入れる=キャストする行為には、周囲の通行人や動物に怪我をさせる危険が伴います。またリールを使う釣りは比較的遠距離を釣るために、擬似餌や仕掛け、長い釣り糸をロストしたり周囲の設備を破損させる可能性もあります。このためリールのついた手竿による釣りとそうでない手竿による釣りは規則上分けられており、場合によっては入漁料にも違いが出てくることがあります。
自治体及び漁協が管理している海岸や河川、親水公園においては、「リールを使った釣り」が適用されますのでルールを遵守してください。「投げ釣り禁止」や「リールの釣り禁止」の場合はフライフィッシングもルアーフィッシングと同じく禁止となります。リールを使わないテンカラはこの対象となりません。
漁業調整規則:禁漁(採捕禁止)とリリース規則
東京都の漁業規則は海洋のための「東京都漁業調整規則」と内水面のための「東京都内水面漁業規則」に分かれています。東京都ではさけますの孵化事業が行われていませんが、国の規則である「水産資源保護法」で内水面におけるサケの採捕は禁止されています。
東京都はサケの孵化場が設定されていないので遡上がありませんが、一般的にサケの育成が行われている河川が流れ出す海岸では「河口中心部から左右沖500mを採捕禁止」といった規制区域が設けられています。
海から遡上してくるサクラマスに関する規則はありませんが、ヤマメに関する禁漁期が設定されていますので遵守する必要があります。
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海の漁業権
アワビやサザエなどの貝類やワカメなどの海藻類などの水面に定着する魚介類の採取が禁止されていますが、釣りの対象となる魚類は移動できるため、漁業権が設定されていません。しかし、釣り人の行為による漁具の破損などが懸念される地域によっては地元の漁協から釣り禁止となっている場合があるので、尊重する必要があります。
海のトローリングは登録制
海におけるトローリングは登録制になっています。それ以外は全て規則違反となります。フライタックルを使ったハーリングも規制対象となりますのでご注意ください。
内水面の漁業権
海岸よりも陸地に入り込んだ河川及び湖沼のことを「内水面」と呼びます。日本の各都道府県において、内水面における釣りをする場合は、漁業権が設定されていないフィールドと知事より認定された漁業協同組合(漁協)が漁業権を持っているフィールドに分かれます。都内で漁業権が設定されている河川は「内共○号」と番号で管理されており、各漁協は担当河川の魚の育成や環境の整備などに資金を投じて、みんなが釣りが楽しめるように管理しています。これをサポートするために、遊漁を行う場合は、それぞれを管轄する漁協へ入漁料を納める必要があります。
所定の入漁料は、その日ごとに発行される「日券」と年間購入する「年券」に分かれていますが、旗のぼりを立てている商店から購入できたり、コンビニエンスストアやオンライン購入できたり、釣具店で購入できたりします。また、事前に購入する時間がなかったり場所がわからない場合は「現場売り」と呼んで、釣り場を巡回する監視員から購入することができます。
多摩川:河口(羽田空港より上)- ガス橋(大田区下丸子)
河口から「内共14号」「内共13号」と呼ばれる区間で、魚類には漁業権が設定されていません。
荒川および分流・隅田川と支流・中川
荒川には「内共7号」と中川には「内共8号」と呼ばれる区間がありますが、魚類には漁業権が設定されていません。
多摩川漁協と管理セクション
ガス橋から拝島橋までの長大な区間および各支流は多摩川漁協の入漁券で釣ることができます。
区分 | 1日券 | 年券 |
雑魚釣り | 前売り・現場売り 500円 | 2,500円 |
雑魚釣り+アユ+コイ | 前売り・現場売り 1,000円 | 5,000円 |
セクション | 説明 |
多摩川本流:ガス橋 – 多摩川原橋(調布市鶴川街道) | 「内共12号」と呼ばれる区間で、東京側は「多摩川漁協」神奈川側は「川崎河川漁協」が管理しています |
多摩川本流:多摩川原橋 – 拝島橋、およびこのエリアへ流入する支流、浅川は長沼橋まで | 「内共3号」と呼ばれる区間で、東京は多摩川漁協が管理しています。内共12号と同じルールになります。 |
