シングルハンド・スカジットという選択肢 – OPST Commando Head

2017/12/2 シングルハンド・スカジットという選択肢 – OPST Commando Head

 

目次

 

1. 肩の故障

昨年3月に自分の会社を立ち上げてからというもの、体を酷使することが続いていたため、首や肩まわりに今までに感じたことのない重たい疲れが残ることが多くなりました。そして今年の3月、横浜港でシングルハンド8番タックルを使ったシーバスゲームを楽しんでいる最中、ついに自分の右肩が限界を迎えてしまいました。

何の前触れもなく、突然フライロッドを振る右腕が思うように動かせなくなってしまったのです。それもフォワードキャストとバックキャストの時にロッドをストップさせる動作のタイミングで肩の力が抜けて動かない。貧乏性な私は、両腕を使ったキャストに切り替えて何とか「スズキ」サイズの魚を釣ってから体を休めましたが、メンバーのDavidに確認してもらったところ、肩を回す前と後ろの部分で何か痛みが発生しているようでした。

その後、整形外科で診療してもらった結果は、昔患った頚椎ヘルニアが再発したのと同時に、長年のパソコン姿勢のせいで、肩甲骨が正常な位置よりも前になってしまい、首・肩・腕を通る神経が狭いところで圧迫されるため、痛みの症状が出てしまっているとのこと・・・。色々と違う番手や長さで試してみたところ、9フィート以上の長さのロッドかつ4番以上の重さのフライラインの場合、わずか数投のオーバーヘッドで右肩がしびれてしまうことが判明。

今年は渓流のガイドや中禅寺湖をじっくりやると決めていた2017年シーズン・・・この先もフライフィッシングを続けるためには、何か対策が必要になりました。

2. ツーハンド&スカンジナビアン

高番手のシングルハンドを使う場面において、キャストの代替えだけを考慮すれば、両手で持って投げるツーハンドロッドやスイッチロッドを使うという手があります。私の場合、ちょうどBeulahの12フィート6インチ6番「Beulah Platinum Spey 12’6” 6wt 」 にスカンジヘッド「Rio Scandi 400 grain」 (ヘッド長が38フィートなので、ロッドの3倍)をセットしたタックルが組んでありましたので、これで海や湖、河口などは全てカバーできるはずです。このロッドはエド・ワードやジェリー・フレンチが愛用しているだけあり、シューティングヘッドを使った様々なスタイルのキャストの良いとこどりでデザインされていて、ほぼ左腕の力だけで楽にアンダーハンドでロングキャストすることができます。タイミングを飲み込めば、オーバヘッドキャストでの飛距離も問題なく出せます。また、6番ラインなので、ツーハンドとしては着水も静かなはずです。

早く釣りたいせっかちな私は、このタックルでRio やScientific Anglersの定番シューティングヘッドをベストに積み込んで解禁後の中禅寺湖へ向かいました。しかし簡単に岸から釣れた去年と変わってシビアになった中禅寺湖ですぐに大事なことに気づきました。朝の静かな湖面での小さなドリフターをついばんだり、回遊しながらハッチ&イマージャーに反応するマス達を狙う時には、6番でさえ(シングルハンド換算8番)着水のインパクトが大きく、右へ左へ神出鬼没の動きにも、ツーハンドの手返しの遅さでは、充分に素速くついていくことができないことが多かったのです。

また、肩が故障してからの私は必然的に無駄な動きやキャストができないので、以前よりも遥かに静かに釣りをするようになったらしく、ツーハンドの射程距離よりも、魚達がずっと岸よりへやってくるのです。図らずとも中禅寺湖を長く釣ってきた先輩たちと同じく、シングルハンドで組む必要があるという結論になりました。

