イトウ
和名:イトウ
英名: Sakhalin Taimen
学名:Hucho perryi
日本では北海道にのみ自然生息する、サケ科の魚の中では最大サイズになるイトウ。サケ科イトウ属の貴重な1種です。国内のサケ科では唯一本流でフル・サーモンおよびスティールヘッド向けのタックル&システムを使って狙えることもあり、北海道アングラーだけでなく、遠征アングラーたちからも垂涎の魚になっています。
早くから絶滅が危惧されてきた有名な魚種であること、ゲームフィッシングにおける人気も幸いし養殖が確立されたため、管理釣り場でも釣ることができるようになりました。写真の魚も埼玉県の管理釣り場「朝霞ガーデン」で筆者が釣った養殖魚の65cmサイズですが、野生環境でここまで育つのには7年近くもかかります。天敵もおらず餌が豊富な管理釣り場では早く成長します。飼育環境とはいえ、釣られると激しいファイトを見せ、ドルフィンジャンプやテイルウォークまでして戦い抜こうとします。野生のイトウが「川の狼」とも呼ばれる所以です。
原産地:北海道
氷河期に大陸と地続きだった日本の最北部では、大陸のアムールタイメンたちが生息域を広げてから氷河期が終わり、サハリン・樺太から北海道周辺にかけての地域が海で分断されてイトウが各地に残る形になりました。このため世界にいる5種類のイトウ属の中で、最も南に生息する日本およびロシア・サハリン州周辺のイトウのみが、豊富な餌や適水温を求めるため海へ降る習性を持っています。
北海道では釧路川が生息最南端、天塩川が最北端となります。イトウの産卵期は4-5月になるため河口以外の場所での釣りは自粛を求められています。北海道でのシーズンは5-6月もしくは海へ降る個体を狙う11-12月となります。夏から秋にかけては適水温の上流域へ分散しますが、若いヒグマが行動する地域と重なりますので徹底した対策が必要となります。
道北のイトウ
北海道の他の地域と違い、太古の昔からイトウが生息している地方であるため、本流絡みで絶対的な生息数と生息密度が高いのが道北のイトウです。最大サイズはメータークラスにもなり、対岸の極東ロシアにも仲間を持ち、本来アムール川からやってきた末裔たちであることを納得させる聖地となっています。
声間川
要・更新
天塩川
最も人気の本流イトウを狙うスタイルを楽しむのが天塩川です。重たい流れの中にピンポイントに潜むイトウへフライをアピールするため、スレたスティールヘッドを狙うのと同じシステムを使い、90cmサイズまで釣られていることを考慮して、ツーハンド9/10番タックルにスカジットのシステムでポイントに応じてシンクティップやフライの種類を使い分けることになります。
猿払川
要・更新
道東のイトウ
道東のイトウ生息地は豊な森林地帯かつ湿原となるため、見通しが非常に悪い中でしっかりとしたヒグマ対策が求められる環境となります。ゆっくりと湿原を流れる川と広い汽水域といった餌が豊富な環境であるためイトウが通年暮らしやすくなっています。
屈斜路湖・釧路川
屈斜路湖ではレイクトラウトと似たような生息スタイルでイトウたちがカケアガリへ回遊してきます。ところが岸際からカケアガリまでのシャローが非常に遠いため、アメマスシーズンの中で回遊待ちを狙うか、ボートやカヤックを使うスタイルとなります。
釧路川水域ではドリフトボートを使ったガイドフィッシングでシーズンピークにイトウを狙うことができますが、湿地全域に広がっているイトウたちは神出鬼没で、アメマスを狙う中からくじ引きという形になります。
小型のイトウは年間を通じて釧路川に居ますが、夏場は夜行性となり非常に狙いづらい状況になっています。
別寒辺牛川・厚岸湖
汽水湖である厚岸湖を河口にもつ別寒辺牛川では海から戻るシーズンに河口にアングラーたちが並ぶ環境となっていますが、湿原河川全域に広がって生息しています。
夏場は夜行性となり、また水温が高いためにファイトで酸欠になるリスクもあるため、自粛するべきでしょう。
風連川・風連湖のイトウ
汽水湖である風連湖を河口にもつ風連川もシーズンになるとアングラーがやってくる環境です。
人造湖のイトウ
野生の生息域での保護活動を推進するためもありますが、景観が美しい朱鞠内湖では放流だけでなくバーブレスフックが義務付けられているのでイトウを釣る人気フィールドとなっています。またリリースが中心となるため、メーターオーバーのイトウが狙えるゲーム性の高い釣りが楽しめます。
その他の地域のイトウ
北海道以外では絶滅してしまった野生のイトウですが、各地の管理釣り場に放流されています。ストリーマーの釣りとなりますので、ソルトウォーターの魚も顔負けなイトウのファイトにぜひ挑戦してみてください。