長沼橋から上流の浅川全域 | 「内共5号」と呼ばれる区間で、東京は多摩川漁協が代表管理しています。内共12号と同じルールになります。北浅川でトラウトフィッシングを行う場合は恩方漁協の入漁券が必要となります |
恩方漁協と管理セクション
区分 | 対象魚と禁漁期間 | 一日券 | 年券 |
渓流釣り | ヤマメ・イワナ: 10/1 – 2/28 (月末) ニジマス:1/1 – 2/28 (月末) カジカ:1/1-4/30 ウグイ:禁漁期間なし | 1,000円 (川売り 1,300円) 解禁日3,000円、放流日1,300円 | 4,500円 |
秋川漁協と管理セクション
「内共2号」と呼ばれ、多摩川本流の一部、秋川全域、平井川においてトラウトが放流されています。
セクション | 説明 |
多摩川本流:多摩川原橋(調布市鶴川街道)- 拝島橋(昭島市) | |
平井橋までの平井川 | |
秋川全域 |
区分 | 対象魚と禁漁期間 | 一日券 | 年券 |
鱒・ヤマメ | 上流地区:沢井橋より上流 ヤマメ・イワナ・ニジマス:10/1 – 2/28 (月末) 支流の三頭沢および赤井沢は永年禁漁 | 2,000円 (川売り 4,000円) | 6,000円 |
中流地区:山田堰から沢井橋 10/1 – 3月第一日曜日 | |||
下流地区:秋川山田堰から下流、平井側平井橋から下流 10/1 – 3月第二日曜日 | |||
雑魚遊漁 | ウグイ、カワムツ、オイカワ、コイなど(禁漁期間なし) | 500円 (川売り 1,000円) | 2,500円 |
奥多摩漁協と管理セクション
多摩川本流・羽村堰から小河内ダム下500mまでの奥多摩川と各支流、荒川水系入間川の支流である成木川へトラウトが放流されています。
セクション | 説明 |
多摩川本流:羽村堰 – 小河内ダム下500m | 「内共1号」と呼ばれる区間で、トラウト対象の渓流釣りと雑魚釣りに漁業権が設定されています。 |
成木川(荒川水系入間川支流)および北小曽木川 | 「内共4号」と呼ばれる区間で、内共1号と同じルールです。末成橋より上流が対象となります。 |
区分 | 対象魚と禁漁期間 | 一日券 | 年券 |
多摩川・渓流釣り | ヤマメ・イワナ: 10/1 – 2/28 (月末) ニジマス:1/1 – 2/28 (月末) 支流はヤマメ・イワナと同じ | 2,000円 (川売り 3,000円) | 6,000円 |
多摩川・雑魚遊漁 | ウグイ、カワムツ、オイカワ、コイなど(禁漁期間なし) | 500円 (川売り 1,000円) | 2,500円 |
成木川・渓流釣り | ヤマメ・イワナ: 10/1 – 3/21 ニジマス・雑魚:1/1 – 3/21 | 日券 1,500 円(現場売 2,000 円)、小学生以下無料 | 3,500円 |
奥多摩湖
漁業権が設定されていません。水源地なのでボートやフローター、ウェーディングは禁止されています。
奥多摩湖へ流れ込む支流
小河内漁協が管理している河川と山梨県の小菅漁協が管理するセクションに分かれています。
セクション | 説明 |
峰谷川 | 「内共9号」と呼ばれる区間です |
岫沢川 | 「内共10号」と呼ばれる区間です。 |
小袖川 | 「内共15号」と呼ばれる区間です。 |
区分 | 対象魚と禁漁期間 | 一日券 | 年券 |
渓流釣り | ヤマメ・イワナ: 10/1 – 2/28 (月末) ニジマス:1/1 – 2/28 (月末) 支流はヤマメ・イワナと同じ | 1,000円 (川売り 2,000円) | 4,000円 |
小菅川については小菅漁協管理となりますので、こちらをご覧ください。
東京東部漁協と管理セクション
セクション | 説明 |
新中川( | 「内共6号」と呼ばれる区間で、コイとフナに漁業権が設定されています。 |
江戸川 | 「内共11号」と呼ばれる区間で、コイとフナに漁業権が設定されています。 |
特定外来魚
特定外来魚に指定されている魚(ブラックバスやスモールマウスバス 、ブルーギルなど)のリリースについては、「特定外来魚法」に基づいて問題ありません。また東京都の規則では指定されていませんので、キャッチ&リリース、キャッチ&イートともに可能です。ただし神奈川県や埼玉県ではリリース禁止の県条例があります。