3. シングルハンド&スカジット

市販のシングルハンド向けスペイヘッドの中には、右肩が故障して9フィート4番でさえロクに取り回しができない自分に使えるものがない・・・。そんなモヤモヤを抱いていた中、アメリカから仕事のために来日したアングラーを渓流ガイドした時に、彼が使う8フィート4番ロッドを試したら、「あれ」と思うほど普通に取り回しができたのです。たった1フィートが大きい差になるなんて・・。そこでひらめいたのは、ひょっとするとロッド先端から出ているヘッド部分のウェイトだけじゃなく、ガイドを通るラインの重量も限界値以下に抑えれば、スペイキャストだけじゃなく、オーバーヘッドも問題なくできかもしれないということです。

ロッドはR.L.Winston LTの8フィート9インチ3番がありましたので、これをベースに条件を書き出しました:

  1. シューティングヘッド – フォルスキャストする回数を最小限に抑えるだけのウェイトはありつつも、強すぎてドライフライが派手にオーバーターンしない程度のもの
  2. ショートベリー – 8フィートロッドでも無理なくアンカー調節やしっかりと水面をスイープできるもの
  3. ティップ交換対応 – このセットアップでいろいろな釣りへ対応したいので、ロングリーダーやシンクティップなど使い分けられる必要がある

 

こんなニッチな条件を満たすヘッドなんてある訳無いだろうなぁ・・・。そう思ったのはつかの間。偶然、ガイドしていた別のアメリカ人のアングラーがスチールヘッダーだったので、スカジットスタイルの様々な製品を展開する「OPST」というブランドが低番手シングルハンド用のスカジットヘッドを作っていることを教えてくれました。なんと、これまたBeulahロッドの愛用者であるエド・ワードが、「いかに楽にキャスト出来て実釣に役立つか」を突き詰めてデザインしたシューティングヘッド・システムだというじゃ無いですか!これは神様の思し召しに違いないと、早速ホームページをチェック。いけそうなシューティングヘッドの候補が見つかりました。「でもスカジットってスチールヘッド釣るシステムだよな・・・」なんて不安を持ちつつ、適合ラインを教えてもらうために、OPSTのBen Paulにメールで質問しました。釣りたい気持ちがはやり、「水面への反応がシビアなホンマスがメイン」だからとか、「充分な長さのリーダーシステムでドライフライをふわっと落とす必要がある」、など面倒臭い事まで書いてしまったのですが、さすがフィールドでの実践を重んじるリーダーの一人、すぐに的確なアドバイスを与えてくれました:

  • OPST Commando Headの150グレインでティップを取り替えるのがベストシナリオ
  • 想定しているドライフライのゲームにはAirfloのTroutポリリーダーの8ftか10ft
  • その先へ好きな長さのティペットを結ぶ

商品は渋谷サンスイに全部揃っているので、面識ある佐藤さんに突撃して、一通り買ってきました。

4. OPST Commando Headで組むシングルハンド・スカジット

 

エド・ワードが提唱する「Pure Skagit」とは、スカジットのシステムをツーハンドロッドによるスチールヘッドの釣りだけでなく、シングルハンドロッドを使った小さい河川やバス&ソルトウォーターまで視野に入れてコンパクト化し、いかに楽にフライフィッシングができるかを考えて開発されています。そんな彼がデザインしたシューティングヘッドなだけあり、Commando Headは低番手シングルハンドで使える150グレインから、ツーハンドで使う475グレインまで幅広く揃っています。私が買った150グレイン(シングルハンドの場合、9フィート6インチ以下、3番適合)は12フィートのショートベリー。ロッドに対して1.5倍もありません・・・。心配ですが、OPSTを信じてポリリーダーを繋ぎ、その先へ長いティペットを結べば、きちんとアンカーが効いて、9フィート未満のロッドでも問題なく取り回しできるはずです。

早速多摩川でテストしてみました。こちらはその時のビデオです。(字幕対応)

右肩の痛みのため、きっちりとアンカーをセットしたり、力を込めてロッドストップ&ホールを加えられない状態でも、安定して実釣に必要な50-60フィートが楽勝で投げられます。ほとんどウェーディングしていない状態かつ、うまく回せない右肩でこれです。すごい・・・。右肩が疲れたあとは左で投げてみましたが、これも思った以上に簡単。

慣れてきたあとは、右肩が動かせる範囲で頑張って取り回して、ティペットを長くしてちゃんとアンカーを打ってシングルホールを加えたらなんとか70フィートまで出ました。健康な肩の人で9フィートロッドを使い、アンカーをセットして、ダブルホールを加えたら文句なしにロングキャスト出来るでしょう。もちろん、シューティングラインは定番のKen Cube EXシューティングライン、ラインバスケットは使った方が楽です。

5. 中禅寺湖に実戦投入

これだけのシュート性能があればドライフライのターンオーバーも楽だろうし、着水も思った以上に静かです。このシステムを携えて中禅寺湖へ戻りました。ソフトハックルの場合はフライが濡れていても問題ないのでスカジットキャスト。ドライフライの場合、フライを濡らさないようにバックキャスト1回だけのオーバーヘッドキャストです。気になるオーバーヘッドですが、ガイドの先から出ているヘッド部分の重量しか右肩は仕事しなくていいので、ロッドストップした時もフルラインと比べて遥かに楽。ガイドの中を通るラインの重量もロッドと一緒に握り込んでいるんだから、その部分が細いシューティングラインに変わるだけで大きな違いになります。

さて、肝心なのは釣りの結果ですが・・・

何度もキャッチ&リリースされてナーバスになっているためか、ワカサギや稚魚の群れに混じり、ミッジばかりそっと吸い込んでいたニジマス。スカジットキャストでロングリーダーの先に結ばれた18番ソフトハックルをそっとプレゼンテーション。水面も荒らさず、着水も静か。ターンオーバー性能の良さのおかげでラインから充分に距離をおいた場所へフライを落とせたせいか、先に間違えてワカサギがヒットしてしまった後に、釣れてくれました。

障害物やかけ上がりにぴったりついて隠れていたブラウントラウト。オーバーヘッドで10番のドライフライをしっかりターンオーバーさせて、1歩ずつ探っていって出ました。たまに間違えてフライではなくフライラインの先端やリーダーの太い部分に出てしまうこともある魚ですので、ラインインパクトを抑えて、ドライフライをターンオーバーできるシステムは助かります。

そして今期の本命であったホンマス。霧のたちこめる朝、岸寄りを回遊しているナーバスな魚を見つけて、10番のドライフライを視界外からふわっと落として2度誘い、3度目にヒットしてくれました。

6. まとめ

「で、結局どうなの?」という方のために

  • フライロッド全長に対して比較的に短い長さのシューティングヘッドを使いスペイキャストする「マイクロ・スペイ」や「マイクロ・スカジット」理論の延長線上に、シングルハンドロッドがきちんと繋がった ← 垣根が無くなる快挙、さすがアメリカ人
  • しかもシングル低番手でできる! ← これ大きいです
  • 釣るためのことを考えて現場から開発されている
  • 低番手シングルハンドからツーハンドまでラインナップも充実していて、自分の釣りに合ったものが選べる
  • フローティングティップやシンクティップも揃っている

欲しいアイテムが店頭に合ったら、買いだと思います。(私の分も残しておいてください・・・)

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7. タックル情報

私の場合は、手持ちのタックルを活用しましたが、キャストに慣れていない方は、ファーストアクションのロッドよりも、ミディアムファーストのロッドの方がタイミングが取りやすいと思います。

 

シングルハンド・スカジット3番タックル:

  • シューティングヘッド: OPST Commando Head – 150グレイン (12フィート)
  • ティップ/リーダー: Airflo Trout Polyleader 8フィート Floating
  • ティペット: シーガーエース フロロカーボン1号 を4〜6フィート
  • シューティングライン: Ken Cube EX シューティングライン – フローティング 0.22
  • フライロッド: R.L. Winston LT 893-5 – 8フィート9インチ3番
  • フライリール: Bauer Superlite M2

追記:ソルト用の9フィート6番ロッドに225グレインを買いました。いろいろ試したら、また記事をアップします。

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